杏子の映画生活

新作映画からTV放送まで、記憶の引き出しへようこそ☆ネタバレ注意。趣旨に合ったTB可、コメント不可。

ザ・ワーズ 盗まれた人生

2014年05月18日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
2013年3月9日公開 アメリカ 96分

ロリー(ブラッドリー・クーパー)は作家としての成功を夢見ながら、なかなか芽が出ないでいた。しかし妻のドラ(ゾーイ・サルダナ)は、そんな夫の才能を信じ、どんなときも彼を支えていた。ロリーは新婚旅行先でとある骨董屋を訪ね、薄汚れたアタッシュケースを見つける。そのなかには、彼が書きたいと切望していたような、魅力的な悲恋を描いた一束の原稿が入っていた。ロリーは罪悪感を抱きながらも、その原稿を自分のものとして出版する。すると瞬く間にベストセラーとなり、ロリーは金と名声を得る。作家としての評価もうなぎ上りになったころ、1人の老年の男性(ジェレミー・アイアンズ)がロリーを訪ねてくる。彼は、あの原稿を執筆した本人だと告げる……。


作品を評価されず、かといって小説家の夢を諦めることもできないロリーは、新婚旅行で訪れたパリで妻から贈られた古鞄の中から、彼が望む理想の小説原稿を見つけます。思わず一字一句違わずタイプしたその原稿を妻が読んでしまい、それをロリー自身の作品と誤解して絶賛したことから魔が差し、彼はその作品を自分のものと偽ってしまうの。出版された小説はベストセラーになり彼は一躍売れっ子作家の仲間入りをし、ゴージャスな暮らしができるようになるのですが、心の中に疚しさが残ります。

そんな彼の前に一人の老人が現れ、その小説の作者だと名乗るの。でも老人はロリーを責めたり脅したりするためにやってきたのではありませんでした。彼はロリーにその物語は自分の若い頃の話だと言い、ロリーが盗んだのは小説だけでなく老人の人生そのものだと告げて去るのです。

ロリーが図太く腹黒い人間だったら、口を拭って生きていけたかもしれません。でも彼は老人の小説が売れたことで逆に自分の作家としての才能の限界を感じるようになっていました。彼にはこの小説以上の作品が書けなかったからです。苦悩する彼の様子を訝しく思った妻に、ロリーは小説の作者が自分ではないことを告白してしまいます。
この夫婦がどうなったかは描かれていませんが、おそらくロリーは愛も地位も失うのでしょう。
偽りの仮面をつけたまま生きるにはロリーは弱く善良だったのだと思いたいです。

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