東京さまよい記

東京をあちこち彷徨う日々を、読書によるこころの彷徨いとともにつづります

呑川本流緑道と坂道

2010年04月14日 | 散策

目黒区にはいると呑川緑道から上る坂が目立つようになる。

途中、深沢橋のところで右折すると、深沢坂の方に行けたようであるが、後で気がつき、今回は行けなかった。

宮前小学校わきに太鼓坂がある。

緑道から目黒通りへと上る坂であり、なかなか急な坂である。

小学校の壁に貼りつけてある説明板によれば、昔、この坂の斜面が太鼓のような形をしていたので、または、急坂のため太鼓を転がすように人が転げ落ちたので、太鼓坂と呼ばれるようになったとのこと。

説明板の地図には近くの他の坂も示されている。化坂、しどめ坂、氷川坂、谷畑坂、むつみ坂。

関東大震災ころまでこの辺りは閑静な村落で、呑川では鯉、鮒、鰻などがとれ、水車が回り、両岸は水田、その上に畑、それよりも上は竹藪や杉の山で、夜には狐が鳴き、寂しいところであったという。
  
太鼓坂の坂下から進み、次の右手に見える坂がしどめ坂である。

さらに進むと、右手に氷川坂が見え、左側に新しい標柱が立っている。

それによると、坂名は左に進んだところにある氷川神社に由来し、この坂を進み神社前を右折し商店街を通る道は二子道とよばれた古道であるとのこと。

2年前の冬、坂ガイド本にしたがって東横線都立大学駅の周囲の坂巡りにきたことを思い出した。

目黒通りを環七通りに向けて上る柿の木坂から始め、氷川坂はお終いの方で、最後は天神坂を下った。かなり長いコースだった覚えがある。途中に竹林のすずめのお宿緑地公園というのもあった。

目黒通りを横断し、都立大学駅近くになると、緑道は自転車置き場を兼ねているようである。駅前で一休み。

緑道は駅前付近から東から南東に向きを変え、次第に南向きになる。

緑道の真ん中に植栽があり左右に歩道が続いている。

途中、左折すると鉄飛坂の上りとなる。反対に右折すると寺郷坂の上りである。

鉄飛坂の坂下に行ってみたが、かなり長い坂である。(下がそのときに撮った写真である。)

2年前に鉄飛坂にきたとき、呑川緑道に向けてかなり急に下っておりかつ長いことに驚いた記憶がある。そのときのコースで最大の坂であったと思う。

頂上付近に帝釈堂があり、そのわきに庚申塔があった。旧道であったと思われる。

この坂はまっすぐに上下せずに、わずかながらうねっているところが好ましく、古い坂であることを感じさせた。

坂名の由来は、(1)徳川時代初期の鉱山採掘関係のポルトガル人テッペヨースに関連する、(2)「後三年の役」に従軍した碑文谷の豪族が捕虜「鉄の飛」を連れて帰ってこの辺に住まわせた、(3)鎌倉時代の関東武士「鉄飛十郎兵衛」、(4)蒙古襲来のときの金沢殿着到帖にある「鉄飛五郎」、などの諸説があるという。さらに、(5)「テッピ」は「山頂、てっぺん」の方言、(6)比較的高所にある屋敷をテッピというとのこと。

なんとなく、最後の二つのいずれかであるような気がするが、どうであろうか。

緑道歩きは、当然のことながら、谷底を歩き続けることになるが、坂巡りは台地と谷とを上下する。緑道歩きと坂巡りとは谷底の一地点で交錯し、同じ所を通ってもかなり印象が違う。

呑川緑道は鉄飛坂と寺郷坂との間の谷底を通り抜けており、以前の坂巡りでここを横切ったとき、このような緑道とはつゆ知らぬことであった。

この辺りの坂は呑川に向かって下っており、谷底はすべて呑川と考えることができそうである。

ちょっと風がでてきて、桜の花びらが舞う中をさらに進むと、やがて、両脇の道路がなくなり、広い遊歩道となって緑が丘駅近くに至る。ここで遊歩道は東急大井町線で分断されている。

近くに緑が丘駅があるが、都立大学駅まで戻る。

地図を見ると、呑川は大井町線を越えたちょっと先で開渠となり、南側へと流れている。

呑川は、今回歩いた緑道の上流が深沢川で、目黒区に入って呑川本流となり、支流が三つある。上流から駒沢支流、柿の木坂支流、九品仏川。前の二つは、呑川駒沢支流緑道、呑川柿の木坂支流緑道となっている。これらの緑道も訪れてみたい。

九品仏川は緑が丘駅付近で呑川に注いでいるとのことであるが、地図では確認できない。この川は奥沢の浄真寺付近の湧水を水源とし、浄真寺付近から自由が丘駅近くに延びる緑道が地図に見える。九品仏川が暗渠になった所と思われる。

参考文献
石川悌二「江戸東京坂道辞典」(新人物往来社)
菅原健二「川の地図辞典」(之潮)

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