脳脊髄液減少症患者のつぶやき、「とりあえず、生きてみよか・・・。」

過去から現在へ、脳脊髄液減少症、体験克服記。

立っていられない。座っていられない。

2006年09月20日 | 症状の説明
今日は晴れて、とても気持ちのいい朝です。
今日が最後の残暑だと天気予報でいっていました。
暑くなりそうです。

けさはいつになく、体調も目覚めもよく、
こんな日は近くの公園までいって散歩してみたい気分です。
今、血圧を計ったら上が123で下が83でした。
やはり調子がいい日は血圧もこのくらいのようです。
こんなにあがったのは久しぶりです。

「脳脊髄液減少症」が悪化して以来、
ここ1年半以上ほとんど自分一人では外出していません。
狭い家の中だけの生活で、よく平気でいられるなぁと自分でも思います。
人間、ここしかいられないとあきらめると、
けっこうその環境で慣れてしまうものです。

座位が長く保てないため、運転席の姿勢さえ保てず、
とても自力では運転して外出できなかったのです。
だるくて動けなかったのもあります。

最近、少しずつ座位でいられる時間も延び、気分がいい日は
「出かけてみたい。」と自然に思うようになりました。

今年の春ごろは、
家族の運転で出かける時も、助手席のシートをめいっぱい倒して
横になりながらの姿勢でなければ、
苦しくて10分と乗っていられませんでした。
(最近でも具合が悪いとこうなりますが。)

その立位、座位で起こる苦しさとは
とても、表現するのが難しいのですが、
私の場合、ちょうど、足のつかない海で溺れているような感じなのです。

陸上にいるのに、アップアップと溺れているような苦しさ。
全身の脱力と呼吸の苦しさ、首の締め上げられているような苦しさ
気を抜くと、海底に沈んでしまうような感じ。

金魚が酸欠で口をパクパク水面に出しているような
息も絶え絶えになるような苦しさなのです。

しかも、外出先で長く歩けないので、車椅子も借りて移動しましたが
リクライニングできない車椅子は
苦しくて長く乗っていられませんでした。

交通事故などで、ある日突然こういう状態になってしまったら
どうしますか?

しかも、いくら苦しいと訴えても詐病扱いされ、冷ややかな目で
医師や周囲にみられたとしたら、耐えられますか?

働けない上、医師にも病気と認められず、放置されたら、どうしますか?

人間は、4足歩行の哺乳類から2足歩行に進化した生き物です。

健康な方なら、一日24時間のうち
寝ている6時間~8時間以外、ほとんどの時間
2本の足で立っているか、座った姿勢で
体を起こした状態で過ごしています。

それが、元気な人なら当たり前の姿です。

だからこそ、立位で行う仕事も、座位で行う仕事も
人々は普通に行うことができ、社会は機能していくのです。

それが、立っていることも、座っていることも、
苦しくて10分とできない、としたら・・・・。
人間として、生きるにあたって
どれだけ障害となるかわかりますか?

ほとんどの仕事がなりたたないでしょう。

たとえ仕事をしていなくても
一日に何度も、体を横にせざるをえないという状況が
日常生活を送る上で、どれだけ支障があるかわかりますか?

歯ブラシの間立っていられない。
ごみ収集場まで立って歩いて捨てに行けない。
調理する間、立っていられない。座っていられない。
テレビを見るときも、
食事の時も長く体を起こしていると苦しくなってくる。
入浴もつらい。

日常生活でさえ大変な状況になるのです。

少し横になると回復するため、仮病のように見られやすく、
無理解な周囲や医師には
「都合の悪い時だけ、苦しくなるヒステリー」扱いをされることも、
しばしばです。

通勤途中の電車の中で立っていると、
急な動悸や苦しさで、立っていられなくなる
「パニック障害」と診断されている方の中にも
「脳脊髄液減少症」が背景にある方がいるのではないでしょうか?

交通事故後の得体の知れない苦しい症状を
どんな医師、どんな診療科に相談して検査を受けても
「異常なし」と言われ続け、
最後は、本人の精神的なもののせい、性格的なもの、にされるとしたら・・・?
その状況に耐えられますか?

自分になんの落ち度もない交通事故で、
そこまで追い込まれる被害者も実際いるのです。

交通事故に遭い、幸運にも命に別状なく、
「軽症」とされた方がたの中に、
私と同じ経過をたどった方が多く存在するはずです。

しかし、それは
けっして「幸運」でも「軽症」でもなかったと、
この病に振り回された地獄の日々を体験した人なら
きっと一度は思うことでしょう。

交通事故は毎日全国で起こっています。
今こうしている瞬間にも患者が新たに発生しているかもしれません。

しかし、その症状はじわじわと出現することがあるため、
本人も、周囲も因果関係に気づきづらいのです

症状が回復しないばかりか、周囲からも白い目で見られ、
仕事にもいけなくなり、経済的にも精神的にも追い詰められていくのです。

私は、この病気が発見される以前は
多くの方が、無念の死をとげたのではないかと想像しています。

過去に限らず、現在においても
自殺者が、それ以前に不定愁訴に苦しんでいなかったか?、
交通事故やスポーツ事故にあっていなかったか?
どなたか心ある方が遺族に詳しく調査してほしいと思います。

そして、「脳脊髄液減少症」と診断された方にも
公の力で詳しく経過や心境を調査してみてほしいと思っています。

 「自殺」が頭をよぎったことはあるか?と。

そう考えた一番の苦しみはなんだったのか?と。

そこに、医療や行政の問題点が見えてくるはずです。

国は自殺防止対策に力を入れているようですが
このような視点からの自殺防止対策は、何もないのが現状ではないでしょうか?

私の住む地域では、難病支援センターも
この病気に関してほとんどわかっていない様子でした。
思い余って一度電話しましたが、その後なんの連絡もありません。

ましてや、いのちの電話の相談員や
自殺防止に取り組む機関がこの病気の知識はまだ持っていないことでしょう。

9月10日は世界自殺予防デーだそうです。

「脳脊髄液減少症」が抱える深い問題点に気づき、
国民が一丸となって改善していく力につながっていくことを
私は心から願っております。


コメント (2)
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