あぽいち

温泉とヨガ、たまに心臓外科医

OPCABGのラーニングカーブ

2011-03-17 22:17:44 | Weblog
手術にはラーニングカーブがあります。もちろん、いきなり初めての手術から、ボスと同じようにできてしまう天才も世の中にはいますが、私のような凡人にはそうは行きません。
現在、欧米でのoff-pumpの割合は2割程度でしょうか、それに対して日本の約6割のCABGが拍動下で行われ、まさに日本で確立されていった手術といってもいいかもしれません。それは日本人が故の繊細で器用な面が大きく関係しているのだと思いますが。
当然、うちのボスも先駆者の一人でありますので、ほぼ全例off-pumpで行いますが、若手のトレーニングとしてはいかなるものか。手術が学会などで講演を聴いていても、off-pump派の先生方は、当然ですが、ほぼ100%off-pumpで行っており、あたかもoff-pumpは完璧、どんな症例でもできる、成績も開存率も良いと言っておりますが、どうなのでしょうか?、日本でoff-pumpが始まってから、14-15年でしょうか、現在off-pumpを専門としている先生方で、最初の1例目からoff-pumpでやった先生は、あまりいないのでは、、、。うちのボスも、最初の何百例かは当然ですが、on-pumpで止まっている心臓で行っていたわけで。off-pump施設における、われわれ若手?(もう若手でないかも)はどうなるのでしょうか、手術は半分、いやそれ以上が生まれ持ったセンスによるところが大きいと思いますが、off-pumpのラーニングカーブとはどんなものなのでしょうか、何を持って上達したかにもよりますが、onよりは時間がかかるのは想像つきますが。
先日、千葉の学会で他大学の同級生に会いましたが、彼の施設はほぼon-pumpで、彼もそれでトレーニングを受けていると、目先のことを考えてしますと、ついうらやましいと思ってしましますが、考えてみれば、へたくそな私のoff-pumpにいつも我慢して付き合って教育してくれるボスに感謝せにゃいけませんね。ということで、その彼と話していたのですが、いつかoff-pump世代における若手心臓外科医のトレーニング:同世代のonとoffのラーニングカーブという感じで、on-pumpからトレーニングした彼とoff-pumpからの私とで経歴や成績など比べて発表しようかなんて話がでました。100例ぐらいは必要でしょうかね、そうなると私の場合あと2-3年は先になるかな。ちょうどいいかも。

祈るばかり

2011-03-17 21:46:35 | Weblog
まだまだ、余震が続きます。原発の問題もなかなか解決しないようで、しかし、みんなテレビでは決して現場に行かないような人たちが、責任者や政府を責めるような発言をしており、残念です。誰かのせいにしたい気持ちはわからなくはないですが、人を攻めるのは一番簡単です、でも今そんなことしても、何にも解決にはならないと思います。総理にはとにかく頑張ってほしいです。

私にも何かできることはないかと、考えていますが、いまのところ募金ぐらいのものです。被災地も大変ですが、私の病院にも1ヶ月先まで手術を待っている患者さんがいますので、とにかく今は自分のやることをやるまでであります。

今週も一例、CABGを担当させていただきました。CABGを担当させてもらうようになり、約1年半、ちょうど25例で、70本ほどつないだことになります。恥ずかしい話、これだけ経験させてもらっておきながら、あまり、自分では成長したように思えません。今までの少ない経験からして、おおよそ手術というものは30例が一つの区切りだと思っています。このころから指導医なしでできるようになるのが理想です。最近、ちらほらとSVGの吻合前や、中枢の吻合前にボスが手を下ろすようになって来ました。しっかりとやっていかなければいけません。