落ち葉、富士山そして満月

2014-12-06 23:18:45 | 日記

美しい秋の日でした。
いえ、冬の日でした、と言うべきなのでしょうが、こんな美しい日を「冬」と呼ぶのはなんだかもったいなくて、、、、

アメリカに戻る日が近づいてきました。
毎日あっちへこっちへと飛び回っています。
師でもないのにまさに師走です（笑）。

「メイ、いつまでいるの？」
という質問に答えているうちに
「じゃ、メイのいるうちにやっちゃおうか。」ということになり
忘年会も続いています。

もっとも
これもまた、日本ならではの楽しみですが（笑）。

小さな庭が桜の落ち葉で覆われました。
夏には雑草が繁っていた庭とは思えない美しさです。

けれども
地面が美しく色づいていけばいくほど
見上げた枝は寂しくなります。
ちょっとした微風にさえ、勤めを終えた葉が
ひらり、またひらりと舞い落ちます。

今朝、その様子を静かに眺めながら
オー・ヘンリーの「最後の一葉」（The Last Leaf）を思っていました。

最後の一枚が散り落ちた時に自分の命が終わると信じる病人のために
売れない画家が渾身の力をこめて
決して落ちない葉を壁に描く話です。

病人は再び希望を得て回復しましたが
画家は風雨の中での仕事がたたって肺炎で亡くなりました。
大学時代、舞台の上で、私は希望を取り戻した女性を演じました。

現実世界では
葉っぱを描いてくれる画家はいませんから
最後の一枚が落ちるのを見るのはとても怖いのです。

と同時に、もう随分大人になりましたから
最後の一枚が落ちた後
寒空の中にすっくと立つ裸の木の
凛とした美しさもわかるのです。

慌ただしく歩き回っていた夕方、ふと足をを止めてみたら
ビルの合間に富士山が見えました。