脚と角

関西を中心に国内外のサッカーシーンを観測する蹴球的徒然草。

喜怒哀楽の真髄は蹴球にこそ有り。

3年連続県王者、天皇杯へ -vs奈産大-

2011年08月29日 | 脚で語る奈良クラブ
 今季の天皇杯出場を懸けた奈良県選手権の決勝が28日に橿原公苑陸上競技場で行われ、奈良クラブは奈産大と対戦。県選手権最多記録となる7得点を奪い、7-2と快勝で3年連続奈良県代表としての天皇杯出場を決めた。

 

 カンカン照りの陽射し、雨でも降って欲しいと思わせてくれるような酷暑の中で迎えた県内王座決定戦の大一番。この試合が終わればあっという間に天皇杯が始まり、優勝に王手をかけたリーグ戦も再開される。先週のミニ国体の敗戦からチームが再び上昇気流に乗るためにも重要な試合だった。相手は関西学生リーグ2部の奈産大。準決勝ではディアブロッサ高田(関西Div2)を3-1で下して決勝に進出。この前日に静岡県大会ではJFLのHondaを下して静産大が天皇杯の切符を掴み、東京都予選では、JFLの町田を相手に専大がPK戦まで持ち込む健闘を見せるなど大学勢の奮闘も目立っていた。油断はできない相手だった。
 奈良クラブは、準決勝の天理大戦から陣容をチェンジ。ゴールを守る日野は変わらず、ミニ国体前の練習試合からサイドバックに挑戦している谷山が右サイドバックに入り、橋垣戸、眞野のセンターコンビに、左は吉田。中盤に矢部が起用され、三本菅とセンターラインを組む。辻村剛が左に、そして李が右に入る形となった。好調を維持するFWコンビの牧と檜山は変わらず先発。

 準決勝の天理大戦でもそうだったが、リーグ戦でもなかなか立ち上がりから先制点を取るという場面は少なかったが、この試合では開始早々から格の違いを披露。特に中盤の矢部から相手DFラインの裏へ何度もパスが通った。開始5分の檜山の得点、そして21分にも辻村剛の得点を彼のラストパスから演出。38分には相手GKのミスも手伝って辻村剛が加点し、前半から3-0という展開を見せた。

 
 決定機演出で3アシストの矢部。
 先発起用に応える。

 後半も変わらず、加点していく奈良クラブ。檜山が後半開始早々に矢部のラストパスからシュートを決めると、その直後には左サイドを駆け上がった橋垣戸の折り返しを牧が決めて5-0とする。5分後にはCKから相手のオウンゴールを誘発して6点差に。勝負の行方は完全に決まった。
 しかし、暑さも手伝って運動量が落ちてくると、73分に奈産大のFW井上皓に1点を返される。スピードのある彼にぽっかりと空いた最終ラインのスペースを持ち込まれた。こういう試合で完封こそできれば格別の圧倒感なのだが、これでゼロでは終われなくなる。

 
 ミニ国体では規約上出番の無かった辻村剛。
 2得点と勝利に貢献。

 84分には辻村剛のパスを受けた李が正確なシュートを決めて7点目を奪う。攻撃面ではまだまだ追加点が期待できた。ところが途中出場の辻村隆、浜岡、嶋が何度もチャンスを作るがこの日はこれにて打ち止め。アディショナルタイムに入る直前に奈産大にカウンターから失点を食らう。最後に決められたのはMF橋田。相手陣内のエリア手前まで持ち込んでいながらのカウンターの食らい方は頂けなかった。7-2とスコアだけ見れば圧倒的勝利、内容でも圧倒していたとは思うが、リーグ戦で失点が少ないこともあってか、先週のミニ国体から続く失点場面についつい敏感になってしまう。試合後にNHKのインタビューで吉田監督が快勝にも関わらず、「7点だけという結果だけ見れば…前半から通してちゃんとサッカーしなさいという内容。」と敢えて苦言を呈したのは明らかにこの2失点の後味の悪さも大いにあっただろうと思う。

 
 檜山は大会2試合3得点で調子を上げている。

 これで、天皇杯1回戦は同じく橿原で兵庫県代表と対戦することになった。試合後に分かったその相手はなんと三洋洲本。十中八九、兵庫県の決勝は関学大(関西学生1部)が勝利するだろうと思っていただけにビックリ。リーグ戦で手の内を知るライバルと天皇杯という舞台で対峙することになった。天皇杯特有の“非日常”感この1回戦は薄いが、これに勝利すれば2回戦ではJ1の神戸と対戦することになる。もちろん2年ぶりのJクラブとの真剣勝負の場を目指す意味では絶対に負けられない試合だ。兵庫県の決勝戦のメンバーを見ていると、三洋洲本は先週のミニ国体にもその姿がなく、おそらく負傷の影響だろうか、リーグ戦でも出番がほとんどなかったGK浅野、MF成瀬(関西リーグ2年連続MVP)の2人が出場している。ここに中盤の村上、稲垣、沈、前線で主砲となる梅川(関西リーグで2年連続得点王)という陣容はリーグ屈指で、昨季の地域決勝で奮闘を見せ、JFL入替戦まで進んだ強い三洋洲本のまさにそのもの。5月に五色で2-0と勝利を収めた三洋洲本、先週ミニ国体でPK戦の末に退けた兵庫県選抜という名の三洋洲本(正確には姫獨大の河野が加わっていたが)とは違うと思わなければいけない。なんと偶然にも天皇杯1回戦の翌週には、同じく彼らと優勝に王手のかかったリーグ戦で対峙するのだ(9/11@三木防災)。この2週は彼らも相当な覇気で挑んでくるはず。昨季の王者に挑む“挑戦者”の心意気で臨みたい。

 とにかくこの決勝戦では、これまで以上に県内における奈良クラブの存在感を見せつける試合で、観客には大いにインパクトは与えられたはず。この日は思っていた以上にスタンドには観客が訪れたが、天皇杯は有料試合。同じように1回戦でも有料試合に見合う試合ができるかしっかりその点をアピールしたい。来季昇格を目指すJFLは基本的に有料試合、この日の試合より一歩進化したサッカーを見せて欲しい。天皇杯はもうすぐ今週末の日曜日だ。

西京極3連勝、じわじわ進撃 -京都vs千葉-

2011年08月28日 | 脚で語るJリーグ
 J2は第26節、15位の京都が4位の千葉をホーム・西京極に迎えての一戦。試合は京都がオウンゴールで先行すると、後半一時は千葉に同点に追いつかれるものの、期待のエース・宮吉の今季リーグ初得点で勝ち越し。2-1と勝利した。これで京都はホームで3連勝。対する千葉は3戦連続で勝ち星に見放された。

 

 ここまで7/31の鳥取戦、8/14の北九州戦と西京極で今季の京都を見てきた。すると2連勝でホームではすこぶる調子が良い。現にその鳥取戦から4試合で2勝1分1敗。前節こそアウェイで札幌に1点差で敗れたが、どうも個人的な印象だとヤングパワーで押せ押せの京都はまだ順位を上げられるはず。しかしながら、今節の相手はJ2優勝候補の千葉。延期の影響で京都と千葉の対戦は今季初。どちらもJ1復帰を目指すチームの対戦。注目される一戦となった。
 京都は、布陣として前回観戦した北九州戦とほぼ変わりなし。A契約条件をクリアし、5年契約が濃厚と言われる久保を筆頭に、宮吉、伊藤が3トップを組み、中山がトップ下の位置、左右に安藤、駒井、そしてチョン・ウヨンがアンカーとして森下、秋本、酒井という3バックの前の鎮座する。そして、開幕前に大怪我を負っていた工藤が古巣との一戦で初のベンチ入りとなった。
 対する千葉は、ここ2戦無得点で未勝利と、J1昇格へ向けて踏ん張りたいところ。既に3試合もオーロイと深井を負傷で欠いており、この試合ももちろんメンバー外と苦しい状況。坂本、青木良というお馴染みの両サイドバックに、センターではマーク・ミリガンと竹内がコンビを組み、ボランチにはファンゲッセル、佐藤、米倉がトップ下の位置に入り、村井、太田がウイングとして左右に配置。トップは青木孝が入った。

 
 8月最後の土曜日。
 アウェイ席には多くの千葉サポーターが。

 ゲリラ豪雨の襲来を上手くかわした西京極。雨がパラつく中で試合はスタートする。序盤から千葉が果敢なプレスで京都からボールを奪おうとする。8分にチョン・ウヨンが千葉のゴール前で際どいFKを見せてこの試合のファーストシュートとなる。京都は駒井、伊藤の右サイドのコンビで仕掛けたいところだが、千葉のプレスの網はここを警戒しており、なかなかその形が作れない。久保に至ってはなかなかシュートのために前を向かせてもらえなかった。
 ところが千葉も我慢の時間帯が長く続いた。ボールを奪ってもなかなかシュートチャンスを作れない。19分に佐藤から絶好のスルーパスが出されたが、これを米倉が決められない。千葉のチャンスはこれがほぼ初めてだったが、この大きな決定機を千葉は決められなかった。

 
 京都は安藤が若い中盤を中山と引っ張る。

 
 佐藤は古巣のサポーターから強烈なブーイングを受ける。
 19分には米倉に絶好のスルーパス。

 
 眼光鋭くゴールを狙う久保。
 期待はかかるが、11試合連続無得点と沈黙中。

 27分には、千葉が太田のサイドチェンジを右サイドで受けた竹内がエリア内でシュート。これを至近距離で京都・GK水谷が身を挺してセーブする。徐々にサイド攻撃が効いてくる千葉に対して、攻撃で低調の京都は守護神を筆頭に守備で魅せた。32分にもファンゲッセルの落としを受けた米倉のシュートを水谷がきっちりセーブして京都は先取点を許さない。
 するとその直後、34分にチョン・ウヨンの左CKから千葉のファンゲッセルが頭に当ててしまいオウンゴール。京都がラッキーな形で先制点を奪う。このCKの場面、どう考えても競り合いすら許されないほどの身長差で京都・DF秋本はマークされていたが、秋本のヘッドに見えて、その高さが仇となったのは千葉・ファンゲッセルの方だった。

 
 
 まさかまさかの千葉、オウンゴール。
 高さが裏目に出たか。

 
 激しくボールを奪い合う京都・中山と千葉・佐藤。
 一昨年まで同じ京都でプレーした仲。

 
 37分、伊藤のドリブルでチャンスを作る京都。

 1-0と京都リードで折り返した後半、千葉が立ち上がりから猛攻を仕掛ける。よっぽどドワイト監督から叱咤があったのか、京都は劣勢に縛られる展開。59分には太田に代わって投入された元京都の林に更に前線で苦しめられる。すると、62分には千葉がスローインからボールを受けた佐藤が一気に左サイドを駆け上がった村井へ絶妙なロングパス。村井はこれを左足でトラップして京都のDF酒井をかわすと、そのまま右足でシュート。これが決まって千葉の同点弾となった。

 
 
 
 
 後半から積極的に仕掛けていた千葉・FW村井。
 62分に佐藤からのアシストを見事に同点ゴールに。

 まだまだ京都もここから。64分には千葉陣内の左サイドからチョン・ウヨンのFKに走り込んだ秋本がヘッド。わずかにゴールには及ばないものの、すぐにセットプレーでこのように決定機を作れた京都が諦めずにチャンスを作ろうとする。73分には千葉の一瞬の隙を突いた。京都陣内でチョン・ウヨンが青木孝を倒してしまい、千葉のFKで始まったが、これが軽率だったか、すぐさま京都がマイボールにして速攻。センターサークル付近で伊藤がボールを受けると、上手く反転して前方へロングパス。すると、オフサイドギリギリで宮吉が飛び出す。この絶妙な飛び出しから宮吉が選択したのは長距離からのループシュート。千葉・GK岡本が飛び出しているのも見て、宮吉は足を攣りながらも30mはあるとかというロングループシュートでネットを揺らした。

 
 値千金の勝ち越し弾を決めた宮吉。
 得点を決めた後は足を攣ったのかご覧の通り。

 
 守備では固く、攻撃ではチャンスを作った秋本。

 
 今日はなかなか攻撃機会がなかった駒井。
 我慢して守備で貢献。

 勝ち越しても守りには入らない京都。宮吉、久保に代えて、内藤、ドゥトラを投入。ロングボール主体に切り替えて千葉から逃げ切りを図る。千葉も最後まで攻め抜くが、京都の集中した守備の前に同点弾ならず。試合は京都がこのまま逃げ切った。

 
 林を途中から投入するが、千葉は及ばず。
 オーロイ、深井の離脱が大きそう。

 
 かつてG大阪でプレーしていた青木良。
 千葉も4年目ですっかり中心選手に。

 京都は先制点こそ前半唯一のCKから相手のオウンゴールというラッキーな形だったが、まさに後半の千葉の猛攻を凌いでの守り勝ち。少ないチャンスで宮吉が決められたのは大きかった。これで7勝目となり、10位台突破も見えてきた。J2は中位の各チーム勝点が団子状態の混戦。まだまだ京都の順位はこれから上がってきそう。
 対する千葉は、オーロイ、深井と個人的に見たい前線の選手が出ておらず、攻撃面で詰めが甘かったか。直近の戦績を見ても芳しくなく、長丁場のJ2で明らかに我慢の時期が続いている。勝点1ポイント、2ポイント差で追うFC東京、徳島、栃木は明日試合を残している。その差を開かれると厳しいだろうし、背後には札幌、北九州の足音も確実に近付いている。

監督も跳んだ、首位決戦を制す -G大阪vs柏-

2011年08月25日 | 脚で語るガンバ大阪
 J1第23節は前節から中3日、万博では土曜に川崎を6-3で下して首位に立ったG大阪が同勝点で並ぶ2位・柏を迎えて対戦。後半に大塚、平井の得点で2-0と勝利した。これで柏には勝点3ポイント差をつけ、名古屋、横浜FMも勝点差1ポイント離して単独首位となった。

 

 
 ゴール裏主力団体「太陽工務店」が解散となった柏サポーター。
 しかしながら、平日の万博には多くのサポーターが詰めかけた。

 G大阪は、前節ベンチスタートだった明神が2試合ぶりの先発出場。警告累積で出場停止の加地に代わって右サイドバックを武井が務める。個人的に注目だったのは、初めて見ることになるラフィーニャ。G大阪加入後6試合で7得点。草津からの完全移籍も決まった新エースとイ・グノの強烈な2トップだ。アウェイで甲府に負けて以来、8試合で5勝3分と絶好調。失点数も41と首位とは思えぬ豪快なものだが、それ以上にアドリアーノという主砲が抜けながらもラフィーニャを補完して、総得点55得点とリーグでも突出した数字を誇っている。まるでリーグ優勝を果たした2005年シーズンを彷彿とさせる夏場の強さは今日も続くのか。8月4度あった万博での試合もこれが最後。万博はそのG大阪の豪快なサッカーを平日ながら12,635人もの観客が見守った。
 対する柏は、前々節の磐田戦に1-6と衝撃的な大敗。前節こそ3-2と福岡を振り切ったが、どうも負ける時の大量失点が目立っている様子。それでも得点力は主砲のレアンドロ・ドミンゲス(ここまで10得点)を筆頭にリーグ3位を誇るだけに、この試合はノーガードの派手な撃ち合いになるかと思えた(前回対戦時は4-2でG大阪の勝利)。

 試合は立ち上がりから、両チームチャンスを作った。G大阪は山口がミスを連発。まずは、2分に山口のクリアミスを相手に拾われると、茨田が右サイドを走り込んだ酒井に回され、レアンドロ・ドミンゲスめがけてのグラウンダー気味の折り返しを食らう。GK藤ヶ谷が処理するが、ニアをカバーしていた山口がこれもクリアミスしてスルーしてしまったところは非常に気になった。6分には遠藤がFKをバーに当ててG大阪が惜しいチャンスを逃す。点の取り合いになるかと思われた試合は、この後膠着した前半戦となった。20分には柏・橋本のシュートを藤ヶ谷がナイスセーブ。23分にはG大阪が左サイドのゴールライン際からラフィーニャが相手DFに倒されながらも粘って折り返す。イ・グノのシュートはGK正面だったが、この場面で倒れながらも鋭い折り返しを見せたラフィーニャの体の強さは素晴らしかった。30分にはG大阪にビッグチャンス。武井の右からの折り返しをキム・スンヨンがフリーでボールを受けたが左足でのシュートは力なく得点にならない。39分にはレアンドロ・ドミンゲスが橋本のパスにミドルシュートを放つ。両チーム決定機を作るも、あと一歩でゴールがこじ開けられない前半だった。

 
 ジョルジュ・ワグネルを阻む武井。

 
 立ち上がりの山口のミスの多さはG大阪にとって一抹の不安。

 
 
 30分、キム・スンヨンの決定機。
 武井の折り返しをミートできず…

 
 アン・ヨンハッと競り合うイ・グノ。
 イ・グノは前半でベンチに下がることに。

 後半開始と共にG大阪はイ・グノを下げて平井を投入。立ち上がりに柏がレアンドロ・ドミンゲスのシュートで勢いに乗ると、何度も左サイドを起点にG大阪陣内へ攻め込む。ここでリズムを変えるべく、G大阪は53分にキム・スンヨンに代えて大塚をピッチへ。正直なところ、後半に入って明らかに精彩を欠くキム・スンヨンのプレーにベンチの西野監督もおかんむりのリアクション。これは早々に交代があるなと思っていれば、代役は大塚でかなり期待感の持てるカードの切り方だった。51分に攻め上がった下平が左サイドから強烈なシュートで柏ゴールを強襲すると、このクリアボールを拾った遠藤が折り返して、最後は二川の右からのクロスに山口が飛び込んでヘディングシュートを放つ。明らかに大塚の投入で左から下平とリズムを作れるようになってきた後半、ゴールへのイメージはかなり見えてくるものの、なかなか待望の先制点とまではいかない。58分には遠藤のスルーパスに抜け出した平井がGKとの1対1を決められず、スタンドからは大きなため息が漏れる。

 
 58分、このチャンスを平井が決められない。

 
 大塚は最初ミスこそあったが、ミドルシュートでチャンスメイク。

 61分には、下平のフィードに走り込んだラフィーニャがゴールを陥れたが、ここは微妙だったがオフサイドの判定。しかし、徐々にライン裏に効果的なパスが出てくるようになるG大阪。63分には、ショートコーナーからボールを受けた大塚がゴールを狙い澄ましたミドルシュートで牽制。大塚は完全にこれで試合のリズムに入り込み、直後には自身を中心としたダイレクトパスの連続で平井のチャンスを作るなど明らかにプレーの精度が研磨された。69分には、この大塚の右からのクロスを平井がボレーで狙うも枠にはいかない。まるで西野監督のため息がこちらまで聞こえてきそうな展開。試合は、G大阪にしては珍しく0-0という展開も…と頭が過ったが、81分に高木がエリア左で相手DFのクリアボールを拾うと、これをエリア手前で受けた大塚がシュート。なんと柏DFの頭に当たったボールはそのままゴールに吸い込まれた。

 
 
 オウンゴールとも取れるラッキーな先制点は大塚の得点に。
 誰よりも喜びを体で表したのが西野監督だった。

 思いがけない形で先制点を奪ったG大阪は、この直前にアフォンソを投入していた。この大塚の得点が生まれた直後に彼が魅せてくれる。82分、カウンターでドリブル突進するアフォンソに柏・DF近藤が一度は体で競り勝ちボールを奪うも、ゴールライン際でそのボールを強引に奪ったアフォンソは、そのままフリーの平井に折り返す。さすがにこれはシュートを打つだけ。Gkに弾かれながらもボールはゴールへ。一局集中、G大阪が途中出場トリオの活躍で一気に2点のリードを獲得した。

 
 
 
 
 一度はボールを取られたアフォンソがライン際で粘った。
 お見事アフォンソ、ごっつぁん平井。

 結局この2点を守り切ってG大阪が首位決戦を制した。結果的に見事なまでの監督采配。途中出場の大塚、アフォンソは運動量の落ち込む柏を蹂躙する予想以上の活躍を見せた。特にこの2人は今季ほとんどプレーを見たことがなかっただけに、衝撃度もそれ相応。改めてG大阪の選手層の厚さとその質を見せつけた試合になった。しかも今季2度目の完封試合という貴重なおまけ付きだ。また、この日が初見だったラフィーニャに関しても、得点こそなかったが迫力十分。特に中盤まで下がって守備に勤しんだり、最後の最後まで諦めないプレー姿勢がフォアザチームを感じさせる。体幹が強いのか対人面で予想以上にフィジカルが強く、かつこれだけ得点が取れるのだから、下手すれば史上最速で恒例の中東行きを果たすのではないだろうか(冗談として)。それほどまでに良い選手だった。
 柏は、前半こそ首位に立っていた強さを見せたが、カードを仕掛けてくるのが遅かったかもしれない。それでも隙あればシュートを狙うジョルジュ・ワグネル、シュートセンスと速さを見せるレアンドロ・ドミンゲスと実力のある外国人選手が揃っているだけに、失点が増えてきているのが懸念事項かもしれない。久々に見たパク・ドンヒョクとラフィーニャのマッチアップは迫力があった。

 
 古巣相手に見事な采配、西野監督。

 
 中継で見るよりも迫力十分、ラフィーニャ。
 今からあといくつ得点を量産するのか。

 失点は最下位レベルながら、その失点さえも許さず、その強さを見せたG大阪。得意の夏場所は終わりを告げるが、どこまで無敗試合を続けられるか。

厚し、京都の壁 -京都府成年男子vs奈良県成年男子-

2011年08月21日 | 脚で語るその他国内
 「ミニ国体」と称される国民体育大会(国体)への出場権を懸けたサッカー競技・成年の部の近畿ブロック大会が21日に三木防災総合公園陸上競技場で大会2日目の代表決定戦を迎えた。兵庫県を打ち破った奈良が全国優勝5回を誇る強敵・京都と対戦。JFL・佐川印刷の単体チームである京都を相手に最後まで奮闘するが、0-2で敗れ、奈良県成年男子チームのわかとり国体以来26年ぶりの国体出場はならなかった。この結果、京都府成年男子チームが近畿ブロック代表の1チームとして10月に山口でおこなわれる「おいでませ!山口国体」に出場する。また、第2試合で行われた滋賀県成年男子と大阪府成年男子の試合は3-0で大阪府成年男子が勝利。同じく近畿ブロック代表としての本大会出場を決めている。

 

 JFLの壁は厚かった。連戦となるが昨日と変わらないメンバーで臨んだ奈良に対して、京都はGK1大石 DF3高橋、4佐伯、15及川、7金井 MF10吉木、18姜、8大槻、13中野 FW9平井、19桜井という先発メンバー。自分の知る限りでは、今季の佐川印刷のほぼベストメンバーであり、昨季の天皇杯1回戦(@西京極1-3)の対戦時と違って、本気の佐川印刷にリベンジする機会が与えられたということであった。
 しかし、前半からパス、シュート全てのプレーで正確な京都に対して、奈良は相手のプレスの速さの前になかなかボールを相手陣内深くまで運ぶことができない。相手に取られると、アーリークロスを放り込んで手っ取り早く点を取ろうという京都の速攻を食らうことになった。特に左の姜、前線で長身を活かす桜井の2人は昨季までJ2・カターレ富山で活躍していたコンビ。18分にはその姜のアーリークロスを桜井に綺麗に頭で合わされて先制点を許してしまった。

 
 相手陣内へ攻め込んでも、このようにエリアを切られる。
 なかなか中央の深いところまでボールを持って行けず。

 
 京都のFW桜井は速さと高さを兼ね備えた選手。
 柏ユース出身で昨季まで富山でプレー。

 前半は、ほとんどシュートチャンスも与えてもらえないような劣勢ぶりで、0-0で折り返したかったところだが、1点のビハインドで終了。特に前線の檜山や牧がボールに絡めなかったのはシュートまで持ち込めない要因として大きかったが、何よりも相手の覇気に押されている感じだった。

 
 ボールキープに優れる李も厳しいマークに遭う。

 
 京都・FW平井のプレスをかわすDF橋垣戸。
 奈良は最終ラインでボールを回す時間が多くなった。

 後半、昨日のような盛り返しを。と期待を抱いて臨む。41分に京都・FW平井がこの日2枚目の警告で退場処分となり、奈良は数的優位に立つことになった。いつもの後半からのギアの入れ方なら何とかなるかも…と思わせてくれる展開。確かにその平井の退場から徐々に攻勢に転じられるようになった。47分に京都は、FWの桜井に代えて、同じくFWの中筋を投入。フレッシュな選手を入れて数的不利を顧みず、とどめの追加点を狙いに来た。53分には、奈良も黒田に代えて、昨日劇的な同点弾を決めた嶋をピッチへ送り出す。なんとか昨日の再現を見せてくれれば、まだまだチャンスは見出せると思っていた。
 ところが、京都の守備陣は無理をせず、しっかり引いて奈良の攻撃陣を封じる。それどころか、前がかりになって中盤と守備ラインのスペースを突いてこられる場面すら目立ってしまった。67分には途中出場の京都・MF葛島に左サイドを突破され、折り返されたところを大槻に頭で追加点となる得点を決められた。人数が1人少なくても「佐川印刷」の強さを見せつけられる。結果、惜しい場面は作るものの、最後まで1点が奪えず0-2でミニ国体のチャレンジを終えることになった。

 
 本職でない左サイドバックで奮闘した谷山。
 機を見てよく攻め上がった。

 
 矢部も的確なロングパスで前半から奮闘。
 嶋の投入後は右サイドバックに。

 
 後半は最後まで京都ゴールに迫るが、1点は奪えず…

 昨年の1回戦敗退から比べると、結果を見れば1歩前進した感もある。しかし、まだこのJFLのカテゴリーとの差は歴然。攻守両面全ての面で後れを取った試合だった。全社出場を逃しているために、今季の全国大会への出場の道はこれで閉ざされた。この経験を深く胸に刻み込んで、来季同じカテゴリーでリベンジのチャンスを得られるようにしていかなければならない。リーグ戦が終わってからは、極端に実戦の機会が少なくなるために、難しい秋を迎えそうだが、来週末の天皇杯予選決勝、そして残りのリーグ戦にまずは邁進。切り替えて臨んで欲しい。
 一方の京都は、貫禄の安定感があった。特に印象に残ったのは、70分間(35分ハーフ)絶えずほとんどの選手が声を出し続けていたということ。どこにそんな元気が残っているんだ?と思わせるほど、彼らによる互いのコーチング、互いの鼓舞のためはラガラのスタジアムに響き続けた。またもや立ちはだかった「佐川印刷の壁」。しかし、学ぶところは多い。京都府選抜の本大会での健闘を祈願したい。

 
 リーグ戦へ切り替え。
 得点こそなかったが檜山のチャンスメイクは冴えていた。

 
 ルーキーの辻村隆にとっては大きな経験のはず。
 残りのリーグ戦、天皇杯予選でも期待。

強敵・京都への挑戦権獲得 -兵庫県成年男子vs奈良県成年男子-

2011年08月20日 | 脚で語るその他国内
 「ミニ国体」と称される国民体育大会(国体)への出場権を懸けたサッカー競技・成年の部の近畿ブロック大会が20日に三木防災総合公園陸上競技場で開幕。第1試合では兵庫県選抜と奈良県選抜が対戦。試合は兵庫が2点を先行する試合だったが、後半に奈良が1点を返すと、アディショナルタイムに追いつき延長戦へ。延長戦では決着がつかず、PK戦の末に奈良が4-3で勝利した。GK日野は4人目、5人目をストップする大活躍を見せた。

 

 都道府県リーグ、地域リーグカテゴリーの社会人チームからそのメンバーが選出されることが多い国体選抜成年男子チーム。兵庫県は、三洋電機洲本(関西1部)の選手たちに加えて、バンディオンセ加古川(関西1部)から平田、小山、松上の3人、そして姫路獨協大学サッカー部(関西学生1部)からアルビレックス新潟・シンガポールでもプレー経験のある河野(4年)が選出されて構成されていた。先発メンバーはGK1松浦 DF3太田、4平田、5森田、6村上、16友定 MF7沈、13稲垣、17小山、FW11河野、14梅川という面々となった。
 対する奈良県は、昨年に続いて奈良クラブ(関西1部)のメンバーで全員が構成。吉田と辻村剛は他府県での2年以内に他府県で選抜されていたため、規約上登録外となったが、GK1日野 DF15黒田、6橋垣戸、18眞野、20谷山 MF16矢部、4三本菅、10李、14辻村隆 FW7牧、19檜山という先発メンバーでほぼリーグ戦でのメンバーが基盤。左サイドバックに本職でない谷山が入ったが、この点に関しては事前の練習試合でも調整済みだ。日頃とユニフォームこそ違えど、奈良クラブのサッカーを完遂すれば自ずと勝利はついてくるはず。

 ところが、前半から乗れないのがこのチームの悪癖。序盤こそ檜山が何度かゴール前でシュートチャンスを得るが先制点には繋がらない。次第に兵庫が村上のゲームメイクを軸に、サイドから友定、稲垣といった選手がスピードある攻撃を仕掛け、試合のペースを握るようになった。27分には、その稲垣のクロスから関西リーグ2年連続得点王の梅川がヘッド、その1分後にも再び梅川がヘッドで奈良ゴールを脅かすものの、奈良・GK日野がファインセーブでこれを許さない。しかしながら、完全にサイドからやられっぱなしで、ボールの取られ方も悪く、奈良がリズムを奪われるのも当然の展開だった。

 
 
 兵庫は稲垣のサイドからの攻撃で奈良ゴールを脅かす。

 
 村上が展開を作るのは三洋洲本と同じパターン。

 
 
 27分の梅川のヘッドの場面。ここは日野が止めた。

 嫌な流れははっきりと形として現れた。前半終了間際の35分(35分ハーフ)にCKから平田が頭で決められて兵庫に先制点を許してしまう。1点のビハインドぐらいならば、幾度かリーグ戦でも跳ね返して来たが、この試合の前半の出来は予想以上に悪く、どうも不安感は拭えなかった。

 
 
 前半終了間際にCKからゴールを破られた。
 完全にフリーを許した。

 後半からいつものようにギアを上げて攻勢に出る奈良。39分には李がワンフェイントでDFを抜いてシュートを放つが大きくバーの上。41分には、矢部が絶好の位置からFKを狙うがこれも枠を捉えられない。43分には、李のパスを受けた檜山が絶妙なシュートを見せるものの、わずかにゴール左に逸れる。44分には三本菅のヘッドがバーの上に逸れてしまい、45分、46分には牧が決定的なシュートチャンスを決められない。このように「決める時に決められない」場面が多発すれば、より劣勢に立たされるのは当然。48分には何でもない相手の突破からクロスを放り込まれ、これを河野に頭で決められる。

 
 再三、兵庫ゴールに詰め寄るも1点が遠い。

 
 
 追加点は姫獨大の河野に頭で決められた。
 関西学生リーグでも異色のキャリアを持つ元社会人プレーヤー。

 0-2という状況。さすがに7月の全社関西大会での敗戦が頭を過る。なぜ、いつも通りの力が出せないのか…50分にはDF黒田に代えてFW嶋を投入し、攻撃の枚数を増やしにかかる奈良。対する兵庫も運動量の減少を保つためにボールのキープできる井上を投入する。58分には途中交代の嶋が絶妙な飛び出しで、檜山のループパスにGKと1対1の場面でシュートを見舞うが決められない。59分には辻村隆がドリブルからミドルシュートを狙うもののボールはゴール左へと転がっていく。
 しかし、チームは0-2というスコアを甘んじて受け入れてはいなかった。64分に牧がエリア内へ持ち込んで冷静にシュートを決める。これで1点差。何かこの瞬間沸き立つものがピッチから伝わってきた。

 
 
 
 関西リーグ得点ランクトップのこの男が意地を見せる。
 牧のシュートで1点差に。

 徐々に雨が強くなってきた試合終盤。兵庫は引き気味に逃げ切りを図り、奈良は1秒でも前にボールを進めたい。必死の攻防戦が続く。67分には李のシュートを兵庫のDFがゴールライン上でかろうじてクリアするなど極限の戦い。アディショナルタイムに差し掛かった頃、新たにアタッカーの蜂須賀を投入した奈良は、遂に兵庫の集中力が一瞬切れたところで右から走り込んだ嶋が豪快にシュートを突き刺して遂に同点とした。

 
 
 GKともつれながら李がシュート。
 これを相手DFがライン上でギリギリのクリア。

 
 
 アディショナルタイムは3分。
 その2分に嶋が強烈なシュートを決めてくれる。

 
 試合は延長戦(10分ハーフ)に突入。
 全員で勝利を目指す。

 延長戦もペースを落とさず、押せ押せの展開を見せる奈良。76分には李のパスを受けた矢部がエリア左からシュート。これはGKに阻まれたが、78分にも同じような形からゴールを肉薄。80分には、嶋の折り返しに牧が飛び込んでヘディングシュートを放つがここもGKにセーブされる。

 
 牧の決定的だったこのヘッド。惜しかった。

 延長戦の20分では決着がつかず、試合はPK戦へ。こうなれば、確信はないが勝利はグッと近づいた気がした。何せGK日野は今季の公式戦、練習試合問わず、ゴールを許したPKは1本(関西リーグ第11節アイン戦)のみ。何かしら活躍をしてくれるだろうという予感はあった。すると、案の定、奈良が4人目まで全員決めたのに対して、兵庫の4人目、5人目を立て続けに日野がストップ。奈良がPK戦を4-3で制した。

 
 
 
 
 恐るべし、PKストッパー日野の実力。
 この勝負強さは何物にも代え難い。

 息をもつかせぬスリリングな試合だった。あまりに心臓に悪い展開。しかし、その分勝利の味は格別だ。厳しく指摘すれば、後半の決定機をきちんとどこかで決めていればもう少し楽に試合をひっくり返せていただろう。どうにもこうにも試合の2/3ほどを消化したところで本領発揮というペース配分はそろそろ遠慮願いたいものだ。連戦は厳しいが、全社を経験できない分、この国体にはこだわっていきたい。
 奈良はすぐに明日21日に行われる代表決定戦に挑む。相手は京都府成年男子。例年JFLの佐川印刷の選手たちで構成され、これまでに国体サッカー競技・成年の部では5度の優勝を誇る全国屈指の強豪だ。しかし、今回PK戦まで体験できたのは、年末の地域決勝を考えれば良いシミュレーションになったはず。来季目指すべきはJFL。佐川印刷と互角以上に渡り合って、山口国体出場を目指したい。

 14:00から行われた第2試合では、和歌山と滋賀が対戦。TOJITSU滋賀FC(関西1部)を構成メンバーの大半とする滋賀が、上田のロングシュートで先制点を奪い1点を前半から先行する。一方のアルテリーヴォ和歌山(関西2部)の選手たちを主体にした和歌山は、エースの上赤坂を含めた3選手を後半開始から起用し、後半は果敢に攻め立てたが、GK内野を中心に和歌山に同点ゴールを与えなかった滋賀がそのまま1-0で逃げ切った。滋賀県成年男子チームは、明日21日の14:00からシードの大阪府成年男子チームと対戦する。

いざ、目指せ山口国体

2011年08月18日 | 脚で語る奈良クラブ
 今季、関西リーグDiv1を首位で独走する奈良クラブ。彼らが目指すべきコンペティションはこのリーグ戦、そして全社、天皇杯、リーグカップと大きく4つに分けられるが、奈良クラブにとってもう一つ重要なミッションがこの週末に近づいている。
 それは、奈良クラブが単体で奈良県選抜の成年チームとして出場する第66回国民体育大会近畿ブロック大会、つまり国体予選だ。

 
 国体へ向け、今週は2試合の練習試合を敢行。
 16日には中央学院大と対戦した(4-1で勝利)。

 今年の国体は、昨年の全社が行われた山口(全社は国体のリハーサル大会として催行されている)で行われる。昨年も今年と同じように全社予選の初戦で敗退した奈良クラブにとっては、もう一度山口を目指す戦いが待っているという訳だ。近畿2府4県による2チームの代表を決める近畿ブロック大会(通称:ミニ国体)でその挑戦権は決められる。

 
 ベテラン勢の経験は大きなチームの原動力。
 三本菅の存在は大きい。

 全社出場という貴重な全国大会における腕試しの機会を2年連続で逸している奈良クラブにとっては、このチャンスを大事にしたい。何せ今年はこのままリーグ優勝すれば、全国地域リーグ決勝大会が待っている。是が非でも全社に出ておきたかったことを考えれば、国体をその地域決勝へのデモンストレーションにしたいところ。もちろん、各都道府県の選抜チーム構成はまちまち。奈良県や京都府(佐川印刷が例年単体で挑む)などクラブチーム、企業チームが単体で臨むところもあれば、各社会人、大学チームなどから選抜してチームを送り出すところもある。レベルは全社に劣る部分もあるだろう。しかし、この全国大会の機会に挑んでいきたい。

 
 今季、関西リーグでは得点ランク単独トップの牧。
 いざ、全国の舞台へ。

 しかし、奈良県選抜成年チームに関しては、1985年のわかとり国体(鳥取県開催)以来、国体への出場を果たせていない。代表2チームを選出するこの近畿ブロック予選が非常に難関でもある。今年も初戦は兵庫県(20日11:00キックオフ@三木防災)、そしてその1回戦を突破すれば次戦はシードの京都府との対戦(21日11:00キックオフ@三木防災)が待っている。京都府は2008年の第63回大会でも優勝し、これまでの成年の部で5度の優勝を数える全国屈指の強豪で、言わずもがな優勝候補の最右翼だ。ここで京都府と対戦できることになれば、昨年の天皇杯1回戦で敗北した佐川印刷へのリベンジということにもなる。21日の代表決定戦へ何とか駒を進み、金星を狙うしかない。

 
 若きチームの司令塔は辻村隆。
 出れない兄の分まで頑張って欲しい。

 そんな今大会には登録上の規約で、2年以内に他都道府県で国体にエントリーしていた吉田(福島)、辻村剛(大阪)がこの奈良県選抜の一員として出場できない。リーグ戦で戦っているベストメンバーが組めないのは痛いところだが、なんとか乗り切りたい。初戦で対戦する兵庫県選抜は、三洋電機洲本のメンバーを主体にバンディオンセ加古川の選手が3人ほど加わるという構成だ。京都府への挑戦権をもぎ取るためにも負けられない。昨年は大阪府を相手に1回戦負けを喫してしまった。今年は是非とも国体出場を叶えたい。

 
 奈良県を代表して選抜チームとして国体へ。
 日頃以上の心意気で臨みたい。

魅惑のカルテット -京都vs北九州‐

2011年08月16日 | 脚で語るJリーグ
 J2は第24節を迎え、京都・西京極ではホームの16位・京都が今季好調の5位・北九州を迎えて対戦。3連勝と波に乗る北九州を京都が伊藤の得点で1-0を破り、今季6勝目を挙げ、14位へと順位を上げた。

 

 18時キックオフということもあり、まだまだ暑い京都。しかし、昼間に奈良でデイゲームの天皇杯県予選を終え、直行した形ではあったが、13分ほど遅れてスタジアムに駆け込むと、先制点が決まったまさにその瞬間であった。その先制点は京都の若手注目株・伊藤。前回の鳥取戦を観戦した際に、この伊藤を含めた宮吉、駒井、久保のU-18出身組が面白いことは十分実感しただけに、やはりこの試合でも注目は彼らカルテットの存在だった。

 直近5試合で1敗しかしていないものの、前節の東京V戦を含め勝ち切れない試合も見られる京都。しかし、この試合では3連勝中の北九州を相手に積極的に攻め込んだ。京都は前節からドゥトラをベンチスタートにし、宮吉と久保、伊藤のトリオで3トップを形成。この3人がスピードを活かして勢いある攻撃を披露。特に久保は高校3年生とは思えない思い切りの良さで守備の固い北九州を再三破る。13分の先制点も久保のミドルシュートを北九州GK佐藤が弾いたところに伊藤が詰めるという形だった。

 
 2種登録ながら久保の存在感は圧巻。
 今季ここまで5得点でチーム得点王。

 
 京都は宮吉が先発出場。
 意外なことに彼は今季まだゴールがない。

 
 右サイドはおまかせ、スピードある駒井。

 この順位が嘘かと思わせてくれるような京都の攻勢に、北九州は苦戦。点差はわずか1点差だが、前節ポカスタで見たような速攻で脅威を感じさせるものの、ゴールを割れない。それよりも京都の若手選手に守備陣が振り切られる場面が多く、特に京都の伊藤、久保をマッチアップに回す両サイドはかなり苦戦を強いられていたように思う。これに起因して前半からエリア近くからの京都のFKのチャンスが多かった。22分にはエリア右サイドからのチョン・ウヨンのFKにファーで宮吉が合わせるが、惜しくもゴールラインを割るかというギリギリのところで北九州DFのクリアに遭う。直後には宮吉のクロスを安藤がヘッドでゴールを肉薄するなど、チャンスメイクは試合を先行する京都の方に分があった。33分には、再びチョン・ウヨンのFKが相手DFのクリアミスも誘ってバーを叩く。39分には宮吉と久保のワンツーから突破した後、北九州守備陣が狭いところでクリアミスしたボールを拾って伊藤が抜け出し、GKをかわしてゴールを狙うも、シュートはポストに嫌われるなど、京都は幾度となく追加点のチャンスを作り続けた。対して北九州はほとんどシュートを打てないまま前半を折り返すこととなった。

 
 正確なプレスキッカー、京都のチョン・ウヨン。

 
 前節の徳島戦でも光っていた北九州のDF宮本。
 この日は全体的に守備陣が鈍重だった。

 後半に入って、北九州もレオナルドを開始から投入。安田、木村を介して攻勢に転じるが、GK水谷を中心に集中した守備を見せる京都を崩せない。下手にボールを奪われると、駒井、伊藤のスピードある攻撃で反撃を食らう。京都の運動量が落ちてきたところを攻め込んだが、最後の最後までゴールを陥れることはできなかった。

 
 先制点を含めて、何度もチャンスを作った伊藤。
 今Jで、最注目すべき若手かもしれない。

 
 北九州は後半開始からレオナルドを投入。
 何度もサイドの深い位置へ攻め込んだが、1点が遠い。

 
 水谷の再三のセーブで後半逃げ切った京都。

 前回観戦した鳥取戦も1-0で勝利している京都。冒頭にも書いたように、たった2試合しか観ていないが、この2試合だけでも14位という順位が嘘のよう。もう駒井、伊藤、宮吉、久保の4人を見るだけでも価値を見出せる攻撃面での面白さがある。この試合、一体何度伊藤にゴールのチャンスがあったことか。負け試合を見れば印象は変わるのかもしれないが、ここまで元気の良い下部組織上がりの選手たちは他にいない気がする。今季はスタートダッシュに失敗した京都だったが、伊藤や久保が活躍してから明らかに結果がついてくるようになった。開幕前の改革はじわじわ結果を導いているのではないだろうか。
 対する北九州は、1点が最後まで遠く、4連勝のチャンスを逃してしまった。直近10試合で6勝を挙げているものの相手をゼロに抑えて1点差、2点差で逃げ切る試合が多いだけに、ビハインドを負った際にいかに試合をひっくり返せるかが課題なのかもしれない。守備陣が再三サイドを取られていたのが気になったが、今季先制されてからの逆転勝利が富山戦しかないことを考えれば、守備陣が踏ん張れずに失点を喫した際にもう少し計算できる得点力が欲しいかもしれない。

 
 北九州の俊足エース・池元。
 ここまで6得点、今後に期待。

 
 京都は今後楽しみなチーム。
 残り18試合でどこまで勝ち星を積み上げられるか。

3年連続の天皇杯へ王手 -vs天理大‐

2011年08月15日 | 脚で語る奈良クラブ
 天皇杯全日本サッカー選手権大会の奈良県代表としての出場権をかけた天皇杯奈良県予選は準決勝を迎え、社会人代表の奈良クラブ(関西1部)が天理大(関西学生2部)を3-0で下して決勝戦進出を決めた。決勝戦は28日に奈産大を相手に橿原公苑陸上競技場で行われる。

 

 全社関西大会の初戦敗退から3週間ぶりとなる公式戦。この間奈良クラブは1試合も練習試合すら組まずにやってきた。シーズン開幕前から隙間なく続く練習試合とリーグ戦の数々、毎週末にコンスタントに試合があったことを考えれば少し休暇にはなったかもしれない。しかしながら、この過密日程だからこそプレッシャーが上手く作用し、チームの団結力や集中力が持続できているのでは、ということも頭の片隅にあり、久々の試合に選手たちの試合勘が心配になっていたりもした。このインターバルのトレーニングでチームが更にリファインされているのか、それとも苦戦を強いられるのか。どうしても直近の全社関西大会での敗戦が脳裏を過る。

 試合に臨んだのは現状でのベストメンバー。守護神・日野を最後尾に左右のサイドバックに吉田、黒田が入り、中央を眞野と橋垣戸が固め、中盤では三本菅と李のセントラル2人に、左の辻村剛と右の辻村隆、そして絶好調の牧と檜山の2トップ。試合は運動量で勢いのあるであろう天理大が序盤からアグレッシブに来るかと思われたが、前半から奈良クラブのペース。ミスこそ多かったが、パスを繋いで再三天理大陣内へ攻め込む。なかなかフィニッシュが枠内にいかないが故に先制点が取れないのはジリジリさせられたが、42分に檜山が李からの浮き球のパスをヒールで流し込んで先制すると、後半からはリズムが生まれた。
 後半に入って、天理大も一層中盤のプレスに今一度注力してくるが、今季ここまでの戦いぶりを見ていると、奈良クラブは完全に「後半から」のチーム。徐々にパスワークが噛み合い、左サイドの吉田、辻村剛、右サイドの辻村隆の突破を有効活用して押し続けた。何度も決定機を潰し続けて追加点の遠い後半戦だったのは誰の目にも明らかだったが、橋垣戸が治療のためピッチを離れていた69分、天理大に食らったカウンターからの決定機(これは一番ヒヤリとした…)を何とか凌ぐと、82分に辻村剛とのワンツーで突破した辻村隆のパスを受けた牧が流し込んで追加点。87分には、途中出場の嶋がエリア右付近からシュートを決めて3-0と試合を決めた。

 この3点目の嶋の今季初得点は感慨深い。チームスタート時から在籍するきっての古参選手になってしまった彼だが、仕事柄、平日午前のトレーニングになかなか参加できないながらもチームに尽力してくれている。昨季はリーグ戦で5得点を記録して得点ランキングでも5位タイに名を連ねた。かつてはJクラブの練習生経験もある実力派。吉田監督下の今季はラスト10分程度での途中投入が多いが、その持ち前のスピードとシュート力は間違いなくチームの大きな力。その嶋が今季初得点を決めてくれたのは嬉しかった。

 これで、3年連続の県代表獲得まであと1勝となった。久々の90分間の試合ともあって、守備面では不安定なところもあったが、無失点で切り抜けてほっと一息といったところ。ある程度理想のサッカーを体現できていたのではないだろうか。ここからは再び連戦の日々が訪れる。昨年に続き、奈良県国体選抜の成年チームとして20日から行われるミニ国体(国体近畿ブロック予選)に臨まなければならない。今週は2度の練習試合が組まれており、どこまでチームが仕上がって結果が残せるか。国体出場を決めて、天皇杯県予選の決勝へと繋げたい。
 決勝戦の相手はこの日の第1試合で高田を破った奈産大。毎年のように天皇杯予選では顔を合わせるが、決勝戦では2年ぶりの対峙となる。2年前は1-0で彼らを何とか退けて初の天皇杯出場を決めることができた。これまで何度も奈良県代表として天皇杯出場を果たしてきた県内の強豪サッカー部。3連敗だけは避けるべく必死で戦ってくるに違いない。激しい決勝戦になりそうだが、8月最後の日曜、この夏最も充実した一戦になるかもしれない。3年連続で天皇杯出場を勝ち取ろう。

JST単独首位ターン -JSTvsAtletico-

2011年08月08日 | 脚で語る奈良のサッカー
 12チームの1回戦総当たりで行われている奈良県1部リーグ。6日には奈良県フットボールセンターで、首位を争う無敗の2チームが対戦。2年前まで関西リーグで戦っていた2位・JSTが首位・Atleticoを3-1で下して単独首位に躍り出、リーグを残り5試合へ好調な折り返しとなった。

 

 ここまで目下開幕5連勝中のAtletico。昨季途中まで奈良クラブでプレーしていた松野正の10得点という得点ランキングトップ独走の活躍に率いられ、5試合で26得点と群を抜いた攻撃力で県リーグを独走する。ここに対抗馬として考えられるのは、昨季の優勝チームJST。唯一の引き分けを喫したアスペガス戦以降、2試合連続4-1というスコアで連勝中。この試合は、両チーム合わせて元奈良クラブの選手が6名もマッチアップする注目のカードになった。

 
 ここまで開幕5連勝、26得点。
 負け知らずのAtleticoがJSTを迎え撃つ。

 前半から試合のペースを掴んだのは予想外なことにJSTだった。若い選手中心のJSTは運動量でAtleticoを凌駕し、前半からゴールに迫る。Atleticoは度々エリア内、深いところでの守備を強いられることになった。そして、JSTが31分に右サイドからのFK、クロスが中央に入ったところを尾山敏が頭で合わせて先制に成功した。

 
 今季途中からAtleticoに加わった松野智。
 奈良クラブ時代から器用なユーティリティープレイヤー。

 
 松野智の兄の松野正。
 かつて奈良クラブのエースとしてチームを支えた。
 今季は県リーグで5試合10得点。

 
 拮抗した前半だったが、JSTが先制。
 尾山敏がピンポイントでクロスに頭で合わせた。

 1点リードで折り返した後半、48分(40分ハーフ)にAtleticoは2枚目の警告で上西が退場処分に。劣勢の状況で、更に厳しい状況を強いられることになった。しかし、決定力で県リーグ屈指の経験値を誇るタレント陣のAtleticoが逆襲。51分には相手エリア前でパスを受けた松野正が1人で相手DF2人を引きつけ、パス。左から走り込んだ北島がこれをシュートして同点とした。1発さえあれば、この決定力では負けない。そう思わせる一瞬のチャンスだった。

 

 
 松野正のアシストから北島がJSTの守備を打ち破る同点弾。

 ところが、前半から構成力と運動量で一歩相手を上回るJSTは大崩れしなかった。57分には先制点に続き、尾山敏が華麗な抜け出しから1人で持ち込み強烈なシュートを決める。10人ながら同点に追いついたAtleticoは再び引き離された。Atleticoはこの試合、司令塔の三重野が欠場。

 
 
 
 抜け出した尾山敏がファインシュートで2点目。

 80分には、JSTが教科書通りのカウンター炸裂。尾山敏の兄である尾山公が左サイドから切り込んで見事なシュートを決める。これで3-1としたJSTが無敗首位決戦を締め括った。

 

 これで6試合を終了し、JSTが5勝1分。そしてAtleticoが5勝1敗となった。見ている限りでは安定感のあるJSTがこのままリーグを独走する印象も抱くが、この日程の裏で同じく無敗同士の大和クラブとFC TAKADA2001の試合が行われており、2-2の引き分けに終わっている。つまり消化試合数こそ違えど未だ無敗のチームは3チーム。次節にFC TAKADA2001と戦うJSTはここも山場になりそうだ。しかしながら、奈良県リーグはリーグ終了後に4チームによるプレーオフが今季も行われるようで、これら4チームは進出濃厚かと思われる。
 

カンスタ、熱狂 -岡山vs熊本-

2011年08月07日 | 脚で語るJリーグ
 震災の影響で延期されていたJ2第3節は、5日5試合が行われ、岡山・kankoスタジアムでは15位・岡山が8位・熊本と対戦。試合は後半に岡山が怒涛の4得点で4-0と快勝した。

 2007年の地域リーグ決勝大会で岡山のJFL昇格を見届けて以来、毎年kankoスタジアムには足を運んでいる。何しろ「ファジフーズ」と題されたスタジアムグルメは、バリエーションも豊富で美味しいものが多く、その雰囲気はJFL時代からJリーグさながらといった雰囲気だった。J参入後も岡山の認知度は順調に向上しているようで、この2シーズンは1万人を時に超えるほどの観客動員を記録している。グルメだけでなくスタジアムも良い雰囲気だ。この日は、岡山市内で花火大会があったらしく、キックオフ前に岡山サポーターさんから話を聞くと、やはり少ないらしい。それでも5,455人が会場に訪れていたのはなかなかのものである。

 
 岡山のサポーター席には「Forever 松田直樹」という横断幕が。

 岡山は、ここまで5勝5分8敗の15位。今季からかつて広島で活躍したFWチアゴが加わり、明らかに得点力はアップした。3連敗の後に直近5試合では2勝2分1敗と悪くない数字。今季は北九州に2連勝、栃木、徳島にも負けておらず、上位陣には相性が良いようだ。6位・札幌から19位・富山までがわずか勝点11ポイント差という混戦状態の中位陣だけあって、1勝するだけで大きく順位は変動する可能性もある。この日の先発にはGK真子をはじめ、DFに近藤、植田、ストヤノフの3バックに、竹田、千明のボランチと両翼に澤口、小林、そしてトップ下の位置に石原、臼井、1トップにチアゴという陣容でホーム5試合ぶりの勝利を狙う。
 一方の熊本は、6勝8分4敗の8位という状況だが、なんとこの5試合で3分2敗と勝利に恵まれていない。特に7/24の22節・FC東京戦では0-5と大敗。その翌週も湘南に0-1と敗れ連敗中。なんとかここで復活の1勝を挙げておきたいところ。この日は前節の湘南戦から先発5人を入れ替える荒療治。G大阪から期限付き移籍加入直後の菅沼センターバックに抜擢し、チョ・ソンジンとコンビを組ませ、サイドバックには右に市村、左に原田。そして中盤はエジミウソンの1ボランチにトップ下を武富が務め、サイドに根占、片山、前線は長身の長沢、宇留野というコンビで試合に臨んだ。

 
 試合前にここでも松田直樹のための黙祷が捧げられる。

 試合は、前半から両者互いの出だしを窺う慎重な姿勢。熊本は高さのあるエース・長沢をターゲットにしっかりエジミウソンを軸にしたポゼッションを展開。あまり全力で来ない岡山のプレスの甘さを突いてボールを回した。岡山は決してエリア内までは持ち込ませないものの、序盤からなかなか熊本陣内の深い位置まで攻め込めない。臼井、小林、澤口のドリブルでカウンターから好機を見出す。
 17分に、岡山の守備からのこぼれ球を拾った熊本・根占が強烈なシュート。ここは岡山・GK真子がセーブするが、そのこぼれ球に長沢が反応していたところを岡山・DF植田が上手くクリアした。この場面が前半の最も大きな決定機だった。ただ、このピンチで目が覚めたのか次第に岡山がパスを繋げるようになってくる。熊本にはしっかりチアゴをマークされており、ここへのチャンスボールをいかに入れられるか、またはチアゴに頼らずいかにチャンスを作るかが岡山のタスクであった。22分には左から小林のクロスをチアゴがヘッドで熊本ゴールを脅かす。41分には澤口の右からのアーリークロスにチアゴがダイビングヘッドでゴールを狙うものの、前半は互いに譲らず0-0で折り返す。

 
 岡山陣内へ攻め込む熊本・宇留野と守る岡山・ストヤノフ。

 
 マッチアップする熊本・片山を潰しにかかる岡山・澤口。

 
 熊本のFW長沢はここまで6得点。4試合ぶりにゴールを狙いたい。

 両チームが膠着状態をいかに脱するか、注目の後半戦だったが、試合は1分もせぬ時間帯に動いた。キックオフ直後に熊本陣内まで深く攻め込んだ岡山は、熊本・菅沼のクリアボールを岡山・MF竹田がエリア前からダイレクトでシュートを決める。熊本・GK南は一歩も動けず。この豪快なシュートが岡山をホームで久々の勝利に導く起爆剤となる。

 
 後半開始直後、竹田が決めて試合が動く。
 千葉とジェフリザーブズを行き来した苦労人。

 
 熊本のDF菅沼とルーキーの岡山・MF石原が競り合う。

 
 熊本のエジミウソンの存在感はさすが。

 熊本は、後半開始からFWファビオを投入。49分には左からのクロスにヘッドで合わせて岡山ゴールを狙うが、惜しくも決められず。前半と同じくポゼッションで組み立てたい熊本だったが、徐々に良い形で岡山がボールを奪える時間が増えてきた。それでも1点を追いかける熊本が試合のペースを握る岡山としては我慢の時間帯は続く。
 69分に岡山は臼井に代えて久木田を投入。シーズン前に東京大学出身のJリーガーとして話題になった選手だ。今季新加入でここまで2得点と結果も残している。すると、この影山監督の采配がすばり的中した。石原の浮き球の折り返しをチアゴがエリア内で胸で落とすと、久木田はファーストタッチでこれをバイシクル気味にダイレクトでボレーシュート。これは実に見事にゴール右隅に決まる。百戦錬磨のGK南も届かないギリギリの絶妙なコースだった。

 
 
 
 このチアゴの落としを久木田が見事に決める。
 kankoスタジアム熱狂。

 勢いに乗った岡山は、72分に石原が熊本エリア内まで強引な突破を仕掛けるが、熊本に合流したばかりの菅沼がこれを必死のクリア。しかし、この直後のストヤノフによる左からのCKをチアゴがヘッドで決めて3点目を奪った。

 
 
 
 
 ストヤノフ⇒チアゴのホットラインが炸裂。
 岡山の猛攻が止まらない。

 15位に甘んじているとは思えない岡山の得点力。時間を経過すればするほど、前半のおとなしさに比べてその勢いを増しているようだった。77分には自陣で相手のミスを突いて、ストヤノフが30mほどドリブルで攻め上がるなどこの日の岡山はホームスタジアムを盛り上げる。しかし、まだ岡山の「劇場」はこれで終わりではなかった。
 後半終了間際のアディショナルタイム。ここにきて岡山は熊本陣内で冴えあるパスワークで相手を翻弄。ボールを奪われない。そして何本もパスを回した最後は小林からストヤノフにボールが渡る。するとストヤノフはそのままするするっとエリア前までドリブルで持ち込むと左足を一閃。豪快なシュートはゴール左上に決まって岡山がダメ押しの4点目を挙げた。

 
 
 ストヤノフが魅せた最後のシュート。
 J3年目、ファジアーノ岡山にこの男の存在は大きい。

 試合は思わぬ大差がついての決着。岡山がJ参入以来初となる4得点での快勝だった。しばらくホームで勝てていなかっただけに、この試合はチームの歴史に残る大きいものになるだろう。来季のJ2で昇格レースを演じられるチーム作りへ向けて着々と上昇傾向にある岡山。次節は前回0-4と大敗を喫した東京V戦、この試合でも真価が問われそうだ。
 対する熊本は、最後まで攻撃面で噛み合わず、敗戦を喫したが、この試合でも5人が入れ替わるという苦心中。来週は大分との九州勢対決で負けられない試合になると思うが、昨季の熊本からすればまだまだこんなものではないはず。南、エジミウソンら経験者を揃えるだけに、この正念場をいかに乗り越えるか期待したい。途中加入後すぐに先発に抜擢された菅沼も少しミスが散見されたが、元来フィジカルに長けた基本技術の高い選手。メンバー定着に一戦一戦が勝負だ。

 
 ホーム・カンスタは最後まで熱狂ムード。
 なんとも素晴らしい光景だった。