扇子と手拭い

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何だいそいつは? 「よしわら俄」ってなー?

2017-09-05 00:32:13 | 落語
 あ、さて、おとーもーをは、 ツライなー。トチチリトンシャン・・・。

 カネ、太鼓、三味線のお囃子に乗って幇間が「奴さん」を舞った。

 3日の午後、東京浅草の昔懐かしい吉原、現在の千束でチョイト、粋な催しがあった。「よしわら俄」である。

 「よしわら俄(にわか)」をご存じの方人は、相当な「御通過」だ。

 江戸吉原の遊郭が華やかなりしころ、吉原遊郭で行われた即興芝居のことだ。

 享保年間に始まり、毎年夏に吉原の特設ステージで幇間(太鼓持ち)や芸者などが歌や踊り、芝居を披露した。

 そんな江戸の夏の風物詩の吉原俄を楽しんでもらおうと地元商店会が企画したのが「よしわら俄」である。定員50人。

 開口一番は浅草幇間連によるにわか芝居。襖の陰から着物の袖を引っ張られ、逃げようとする太鼓持ち。客と太鼓持ちは、実は1人二役だ。

 石段を登って神社にお参りして、再び石段を下に降りるおばあさん。実際にそこに階段があって、上り下りするかのように見えるリアルな幇間演技に拍手が沸いた。

 たいそうきれいな太鼓持ちだと思ったら違った。タレント、服部真湖の飛び入りだそうだ。見事に「姐さんだよ」を踊った。会場は大盛り上がり。

 歌舞伎の長唄など三味線の邦楽演奏を望月太左衛社中が披露。続いて柳家紫文と弟子の東京ガールズによる三味線漫談で大爆笑。

 さて、お次がお目当ての元芸者、吉原二三松姐さんの「ニ調鼓」。膝の上に鼓を乗せ、肩にも鼓。三味線の音(ね)をバックに、音(おと)の違う2つの鼓を巧みに演奏した。

 「ニ調鼓」は浅草芸者の「門外不出の芸」で、今は二三松姐さんのほかには誰も出来る人がいないという。

 お見かけしたところ、お歳はめしているが実に様子がいい。背筋がしゃきっとしている。現役のころは京マチ子や岸恵子にも引けを取らない美人だったのではないかと想像する。

 淡い藤色の着物姿に上品さがにじみ出ていた。人間、こんな風に歳を取りたいね。


 最後は11代桂文治の落語で締めた。11代はあたしの落語の師匠だ。「粋な廓噺を期待」とメールしたが、風邪をひいて調子がいま一つで、この日は「親子酒」をかけた。

 師匠のこの噺は何度も聴いたが、「滑稽噺」を演じたら名人、志ん生でも、圓生でも、11代にはかなわないと思っている。とにかく11代の落語は楽しい。文句なしに愉快だ。聴く者を虜にする。落語に引っ張り込む。

 高座の前に、着物姿の中年女性3人組が陣取っていた。感想を聞いた。

 「落語を聴いていて、いっしょにお酒を飲んでいるような気持ちになりました」。

 チョイト、師匠に聞かせてやりたいね。これ以上の褒め言葉はない。

 「よしわら俄」は午後1時から始まって終演予定の4時をオーバーして4時20分過ぎにお開きとなった。