あぽいち

温泉とヨガ、たまに心臓外科医

出血傾向

2022-02-01 23:32:00 | 術者、勉強になった症例
は昨日に続いて、本日もMICSAVRです。心不全のASで準緊急といったケースでしたが、術後に出血再開胸となってしまいました。
出血傾向で至る所からの出血あり、視野確保のためにやむなく皮膚切開を10cm近くまで延長しました。
結局はaortotomyの針穴からの出血がメインで止血剤を貼って止めたら、全体の出血傾向が収まってきまして無事に閉胸できました。

MICSは骨を切らないから出血も少ないのは事実ですが、この方は準緊急でチクロピジンもしっかり抜けてなく、精査できてませんでしたが血小板ももとから低下、貧血もあり、皮膚切開の時から薄くてサラサラで止まらない印象でした。
心嚢内は止まってたので閉胸しましたが出血傾向となりtomyの針穴からの出だしたのでしょう。

家族への説明では、先日も歯医者で血が止まらなくて大変だったとのことで、やはりそういう状態だったのかもしれませんが、一時的に止まっていても輸血や止血剤など予防的に使うべき症例であったと反省すべき点もあります。

また、MICSでの再開胸は道具の滅菌が間に合わないので、既存の器械を使用することとなり、特殊な器械ですので予備のない施設では、この点も注意が必要となります。

オペ中に他院から3件紹介あり、一例は解離、一例は心不全コントロールできないAS、もう一例はCABGでした。解離の紹介はこのオペ終わったら、、、とちょっと迷いましたが、お断りさせていただきました。
結果として再開胸もあり、受けていたらちょっと大変なことになってました。
朝は晴れてたのに、再開胸して帰る頃には雪が積もってました。いつのまに。