あぽいち

温泉とヨガ、たまに心臓外科医

機械出しドクター

2006-10-29 05:47:48 | ちょっといい話、へー
本日のメニューは胸腹部3型と緊急CABGの二件でありました。
朝回診のときに循環器内科の先生からカテ室へとの連絡あり、覗いてみるとUAPがいるではありませんか。今日は昨日緊急で飛んだ胸腹部があるというのに、これは朝までコースかと予想したが案の上、先ほど2例目帰室となりました。
一例目の胸腹部はずーと前立ちやらせてもらって満足!、末梢と腹部分枝の吻合の時にセンター長は入ってきたけど、あとはほぼ二人っきりであった。5時間半ぐらいで思いのほか早く終わり、夕飯食って二例目へ突入。しかしながら、看護婦さんの都合が付かないとの事で、今回は私、機械出しデビューとなりました。思えば前の施設でも看護婦さん2人しかいなかったので1人がダウンしてしまうと、時に機械出しをやる事もあった。なんか、公立の病院だと5時に看護婦さん帰ってしまうので5時以降の手術は医者が機械出しをしなくてはいけないなんていう話は良く聞くけど。医者って、労働基準法とかほんとどうなっているの?
でも、いつも思うのだが機械出しは非常に勉強になるのである。手術の手順が全てわかっていないと、スムーズには進まないから、自分がわかっているのか、わかっていないのか、すぐにばれてしまうのである。
つい最近、同じく心臓外科の先生でブログを書かれている方がおり、時々覗かせていただいているのでありますが、そこにこんなお話がありました。

シャーロック・ホームズは、ワトソン博士とベーカー街の下宿の2階に住んでいましたが、ある日、ワトソンにこう尋ねます。
「君は毎日のように、この下宿にあがる階段を昇っているよね。」
「そうだね。」
「当然、階段をよく見ているはずだよね」
「毎日みてるよ」
「じゃあ、何段あるかね?」
「何段? 知らないなあ」
「ほら、ごらん。君は眺めているだけで、見ちゃいないんだよ。僕はあの階段が17段あることを知っている。それは、階段をただ眺めているだけでなく、よく観察しているからだ。」

なかなか、ドキッとくる話であります。
今日、機械出しをやっているときに、この話を思い出したのである。
ようするに、ブログの先生も同じ事を言っているのだが、手術を見ていてもただ見ているだけでは何の意味もないと。
わっかってはいるつもりだが、なかなか忙しい事を理由に日々の手術の復習ができておらず、せっかく日本でもここでしか見れないような手術を毎日見ているのに、いったいどれだけ自分の身になっているのか疑問である。全くもって贅沢な事であり、宝の持ち腐れ、ただの怠惰であろう。
まあ、とにかく時に機械出しなどやってみるのも新しい発見などあるもので、大変有意義に思えるのであった。

ちょっと残念なのは、先週も今週も日曜日はコール番でなかったのに、、、2週とも緊急オペで結局どこにもいけない。もうしばらくの間、日曜日がない。来月は週末はコール番と当直で埋まっている、、、とほほ。
こんな中でも、何とか自分なりのストレス発散法を考え気持ちを切り替えなくてはいけない。最近いくつか考えているので、またそのうち報告します。
また今日も昼寝して日曜日が終わるのだろう、昼寝大好きだからいいけど。たまには日の光をあびて光合成したい、、。