杏子の映画生活

新作映画からTV放送まで、記憶の引き出しへようこそ☆ネタバレ注意。趣旨に合ったTB可、コメント不可。

薬屋のひとりごと6

2024年05月24日 | 
日向夏(著) しのとうこ(イラスト)ヒーロー文庫

西都にて、壬氏に求婚された猫猫。今まであやふやだった関係が大きく変わろうとしていた。今までと変わりなく接したい猫猫に壬氏は焦る。皇弟として、政に関わる者に恋という自由はない。猫猫もまた、壬氏の心を知りつつも、己の立場を考えると首を縦に振ることはできない。軍師羅漢の縁者、それが西都で用意された猫猫の肩書だった。猫猫は重い気持ちのまま、ある決断をくだすのだが――。(あらすじ紹介より)


順番を飛ばしたため、前作の流れがわからないところもあるけれど・・

序話
猫猫から受けたディープキスで「負けた」と思った壬氏が、馬閃相手に愚痴ったのが間違い。練習相手を志願した馬閃は筋肉馬鹿の武官なんだよな~~。互いに勘違いしたまま事が始まり、壬氏が何か変だと気付いた瞬間、阿多が部屋に入ってきて二人の様子を見て勘違いされるという、なんとも間抜けというか笑い誘うエピソードから始まります。

一話 西都 四日目
宴の席で獅子が暴れ柵を飛び出して里樹に襲い掛かったのは、彼女にかけられた香水に獣へ興奮作用があったから。壬氏の使いとして馬閃が猫猫に真相を探る依頼をしてきます。香水は里樹の異母姉が悪戯のつもりでかけたことがわかります。それを彼女に譲った相手の人相書きに描かれた履を見て、猫猫は相手が纏足をしていると推理します。

二話・三話 浮かぶ花嫁 前編 後編
結婚式に招かれた壬氏は、花嫁が纏足をしていると知り猫猫を伴います。ところが花嫁の自殺騒ぎに巻き込まれることに。猫猫は状況の不自然さに気付いて自殺は偽装と見破ります。この一族は代々異国との関係を保つために娘を嫁がせてきましたが、彼女たちは奴隷のように扱われてきたのです。宴の席での事件は、婿が連れて来た獅子が暴れたらその責任は婿が追うことになるために計画されたのでした。

四話 帰路
西都に残る壬氏と別れて羅半と帰ることになった猫猫。船旅は旅程を縮められるけど羅半は船酔いに苦しみます。猫猫は平気だけどね。疱瘡であばた顔となった男・克用に遭遇し、医者だという彼が持っている酔い止め欲しさに乗船を許す羅半。

五話 西都の後始末
一方、壬氏は玉葉妃の父に「名」を受けに都に来るよう告げます。長旅になる不在の間の治安を心配しながらも、避けられない儀式なようです。

六話・七話 羅の一族 前編 後編
羅半が猫猫を連れていったのは羅一族の屋敷です。
そこには羅漢が拉致されていました。彼は愛する妻が亡くなり腑抜け状態なところを当主の座を奪い返そうと考えた父親に連れ去られたようです。でも羅漢の弟(養父の羅門に似た穏やかな人柄)もその息子(羅半の兄)も当主の座には興味もなく、農夫として甘藷の栽培に取り組むことに喜びを見いだしています。抜け殻のようになっている羅漢を正気に戻したのは彼と妻が交わしていた碁の棋譜です。父親を嫌い抜いている猫猫の彼への塩対応には羅漢への同情心が湧いてきますね。
羅半は父と兄が作る甘藷を蝗害対策の要にしようとしています。

八話 里樹妃の旅の終わり
二か月の間不在にしていた里樹は、後宮に戻る前に「証明」が必要となります。

九話 帰宅
花街に戻った猫猫。クソガキ趙迂も嬉しそう。
風邪が流行ったため、留守(薬屋)を頼まれていた左膳は疲労困憊していました。

十話 傷んだ餡餅
趙迂は猫猫が留守していた間に画家の弟子になっていましたが、その画家が倒れて助けを求められます。腐ったおやきで食中毒になったと思われましたが、実は、西に旅立とうとする画家を引き留めるために助手が毒キノコをおやきに混ぜていたことに猫猫が気付きます。ところで、画家の描いた絵は「白蛇仙女」そっくりで・・。

十一話 踊る水精
猫猫は、画家が見かけたという女がいた村に薬の原料を取りに行きます。
まとわりつく趙迂を連れて行ってやれとやり手婆に言われ渋々承諾する猫猫。代替わりした村長から蛇や飛ぶ鳥は殺すなと言われ不思議に思う彼女は、羅門の旧い知り合いの爺さんから薬草を買う中で、「人柱」の話を聞きます。底なし沼を渡る巫女の話の真相を解いた猫猫は、鳩小屋の鳩が白蛇仙女の伝達手段だったと気付きます。

十二話 里樹妃の受難
生理不順な里樹妃は、月のものが来ないことから不義を疑われます。潔白を証明するために猫猫が呼ばれます。
それは大丈夫でしたが、意地悪な元侍女頭が里樹が主上以外の男に書いた恋文を見つけたと騒ぎだします。

十三話~十五話 醜聞 前編・中編・後編
下女のために書いてあげた恋愛本の写しを恋文だとでっちあげられた里樹妃。塔に幽閉された里樹に付き添ってきたのは侍女頭の河南一人でした。ただでさえ気弱な彼女に、上階に捕まっていた白蛇仙女が素貞と名乗り、香を使って言葉巧みに追い込んでいきます。河南の事も信じられなくなった里樹は素貞の罠に嵌り、急を聞いて駆け付けた壬氏と猫猫の目の前で塔の上のバルコニーから落ちてしまいます。彼女を救ったのは、両足と左手を痛めながらも身をもって落ちて来る里樹を庇った馬閃です。

十六話 馬閃と里樹
獅子を素手で殴ったことといい、常人にはできない芸当ですが、これも恋のなせる業でしょうか。人見知りの里樹が思わず馬閃の胸に顔を埋めて泣くんですね。

終話
里樹には、一年間の出家の裁定が下りました。
帝に呼ばれた猫猫は、里樹に相応しい相手を聞かれます。
その結果、馬閃には、望むもの(者)は何でも与える&考える時間は1年との下知が。

里樹が陥れられた物語は「ロミオとジュリエット」が下敷きになっていると思われますが、こちらは悲恋ではなく成就しそうですね。不幸続きの里樹にもやっと「春」が訪れるのでしょうか。
ちなみに猫猫はこの物語を「理解できん」と感じています。それは壬氏も同様です。彼はもっとやり方があっただろうと思うのですが、猫猫は恋愛自体に懐疑的なんですね。
この二人、まだまだ平行線なのかな。

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