武装

三波を驚かせようと
コスプレ用セーラー服に着がえて
三波のアパートまでドライヴ。

紺色プリーツスカートはひざ上20センチほど。

セーラー服の上に上着を羽織ってジーパンを穿いて
いざ運転席に。

いつも安全運転を心がけているけど
今日は特に絶対に絶対に事故れないと思った。

コスプレで事故処理されるなんて
想像しただけで恥辱の旋律が走る。

三波のアパートの前にいつものよに車を駐めて
通り過ぎる自転車を息を殺してやり過ごす。

タイミングを見計らって
運転席で上着とジーパンを脱ぎ脱ぎ。

隠し持ってたセーラー服のスカーフを２秒で装着。

満を持してピンポンすると
ドアを開けた三波はギョっとして
そのまま黙ってドアを閉めてしまった。

身体は30歳だけど
気持ちは女子高生だのに。

砂城

昨日三波に
ひとつ求めたら
ひとつ与えてくれた。

言ってみるもんだ。

感情パケットをダイヤルアップで通信する三波と
それを光ファイバーで通信するあたしは
足して二で割ることができるならちょうどいいのかもしれない。

隣で寝息を立てる三波を
そのとき初めていとしいと思った。

愛しいというよりむしろ、いとしい。

まるで砂で作った城に穴を開通させて
こちら側と向こう側の手が繋げたかのよに。