▼高座と客席のキャッチボール
日曜日の「紫陽花寄席」は270人を超す大入りだった。客席の反応がすこぶるよく、演じる私たちもつい乗せられて汗だくで奮闘。落語は高座と客席のキャッチボールとよく言うが、改めて実感した。「久しぶりに腹の底から笑った」と、楽屋で関係者から有難いお言葉をいただいた。
駅の改札口を出ると、「文七迷人会様」と書いた紙を胸に掲げて、出迎えの方が2人立っていた。会場に着くと、持参したCDの出囃子、めくりについて段取りを説明。急いで着物の着替えに取り掛かった。その間に、控室にお茶を運んで来たり、関係者が次々、挨拶に訪れるなど出たり入ったりで、落ち着いて着替えもできない状態。
▼扇子は持った。手ぬぐい、ヨシ
「お時間ですので、よろしくお願い致します」と呼びに来た。電車の運転士のように、「扇子は持った。手ぬぐい、ヨシ」と小声で確認。白足袋に雪駄をはいて会場に向かった。満席である。座りきれない人たちが、壁際に並んで立っている。
「それでは師匠、どうぞ」と司会者が登壇を促した。師匠ではない、ちゅーに。本職の真打しか師匠と呼ばないことになっているのに。落語をやれば誰でも気楽に師匠と呼ぶ。あー、恥ずかしい。そんなことにはお構いなしに、会場から大きな拍手が沸いた。
▼「待つタイミング」を習得
花伝亭の由来、落語の学校についての話などに軽く触れ、「落語でおなじみの登場人物と申しますと、熊さん、八っつあん、ご隠居さん。人のいいのが甚平さん」と、マクラを振って一席伺った。噺の随所でドッと笑いが起きた。客の笑いが終わるのを「待つタイミング」を習得した。多少、流れが読めるようになってきた。こうなると落ち着いて落語が出来る。
この日のトリは笑龍さん。演目はオハコの「片棒」である。ケチの代名詞のようなあきんどの話。一代で身代を築き上げた赤螺屋吝兵衛(あかにしや・けちべい)さんが、3人の息子のうち誰に継がせるか、葬儀のやり方を競わせ、その結果で決めるという落語だ。
▼満足感に溢れた表情
「これだけの身代を築いたおとっつあんの葬儀となると、みっともないことは出来ない」と長男。参列者へのお車代5万円など1人30万円かけて2日2晩、通夜をやると言い、「馬鹿野郎、そんな通夜なら、おれが行きたい」と叱られる。次男は、頭連中の木遣り、綺麗どころの芸者衆をざっと100人集めた派手な手古舞の行列を先頭に、神輿や親父にそっくりのカラクリ人形の山車まで繰り出し、にぎやかに見送りたいとぶち上げ、「あっちへ行けッ」と追い返される。さて、残る末の息子はてーと・・・お楽しみ。
笛、太鼓など鳴り物の擬音入りの大ネタを見事にやってのけた。大きな拍手に送られて高座を降りた笑龍さん。「あー、のどが渇いた。カラカラ」と言って、ボトルのお茶をうまそうに飲み干した。その顔は、納得いく噺をやり遂げた満足感で溢れていた。
▼プロより上手かったの声
控室に挨拶にやって来た市議は、「社会人落語家と聞いて驚きました。てっきり、プロだとばかり思っていました。去年はプロに来てもらいましたが、その人より上手かった」。これには笑龍さん、「いや、まだまだですよ。やめてくださいよ」と盛んに恐縮していた。
日曜日の「紫陽花寄席」は270人を超す大入りだった。客席の反応がすこぶるよく、演じる私たちもつい乗せられて汗だくで奮闘。落語は高座と客席のキャッチボールとよく言うが、改めて実感した。「久しぶりに腹の底から笑った」と、楽屋で関係者から有難いお言葉をいただいた。
駅の改札口を出ると、「文七迷人会様」と書いた紙を胸に掲げて、出迎えの方が2人立っていた。会場に着くと、持参したCDの出囃子、めくりについて段取りを説明。急いで着物の着替えに取り掛かった。その間に、控室にお茶を運んで来たり、関係者が次々、挨拶に訪れるなど出たり入ったりで、落ち着いて着替えもできない状態。
▼扇子は持った。手ぬぐい、ヨシ
「お時間ですので、よろしくお願い致します」と呼びに来た。電車の運転士のように、「扇子は持った。手ぬぐい、ヨシ」と小声で確認。白足袋に雪駄をはいて会場に向かった。満席である。座りきれない人たちが、壁際に並んで立っている。
「それでは師匠、どうぞ」と司会者が登壇を促した。師匠ではない、ちゅーに。本職の真打しか師匠と呼ばないことになっているのに。落語をやれば誰でも気楽に師匠と呼ぶ。あー、恥ずかしい。そんなことにはお構いなしに、会場から大きな拍手が沸いた。
▼「待つタイミング」を習得
花伝亭の由来、落語の学校についての話などに軽く触れ、「落語でおなじみの登場人物と申しますと、熊さん、八っつあん、ご隠居さん。人のいいのが甚平さん」と、マクラを振って一席伺った。噺の随所でドッと笑いが起きた。客の笑いが終わるのを「待つタイミング」を習得した。多少、流れが読めるようになってきた。こうなると落ち着いて落語が出来る。
この日のトリは笑龍さん。演目はオハコの「片棒」である。ケチの代名詞のようなあきんどの話。一代で身代を築き上げた赤螺屋吝兵衛(あかにしや・けちべい)さんが、3人の息子のうち誰に継がせるか、葬儀のやり方を競わせ、その結果で決めるという落語だ。
▼満足感に溢れた表情
「これだけの身代を築いたおとっつあんの葬儀となると、みっともないことは出来ない」と長男。参列者へのお車代5万円など1人30万円かけて2日2晩、通夜をやると言い、「馬鹿野郎、そんな通夜なら、おれが行きたい」と叱られる。次男は、頭連中の木遣り、綺麗どころの芸者衆をざっと100人集めた派手な手古舞の行列を先頭に、神輿や親父にそっくりのカラクリ人形の山車まで繰り出し、にぎやかに見送りたいとぶち上げ、「あっちへ行けッ」と追い返される。さて、残る末の息子はてーと・・・お楽しみ。
笛、太鼓など鳴り物の擬音入りの大ネタを見事にやってのけた。大きな拍手に送られて高座を降りた笑龍さん。「あー、のどが渇いた。カラカラ」と言って、ボトルのお茶をうまそうに飲み干した。その顔は、納得いく噺をやり遂げた満足感で溢れていた。
▼プロより上手かったの声
控室に挨拶にやって来た市議は、「社会人落語家と聞いて驚きました。てっきり、プロだとばかり思っていました。去年はプロに来てもらいましたが、その人より上手かった」。これには笑龍さん、「いや、まだまだですよ。やめてくださいよ」と盛んに恐縮していた。