三つ子のたましい百まで

『氏より育ち』とも言うことわざもあるが
ちゅんちゅんは野良母から生まれた生粋の野良。
夫の会社の倉庫に生を受け、単に私が三毛が欲しいと言ったので
離乳が始まった頃に我が家にやってきた。

来た日に元から居た成猫ふぃんふぃんを威嚇して
ちいさな体で餌の皿をおおってとられまいとするポーズで唸り声を立てながらキャットフードをがっついた。
お猫好しのふぃんふぃんはだたただビクついて私の陰にかくれて新入ちびにゃんを伺っていた。

生命力はたくましいけれど子猫は子猫で
母猫の体温恋しさに啼くので、私のエプロンをカンガルーポケットにしてしばらく育てた。

餌に飢える必要がないと分かってからは唸り食べは解消。ふぃんふぃんとも兄妹みたいに仲良しにはなった。
しかし餌は自分が先に食べる。しかもふぃんふぃんが食べている方をいつも狙っている。

日頃は水をほとんど飲まなくて心配させている癖に、
たまたま目覚めたらふぃんふぃんが一生懸命水を飲んでおり、
しかも汲み替えた新しい水と見たとたん
飲んでいるふぃんふぃんを押しのけて飲みたくもないのに飲み始めた。

お猫好しふぃんふぃんはぼぉ～っとちゅんちゅんが飲み終わるのを待って中断された水飲みを復活させた。
ふぃんふぃんは我が家の前に捨てられるまで大事に育てられた家猫風だった。
おびえて鳴いていたのを家に入れたとたんに安心しきって無邪気にころころ遊びだした。
同じように可愛がっているつもりだし、餌や水に困らせたことはないのに
幼少の時に培った習い性は死ぬまで変わらないらしい。