脚と角

関西を中心に国内外のサッカーシーンを観測する蹴球的徒然草。

喜怒哀楽の真髄は蹴球にこそ有り。

とりあえず4番に気持ち良くサッカーをさせろ

2008年03月31日 | 脚で語るJリーグ
 強い浦和が戻ってきた?

 答えは限りなくノーに近いだろう。日曜に行われた新潟戦で久々に3-0と快勝した浦和だが、この試合は少し新潟が不甲斐無さ過ぎた。闘莉王を初めてボランチで起用し、今季長谷部の抜けた“悩みの種”をこの超攻撃的DFで埋めることにとりあえずは光明を見出したようだ。特に後半開始直後の闘莉王の得点は目の覚めるような連携とパワフルなシュートでのフィニッシュでもあったし、形としては誰もが理想的な、そしてこれまでの浦和に見られなかった“化学反応”を垣間見たと言っても良いだろう。
 しかし、前述したようにこの日の新潟は悪過ぎた。これで浦和の強さが戻ったと言い切るには時期尚早と言うべきだろう。

 新潟は、中盤のプレスがほとんど機能せず、再三闘莉王の攻撃参加を許すどころか、永井や相馬にも非常に彼らの個性を発揮させるルーズなサッカーをしてしまった。中盤まで下がってボールを奪い、そのままドリブルで突破する永井の独壇場と言うべきシーンが何度も見られた。新外国人のダヴィとアレッサンドロはチームへのフィット感に乏しく、矢野と2トップを組んだアレッサンドロはこの日シュートゼロに終わっている。後半途中に投入された田中や河原といった若手は気を吐いたが、どうもこのチームが浦和とここで当たったことは、復調の目指す浦和にとってもラッキーだったようだ。

 3-0と理想的な勝利の裏には新たな問題も噴出した。後半23分に梅崎と交代することになったエジミウソンは明らかにその不満をピッチから去る際にぶちまける。案の定、今日付けのスポーツ紙は一斉に再び着火した造反劇に焦点を当てた。ケガで戦線離脱の高原も含め、今季浦和の補強には単純にビッグネームで攻撃の駒を揃えることとなったが、これだけコンスタントに結果が出ず、既存戦力とのフィット感に乏しい彼らとチームの“対話”が出来ていない証拠を露出したようなものだ。藤口社長は「FWなら当たり前」と強硬的にエジミウソンを揶揄したが、これでエジミウソン本人が自主退団なんかを申し込んだ日には、何のための補強だったのかさっぱり分からない。エンゲルス監督は選手に対する精神面の掌握力にも長けた人物ではあるが、監督本人もこれだけ豪華な素材を用意されたにも関わらず、どうそれを調理していくべきかその手腕を問われる渦中にいる。試行錯誤はまだ続きそうだ。

 とりあえず最低限の目標であった今季初勝利を達成した浦和ではあるが、今後どういったサッカーで落ち着いていくのかは非常に注目の的。前監督のオジェックが開き直って吐き捨てた「フィットまで6週間かかる」というコメントはあながちウソではなかったようだ。雨の影響もあったか新潟戦の観客は46,962人。しかしそれが決して雨だけの影響では無かったというのはクラブ側が一番良く分かっているはず。選手との“対話”と“調和”が最もこのクラブには欠けている。とにかく今はその実力を発揮させる新天地を見つけた4番に気持ち良くサッカーをさせながら、高原、エジミウソンを飼殺しにしない方法を見つけるのがベストだと思うが。

ガンバが勝ったのでもっとバカになります ~3節 VS東京V~

2008年03月30日 | 脚で語るガンバ大阪
 
 雨天の中、待望のリーグ初勝利はやはりホーム万博!1-1の同点で迎えた76分にルーカスの左足から放たれたシュートが見事にゴールに突き刺さる。13分の播戸のビューティフルな先制ボレーが決まってから63分間、我々サポーターは追加点を信じて止まなかった。今季FC東京より移籍してきた器用な新エースが見事その期待に応える。熱狂するゴール裏。昨季11/10の千葉戦以来、約5ヶ月ぶりに万博で味わう勝利の味は皆をバカにしてくれた。

 終わってみればシュート数はG大阪が19本、東京Vがわずか5本と完全に内容では圧倒した試合と言っても良い。13分の播戸の先制点は、ACLの全南戦の勢いそのままに鮮やかなジャンピングボレーで右足を一閃。東京Vが攻撃に転じようとしたところにおいて船越のトラップミスをそのままマイボールに、そしてパス10本を繋いだ後に生まれた鮮やかな先制点だった。この日右SBに入った橋本が絶妙なアーリークロスを配給したのもそうだが、やはり播戸のストライカーとしての嗅覚が光った一瞬だったといえる。ケアに入ったDF土屋が自分の頭を蹴られたというようなアピールをしていたが、既にその前から東京Vの最終ラインが播戸とバレーを警戒するあまり、遠藤とルーカスがくさびで連動するスペースが充分に生まれていた。立ち上がりの時間にこの展開を作れたことは、絶対に“勝利”を得るための重要な一戦の入り方としては上々だったろう。しかし、依然急ブレーキのバレーがそのシュートコースを完全に切られ、次第にGK土肥が当たり出すなど、簡単に追加点を奪うのは難しくなってくる。

 東京Vは中盤でMFディエゴを軸にボールを回していくが、ほとんど前線のスペースにボールを出せず、単純なプレイヤー同士のパス交換に終始する展開。G大阪にとっては“リスクの番人”明神がボールを奪い、この日ボランチに入った遠藤へとすぐに繋げられるため、攻守の切り替えが良く循環できていた。27分にはその充分なプレースペースを与えられた遠藤、二川の展開から右サイドから橋本がルーカスにドンピシャのクロスを合わせるものの、当たり出したGK土肥がその前に大きく立ちはだかる。その直後のCKからカウンターを食らう派目になるが、ここもディエゴを自由にさせすぎたことで、東京Vに完全に点を取る形を作られた。中澤がディエゴのシュートをブロックに行き、山口がレアンドロ、富澤のケアに入ったところで、中央の船越が明神と競り合いながらその体躯的有利を生かしてゴールにねじ込む。富澤のシュートコースに船越が入っていたこともあり、東京Vは同点に追いついたが、一瞬の油断を突かれたも同然のこの失点でG大阪がリズムを崩さなかったのは大きかった。

 撃ち合いの様相を呈した展開だが、土肥を中心とした東京Vの必死の守備と、バレーのブレーキで追加点はなかなか奪えない。これで遠藤がキックの精度も含めて本調子に戻ってくれていたら・・・と思う場面も度々あったが、その遠藤の分も攻守に奔走したルーカスの懐の深さは際立った。ミドルゾーンで展開の軸になり、自分でもアタッキングゾーンに持ち込めるルーカスのプレースタイルはG大阪のリズムをキープさせる要因となった。
 後半、集中力の切れた東京Vはさらに中盤のプレスが弱まり、バレーも次第に思うようにシュートを飛ばせるようになってくる。そして76分には最終ラインから左に展開、緩慢な相手プレスの隙を突いて中央からフリーでサイドに顔を出した明神がエリア内に放り込む。土屋のクリアミスはルーカスの下へ。こうなれば決められない訳がない。目の覚めるようなゴール上部に叩きつける追加点を決め、勝利を確実にした。

 最後までリズムはキープできたものの、対峙した東京Vは、やはり経験豊富な福西あたりのマリーシアが流石。セットプレー時も駆け引きの中で挑発的にバレーに不可解な警告を出させることに成功すれば、後半には、堂々と主審の目の前での裏拳一発。度を超えたこの福西のプレーにそのままプレーオンした扇谷の目は疑って極まりないが、福西が改めてそのキャリアを共に“ヤクザ度”を増していることも実感した。そう考えれば、ベテラン勢が多く揃う東京Vには、エネルギッシュな機動力は欠けていたと言えるだろう。時折ディエゴが見せるプレーに警戒を必要としただけで、守護神土肥のおかげで“惨敗”だけは免れたも同然だ。
 とは言うものの、G大阪ももっと得点が奪えたことも事実。ACLも含め、未だパンパシ以外の5試合無得点のバレーと司令塔であるべき遠藤の不調は目を覆う時もあるほど。ルーカスの存在が大きいが。今日のような中盤のヌルいプレスの中では、遠藤にはもっと“魅せて”もらいたいものだ。特に目立ったのはセットプレー時のキックスピード。コースは割と文句無いのだが、いかんせん本来のスピードが無いために相手GKは対応が容易い。72分に土肥のセーブに遭ったシーンなどはまさにそれを裏付ける。ここからまだ1ヶ月に8試合という強行日程が続く。メルボルン遠征も入っている。練習時間は限られるだけに、何としてでも本来の“勘”を実戦をこなすことで取り戻してもらいたい。

 とにもかくにも、ようやくリーグは光明が差してきた。先週の全南戦の勝利が火を付けたのかもしれない。勢いは出てきた。さぁ、まだまだこれからだ。これから今日の勝利以上に毎試合毎試合、俺たちをバカにしてくれ。

岐阜が勝った時だけバカになります ~C大阪 VS FC岐阜~

2008年03月29日 | 脚で語るJリーグ
 
 こいつは笑った。冒頭のタイトルはFC岐阜サポがゴール裏で掲げていたゲーフラより引用した文句だが、果たしてこの日岐阜サポは皆バカになってしまうのか?なんて今季初めてのJ2観戦となった長居スタジアムで一人考えてしまった。彼らにとっては“世界のナベアツ”ならぬ“世界のFC岐阜”とも言うべき、誇り高きおらがクラブのJ参戦。個人的にも早々にこの目でFC岐阜はチェックしておきたかった。

 今日気付いたことだが、奇しくもちょうど8ヶ月前の7/29に京都は太陽が丘で佐川印刷とのゲームを行ったJFL時代のFC岐阜を観ている。観戦ノートで当時のメンバーと比較しながらこの日のゲームを観ることができた。

 持論は覆されれば覆されるほど、更なる探究心をくすぐられる。個人的にも昨年の甘いJ昇格のレギュレーションはJFL4位に滑り込んだFC岐阜をJ昇格に導くことになったが、熊本も同じくまだJのレベルには厳しいという見方が筆者の持論ではあった。特に昨季、前述した佐川印刷戦ではスコアレスドロー。昨季は正直これまでの地域リーグとは違うレベルの高さを痛感しながらも根性の4位でフィニッシュを遂げた訳で、そのトントン拍子にここまでの階段を駆け上がってきた岐阜にとっては、忍耐のシーズンとなる2008年だと思っていた。
 しかし、開幕戦の甲府戦は1-1の引き分けで今シーズンのスタートを切ると、続く仙台戦は惜敗したものの、続く山形戦では大量5得点と爆発。そして前節徳島戦では2-1で勝利し、2連勝を飾るなど非常に上出来な出だしを見せている。8ヶ月前とどれだけチームが変わったのかこの目でじっくり観ることができた。

 テレビ観戦した開幕戦も含め、今季の岐阜の特徴としてはやはりその闘志溢れるプレーが印象に残る。“失うものは何もない”と言わんばかりのストイックなサッカーがこの日も時折のカウンター発動時や、中盤での守備に垣間見えた。特に地元出身でかつて西濃運輸(現在は廃部)でプレーしていたMF梅田高志の加入は中盤にこれまでに無かった“動き”をもたらしている。豊富な運動量で攻守に顔を出すこのキーマンが岐阜のサッカーのタクトを振るい続けていた。そして、左の高木和正と前線の片桐。コンビネーションはJFL時代から熟成されているホットライン。このあたりが噛み合った際の攻撃の面白さは度々C大阪を圧倒していた。後半は片桐が一列下がることによって、裏のスペースを狙ったボールが良く出ていた。ポゼッションは前半からC大阪が優位に立っていたが、そのミスをしっかり突いての岐阜の速攻は梅田が起点となって、サポーターをバカへと導くかに思われた。

 ただ、当然のことながら試合巧者としてはJリーグではるかに“先輩”となるC大阪に分があった。チェンジ・オブ・ペースで落ち着きの試合運び。突出したテクニックと広い視野も持つ左の香川、駆け引きに秀でたジェルマーノ、そしてこの日は柳沢と酒本という右のコンビが良い動きを見せる。12分に右サイドのスローインから酒本がそのまま突破。岐阜の最終ラインを駆け抜けては落ち着いてゴールへと流し込む。後半に入るとバタつく一面も窺わせたが、自身のエゴがシュートレンジを再三遠ざける形となったカレカに代え、DF江添を投入して守備重視の戦い方に早々切り替えるなど采配の妙も光った感じだ。しかし、そこまで岐阜はよく粘ったとも言えるだろう。
 つまり、終始岐阜にも試合をひっくり返すチャンスは多くあった。決定力の差が出たか。やはり、J1も経験しているC大阪のDF陣を崩すのは難しかった。ここ2試合で3得点と結果を出しているFW片山も再三の決定機をモノにできなかった。最終ラインではベテラン小峰のファイトある守備を中心に、右サイドの吉村などは香川のテクニックある突破を良く防いでいた。チームとしての手応えは掴んだとも言える善戦を繰り広げたのではないだろうか。

 試合終了のホイッスルと共にグッタリとピッチに倒れ伏した小峰の姿が印象的だったが、ちょうど8ヶ月前の彼らと比べて遙かにレベルアップした印象は受けた。持論の撤回を余儀なくされる岐阜の快進撃もこれから見ることができるかもしれない。そう、彼らは充分戦えるのだ。
 残念ながら今日はバカになる岐阜サポを見ることはできなかった。今後彼らが激しくバカになる試合を是非見届けられたらなと思う。

 それはそうと、土曜の長居で5,610人はマズいよね・・・C大阪さんよ・・・

日本“アウェイ中東”に沈む

2008年03月27日 | 脚で語る日本代表

 “砂漠のキツネ”と名高い敵将ミラン・マチャラ監督はさぞかしほくそ笑んでいることだろう。いつ点を奪われてもおかしくはなかった。32度という酷暑著しい“アウェイ中東”でバーレーン代表とW杯3次予選第2戦を迎えた日本代表。しかしその内容はお世辞にも褒められるものではなく、中東で15年以上のキャリアを積む知略家の描いたプラン通りだったのかもしれない。

 敵将マチャラは、試合前から「是が非でも日本から勝利を挙げたい」とコメントしていた。日本の主力選手の状態が芳しくなく、疲労が溜まっていることを充分に見抜き、試合を通して日本のミスにつけ込んではシュートチャンスを得ていた。日本の運動量の少なさは、バーレーンに中盤でプレーさせる時間とスペースを与え、本来それほど押し込まれることのない相手にことごとくシュートを打たれる。効率よく試合のペースを掌握したのは間違いなくバーレーンだっただろう。
 その一方で、少ない運動量に連動されるように本来のパスワークが消えていた日本は、終始決定的なチャンスを生み出せなかった。この日起用された阿部、中澤、今野の3バックは想定された布陣であったが、最終ラインからのビルドアップも精度に欠けるものばかりで、攻撃面でリズムを生み出すファクターが決定的に日本は欠けていた。蓄積された疲労を考慮され、この日のスタメンを外れた遠藤が前半不在だったことも大きかった。後半、その遠藤が投入されてから少しずつ本来在るべきダイナミズムが日本に垣間見えたのは悔やまれる。巻と大久保の2トップも消える時間が多く、相手ゴールを脅かすことができなかった。1年9カ月ぶりに代表復帰を果たした玉田をもう少し早い時間から投入しても良かったかと思うが、個人的には合宿地のドバイ入り後から好調を維持していたにも関わらず、この日全く仕事ができなかった大久保にハッパをかけたい気分だ。

 ほとんどプロ選手もおらず、月給も5万円程度しかもらっていない明らかに“格下”のバーレーン相手に不甲斐無い敗戦を喫したのは非常に痛い。こんなことでは、この予選の先に見据えるW杯にも希望は持てないと言っても良い。まだこれは3次予選だ。これで6月の4連戦では必然的に苦しい思いをしなければいけなくなった。“身から出た錆”を味わうこととなるであろう。
 安田と駒野をサイドに配置したことで攻撃がそれ一辺倒に偏ったこともそうだが、何よりも中央からソリッドな攻撃の形が作れていないのが目の覆うべき事態。前線も点を奪う用意ができておらず、どういう形で得点を奪うかという意思表示が見えない。強烈に攻撃を牽引するキーマンが不在ということ。中村俊を招聘できなかったことや、こんな状況で中田英のような選手がいればとも考えてしまう内容であった。

 ミラン・マチャラのリベンジは叶った。バーレーンはプラン通りの完勝。さて、今後日本はどう建て直すか?時間はあるようで非常に限られている。この“負け”は大きい。

2008シーズン奈良県社会人サッカー展望

2008年03月26日 | 脚で語る奈良クラブ

 22日に今季の奈良県社会人リーグ1部の日程が序盤だけ発表されたが、なぜこんな小出しなんだ?同時に天皇杯県予選の組み合わせも発表になったが、以前から聞いていたように県リーグと天皇杯予選を並行して行っていくという方式はこれで明らかになった。
 ちなみに奈良クラブのリーグ序盤戦の日程は下記の通り。

 4/6(日) VS 新庄FC @吉野総合公園グラウンド 12:15キックオフ

 4/27(日) VS FC TAKADA @榛原総合グラウンド 14:30キックオフ

 5/25(日) VS MIKASA @奈良産大グラウンド 9:20キックオフ

 まだこの序盤3試合しかリーグは明らかにされていない。今季の県リーグ1部は奈良クラブ、ポルベニルカシハラ、JST、FC橿原、Atletico、大和クラブ、信貴ヶ丘AURA、FC TAKADA、高田FCガロットス、ソレステレージャ奈良2002、MIKASA2003、新庄FCの12チーム体制。新庄FC、MIKASA2003、大和クラブの3チームが今季2部より1部に昇格を遂げたわけである。

 昨季、敗戦数が最も少なかった奈良クラブ(昨季は都南クラブ)は、引き分け数の多さに泣いた。これが結果的にプレーオフで3-3と引き分けたJST戦の上位勝ち上がりに影響して府県リーグ決勝大会に出れなかった訳だが、確かに昨季はポルベニルとJSTの強さも際立ったのは確か。今季、クラブ名も新たに巻き返しを図るシーズンにはもってこいである。しかし、県内では実力NO.1と奢っていては足下をすくわれるというものだ。個人的には幾つか警戒したいチームもある。

 ライバルとなるのは昨季の1位、2位であるポルベニルとJSTだ。どちらも社会人選手権で対戦したことでその強さは実証済み。今季3人がポルベニルから奈良クラブに加わったことがどう影響するか。JSTも含めこの2チームは依然侮れない。そして昨季、澤田、河合、上村といった選手を中心にシーズン最多得点を叩き出したAtleticoも不気味な存在だ。このシーズンオフは社会人選手権に参加せず、京都の強豪である久御山FCや関西1部のディアブロッサ高田など格上クラブとどんどん練習試合を行うなど、毎週日曜は必ずゲームをこなすストイックな姿勢が特徴。ダークホースと言っても良いかもしれない。最初の試合で対峙する新庄FCも2部から昇格したばかりとは言え、個人技術に優れた選手も多く侮れないだろう。

 かと言っても、関西リーグを目指すためには県内でつまづいている暇は無い。今回の対外TMで明らかになったように、“関西”のフィールドに出た際にはまだまだ勝てないのが現状。そのためにも奈良クラブには“関西”を見据えた一つ高いレベルを求めて、県リーグを突っ走ってもらいたい。23日にアルテリーヴォ和歌山戦で見えた攻撃の形が熟成の一途を辿れば決して不可能ではないはずだ。そして、もちろん天皇杯の県代表の座も是非とも勝ち取ってもらいたいものだ。

 今季の天皇杯県予選社会人部門は14チームで争われるが、前述のJSTとAtleticoと同じグループになったBグループで戦う奈良クラブはAtleticoVS奈良県立大の勝者と4/13(日)に奈良大都祁グラウンドでその初戦を戦うことになる。そして、A~Dまでの各グループトーナメントを勝ち上がった4チームがオープンドローで社会人部門代表を決定するという流れだ。
 ここでの最大のライバルは、やはり昨季の都南クラブ時代に0-6と惨敗を喫したディアブロッサ高田FC。そして、昨季の天皇杯奈良県代表として出場を果たした天理大であるのは間違いないだろう。是が非でも上を狙うクラブの意地とプライドをみせてくれなければならない大会だ。

 とにもかくにも吉野や榛原、奈良大都祁など遠隔地での試合は多く、観戦者のアクセスは全く考慮されていないが、少しでも多くの観戦者が増えることを期待したいし、そのためにも奈良クラブの努力は必要である。クラブが上を目指すことと同時に、県内のレベルの相乗した向上も奈良クラブが促進していくべき使命を担っている。
 そのためにも、不甲斐無い試合をすることはできない。上を目指す後戻りのできない戦いの火ぶたがあと2週間足らずで幕を開けるのだ。

観戦スケジュール徒然日記

2008年03月25日 | 脚で語るJリーグ

 4月、5月だけで国内外問わず22試合の観戦予定で詰まっている。奈良県社会人リーグの序盤の日程が明らかになったことで、2008年の自分のフットボールライフもほぼその全容が固まりつつあるが、最大のプライオリティは奈良クラブ、G大阪の2クラブとして、それ以外はどこを軸に実地観戦を展開していこうかと考えるのが意外と楽しい。つまり、“脱サポーター”と化して、素の状態でじっくり客観的にサッカーを観る機会を求めていけば、自然と手帳の土日はビッシリ埋まっていくのである。アマからプロまで、そんなスタンスで臨むべく、“テレビで映らないサッカー”を今季もできるだけ追いかけたいのは筆者の正直なところだ。

 まだKSL(関西サッカーリーグ)の日程がオフィシャルに全て発表されてないが、やはり今季はKSLは高田の試合が数試合奈良県内で予定されているので、個人的なターゲットはJFLのMIOびわこ草津かなと思っている。昨季は幾度か佐川印刷のホームゲームを観戦するシーズンであったが、今季は将来的に“J”を目指すMIOが昇格したことで、他の北九州や岡山、栃木、富山とJリーグ入りを目指すクラブが多い中で双方にプロ志向のマインドの高いクラブの戦いを観ることができるからだ。SAGAWA SHIGA FCや佐川印刷といった将来的にプロクラブの一途を辿らないクラブより、こっちの方が面白い。特に昨季、熊谷での地域リーグ決勝大会の激闘を全て追いかけた自分としては単にMIOびわこ草津への愛着みたいなものもあるのだが。

 とにかく、空いている日程をそんなアマサッカーライフで満たすとして、今季はやはり最大の見どころはACLである。次はメルボルン遠征を控えているのだが、ここはオーストラリア2番目の“タウン”ともあって、正直4月の遠征に関しては全く何も考えていない。既に往復の航空券は押さえているし、バックパッカー宿も充実しているところなので、じっくりメルボルンは楽しめると思っている。フライト時間も含めて5日間も犠牲になってしまう訳だが、それはそれでこの機会だから良しとすべし。全てはフットボールが基準で動いているのだ。
 しかし、メルボルンのテルストラドームという会場は実に便利な所で、空港からバスで20分という位置にあるサザンクロスの駅に隣接する。写真を見る限りでは非常に綺麗なスタジアムだし、それよりメルボルン・ビクトリーがオーストラリアで一番を争うぐらいの人気クラブだったとは最近知って驚いた。確か前線に元PSVの選手もいるとか。これからメルボルン戦当日までに勉強しておこう。

 アウェイチョンブリ戦の会場がバンコク市内のスパチャラサイスタジアムになったことによって、結果的には最も辺鄙な場所にあったのは先日足を運んだ光陽スタジアムということになろう。移動距離と時間は“格別”の組み合わせであるが、そのアウェイ先々の旅情緒を味わう意味でも、G大阪がこれからACLの常連になることは歓迎すべきことであり、これから毎シーズンの楽しみの一つとしてこれ以上ないスパイスになっている。まぁこんなことが言えるのも未だ中東アウェイを経験していないからかもしれないが(笑)。そういう意味でも是が非でも決勝トーナメント進出は果たして欲しい。

 そんなこんなで未だにスケジュールに落とし込む試合に頭を悩ませる毎日は続いている。J1、J2、JFL、KSL、県リーグ、全ての日程表とにらめっこしながら、時折ダブルヘッダーの可能な日にちがあることに至極の歓びを覚えるフットボールバカの手帳は今季も100試合観戦を目標にぎっしりだ。

白熱の奈和ダービー ~TM VSアルテリーヴォ和歌山~

2008年03月24日 | 脚で語る奈良クラブ
 トレーニングマッチ(40分×2本)
●奈良クラブ 2-4 アルテリーヴォ和歌山○
得点:嶋×2
@関西医療大グラウンド

 「和歌山だけには負けたない!」

 「それはこっちのセリフや!」

 とサポーター同士の戦いでもあった“奈和ダービー”アルテリーヴォ和歌山戦。熊取は関西医療大グラウンドというほぼアウェイの地で、双方が初のサポーター対決を演じることができたものの、肝心のゲームは悔しい敗戦を喫してしまった。

<メンバー>
GK松石雄(HT=津山)
DF中川、杉田、上林、森田
MF松野智、秋本(HT=練習生)、上西、矢部
FW松野正、嶋

 内容は決して悲観するものではなかった。終始試合のポゼッションは掌握し、再三シュートも打つことができた。前後半とシュート数では相手を上回ったが、守備面で相手のFW羽畑(元G大阪、鳥栖)とそのコンビにやられ、4失点を喫する。しかしながら奈良クラブも期待の新ストライカー嶋が2得点とその才能を充分に見せてくれた。これには大いにテンションが上がったし、今季の活躍を予感させてくれるものだった。
 前半の立ち上がりから、攻撃面は機能した。つまり、“攻撃の形”が見えたことが大きい。少し連携面が向上した証であろうその時折見られた崩しは、いつもよりも上がり目の位置で矢部がボールを回せたことも大きかっただろう。サイドの上西、そして少し引いた位置でボールを収める松野正とそれをフィニッシュに繋ぐ嶋の4人の連携には大きな可能性を感じさせてくれた。トータルでは割と安定したサッカーをしていたにも関わらず、前述の和歌山の2トップに仕事をさせてしまったことは悔やまれる。4失点目はGK津山の決定的なキックミスから。こういったミスも失くしていかなければ、能力の高い選手には決定的な仕事をされる。レベルが県内とは比較にならない関西の対外試合では改めて実感させられる最も重要なファクターだ。

 アルテリーヴォ和歌山は昨年立ち上がったばかりの新興クラブながら、その後ろ盾はNPO法人「和歌山からJリーグチームをつくる会」であり、選手個々のレベルは昨年関西クラブ選手権を制覇したことからも分かるように奈良クラブよりも格上。しかしながら、今季は昨季参加できなかった県社会人リーグに3部から参加することを強いられるなど決して県協会の支持を得ている訳ではない。それにも関わらず、集まるサポーターやチームウェアの統一感、胸スポンサーの存在、現場に駆けつける事務員たちなどにこれから上を目指す意気込みが感じられる。特にプロ契約を2人抱えるという事実は、クラブをNPO法人化させたことでこそ成し得る成果だろう。それらは同じ目標を目指す我々としても本当に刺激になったのは間違いない。

 試合後、和歌山のサポーターの方々としばし談笑。共に情報交換を行う。和歌山の方からしても奈良クラブの誕生は刺激になっているようだ。共に応援する際に相手クラブのサポーターが存在する状況が初めてだったことも、その時間を新鮮かつかけがえのないものにしてくれた気がする。“待ってました”と言わんばかりの和歌山・奈良のこの動きに呼応するサッカーファンの気持ちは皆同じであることも実感した。
 しかしながら、和歌山も県3部からのスタート、そして奈良クラブは環境面や選手層、運営面など憂慮すべき課題も山積み。そういった話の中でどちらも決して楽ではないことも良く分かった上で共に歩み出した両雄のお互いの健闘を称えあった。是非、この次はリベンジを果たしたい。そういった意味でも今後、交流試合が定期的に行えればこれほどチームとサポーターの糧になるものもないのではないだろうか。
 とにかく、この日は充実した時間を過ごすことができた。アルテリーヴォ和歌山の選手、サポの皆さん本当にありがとう。そして是非全社で戦う機会があればと切に願うし、今後関西のサッカーシーンがこの2チームの奮闘でさらに盛り上がることも期待したい。

 さて、これで対外試合として行うトレーニングマッチは終わり、遂に4/6(日)から県社会人リーグがスタートする。初戦は吉野総合グラウンドで新庄FCを迎え撃つ奈良クラブ。今季2部から昇格してきた相手ながらもその実力は侮れない。翌週からは天皇杯の県予選も始まる。Jリーグを最終地点に見据えた奈良クラブの戦いが始まる。もう後戻りはできない。
 そう、あとは1つずつ勝っていくのみだ。

とある妄想話

2008年03月23日 | 脚で語るJリーグ
 浦和が調子に乗れていない。点が取れない、勝てない。と悪循環極まりない昨季のアジア王者であるが、昨季終盤からの低迷をオジェック前監督の解任というショック療法でチームを建て直そうとした。エンゲルス新監督になって最初の試合となった初戦のナビスコ神戸戦では“結果”は出なかったものの、前進の兆しは見えたとも言われている。果たしてこの赤きアジア王者の1年はどんなものになるのだろうか。

 先ほど、行きつけの梅田サポフィで柏サポ、京都サポとG大阪サポ仲間で話をしていたところ、興味深い話題に突入した。それは浦和が今季“J2降格”の憂き目などに遭いでもすればどんなことになるだろう。という話題だ。これは最早、学術的見地から見ても非常に面白いかもしれないなと感じた。
 もし、今季の浦和が低迷の極みを辿って、降格するようなことになれば埼玉県がひっくり返るような一大事になるのではなかろうか。しかし、来季のJ2の興行成績はさぞかし潤うだろう。なんせ、あの埼玉スタジアムに詰め駆けるサポがJ1以上にワーカホリックなシーズンを支えてくれる訳だ。サポーターからすれば、かつてJ2の憂き目を味わっているだけに意外とビクともしないかもしれない。今以上に結束力が高まることも十分に考えられる。そういう意味では、常勝軍団へと変貌を遂げた以降のサポの“浦和愛”を計る一種の指針になるだろう。

 選手は流れるように出ていくかもしれない。山田や永井、坪井に内舘などの古参はクラブに残留するかもしれないが、鈴木、阿部、闘莉王、高原あたりの代表クラスは危ないだろう。J2へ降格することがどれだけ選手の今後に影響するかを改めて実感する、脅威の流出劇が始まるかもしれない。
 フロントは全面的に刷新され、犬飼氏のカムバックもあり得るだろう。監督がミスターレッズこと福田氏になり、選手も含めたオフト体制時から築き上げてきた現行体制がひっくり返る。完全に生まれ変わった浦和レッズが見られそうだ。これまでのスタイルを捨て去り、超攻撃的な布陣にシフトしたりする。

 入替戦なんてことになれば、一足先にシーズンを終えた他チームのサポが興味本位でスタンドを埋めてしまう異常事態。それぞれがそれぞれのひいきのクラブのユニフォームを纏い、“アンチ”浦和を体現するレアな光景が見られたら面白い。真っ赤な埼玉スタジアムが絵の具をごちゃ混ぜにしたような色合いになりそうだ。大宮サポは対戦相手のアウェイサポと共に声援を送る助太刀ぶりで、埼玉下剋上を果たそうと躍起になる。これまで起きなかったいろんな事象がおこり得るから恐ろしい。
 でも、天皇杯やナビスコ杯などどこかで一つはタイトルをちゃっかり確保したりするアンバランスさもあったりする。

 これは笑い話であって、あくまで酒の席でのアンチ浦和族の妄想話。せっかくナショナルダービーとも呼ばれるようになったライバルには是非今後とも切磋琢磨を続けるべく、復調を願いたいものだ。それは先日の神戸戦でもファンから罵声を浴びたフロントが一番感じていることだろう。オジェックを招聘し、指揮官を尊重してワシントンに見切りをつけた中村GMも高原、エジミウソンを呼んできた意地とプライドがあるはず。ここで屈するわけにはいかない。

 日付変わって今日のナビスコ京都戦が終わった頃には、この妄想話が現実味を帯びてくるのか、それともただの他愛もない冗談で終わるのか少し傾き加減が分かるかもしれない。それだけ、今の浦和はこれまでの浦和の亡霊に縛られている気がする。最も打ち勝つべき相手は自分たち以外の何者でもない。

08’ACLアウェイ道中膝栗毛① 韓国光陽・全南戦

2008年03月20日 | ACLアウェイ道中膝栗毛
 異国の地で味わう劇的な逆転劇の歓喜は、夜空に放たれる何発もの花火に込められた。敵地光陽で、全南と戦ったACLグループリーグ第2節。取られたら取り返す、そんなG大阪の真骨頂の復活を感じさせてくれた爽快な勝利だった。

 釜山に着いてからのアクセスをどうすべきか最後まで考えていた筆者であったが、関空のチェックインカウンターで馴染みのゴール裏仲間と遭遇。なんとBB(Black and Blue squad)の催行するアンオフィシャルツアーが、この12:55発のKE便でも企画されていて、釜山空港からもバスをチャーターしていることが判明。すかさずそのバスに便乗させてもらうことに。これは本当に幸運であった。
 14時過ぎに釜山空港に着後、一行でバスに乗り込み光陽へ。大阪は雨が降っていたが、釜山はそんな天気ではなかった。海外と言えども日本からそこまで時間のかかる訳ではない釜山。しかし、肌寒い気温が少し日本とのギャップを感じさせる。
 さすがにバスだけ便乗するので、ガイドに便乗代金を払い(40,000ウォンと言われたところを30,000ウォンにまけさせる)、一路光陽へ。最初のアナウンスでは3時間かかるなどと言われたため、高速バスで単身乗り込まなくて良かったと胸を撫で下ろす。延々渋滞とは無縁の高速道路をひた走り、1時間半ほどでサービスエリアに。周りの風景は山地と田園風景が目立つ。特にこれと言って眺めるものも無かったが、東光陽のインターで高速を下り、光陽市内へ入ると高層マンションと小さな商店が混在する街並みに。ガイド曰く、やはりソウルなどの北部に比べて、こちらは開発が進んでいないとのこと。観光箇所となる場所も無いし、Posco(旧浦項製鉄)の鉄工所が立ち並ぶがゆえ、その関係者の住居と生活圏内となっている。東京駅からカシマスタジアムへ向かう道中を思い起こさせる風景だ。

 高速を降り、15分ほど走ればスタジアムに到着。向かう道中の歩道橋などに段幕が掲げられ、ACLの盛り上がりを助長しているが、バスから降りてみると閑散とした雰囲気に軒を連ねる屋台の数が目立つ。挙句の果てには全南のグッズショップすらシャッターが閉まっている。まだキックオフ1時間半前ともあって、全南サポーターらしき人たちの姿もない。しかし、スタジアムは古いながらもその雰囲気は十分で、アジアのアウェイに来たことを実感させる。
 前乗りしていたサポ仲間と合流し、しばし屋台のメニューっで腹ごしらえ。屋台によって同じ商品でえらく値段の違う店もあったが、ようやくG大阪サポも全員集合という感じで、メニューを物色しながら皆で談笑。虫のさなぎ(?)のごった煮のようなものがポピュラーメニューらしく、食わされる(笑)。現地のおばちゃんも実に明るい。スタジアムのバックスタンド側後方には土のグラウンドとテニスコートがあり、子供たちがテニスに講じている。そこだけ見れば日立台のアウェイゴール裏のような雰囲気もあった。

 スタジアムはかねてからの情報通り、ゴール裏に出入口はなく、バックスタンド側の出入口から入退場する。さすがに観客席を見れば、全席独立席でありながらその老朽化が目立つが、もちろんサッカー専用、そしてピッチが近い!スタンドの傾斜はきつく、非常にサッカーを通常アングルから静観するには良い感じ。雰囲気は三ッ沢(現ニッパツ三ッ沢)と聞いていたが、まさにそれにふさわしい歴史の重みを感じさせるスタジアムだ。
 まだ、スタジアムはガラガラだったが、我々の準備は万端。海外ならばお約束(?)の発煙筒と15連発の花火も大量に用意されており、日頃日本ではご法度のカルチョの雰囲気を演出して味わえるというものだ。段幕を張る関係で、少し高い位置に陣取ったが、踊り場みたいな場所があって、そこを中心に固まることができる。中にはバスターミナルから徒歩で5km歩き、スタジアムに辿り着いた者も!そして翌日のフェリーの欠航が決まり日本に帰れない者も!総勢100名ほどのG大阪サポーターが一同に介した。あとは勝利を見届けるのみ!

 あちこちから、発煙筒の熱気と落ちてくる燃えカスの熱さに耐えながらアイーダで入場してくる選手を鼓舞。ここのスタジアムは電光掲示板がホーム青、アウェイ赤の配色にされており、試合前からツッコミどころが多く、それがサポに火を付けた(?)か、ここ数試合不甲斐無い戦績に終わっているチームに最大限のコールを送る。その統一感は少数精鋭がゆえの高まりを見せ、試合展開と共にヒートアップした。
 肝心の試合は、開始早々の4分に山口の軽率なトラップ処理をつけ込まれ、全南FWシモンに先制点を許す。27分にも右FKからファーサイドに合わされ追加点。ここまで来てまた不甲斐無い試合を見せられるのかと思ったその3分後に二川が得意のミドルシュートを突き刺す。待望の1点にゴール裏は狂喜乱舞。これをきっかけに全てにおいて後手対応となっていたチームがリズムを取り戻すと誰もが確信した。
 案の定、後半G大阪は息を吹き返し、53分に播戸がCKに頭で合わせ同点!5分後には完璧な二川→ルーカスの連携から安田理が叩き込む。完全にイケイケの流れ、本来のG大阪の持ち味を取り戻したことはその直後にPKで同点とされながらも、76分に再び播戸!安田理のクロスにGKが弾いたところをドンピシャで合わせ、決勝点を奪い取ったことがそれを裏付けて余りある。
 誰もが関係なく抱き合い、喜びに乱れ狂うゴール裏は花火と発煙筒が止まらない(笑)!待望の今季主要公式戦初勝利に最高の歓喜がゴール裏を包んだ。これぞサポーター冥利に尽きる海外敵地での勝ち点3奪取に、皆がスタジアムから釜山市内まで戻る距離の遠さを忘れてしまった。

 釜山までの帰路は、“オフィシャル”ツアーのバスに便乗させてもらう。日本人添乗員は「ここまで列車で来た方がだいたい20,000ウォンかかったとおっしゃってるんで、20,000ウォンで結構です」との一言。おい・・・最初に乗ったバスのガイドは40,000と言ってたな・・・値切ったとは言えやられた・・・なんて思いながら光陽を後にしたのだった。
 23時過ぎに釜山へ着くと、そのままルームチャージのみで仲間に確保してもらったツアーと同じ釜山観光ホテルに宿泊。BSで放送されたACLダイジェストで鹿島VSナムディンを観ながら、G大阪の結果について一言も触れないことにブーブー言いながら仲間と共に祝杯を上げたのだった。

 釜山市内をゆっくり見る間もなく8時頃ホテルを後にし、単身タクシーに乗って金海(キンヘ)空港へ。メーターは12,300ウォン!安い!20kmほど走りながら日本円でわずか1,500円にも満たない。バスに乗らなくて良かったと思っていると、チェックインすれば昨日の激戦の勇者たちが!同じ便だったのか。やべっちFCの妙技の話を「まだまだっすよ。技無いんで」と語る昨日のヒーロー安田理らと談笑しながら、サポ、選手共に日本への帰路に着いたのだった。

 とにもかくにも、チームとサポが一つとなって獲得できたACLの勝ち点3。これを機に負のスパイラルから抜け出し、リーグと共に上昇気流に乗ることを期待する。関空の入国審査の際、少し西野監督と話したが、その表情は勝ったことの安堵館感とこれからの手応えを感じているようなリラックスした表情であった。エース播戸が見せてくれたそのチームの誇りを世界の舞台で見せつけてやろうではないか。まだまだ戦いは始まったばかりである。
 
 次回メルボルン編を乞うご期待・・・

行ってきまっせ!ACLアウェイ!

2008年03月19日 | 脚で語るガンバ大阪

 日付が変わり、遂に本日に迫ったACLグループリーグ第2節全南ドラゴンズ戦。ACLのグループリーグは勝ち抜けで決勝トーナメントに進めるのは上位1クラブ。先週、ホーム万博で格下のチョンブリFCにまさかのドローを喫したG大阪は明らかに出遅れた。メルボルン・ビクトリーが勝ち点3ポイント奪ったことで、チョンブリと戦うメルボルンの戦況も気にしなければいけないが、とにかくは相手がどこであれ、得点を奪って勝つということが大事だ。現在のG大阪にとって最もできていないことがそれなのだから。

 明日は12:55発の大韓航空732便で日本を飛び立つわけだが、問題は光陽スタジアムまでどうやって辿り着くかだ。往復の航空券のみで旅立つ筆者にとっては、今回のACLのアウェイの日程で最も不便なこの光陽の地に辿り着くには高速バスか、タクシーでぶっ飛ばしてもらうかの2つの選択肢しかない。高速バスとなると、釜山を出発するのは16:10という時刻。どう考えても18:30キックオフというスタジアムへの到着はギリギリ。こうなると少し手痛い出費にはなるが、空港からタクシーに飛び乗る方が得策かもしれない。ドライバーと交渉しながら少しでも出費を抑えられれば良いが。
 スタジアムからその日のうちに釜山市内へ戻る術は上手く確保できた。何とかタダでオフシャルツアーのバスに乗せてもらう交渉ができたため、最も懸念されていた夜の釜山戻りは問題ない。ほぼ反則的な裏技だが、こうでもしないと光陽スタジアムから戻るのは不可能だ。宿泊場所は知り合いに手配してもらった市内のホテルをルームチャージのみでシェアする。日本円でわずか3,000円程度ならバックパッカー宿とも変わらなくて良い。翌日は10:55発の大韓航空731便。わずか20時間足らずの韓国滞在になる。是非とも勝利の味を噛みしめて日本に帰国したいものだ。

 4月にはメルボルン、5月にはバンコクへの遠征も控える今季。G大阪の激闘と共に筆者の長いようで短いACL道中膝栗毛も明日から始まる。