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進化する魂

フリートーク
AKB48が中心。
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ソニーは普通の会社になったのか ~前編~

2009-10-19 23:25:59 | ビジネス
ソニーよ”普通の会社”にまで堕ちてどうする!(池田信夫blog)
http://blog.goo.ne.jp/ikedanobuo/e/0d5611a694129a39b34d60aa7a6f78b6

ソニーの株主でもある池田信夫氏がネットに出回っている怪文書の内容を肯定しつつ、今のソニーを憂いている。
彼は出井伸之氏が社長に就任したことがソニーの転落のはじまりだと分析している。


株主として20年近くソニーを見てきた私も、ほぼ同感だ。ソニーの最大の失敗は出井氏を社長に選んだことなので、彼が次期経営陣を決めるのは、失敗を拡大再生産する結果になろう。「ものづくり」を脱却するというのはハードウェアを捨てることではなく、メーカーが「コンテンツ」のような水商売を手がけても成功しない。最大の問題は、社内に経営陣への求心力がなくなり、厭戦気分が広がっていることだ。


(実は私も長年のソニーウォッチャーで)
私もソニーについて似たような分析をしているのだが、しかし出井氏が社長にならなかった場合の問題もまた考えなければならない。
私が特にソニーについて酷いなと思ったのは、大賀氏が社長だった時代に経営企画に在籍していたインサイダーによる暴露本を見たときだ。
これは、あくまでもソニーの一側面を書き表したに過ぎないが、大賀社長時代の放漫経営と過大な有利子負債、何よりも大賀独裁によるワンマン経営の実情は、劣悪なものだった
ソニーがいかに企業(経営)設計のないままにカリスマによって支えられてきた会社かがわかる。
ソニーは大賀社長時代に一度窮地に陥っている。

ソニー本社6階(竹内 慎司)

そんな大賀経営の尻拭いをさせられたのが出井氏であり、彼の最初の仕事の大半はそのことに当たられた。
ワンマン放漫経営によるソニーの失速を見てきた出井氏が、経営改革に乗り出すのは自然な流れだった。
米国流の経営手法を取り入れて経営のワンマン化を防ぐブレーキを構築し、どんぶり勘定だった会計を見えるようにした。
彼は大賀氏とのミーティングの度に「君は何を(事業を)つくるのだ?」と聞かれ困り、いつからか「私は商品ではなく経営をつくった。」と言うようになったそうだ。
おそらく、それはソニーの中で出井氏にかかる"事業を創出できていない無実績社長"というプレッシャーに対するアンチテーゼだったのだろう。
そのコンプレックスがより一層、彼を経営改革への道へ走らせた。
自己顕示欲の強い出井氏は、劣悪な経営をしてきた無能経営者に無能と呼ばれることが許せなかったのだ。と私は思う。

私個人の勝手な意見を言えば、出井氏は5年で経営から手を引くべきだったと思う。
出井政権の10年間のうち会長に退くまでの5年間の彼の仕事は評価すべきところも多い。
大賀時代からの脱却、それこそが彼に科せられた使命だったように思うが、彼は後継に(ソニー歴代社長の中でも最も影の薄い)安藤氏を選び会長に退いた後も実権を握ってしまった
私はここが(もし事後的な批判が許されるなら)ソニーにとっての最大の失敗だったように思う。

大賀時代を将来への先行投資として捉えれば、その後始末として出井時代は必要だった。
組織を立て直すために果たした出井氏の役割はある程度認められてよいと思う。
ただ、その後の成長戦略に関する部分は事業を引っ張れる後進に譲るべきだったのだ。
しかし、彼は事業を創出する基盤を創ろうとして失敗した。
本社機能を投資銀行に見立てて各事業ユニットにイノベーションを求めたが、イノベーションなどというものは事前には予測不可能なもので、リスクをとる必要のあるものだ
独立採算制を取り入れた各事業ユニットにリスクなどとりようもなく、この試みは失敗する
彼はイノベーションを管理しようとしたのだ。
自分がイノベーションを起こせなかったアンチテーゼとして誰かにイノベーションを起こさせようとして失敗した。
その意味で、彼に足りていなかったのは、まさに彼のコンプレックスのまま、イノベーションとは何かを知らなかった点につきる

出井氏はクレイトン・クリステンセンの「イノベーションのジレンマ」に強い影響を受けたという。
成功体験を拭い去ろうと新たなイノベーションにこだわった結果、イノベーションの芽を摘んでしまったのだ
それがまさにイノベーションのジレンマそのものである。

後編へつづく。。。

このエントリの内容はかなり情緒的なもので、エントリ内で行われている各主張の根拠は何も示されておりません。
論理的な説明を必要とされる方には不満が多いと思いますが、一つの物語として読んでいただければ幸いです。