脳腫瘍の夫と共に

2010年4月グリオーマと診断された夫との手探りの日々…

心が先か、体がさきか?

2012-11-17 14:34:15 | 私の思い 3


3年間はいてきた靴にさよならをすることにした。
夫が発病する前の年の秋、
(今から思うと、時々固有名詞が出にくいという症状が出始めていた頃)
「視覚障害者移動支援従業者研修」を受講した。
音訳ボランティアを通して、視覚障がいのかたたちとお会いする機会が多く、
その方たちの不便さを知り、少しでもお手伝いできることをふやしたいと願ったからだった。
その講習の中で、外出実習があり、
お互いにアイマスクをつけて、バスや電車に乗ったり、食事や買物をしたり、
そのあと、市街地を歩行するという実習だった。
当日の天気もわからないので
完全防水で、軽くて歩きやすい靴を探した。
当然、そのあとの、実際の外出支援のときのことも考えてのことだった。
それまでは、特売の靴がほとんどだったが
これはいつもの10倍以上のお値段で
私にしては、ものすごく思い切った買物だった。
おかげで、東京に行くときも
夫の車椅子を押すときも
天候のことは気にせず
この靴一足で過ごすことができた。
昨年秋、靴底だけ貼り替えてもらって
まだ当分履けるつもりでいたのだが
わずか1年で踵のうしろ部分が磨り減ってしまった。
たぶん私が足をひきずって歩いていたのだろうと思う。
いつもうつむいて歩いていたので・・・・
新しい靴にして
気をつけて足を上げて歩くようになった。
足を上げるためには
前を向いて、歩巾を広くして歩かなければならない。
それは「元気そうな」歩き方。
すると不思議なことに
心が少し軽くなった気がするのだ。

心が先なのか、体が先なのかはわからないけれど
人間の心と体は密接に関係しあっているのだろうなあと思う。

2012.11.4  記


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