扇子と手拭い

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情が深い九州人

2014-06-21 01:57:27 | 日記
▼いい客に恵まれた
 目の前で落語を聴くのは初めてとあって、たいそう喜んでくれた。1日で昼席二席と夜席三席の五席を披露した。九州・鹿児島は霧島温泉での独演会は、客のノリに助けられ、われながら熱演した。落語と落語の合間に「落語教室」を開いて、落語の参考にしてもらった。

 九州の温泉は別府をはじめ鉄輪(かんなわ)、雲仙など何度も訪ねたが、鹿児島の温泉は一度も行ったことがない。前々から訪ねてみたいと思っていた。霧島といえばミヤマキリシマだが、開花時期が過ぎていたようで、残影しか見ることができなかった。

▼正面にあの桜島が
 3泊4日の霧島温泉の旅の前半は天気に恵まれた。が、3日目は朝から雨だった。ホテル1階の露天風呂に浸かったり、6階の展望風呂に行ったりしながら温泉を堪能。ガラス越しの展望風呂の正面には桜島。 

 昼席は午後2時開演。場所は自室。和室なので客は座布団持参で来ていただいた。宮崎からの女性3人は、ナマで落語を聴く機会がなく、この日がはじめてと言った。桂歌丸が会長の会(落語芸術協会)で落語を習ったと言うと、「笑点の、あの歌丸さんですか」と身を乗り出した。

▼最初からドッと笑い
 初めて落語を聴く方には、与太郎噺が受けるだろうと「牛ほめ」をかけた。食いつきが最高で、最初からドッと笑いが起きた。これでこっちも乗った。この噺は何度も高座にかけている。気持ちにゆとりが出来て、客の反応を見ながら話せた。

 一席終わったところで、伝統芸である「落語」と、吉本興業などの「お笑い」との違いをミニ解説。落語には多少、オツムの弱い与太郎なんという人が出て来るが、熊さん、八っつあん、大家さんたち長屋のみんなが、いつも優しく包み込む。

▼聴き上手の客におまけ
 しかし、今のお笑いは、後ろから蹴飛ばしたり、熱湯に無理やり浸けたりして、周囲が笑っている。こんなものは芸でも何でもない。単なるいじめに過ぎない。こんなのをテレビで放映するからいじめがはびこる。そこへ行くと落語に出て来る人物はみんな温かーい人たちばかり。そんな話をして二席目は、バカバカしい滑稽噺の「粗忽長屋」を披露した。

 午後8時からの夜席は、艶っぽい「蛙茶番」で幕開け。お茶をゴクンと一口飲んだところで、次は縁起のいい「宿屋の富」。ここででいったんはお開きしだが、聴き上手の客に促され、「では、もう一席おまけと行こう」と「手紙無筆」を追加した。

 一、二席目の間には前座、二つ目、真打の違いや、扇子と手拭いによる煙管や箸、釣竿、書籍、財布などの仕草をして見せた。1時間40分以上も上がったり、降りたりしながらの高座。

▼冷えた缶ビールを持参
 「落語の裏話が聞けて楽しかったです。これからは落語の聴き方が変わると思います」と福岡から来たご夫婦。午後10過ぎに、ダンナが「売店が閉まってまして、こんなものしかなくて」と、申し訳なさそうに冷えた缶ビールを部屋まで持って来てくれた。

 わざわざ、自販機で買ったのだ。翌日もエレベータやレストランで、顔を合わせる度に夫婦して、「楽しかったです。いい思い出になりました」と繰り返しお礼を言う。こちらが返って恐縮する始末。

▼九州の人は情が深い
 帰宅して、この話をサラリーマン時代に九州勤務の経験がある落語の友人に話した。「九州の人は情の深いやさしい人が多いんだよ」と友人は言った。

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