光さしこむシアトルで

アラスカ航空３便は、ワシントン・レーガン空港を
定刻通りの午後６時４０分に離陸し
約６時間後にシアトル・タコマ空港に到着しました。

腕時計は夜中の１２時をまわっていますが
シアトル時間ではまだ９時半です。

同じ国なのに時差が３時間もあって
国内線なのに６時間近くもかかるなんて
つくづくこの国の大きさを思います。

ワシントンDCで桜の下を歩いた後で
なじんだ目抜き通りに出た時に突然

「ああ、やっぱりこの町が好きだなあ」

と思ったのとまったく同じように
昨夜、空港から家に向かう途中の車の窓から
町の摩天楼の灯りが見えて来た時に突然

「ああ、帰ってきたなあ。
　ああ、この町がやっぱり好きだなあ。」

と、涙が出るぐらいに深く心を揺り動かされました。

好む好まざるとにかかわらず
こんな風に暮らしていると
いえ、暮らさなければならないと
たくさんのことを諦めなければなりません。
私生活も仕事もみんな中途半端です。

そうした浮草のような暮らしは
時としてとても心を沈ませます。

自分は自分、人は人とわかってはいても
友人たちの仕事ぶり、活躍ぶりを聞くたびに
こんなことをしていていいのだろうか
と、まだまだ世の中に恩返しも果たしていない自分が情けなくなります。

朝は曇っていたのが
眩しい太陽がさしこむ昼となりました。



あまりに眩しくて、デスクの前の窓にスクリーンを下ろしました。
それでもお日様と空と海が透けて見えます。
カモメが飛ぶ姿も見えます。


ここは美しい町です。
そしてやっぱり好きな町です。

たとえたいしたことはできなくとも
感謝をしながら自分らしく生きていくことが
この町への、そして人生への恩返しかもしれません。

どうぞ良い一日をお過ごしくださいね。
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