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進化する魂

フリートーク
AKB48が中心。
気の赴くままに妄想をフル活用して語ります。

【AKB48】 「変化」も重要だが、本質的な「絶対量」を忘れてはいけない。いつだって基本が大事。

2012-06-10 00:37:09 | AKB48_行動原理系
選抜総選挙は悲喜交々ですね。
刺激を受けてやる気になったメンバーも多いかと思いますが、順位が低かったり、圏外だったからといって、必要以上に落ち込む必要はないと思います。
(余計な心配だと思いますが)

当Blogの選挙結果まとめを見て頂きたいのですが、全体としては票数ベースはUPしているし、64位内で前回よりも票数を伸ばしたのは52人と多数です。
順位とは別に、全体傾向としては各メンバーに投票された数は確実に増えています。
ほとんどのメンバーへの支持は広がっているし深まっていると考えてよいです。


第4回選抜総選挙 結果の図解 [一部修正] [追記3]
http://blog.goo.ne.jp/advanced_future/e/c153b4df0c7d5748202b695e610752ee


ただ、どうしても周りのメンバーと比べてしまいがちですよね。
これは仕方のないことです。

そこで、気休めにしかなりませんが、今回は私達がそのようなことを、ついつい重視してしまうことについてお話したいと思います。
本日の参考図書は『ダニエル・カーネマン 心理と経済を語る』です。




ダニエル・カーネマンは2002年にノーベル経済学賞を受賞した"心理学者"です。
(今では「行動経済学者」なのかもしれません。)

そして、彼とエイモス・トヴェルスキーの共同研究として有名で受賞理由にもなったのが『プロスペクト理論』です。


人には、変化には敏感に反応するが、同じ状態が続くと反応しない"癖"があるというのです。
効用(満足度)は、最終的には富の状態によって感じられるのではなく、参照点といわれる何らかの基準との違いや、そこからの変化によって感じられるものであるのです。
効用の担い手は「変化」であり「得失」であって、「富の絶対量」ではないのです。


■ヒューリスティックとバイアス

説明に入るまえに、1つステップを踏みます。
プロスペクト理論を理解するにあたって知っておきたいのが「ヒューリスティックとバイアス」です。

バイアスというのは「偏見」だと思ってください。
ヒューリスティックというのは、人が判断するときに多用する直感的判断のことです。
直感的判断は、簡便で素早く結論を導き出しますが、バイアスという弊害があります。

進化論的な考え方としては、「直感」は、動物と共通して持っている「知覚」メカニズムから進化してきたメカニズムで、人間だけが持っているもっと高度な「推論」のメカニズムとの間の橋渡しをしているとされています。

 知覚 → 直感 → 推論


直感には制約があります。
たとえば、トランプに関するこんな問題を考えます。

[1] トランプ1枚の面積はどのくらいか?

[2] トランプ1組の厚みはどのくらいか?

[3] 1組分のトランプ全部を足した面積はどのくらいか?

[1]と[2]は直感的に処理できます。
しかし、[3]については計算してみないとわかりません。
直感的判断では解けない問題です。

直感を正確に定義することは難しいのですが、直感というのは、私達が一生懸命に努力して考えるのとは対照的な、大変に素早く働く考えのことです。
だいたいの場合、私達は直感的に考えています。
私達のもっとも熟練した認知活動のいくつかは直感によってなされているのです。
ただ、直感は、非常に洗練され大変高度なことをするのですが、系統だったバイアスやエラーを犯してしまう傾向があります。
じっくり考えた後であっても、時には直感から来る印象や判断が訂正されない場合もあります。
人が下す最終的な判断の中には、直感が犯しがちエラーの痕跡が見られるわけです。


■知覚の特性

知覚には、「変化」に集中し「状態」を無視する特性があります。

この特性を、温度に関する例を使って説明します。

ボウルを3つ用意して、1つには冷たい水、2つ目には暖かいお湯、3つ目にはその中間の温度の水を入れます。
一方の手を冷たい水のボウルに、もう一方の手を暖かいお湯のボウルに浸けて、しばらくそのままでいます。
その後で、中間の温度の水に両手を入れてみると、右手と左の手の感じ方は違います。
中間の温度の水を、一方の手はとても暖かく感じ、もう一方ではとても冷たいと感じます。

つまり、手はそれぞれに前の温度に適応してしまったわけです。
このように、どんな刺激に対しても、私達の感覚や知覚は、適応のレベルによって感じ方が変わってしまうのです。
もし、判断や選択が知覚のルールに則って作用するのなら、変化は際立ち、一方、一定に保たれた状態はほとんど無視されるはずです。


■ベルヌーイの偉大なアイディア

1738年に、物理学者ダニエル・ベルヌーイがある論文を出版しました。
この論文の中でベルヌーイは、意思決定の問題を分析し「賭けは期待される貨幣の価値(金額)ではなく、期待される心理的価値(効用=満足度)で評価される。」、つまり「賭けは結果の期待効用によって評価されるべきである。」と提案しました。
これが「期待効用理論」のはしりです。


■ベルヌーイの誤り

次のような例を考えます。

[A]
 50%の確率で150万円もらえて、50%の確率で100万円を失う

[B]
 現在1億円持っているとする。
 50%の確率で150万円もらえて、50%の確率で100万円を失う

[A]と[B]で、賭けに対する魅力が変化すると思います。
ベルヌーイのアイディアが正しければ、人は[A]と[B]両方とも同じ魅力に感じるはずですが、おそらく[A]と[B]で感じるものが違うはずです。


■プロスペクト理論

不確実な状況で人が選択をする時に、どういう行動をとるかについて、2つの特徴があります。

1つは「損失回避性」で、人は何かを得るときよりも、何かを失う場合の方に強く反応するのです。
実際、この反応は2倍も強いのです。


もう1つは、人は意思決定をする時、損失の領域、つまり負の選択に直面したときにはリスクを追求する傾向があり、逆に利得の領域ではリスク回避的であるのです。

ここでも1つの例を考えます。

ある2人の人が証券会社から月例報告を受けたとします。
Aさんは、金融資産が400万円から300万になったと言われました。
Bさんは100万円から110万円になったと言われました。
さて、AさんとBさん、どちらがより幸せでしょうか?

答えは明らかで、Aさんの方がはるかに惨めな気持ちで、Bさんは満足のはずです。
では、ここでもう1つの質問です。

AさんとBさん、どちらの方が自分の全体的な資産状況に満足すべき理由があると思いますか?

ここでは、資産額の多いAさんの方が、自分の資産状況に満足すべきことは明らかです。
前述したプロスペクト理論の説明に戻りましょう。

効用の担い手は「変化」であり「得失」であって、「富の絶対量」ではないのです。

変化は、基準となる「参照点」からの変化です。

そして、その変化に関しては、利得よりも「損失」を重視してしまいがちなのです。



■まとめ

知覚にとっては、状態よりも変化の方が優位なのです。

それによって、意思決定の際に変化に対する近視眼的集中が引き起こされます。

しかし、これは人間の生来持っている癖です。

この癖をなくすことはできません。

ただ、そのような癖を持っていることを理解することはできるはずです。

選抜総選挙の結果には大きな影響力がありますので、順位が上がった落ちたという変化に一喜一憂するのは仕方がありません。

ですが、まず真っ先に見なければならないのは、「変化」ではなく本質的な「絶対量」です。

順位が下がったからといって票数が減っているとは限りません。

圏外だからといって、応援してくれる人がいないわけではありません。


どの部活に入るか悩めるメンバーへ ~基本に忠実に。ただし、革新的なやり方で!~
http://blog.goo.ne.jp/advanced_future/e/1a7baeb9321456252d9ae5c1521e68f9

忘れてはならないことは、AKB48のコアは「顧客との関係性」であり、一時の人気ではない!
超選抜や古参メンバーは、これまで長期間にわたって築き上げた顧客との関係があればこそ、部活が活きてくるのです。
これは絶対に忘れてはならないことです。
AKB48の基本中の基本だからです。


しっかりと、自分の支持基盤を固めること。

つまり、顧客との関係性を構築することを忘れてはならないのです。

選挙はその結果でしかないのですから。