▼落語は実に難しい
落語というものは実に難しいものだ。何しろ手拭いと扇子1本で、聴き手を納得させないといけない。そこが「想像芸」の面白いところだ。稽古会では仲間から弱点をビシッと突っ込まれた。とにかく稽古に夢中で、指摘を受けるまで肝心なことに気付かなかった。
昼どきなので稽古前にチョイト、JR新宿駅近くの天ぷら屋に飛び込んだ。思っていた以上に待たせた。時間がない、早く願いたい。カウンターの目の前で揚げてくれんのはいいが、海老が2本出たところで、次がなかなか出て来ない。メシを食ってる最中に、箸が止まっちゃあしょーがない。
▼堅物の息子を女郎屋へ
おかげで稽古の時間に遅れちまった。開口一番を務めた。演目は「明烏」。この噺は落語好きなら誰でも知っている艶笑噺。真面目一本の堅物息子を案じた親父が、町内の札付きの遊び人・源兵衛と太助に「吉原へ連れてってくれ」と頼む。
2人はガッテン承知の助と快諾。お稲荷さんに尾籠(おこもり)に行くと偽って、若旦那を誘い出す。「お巫女のうち」とウソをついた茶屋までは上手くいったが、おお店で、あの里特有の格好した女を見て、ここが吉原だとばれてしまう。
▼短く縮めるのが至難
あとは源兵衛と太助に茶屋の女将も加わって、丁々発止の大騒動。一夜明けて2人が帰ろううと呼びに行く。ところが、あれだけ吉原を嫌っていた堅物が帰ろうとしない。挙句の果ては???
この噺は40分近くの長い噺。素人がそのままやれば1時間近くかかる。それを20分に短縮してやろう、てんだ。半年前から取り組んでいるが、なかなか覚えられない。カットするのが至難の業。闇雲にぶった切ると噺がかすむ。どこをどう切るか30回以上、試みた。
▼若旦那の立ち位置違う
10日ばかり前にやっと、まとまった噺をみんなの前で披露し、感想を聞いた。いわく。源兵衛、太助と顔を合わす若旦那の立ち位置が違う。花道から出て来て2人に声を掛けるのだから若旦那は左を向いて話さないと、と助言。
さらに、相方の花魁が「若旦那、お起きなんし」と声を掛ける場面は、花魁が立って話している感じ。寝床で話しているなら、もうひと工夫欲しいところ、と指摘された。
▼言葉と仕草で情景を
このあたりが落語の難しいところ。高座の上から話す言葉と仕草で、情景を思い浮かべてもらう。どんな場面で、誰が、だれと何を話しているか想像してもらう。
その時、落語の友が言った。背を低くして両手で布団を持ち上げるふりをして話す。なるほど、これで寝ている場面が想像できる。この辺りが息の合った友との稽古会のよさである。
▼1月の初席「明烏」披露
もう一つ、大事なのは「目線」。源兵衛と太助は座って呼びかける。他方、若旦那と花魁は、まだ寝床の中という設定だ。目線が上から下と、下から見上げる違いを演じ分けることで位置関係が鮮明になる。
半年かけて練り上げた「明烏」を新春1月の初席、文七迷人会にかけるつもりだ。どんな「明烏」になるか、ご期待願いたい。
***********************
初春寄席
第18回文七迷人会
開演は1月16日(金曜日)午後6時30分。終演は8時30分予定。
演目は「明烏」のほかに、「大仏餅」「時そば」「宮戸川」「初音の鼓」。
このほか新春を寿ぎ粋な「三味線の弾き唄い」があります。
場所は東京・浅草の「茶や あさくさ文七」
オレンジ通り浅草公会堂並び
電話03-6231-6711 地下鉄浅草下車5分
料金は無料 ただし飲食代は別。
「茶や あさくさ文七」はここをクリック
http://www.localplace.jp/t000235240/
ここもクリック
http://profile.ameba.jp/asakusabunshichi/
落語というものは実に難しいものだ。何しろ手拭いと扇子1本で、聴き手を納得させないといけない。そこが「想像芸」の面白いところだ。稽古会では仲間から弱点をビシッと突っ込まれた。とにかく稽古に夢中で、指摘を受けるまで肝心なことに気付かなかった。
昼どきなので稽古前にチョイト、JR新宿駅近くの天ぷら屋に飛び込んだ。思っていた以上に待たせた。時間がない、早く願いたい。カウンターの目の前で揚げてくれんのはいいが、海老が2本出たところで、次がなかなか出て来ない。メシを食ってる最中に、箸が止まっちゃあしょーがない。
▼堅物の息子を女郎屋へ
おかげで稽古の時間に遅れちまった。開口一番を務めた。演目は「明烏」。この噺は落語好きなら誰でも知っている艶笑噺。真面目一本の堅物息子を案じた親父が、町内の札付きの遊び人・源兵衛と太助に「吉原へ連れてってくれ」と頼む。
2人はガッテン承知の助と快諾。お稲荷さんに尾籠(おこもり)に行くと偽って、若旦那を誘い出す。「お巫女のうち」とウソをついた茶屋までは上手くいったが、おお店で、あの里特有の格好した女を見て、ここが吉原だとばれてしまう。
▼短く縮めるのが至難
あとは源兵衛と太助に茶屋の女将も加わって、丁々発止の大騒動。一夜明けて2人が帰ろううと呼びに行く。ところが、あれだけ吉原を嫌っていた堅物が帰ろうとしない。挙句の果ては???
この噺は40分近くの長い噺。素人がそのままやれば1時間近くかかる。それを20分に短縮してやろう、てんだ。半年前から取り組んでいるが、なかなか覚えられない。カットするのが至難の業。闇雲にぶった切ると噺がかすむ。どこをどう切るか30回以上、試みた。
▼若旦那の立ち位置違う
10日ばかり前にやっと、まとまった噺をみんなの前で披露し、感想を聞いた。いわく。源兵衛、太助と顔を合わす若旦那の立ち位置が違う。花道から出て来て2人に声を掛けるのだから若旦那は左を向いて話さないと、と助言。
さらに、相方の花魁が「若旦那、お起きなんし」と声を掛ける場面は、花魁が立って話している感じ。寝床で話しているなら、もうひと工夫欲しいところ、と指摘された。
▼言葉と仕草で情景を
このあたりが落語の難しいところ。高座の上から話す言葉と仕草で、情景を思い浮かべてもらう。どんな場面で、誰が、だれと何を話しているか想像してもらう。
その時、落語の友が言った。背を低くして両手で布団を持ち上げるふりをして話す。なるほど、これで寝ている場面が想像できる。この辺りが息の合った友との稽古会のよさである。
▼1月の初席「明烏」披露
もう一つ、大事なのは「目線」。源兵衛と太助は座って呼びかける。他方、若旦那と花魁は、まだ寝床の中という設定だ。目線が上から下と、下から見上げる違いを演じ分けることで位置関係が鮮明になる。
半年かけて練り上げた「明烏」を新春1月の初席、文七迷人会にかけるつもりだ。どんな「明烏」になるか、ご期待願いたい。
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初春寄席
第18回文七迷人会
開演は1月16日(金曜日)午後6時30分。終演は8時30分予定。
演目は「明烏」のほかに、「大仏餅」「時そば」「宮戸川」「初音の鼓」。
このほか新春を寿ぎ粋な「三味線の弾き唄い」があります。
場所は東京・浅草の「茶や あさくさ文七」
オレンジ通り浅草公会堂並び
電話03-6231-6711 地下鉄浅草下車5分
料金は無料 ただし飲食代は別。
「茶や あさくさ文七」はここをクリック
http://www.localplace.jp/t000235240/
ここもクリック
http://profile.ameba.jp/asakusabunshichi/