粗忽な夕べの想い

落語の演目(粗忽長屋)とモーツアルトの歌曲(夕べの想い)を合成しただけで深い意味はありません

原発の将来を考える前に

2014-02-25 18:45:28 | 原発事故関連

安部政権が原発を「重要なベースロード電源」と位置づけるエンルギー基本計画の政府案を決めた。これに対する国内の反発は驚くほど小さい。原発事故から3年になろうとしている現在、あれほど脱原発の声がマスコミを中心に世間を充満していたのが嘘のようだ。つい最近行なわれた山口県知事選でも建設が計画されている上関原発のこともさほど焦点にならず、建設に対する賛否も表明していない自民党推薦の候補が圧勝した。

時の流れといってしまえばそれまでだが、結局脱原発というものが総花的で決してまとまった世論を形成せず、尻つぼみで終わってしまった結果ともいえる。特に先の東京都知事選での脱原発候補のあっけない完敗がそれを物語っている。

しかし、目を福島に移すと事故の収束にはほど遠い状況が続いている。といって、今後新たな放射能の汚染にさわされるわけでもなく、安倍首相が公言したように事故の影響は完全にブロックされているのが正しい。

問題は、その確信を福島県民や福島から避難している人々が共有できない点である。まず原子炉の地下でたまった汚染水を依然として吸水しなけらばならず、またこれを貯蔵するタンクが増え続ける現状がある。

政府が本腰をいれてこの問題に取り組むと安部首相が昨年表明しながらいまだその気配が見えない。なぜ既に起動しているALPS(多機能除去装置)で浄化したものを海上に放出しないのだろうか。浄化で唯一残るトリチウムは自然界にもともと存在していて、ある程度水で薄めればなんら問題ない核種である。

早急にたまったタンクの問題を解消して欲しい。今後のエネルギー政策を決めるのもいいが、もっと政府はこの汚染水処理を迅速に進めてもらいたい。浄化された汚染水の海上への放出を決断するのは政府の責任でによってしかできない。これには安部首相の口からその根拠を示して率先して実行すべきだ。

それと福島の除染の問題だ。既に国連の科学委員会や国際原子力機関、世界保健機関が福島での放射線の影響は極めて微量で将来的にも健康被害を及ぼすレベルではないと異口同音に報告している。最近でも京都大学の研究グループが福島の住民約460人被曝を調べたところ「ガンの影響はごく小さいという推計結果が出た」という報道があった。事故の健康への影響で諸々の調査ではほとんどといってよいほど「将来的に問題ない」という報告がでているのだ。

しかし、一部学者の根拠のない年間1ミリシーベルト説が相変わらず一人歩きして、いまだそれを信じて福島を避難して帰還を躊躇している人は少なくない。それについて政府は、もっと責任をもって検証すべきだと思う。そして年間1ミリシーベルトが確かな根拠もないことを明確に国民に示した上で除染の基準も新たに策定すべきだ。当面は年間5ミリシーベルトが妥当なところではないかと考えられる。

以上、今後のエネルギー計画を決める前にまず福島の二つの課題をクリアーすることが肝心だと思う。なんといっても政府主導で明確に態度を表明することだ。新潟で相変わらず「福島の事故の検証がされていない」とうそぶいている知事がいるが、そんな人物の口も閉じらせることができるのではないか。