月に一度ではありますけれど、長い間、私たちの尊敬する先生を囲んで学び続けていることがあります。指折り数えてみれば、もう7年もたちました。たまたま日本にいる時にしか出席できない私は劣等生もいいところ。けれども、先生も仲間たちも、いつでもニコニコと受け入れてくれます。
大好きな先生から、シアトルにいる時にこんな手紙がメールで届きました。予定されていた10月~12月までの後期講座についてです。私たちを心配させたくないというご配慮でしょう。詳しくは書かれていませんが、7年間一度として休むことなく遠方から新幹線でやって来てくださった先生です。よほどの事情がおありなのでしょう。
「爽やかな学びの季節、健康上の理由で、楽しみにしていた後期講座をお休みにしなければならなくなりお詫び申し上げます。来春の再開をめざして元気回復に努めています。皆様もいろいろな困難に克ってぜひ再会できますよう、心から願っています。
今日2013年10月10日発行の素晴らしい本があります。
多田富雄著『寛容のメッセージ』青土社2013。五木寛之のコメントも付いています。免疫学者の多田富雄さんは、新しい免疫の考え方から、多民族とも共生できることを発見しました。
『キリスト教徒も、イスラム教徒も、仏教徒も、ヒンドゥ教徒も、場合によっては共存することができる。』(24頁)
多田式江様からのご本で感銘しました。式江様が私たちの講座仲間なのは本当に嬉しいと思います。皆様に御護り祝福を祈ります。お詫びと感謝をもって。」
先生の手紙の文面は、「同じ人間なのにどうして?」という思いに悩んでいた私の心にまっすぐ入ってきて、揺り動かしました。そしてすがるような思いで、日本への帰国に合わせて届くようにアマゾンでこの本を注文したのです。
本の中にも書かれていますが、世界的な免疫学者であった多田富雄先生は、2001年,67歳の時に旅先で脳梗塞の発作で倒れ、緊急入院をなさいます。生死の境をさまよった後に気が付けば声も出せず、右半身は全く動かなくなっていました。それでも不屈の努力によって左手でパソコンを打ちながら、2010年にお亡くなりになるまで、多くのメッセージを発信し続けました。この本「寛容のメッセージ」は、そんな先生から私たちへ向けたメッセージです。ちなみに、つきっきりで介護に当たられた奥様の多田式江さんが、上述の私たちの講座のお仲間なのです。
専門的なことはよく理解できなくとも、多田先生が言われたこの言葉はとても衝撃的でした。
「免疫というのは、100%非自己というもの否定するのではなくて、非自己を包み込んで共生することができる。」
つまり、免疫には「寛容」というものがあって、多民族とも多宗教とも共生できる。自分と異なるものでも自分の中に許容することができる、ということなのです。
五木寛之さんがこう結んでいます。
「『トレランス(寛容)』の光が差してくれば、また違った世界が生まれるのではないかということを、多田さんは未来への希望として語ろうとしたのではないか。ですから、多田さんの言う希望とは、『トレランス(寛容)』ということだったと思います。」
素敵な言葉です。
そして同じく素敵なのは、ご自身の病気の中で、私たちにこの本を紹介しようとしてくださった先生です。
多田富雄著 「寛容のメッセージ」 青土社 2013
ご訪問をありがとうございました。
どちらでも一つ押してくださるととても嬉しいです。
どうぞ良い一日でありますように!
ライフスタイル ブログランキングへ
海外旅行 ブログランキングへ