進化する魂

フリートーク
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「Google TV」 ソニーの秘策はどこにある?

2010-05-21 09:59:52 | ビジネス
先にNYTが報じたSony×Google×Intelの噂は本当だった。

グーグル、「Google TV」プラットフォームを発表--テレビとウェブを融合(CNET)
http://japan.cnet.com/news/media/story/0,2000056023,20413776,00.htm

Google、テレビ向けプラットフォーム「Google TV」発表 ソニーと提携(IT media)
http://www.itmedia.co.jp/enterprise/articles/1005/21/news020.html

この情報を知ってからずっと考えているが、私にはソニーのこの手を読めないでいる。
報じられている情報だけでは何もわからないが、どう考えても私には、IntelとGoogleに利することはあっても、将来的にソニーの首を絞める手に見える。
一体、ソニーはどういう戦略を描いているのか。

秘策はなんだ?
ソニーは、どんなウルトラCを隠している?
他社に先行して提携した以上、他社に先んじる戦略があるはずだ。
昨日のエントリで述べた通り、IntelのCE向け戦略LSIと、GoogleのAndroid+Chromeを搭載しただけの製品では、他社もすぐ追従可能なので、これで差が出せるのは最初の1,2年だけだ。
Intel×Googleプラットフォームに乗っかる連中は、みな競争させられて価格競争の渦に巻き込まれるだけだ。
これは、Intel Inside型のビジネスモデルそのものであるし、Googleの広告収入・ビジネスモデルそのものでもある。
だから、ソニーには「プラットフォーム競争」に関する戦略が必ずあるはずだ。
Intel×Googleプラットフォームがdiffusionすることで、ソニーが利益を上げられる仕組みだ。
そのWin-Winの戦略なくして、これは対等の提携とは呼べない。
単にIntel×Googleに利用されるだけの、GoogleからSonyへODMされただけの話ではないか。
しかも、SonyのCE機器製造ノウハウをプラットフォーム側に技術流出して、他社がプラットフォームに乗りやすくなるオマケもつく。

まさか、ソニーが昨日のエントリで書いた「差異化原理主義」思想による迷走をしているとは思いたくない。
「プラットフォームに乗るしか選択肢がないのだから、その上で他社との差異化をする。」みたいな愚策を指向していないことを望む。


今思えば、久夛良木健氏がPS3を立ち上げる時に構想したWintelに変るプラットフォームとしてPSプラットフォームを提唱したことが懐かしい。
「プラットフォーム競争」を前提とした主張だったのだが、あの時、多くの人がその主張の意味を理解することができていなかった。
今、SonyがIntel×Googleプラットフォームに乗ろうとしている姿を見て、非常に残念に思う。
Cellが金食い虫だったということもあろうが・・Sonyにプラットフォームを前提とした戦略的思考がなかったことが大問題だ。
もうイノベーションを捨てた企業なのかもしれない・・

いや、必ず秘策があるはずだ。

頭の中がグールグル音を立てて混乱している。

[追記]

Sonyのプレスリリースを見てみた。

ソニー、“Sony Internet TV”を開発
~世界初の“Google TV”プラットフォームを採用したテレビの開発により、これまでにないテレビとインターネットの融合を実現~
http://www.sony.co.jp/SonyInfo/News/Press/201005/10-067/


ソニーは新たなビジネスカテゴリーの創出を目指し、これまでの視聴概念を覆す視聴スタイルや、ダウンロードによる拡張性、さらには快適な操作性やマルチタスクを実現する「進化するテレビ」の開発を進めてまいりました。
 “Sony Internet TV”は、これらを実現し、インターネットとテレビを融合させることで今までに無い楽しみ方を提供するだけではなく、アプリケーションのダウンロードにより進化し続けるという、新しい時代のテレビです。Googleのオープンプラットフォームを活用することで、お客様に向けてより魅力ある豊富なコンテンツやサービスをタイムリーに提供することが可能になります。


し、「進化するTV」!!
当Blogの名前は「進化する魂」なので、妙なシンパシーを感じます(笑)

やはり、あれですね。
ソニーは「User Experience」を思想的に前面に押し出してきますね。
「最終商品としてのユーザ体験価値」から戦略が出発している。
あくまでもConsumerブランドなわけですか。
これに対してプラットフォーム競争は、「ビジネス領域のどこで価値形成ができるか」という命題を考えるところから戦略が出発している。
この両者は全く違う。
一見すると、ソニーの戦略は、インテル・インサイド型ビジネスモデルではなく、アップル・アウトサイド型ビジネスモデルの方に近いように思えるが、本質的に違う。
アップルにはiPod×iTunesという排他的プラットフォームが前提だ。
最近ではAdobeとも争っているが、アップルは支配的プラットフォームを構築することに躍起だ。
それに対してソニーはこの商品によって何かのプラットフォームを構築できるのか?
アップルが魅力ある商品によって利益を上げているかのように見るのは浅い理解で、本質的には排他的プラットフォームの存在がiPodのビジネスを支えている。
スティーブジョブスの独善性と、その独創性ばかりに注目が集まるが、ビジョンとビジネスは全く違うものだ。
ビジョンを支えるビジネスモデルがその前段であるのだ。

アメリカにおけるビジネスとは戦略であるが、日本ではビジネスは自己実現なのである。
その差だ。
つまり、ビジネスが手段なのか、目的なのかの違い。
さらに違う言葉で言えば、「ビジネス=仕組み」なのか「ビジネス=事を成す」なのかの違い。
ビジョンとビジネスは違うものなのだが、日本だと混同しちゃうんだな。
日本人はすぐに手段の目的化に走っちゃう。
(この理由はこれまで当Blogで繰返してきたので省略)

それが悪いというつもりはないんだけども。


いつも日本人は・・っていうけど、ソニーのCEOのハワード・ストリンガーはイギリス人じゃないか!って批判が予想されるが、戦略を立てる中心人物は日本人達なんじゃないの?って思ってます。
まぁ具体事例について国籍を根拠に批判するのは間違いですね・・あくまでも「日本人が・・」は一般論としてですよ。
Sonyとは関係ないですね。すみません。

[再追記]

分かった気がする。
CNET記事の次の部分。

Best Buyは、それらを販売する最初の小売店となる。

なるほど。
流通チャネルをSAMSUNから奪い取る戦略だな。
流通チャネルの覇権争いでSonyは完全にSAMSUNの後塵を排しているが、これを挽回する気だ。
言葉悪くいえば、中途半端に「国際斜形分業型イノベーション」のつもりね。
もちろん、商品の魅力の向上という面もあろうけれど、それも含めたより総合的な戦略のつもりなのではないかという気がしてきた。
私の問題提起が「なぜSonyはTVという枠組みにこだわりプラットフォーム競争から外れるのか?」だったわけだが、SonyがあくまでもTVにこだわるのは、既存のTVマーケット内での覇権争いが念頭にあるからだ。
新しい商品群を作り上げるとか、プラットフォーム競争で覇権を取るという発想ではない。
あくまでも、やられっぱなしのTVマーケットを挽回するために、TV商品像の軸をずらす発想。
SAMSUNに勝つための発想で、アップルがiPadやるのとは次元が違う話だ。
あくまでもTV事業の収益力の改善が目的なのであって、新しいTVを世に問いたいわけではない。
最初からプラットフォーム競争なんて副次的要素でしかなかったわけだ。

なんか肩透かしにあった気分だな。
そしてちょっとがっかり。