選択の木

梅雨の晴れ間
洗濯物を干しに庭への窓を開けた時に入って来たのでしょう。
あの懐かしい羽音が聞こえます。

音はすれども姿は見えずの中で
ああ、夏だなあ、などとしばし物思いに耽っていたら
まんまと二か所もやられてしまいました。
一年ぶりの懐かしい痒みです。

引っ張り出してきたこれもまた
一年ぶりのノスタルジックな香りです。


そんな香りに包まれて荷造りを始めました。


渡り鳥暮らしもずいぶん年季が入ってきたはずなのに
いまだに渡る前には心が千千に乱れます。

残して行く人、待っている人
残して行くこと、待っていること

そんなことはいつもと変わりないはずなのに
もう十分に慣れているはずなのに
なんだか今回はせつないのです。

娘の手料理が並ぶテーブルを囲んで
家族団らんの時間を過ごした後に
後ろ髪をひかれながらもさりげなく

「じゃまたね。みんな元気でね。」

と、ドアを閉めて外に出たら
生意気ざかりの孫息子が走って追いかけてきました。
そして泣きながら抱きついてきました。

この子もまた、もうしばらくしたら家族と一緒に異国の地に渡るのです。

私は東の遠い国
この子は西の遠い国で暮らし始めます。

子どもながらに
目の前に広がるそんな距離を察知したのでしょう。
私たちはしばらくエレベーターへと通じる廊下で抱き合いました。
いつしか私も泣いていました。

人生は選択の木。
ふたつの道を歩くことはできません。

けれどもこちらの道を歩きながら
あちらの道に思いを馳せることも
あちらの道を歩く人たちの幸せを祈ることもできます。

シアトルから定期的にニュースレターが届きます。


この写真の中のビルのひとつがメイおばさんの住処です。

飛んで帰りたい、、、、、
いえ残りたい、、、、、、

また心が乱れます。

どうぞ良い一日をお過ごしくださいね。
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６月２５日：地味～なケールは栄養たっぷり
６月２４日：ジャンボシュリンプのビール煮作ってみる？
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