Rain or Shine~メイおばさんの宝箱

雨が降れば虹が出る、晴れた空には光が躍る。
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世界のどこかから、あなたへ贈るメッセージ

京極夏彦さんの圧倒的存在感

2015-11-23 14:04:18 | 講演、セミナー、シンポジウム

一昨日の土曜日の午後開催されたシンポジウム
「怪異を語る~伝承と創作のあいだで」の
25分が55分に変化した「怪異」については
昨日のブログをご覧になってくださいね(笑)。

この日のパネリストは錚々たる5人の皆様。
さまざまな分野での「怪異」の専門家。
民俗学だったり、文学だったり、美術史だったり、、、、

そのうちのおひとりが京極夏彦さんだったのです。
ふむふむ、登壇者の紹介のページにはこう書いてありますよ。

「北海道生まれ。全日本妖怪推進委員会肝煎。『水木しげる漫画大全集』監修。1944年『姑獲鳥の夏』でデビュー。1996年『魍魎の匣』で第49回日本推理作家協会賞長編部門受賞。」

続く3行は、泉鏡花賞、山本周五郎賞、直木賞、柴田錬三郎賞等、今に至るまでの受賞歴。

ところが、プログラムにはこれだけです。
他の方々は長い方で8ページ、短い方でも1ページは講演のレジュメが載っているのですけれど、京極さんの部分はありません。

ですから私たち聴衆は、目を落としてレジュメをを見ることもなく
いえ、見ることもできず
じっと頭を上げたままステージの京極さんを見つめます。

黒の着物と羽織をお召しになって、指先の出た黒皮の手袋をおはめになって
金色の混じった髪でステッキを持って壇上に一歩出てきた時から
会場の雰囲気が変わりました。

言葉を発する前から会場の空気をひとつかみにして
演台の後ろにお立ちになり

「本日は妖怪の話はくだらないからしません。」

とおっしゃって、メモを見るでもなく、時計を見るでもなく
わかりやすい言葉で、絶妙の間(ま)を挟み
声の強弱をつけながらゆっくりと語ります。
それはもう、ただ「語る」のではなく「語りかける」のです。

なんという語り手でしょうか。
なんという技(わざ)でしょうか。
なんという力強さでしょうか。
圧倒的な存在感です。

「幽霊はいません。でも見る人はいます。」

「人間はさまざまな原因でその場にないものを見ます。
 それを幽霊と解釈するかどうかです。」

ぴたりと時間通りに終わった京極さんは
満場の拍手の中でも毅然として
登場した時と同じように退場なさいました。

脱帽をするほどに良い意味で
実に自己プロデュースに長けた方だと思いました。

さあ、メイおばさんの課題がまたまた増えました。
不得手な分野でしたけれど
読みたい、読んでみなくちゃ、、、、、

 
読んでくださってありがとうございました。
どうぞ今日も良い一日でありますように。
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「メイおばさんの料理帖」はこちらです。
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11月22日:宿題その1~パセリと人参のナムル
11月21日:古き良き浪漫の時代の機内食
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