所長がネタ元 国語辞書に載っていない日常使いの言葉を見つけたら、滅多にない発見に 「うわ、話のタネ」と思うもの。 では国語辞書に載っている言葉が、正確な解説でないことを知ってしまったら どう反応するべきか。 今週はそこをおさらいします。 地区の役まわりで、先週夜の防犯パトロールに参加しました。 ひと回りした後で同伴した交番の所長さんがこんなことをおっしゃいました。 「よく車上荒らしと言うけれど、車上狙いが正しい表現」 そんな話を聞いたので帰宅後に国語辞典をぱらぱら。 すると<しゃじょうあらし(車上荒らし):駐車している車の中の品物を 盗むこと>(新明解国語辞典 より)としっかりと掲載されているじゃないですか。 あらら、所長さんのご講説違います! その後ネットで検索していたら、こんな解説が見つかりました。 <「車上荒らし」か「車上狙い」か、どちらでも良さそう。 でも広報誌などを作る者にとっては正解を知りたいところ> そんな書き出しの解説はこう続きます。 <新聞報道などでは「車上荒らし」が一般的。 しかし警視庁のサイトでは「車上ねらい」(漢字でなくてひらがな表記で)と なっている> しかも警察では両者を明確に定義していると言うのです。 <ねらいに分類されるのは非侵入窃盗。 不法な侵入を伴わない手口で、主に屋外における窃盗が該当する。 荒らしに分類されるのは侵入窃盗。 他人の住居は建物などへの侵入を伴う手口> だから車上に続くのは所長の言う通り「ねらい」で良いのでした。 車の上 あちらの業界の言葉使いは実に細かい。 たとえば刑法上「侵入」はこんな場合が該当するそうで。 <他人の住居や看守する邸宅(すなわち空き家)、ビルや施設などの建造物、 豪華客船や自衛艦などのように生活できるレベルの大きな艦船に限られる> そんな説明を見れば以下の事例も納得できる話。 <自販機の場合はねらい。 工事現場では工事場ねらいと呼ぶが「工事現場ねらい」ではない。 賽銭を盗むのはさいせん盗。 職場内で同僚の者から盗むのは職場ねらい。 部外者が侵入した場合は事務所荒らし>(元刑事ライターきみぽん より) いやはや、警察のお仕事は国語のおさらい以上に細部にこだわります。 細かい話と言えばこんな質問がありました。 「どうして車上と言うのか、車上に該当するのは屋根だろう」 それに対する回答は明快です。 <本来「車」とは自動車ではなく車輪を指す。 人力車や荷車などの車輪の上の荷台に乗っかったことから「車上」の表現が 生まれた>(YAHOO!知恵袋 より) 交番の所長さんの話からいろいろなおさらいになりました。
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