扇子と手拭い

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達者な人がいるのもだ

2012-08-26 00:31:36 | 日記
▼昭和の名人勢ぞろい
 落語愛好会がある、ってんで25日午後、聴きに行ったところ、珍しい芸を見せてもらった。今は亡き昭和の人気落語家をまね、高座で次々にやってみせた。身振り手振りに、声色まで動員しての熱演に、思わず魅入ってしまった。

 「金明竹」を公演した若い女性は、最初から最後まで両手を膝に置いたままで何人もの登場人物を演じた。仕草にまで手が回らなかったようで、残念。

▼小三治らを超える工夫
 だが、“膝がわり”の「千両みかん」はよかった。手本にしたのは古今亭志ん朝の「千両みかん」だが、後半部分を演者が上手に手を加えていた。あたしもこの部分は、どうやればいいのかと悩んでいたので、大いに参考になった。小三治の「千両みかん」の仕草を見たが、似た動きの繰り返しで、参考にはならなかった。

 この日演じた人は動きに独自の工夫を加え、「千両みかん」を分かり易く演じてみせた。なるほどと思うところがあった。時として素人が、小三治や志の輔、志ん朝より噺をうまく構成することがあるものだ、と感心した。

▼飄々としてフラがある
 さてさて、最後に登壇した方は、雰囲気からして本職の噺家と見まがうほど。フラがある、ってんですかい。飄々として登場。客席を見渡し、両の手を前にお辞儀をするが、これが実にいい形。これだけで客席をつかんでしまう。この次、「何をやるんだろう」と期待を持たせる。

 形態模写。最初は五代目古今亭今輔。「この人は群馬の出身で、昔はアクセントにうるさかったので、古典落語一本では無理だといって、おばあさんが主役の新作、おばあさん落語やったところ、大ヒット。この方の声が砂利道、大八車ひくような声で出囃子が野毛山」と言って一旦、高座を降りる。

▼偉くなるには落語聴け
 CDの「野毛山」に合わせて、今輔になり切って登壇。二言三言しゃべるとドッと笑いが起きた。次は九代目桂文治。「今度、十一代目文治が出来るんですよ。桂平治さんが文治になる。9月21日から新宿末広亭で襲名披露公演が始まる」と、わが師匠のPRまでしてくれた。

 九代目文治の出囃子は、最初にゴーンと鳴るあの「野崎」。「吉田茂さん、あの方、落語が好きで偉くなった。偉くなろうと思ったら落語を聴かなくちゃあ。聴いてなれなきゃそれまで」、と文治の語り口で紹介し、笑いを取った。

▼目線を移し、巧みな言い回し
 こんな調子で、「正札附」に合わせて六代目三遊亭圓生を、「お前とならば」で五代目春風亭柳昇を、「さつま」で五代目春風亭柳朝をと、昭和の時代にその名を遺した噺家10人を巧みに再現した。

 顔の表情を微妙に違え、目線を移し、巧みな言い回しで10人を演じ分ける様子は只者ではない。相当な落語通である。もっと聴いてみたかったが、持ち時間が20分らしく、さわりだけで終わったのが名残惜しい。それにしても世の中、達者な人がいるのもだと感心した。

意欲のなさにビックリ

2012-08-21 20:20:39 | 日記
▼盛り立てる落語協会
 住吉踊りの前に高座に上がった落語協会前会長の鈴々舎馬風は、「落語界にもスターが必要」と言って、若手3人の名前を挙げた。この春、一足先に真打襲名披露した春風亭一之輔と、今秋、真打昇進が決まっている古今亭朝太、古今亭菊六の3人である。(敬称略)

 「芸に厳しい(現会長の)小三治が認めた者たちだ。間違いなく伸びる」と馬風。他の寄席の席でも幹部たちが3人の襲名に触れるなど、協会挙げて後進を盛り立てている。

▼主役が自ら司会役
 それに比べ、19日の桂平治改め十一代目桂文治襲名披露のお練りにはビックリした。「桂文治」といえば、東西落語界の「桂の宗家」。文字通り、大名跡の襲名である。当然、協会幹部が羽織、袴で勢ぞろいし、豪華に繰り広げるのかと思いきや、さにあらず。会長の桂歌丸は浴衣姿であいさつし、周囲を驚かせた。しかも、司会をこの日の主役である羽織、袴姿の平治自らが務める始末。

 芸協には、他に司会進行を務める者はいないのか。所轄署への道路使用許可の申請も、多忙な中、本人が何度も足を運んだという。主役は何もせず神輿に乗っているだけで、周りの者が神輿を担ぐのが普通ではないか。これでは、あまりにも平治が気の毒だ。

▼意気込み、結束力
 会長の歌丸は6月に3度目の腰部脊柱管狭窄症の手術を受け、入院していたので無理は出来ない。だが、芸協には「笑点」で名を知られた三遊亭小遊三、春風亭昇太ら人気落語家もいる。それらのメンバーが平治と伴に人力車に乗ってお練りの列に加われば、観客動員も違った形になったかも知れない。今回のお練りは、低迷続きの芸協にとって、またとないPRの機会だったハズ。生かさない手はない。大名跡の襲名は協会が総力を挙げて取り組むべきイベントではないのか。


 お練りは初めてと芸協はいうが、分からなければ、調べればいい。経験者に聞けばいい。落語界でも数年前に、落語協会の林家正蔵が浅草で盛大に繰り広げた。歌舞伎の世界では恒例。こちらは、元締め松竹が総力を挙げて取り組むので、襲名披露もお練りも手慣れたものである。

▼格差縮小など夢物語
 物事は取り組む姿勢で結果が大きく変わる。今回の一件で、芸協と落語協会の意気込み、結束力の違いを見た思いがした。それにしても芸協の感性の鈍さ、意欲のなさにはガッカリさせられた。この分では、落語協会との格差縮小など当分ありえない。

納涼住吉踊り

2012-08-21 13:34:25 | 日記
▼吉例 納涼住吉踊り
 東京の夏の風物詩としてすっかり定着した浅草の「納涼住吉踊り」を観に行った。折しもこの日(20日)は千秋楽とあって盛り上がりも最高潮。そろいの浴衣に赤いたすき掛け姿の落語家ら総勢40人が、次々に繰り出し、洒脱で粋な踊りを披露した。(敬称略)

 会場の浅草演芸ホールは、この日朝6時に静岡からバスでやって来たという団体客などで満席、立ち見が出る始末。この住吉踊りは古今亭志ん朝がファンサービスとして始めたもので、8月の中席(11日ー20日)に限り、毎年、同ホールで開催している。

▼両協会の混成チーム
 主催は落語協会だが、志ん朝が踊りの指導を仰いだ雷門助六(八代目)が落語芸術協会(芸協)所属だったため、桂小文治ら芸協所属の噺家も多数、顔付けしている。定席での両協会による混成出演はここだけ。出演メンバーは1年を通して稽古しているとあって、「奴さん」「伊勢音頭」「かっぽれ」などで息の合った見事な踊りを見せた。

 この後、住吉踊りの座長を務めている金原亭駒三の音頭で出演者、観客全員で景気よく三本締め。駒三の話によると、2001年のこの日、8月20日が志ん朝最後の高座だったそうで、その年の10月1日、惜しまれながら63歳の若さで彼岸へ旅立った。


平治師匠が お練り

2012-08-01 12:31:30 | 日記
 今秋の十一代目桂文治襲名に先立ち、平治師匠が8月19日の日曜日、東京・新宿で縁起物の「お練り」を行う。午後1時に新宿・末広亭前を出発し、周辺を練り歩く。

 大名跡の襲名とあって、落語芸術協会挙げての「お練り」となりそうだ。型どおり人力車に乗って登場するのかなど、詳細は未定。

 すでに四谷警察署から道路使用の許可も取ったということであり、当日は「お練り」の熱気で新宿周辺は盛り上がりそうだ。