杏子の映画生活

新作映画からTV放送まで、記憶の引き出しへようこそ☆ネタバレ注意。趣旨に合ったTB可、コメント不可。

巫女っちゃけん。

2018年02月07日 | 映画(劇場鑑賞・新作、試写会)

2018年2月3日公開 98分

神社で巫女のバイトをするしわす(広瀬アリス)は、宮司の父(リリー・フランキー)には就職が決まったら巫女なんかすぐにやめると言っている。特にやりたいことや夢があるわけではないが、幼い頃に母(飯島直子)が家を出ていったことがトラウマになっており何かにつけ反発していた。そんな中、ボヤ騒ぎや賽銭や食べ物の盗難など神社でトラブルが相次ぐ。夜中、しわすが境内を見回りをしていると、社殿に5歳の少年・健太(山口太幹)が隠れていた。一切口をきかない健太をしばらく神社で預かることになり、しわすはいやいや世話係をすることに。やがて母親の美和(MEGUMI)が迎えに来るが、数日後再び健太は境内に隠れていた。顔には殴られた痕があり、児童相談所の相談員を交えた話し合いの席で誰に殴られたか聞かれた健太はしわすを指さす。警察も動き出し、疑いの目を向けられるしわすだったが……。(Movie Walkerより)


グ・スーヨン監督って在日韓国人二世なんですね。神社の巫女さんという思いっきり日本的な題材をどうして?と思ってしまったけど、ちょっと納得。 (ちなみにこの人、「脱いでもすごいんです」のTBCのCMを作った人だそう)福岡県福津市の宮地嶽神社の協力を得て製作されています。昨年の衝撃的な事件がまだ記憶に新しい中、神社のお仕事について知る機会にもなり、タイムリーなのかな(製作は事件より前だと思うのですけどね)

しわすの巫女としての態度はめっちゃ悪い、巫女じゃなくたって悪すぎこの神社の巫女さんは彼女を含めて4人いますが、二人は模範的優等生。あと一人が、これまた現代っ子というか、スマホを片時も離さず、男漁りに全力投球中。しわすとは気が合わずにいがみあっています。宮司の娘であるしわすの扱いに、皆が遠慮と戸惑いと失望の入り混じった空気が流れています。

健太は絵に描いたような悪ガキ。容姿は濱田岳の子供版といった感じおでこの広さがメチャクチャ目立つ子供で、最初はお世辞にも可愛いと思えなかったのですが、物語が進むにつれ、どんどん可愛く見えてくるから、あら不思議

紙を丸めてライターで火を点け、それを持つ姿が聖火のトーチみたいに見えるのが面白い!神社のごみ箱、賽銭箱ときて、次が巫女仲間のピンチを救う場面、最後にしわすの母親の店と4度も登場するのですが、後の二回については「良くやった!」みたいな変な応援心が出てしまいました

健太がしわすに殴られたと嘘を言った(正確には指さした)のは、どんなに酷いことをされてもやはりお母さんが好きだから。子供より男という母親に嫌悪感を覚えますが、彼女も健太を憎いわけではなく、本当は愛しているんですね。

しわすが健太に黒いごみ袋をかぶせて連れ去るシーンや、顔の部分だけ穴を開けたままでしわすにくっついて歩くシーンはとてもコミカル。ジャミラを連想してしまいました。でもこの姿は母に捨てられた幼かったしわすの姿にかぶっていくんですね。笑いの中にある切なさが後にピリッと効いてきました。

親は子を、子は親を選べない。受け入れて共に相手を思って生きることが幸せにつながる一歩なのだと宮司は説きます。この父親、無気力おやじに見えていたけど、本当は誰より強く優しい心を持っているのかもリリー・フランキーの穏やかな語り口がとても似合っていました。


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