こんな夜にはこんな映画「重力ピエロ」

毎日少しずつ楽しみに読んでいた、
「重力ピエロ」がジェットコースター並みに急降下。

今朝３時までかかって読み終えたので
勢いで上映終わりかけの映画「重力ピエロ」を見に行く。

映画が原作を超えることはないとわかっているのに
絶対映画に失望するってわかっているのに

どうして原作のあとに映画を見てしまうのだろう。

ということで映画は全然よくなかった。

春の台詞にも泉水の台詞にも
何もこもってなくて

ひとつひとつの言葉が白々しく聞こえた。

原作を超えようとして
意味のあるシーンや大切な言葉をお座成りにしてた。

カツラを被った小日向文世は堺雅人そっくりだった。

こんな夜にはこんな読書「重力ピエロ」

彼女が映画デートに行くために
本屋をはしごしてやっと見つけたという、

伊坂幸太郎の「重力ピエロ」を読んでみる。

「アヒルと鴨のコインロッカー」と同じ著書と聞いて
はじめて興味を持った次第。

本来は読者の味方であるはずの主人公にさえ
実は隠し事をされていて

主人公自身が精神病なのではないかと邪推するまで
あたしは追いつめられた上に

予想外の結末が浮き上がってきて号泣。

血にも肉にもならない娯楽本だけど
知識の奥深さを活かして練られた殺人。

久々に読者欲が悶々としてきて

今まで何度も牛氏に

「本は図書館で借りずに、買いなさい」と説教されても

絶対に図書館派で通してきたというのに

今日は仕事のあとにまっすぐ本屋に行き
伊坂幸太郎の文庫を躊躇いもなく２冊買った。

家に帰ってパソコンの前に座る。

パソコンの横にある、電話の近くにあるメモ帳に

「懺悔　諌　罵詈　讒謗」という漢字が練習してある。

Z、I、B、Z・・・

うちの近所で放火が起きないといいと思う。

雨宮

吹雪という名前の女のひとと
バドミントンの団体戦で対戦した。

雨宮という育ちがよさそな苗字に
冗談みたいに濡れ濡れのいい女のよな名前。

ダブルスだったので
どちらの女子が吹雪なのかは聞けず仕舞い。

たぶん目が上品に大きくて
あまりクリアが飛んでこないほう。

そういえばこのサークルで

はじめて出た団体戦では
６名の選手枠に７名でエントリーしてたので

油断してたあたしは当日
集合時間にまだ寝ていただけでなく

さらに二度寝してたところを起こされて

会場に到着したときには太々しくもマックの袋を提げてたことが

サークルの代表を怒りを通り越して、呆れさせたらしい。

「そんなん、ふつうは許されないで出禁になるけど
　それはアキ男。のキャラだよね」

と今回の団体戦で３戦組んだ代表。

キャラとはいえ記憶にない、
数年前の自分の常識を外れすぎた行為に

今の自分を数年後に見たとき
やはり常識外れと認識されることをやってないかどうか

いまだに不安。

十大

マイギリホリ十大ニュース。

ベスト10　はじめてのマリファナ

ベスト９　小指氏大家殺人事件

ベスト８　殺人事件目撃

ベスト７　南島ボンヴォヤージュ

ベスト６　ビアンと川下り

ベスト５　トランピング

ベスト４　バドミントン

ベスト３　海外で初仕事ゲット

ベスト２　青い眼をした、かわいいかわいいカレシの兄の結婚式出席

ベスト１　青い眼をした、かわいいかわいいカレシできる

休憩

室に行くと
パソコンの前に座って
チョコレートアイスを食べてるひとがいた。

あまりにおいしそうなので

「おいしそうですね」というと

「ひとつしかないので、ごめんなさい」と返された。

そして彼は冷蔵庫のほうまで歩いていき、

「豆腐ならありますけど」と言って

フランの微糖をひと袋くれた。

「あれ、今『豆腐なら』って言いましたよね？」と聞くと

「はい、言いましたけど、豆腐ほしいですか？」と切り返し。

フランの微糖はほどほどの甘さと奥深い苦さ。
わけのわからない余韻が残る舌。

ちなみに彼は沖縄の事業所からよく東京に出張してくるひととのことだった。

週明けに会社に行くと
彼はやはり休憩室で仕事をしてた。

金曜日の絶妙な間合いが気になっていたあたしは試しに

「飲みいきましょうよー」と言ってみた。

火曜日に神田の「暖暮」というラーメン屋に営業さんと行くというので
営業さんに顔を覚えてもらうのも兼ねて混ぜてもらうことにする。

「ラーメン好きアキ男。さん」という書き出しでメールが来たので

「ラーメンは好きというか、
　ふつうです。

　とんこつが好きです。

　でもラーメンよりもカレーのほうが好きです。」と返信すると

「ラーメンはみんなが大好きなんです。国民食です。
　なので、ふつうということはありえません。

　そして暖暮はとんこつです。






















　カレー？ それも悪くないです。」

その、その22行の間が堪らない。

ラーメンはふつうだった。
いつもは残すスープを全部飲み干しちゃう程度に。

今日沖縄に帰ると聞いていたので
今朝NZのおみやげのチョコレートを気まぐれに

「これ、余ったのでどうぞ」と休憩室まで渡しに行った。

３分ほどして彼があたしの席までやってきて

「余ったといえば、これ、どうぞ」と

沖縄限定のチェルシーパインアップル味をくれた。
賞味期限が今年７月だということを明示して。

彼に興味があるわけではないのに

会社のひとに「あのひと、独身なんですかね」と聞いてしまった自分が

罪深い。

それで、それが、独身らしい。

何度

目になるんだろう、もう。

青い眼をした、かわいいかわいいカレシと
空港に来るのは。

空港でさよならを言うのは。

またすぐに会えると頭ではわかっているけれど
それでも眼球の奥で出番を準備してる涙がいる。

出国ゲート前で急いでキスをして
急いでさよならを言った。

というか

「じゃ、３週間後に、ね
　ていうかオンラインゲーム上で、ね」と言った。

涙がやってくる前に。

ここひと月、ほとんど毎日のよにデートしてたから

飽きるくらいにたくさん喋ったし
くちびるから糸が引くくらいたくさんキスしたし

身体が溶けるくらい抱き合ったし

その言葉の意味がわからなくなるくらいたくさん好きだって言ったけれど

会えなくなって数日も経つと

もう息切れがして

あたしの体内の、
青い眼をした、かわいいかわいいカレシの濃度が下がってきたと感じるのだ。

青い眼をした、かわいいかわいいカレシが
そばにいないとだめなのだ。

だめなのです。

東雲

駅の近くの暗い路地にて
明るい街灯を背に浴びながら

つかぬまな雨が止んだあとの
曇りガラスの後部座席で

青い眼をした、かわいいかわいいカレシと
急いでセックスをした。

またしばらく彼のピナスには会えなくなるから。

彼が47都道府県全部で２回ずつ、
屋内と屋外でセックスしようと前に言ってたけれど

車内は屋外と認定されたので

「これで東京は制覇したね」

と日本縦断セックスの旅のはじまりを実感した。

次の候補地は北海道屋内だろうか。