扇子と手拭い

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噺の後の解説が楽しみ(落語2-38)

2011-02-28 00:04:40 | 日記
▼廊下の障子を取り外す
 紅白の梅が咲き競う庭園を望む東京・目白の「赤鳥庵」で27日午後、平治師匠の赤鳥寄席が開かれた。相変わらずの人気で座敷に入り切れず、急きょ、廊下のふすま障子を取り外し、客を座らせる始末。

 師匠はこの日、「道灌」「長屋の花見」「蛙茶番」の三席を披露した。これに先立ち、前座の春風亭昇々が「4月から二つ目になります」と客席に報告、さっそく、「湯屋番」で一席うかがった。が、その後、高座に上がった平治師匠から歌舞伎芝居のくだりで物言いがついた。

▼歌舞伎は落語の必須なのだ
 ドキドキしながらわきで聴いていた。福助の名が出て来たので、知ってるかい、と聞いたら「知らない」と言うので、「落語をやるには歌舞伎を観なくちゃあいけないよ」と言っときましたと師匠。

 そんなことを言いながら、師匠は昇々をたいそう可愛がっている。赤鳥寄席では毎回のように昇々を前座に起用、実践の機会を与えている。師匠の思いが通じたのか、昇々は回を重ねるごとに噺が上手くなっている。

▼微妙に違う噺の筋立て
 この落語会の楽しみは、噺の後の解説である。この日は、同じ演目でも噺の筋立てが柳家と古今亭、そして師匠たちの桂では微妙に違う、という話を実例を交えて教えてくれた。寄席に行ってもそこまでは気づかなかった。これからは噺の聴き方が変わってきそうだ。

 「間」と「伸び」についての話も勉強になった。古典落語は極力、無駄を省いている。「そこでそのー」などという言葉が入ると、笑いたくても笑えない。だから、間違っても「いわゆる」なんぞと言う言葉を口走ってはいけない。「えー」や「あー」の乱発も同じで、せっかくの粋な落語が冷えてしまうというのだ。

▼聴かせて、見せる落語
 「蛙茶番」。これは私の少ない持ちネタの一つだが、平治師匠の噺は随所にクスグリがあり、聴いている客が噺の渦に引き込まれていく。さすが文化庁芸術祭賞の受賞者である。師匠の「蛙茶番」は聴かせると同時に、見せる落語でもある。

 建具屋の半次が「コッ、コッ、コッ、見てくれ、、見てくれ、見てくれ」と、威勢よくパッと尻端折りする場面。ここで素早く、手に持った手拭いを口に咥え、両の手で着物の裾をたくし上げ、正面を切る。歌舞伎の仕草である。粋なものだ。「往来で何てことすんだよ。分かったから早く(裾を)下ろせ」と慌ててとりなす兄貴分。これだけで伝法でひょうきんな半次の姿が目に浮かぶ。

 次回の赤鳥寄席が待ち遠しい。

大切な場の雰囲気つくり(落語2-37)

2011-02-26 18:28:58 | 日記
▼舞い込んだ大きな知らせ
 昨日は関東地方に春一番が吹いたそうで、わが家も夜中に雨戸がガタガタ音を立てていた。そんなところに、大きな知らせが舞い込んだ。チューリップ祭り(千葉県柏市・あけぼの公園)の出演が正式に決定した。この祭りは毎年、期間中の2日間で関東各地から10万人以上の入場者を迎える大変な催し。早々に文七迷人会のメンバーに知らせた。

 広大な敷地の土手には白梅、紅梅がいまを盛りに乱舞し、見事な花や蕾を付けている。ここは別名、花公園と呼ばれるほど四季を通してコスモス、ユリ、アジサイ、シバザクラ、ナノハナなどが咲いている花の楽園。チューリップ祭りは入場無料とあって、昨年は東京などから12万人が訪れたという。

▼資料館の「こけら落とし」
 中央の芝生広場前の特設ステージでは、デキシージャズや詩吟、チアガール、日本舞踊、ブラスバンドなどのイベント。今年のエントリーは3月1日からだという。文七迷人会の落語会「わかば寄席」は、これらとは別に公園内の資料館で開催する。現在は改装中で「わかば寄席」は、新装なった資料館の「こけら落とし」(公園担当者)というわけである。大変な役回り。2日間とも2部構成で、第1部は午前11時から12時30分。昼食時間を挟んで第2部は、午後1時30分から3時30分を予定している。

 物事は何でもそうだが、「場の雰囲気」というものがとても大切である。ジーンズ姿で落語をしゃべっても様にはならない。聴いてる方だってピンとこない。「趣味の世界で適当に遊んでいるな」と感じるに違いない。やはり高座は着物をきて、帯をきちんと締めて上がらなくてはいけない。落語の学校「花伝舎」で足袋を忘れたり、雪駄をはいてない受講生を師匠が厳しく注意した。姿形が整っていると、自然に気持ちが引き締まる。

▼お客の前に出るのだから
 2009年秋の落語芸術協会の「落語まつり」で桂平治師匠と楽屋をともにした。その際、師匠が着替えの前に電気カミソリで、しきりにひげを当っていた。伸びてもいないのにどうして?と師匠に尋ねた。「これからお客さまの前に出るのですから。私のクセなんです」と師匠。プロ根性を見た思いがした。間違っても、無精ひげなど生やしたままで高座に上がるものではない、と言ってる気がした。青々と剃り跡も鮮やかなサッパリとした姿は、いかにも心地よく、見る者に清潔感を与える。

 身だしなみは個々の出演者が整えるとして、まずは寄席らしい会場の雰囲気つくりである。高座は客の目線と同じではいけない。最低、膝一つぐらいは高くなくては、演者の動き、仕草が見えない。以前、高座を白い布で覆われたことがあったが、はたから見ると棺桶の上に乗っかっているようで落ち着かない。やはり、ここは赤い毛氈がいい。なければ赤い毛布でも可だ。

▼めくり台作ってあげる
 落語会に欠かせないのは「めくり」。出演者の名前を書いた垂れ幕だが、高座のわきに「めくり」があるかないかで、会場の雰囲気は随分違う。そんな話をしたら、「じゃあ、ウチでめくりの台を作ってあげる」と公園担当者。有難い。さっそく「高さ1㍍30㌢、幅30㌢でお願いします」と注文した。座布団、落語用の特製は値が張るので家庭用で代用する。最後の雰囲気つくりは出囃子である。これはCDを持参するのでCDラジカセがあればOKだ。

 赤い毛氈の高座のわきに「めくり」が立つ。出囃子に乗って登場、となる。ここで拍手が来れば、「場の雰囲気」は完璧。あとは皆さんに楽しんでいただける噺が出来るかどうかだ。2日続けての公演は初めてだけに、楽しみである。

落語とミュージシャン(落語2-36)

2011-02-24 23:51:32 | 日記
▼開演前から長蛇の列
 桂平治師匠とミュージシャンとのコラボ「創遊・楽落らいぶ」を聴きに行った。東京・上野の東京文化会館は平日だというのに開演前から長蛇の列。めずらしい取り合わせに加えて、500円という料金の安さが人気を呼んだようだ。

 会場が同会館小ホールというので、座席もせいぜい100か200程度だろうと思ったら、何と650席もあった。小どころか大ホールだ。2月22日午前11時の開演なので10時35分ごろ着いたところ、曲がりくねって長い列が続き一瞬、どこが最後尾か分からないほどだった。満席である。

▼出囃子に代わりギター
 最初にギター、フルート、ウッドベースによる「ス・ワンダフル」「黒いオルフェ」などボサノバ調の軽快な演奏が、トークを交えて4曲続いた。ひと呼吸置いたところで、舞台袖から平治師匠が紋付姿で登場。いつもの出囃子に代わり、この日はギターとベースの演奏が迎えた。

 東京文化会館と花伝舎の共催による音楽と落語のコラボレーションは、「ことしで7年目を迎えた」と師匠。第1回目に出演したのが平治師匠だったそうで、この日が2度目。そんないきさつをマクラで振った後、落語「味噌蔵」を披露した。

▼落語と楽器のコラボ
 この噺は、味噌蔵のドケチな旦那の留守中に、使用人たちが日ごろの憂さ晴らしに豪勢な酒宴を開く、という愉快な落語。支払いの勘定をごまかす場面で、番頭が「ドガチャカ、ドガチャカ」と算盤をはじくのに合わせて、マラカスがガシャガシャと鳴った。

 ほかにも何カ所かでギターなどが奏でられた。落語の最中に楽器で音を奏でるのは初めて聴いた。だが、私は、この演出はあまり好きではない。やはり演奏は演奏、落語は落語と別にやった方がいい。

▼落語は話芸、想像芸
 落語は話芸だ。噺の中に登場する太鼓や笛の音も噺家が擬音を演じて聴かせる。落語は想像芸でもある。客は噺家が演じる擬音を受けて、「なるほど今、太鼓をたたいてんのか」などと、頭の中で太鼓の絵と音を思い浮かべるという寸法だ。古典落語の「火焔太鼓」や「片棒」など楽器が登場する噺は多い。

 別にコラボにケチを付けようというのではない。私は別々が好きなだけで、新しいことにチャレンジするのは結構なことだと思う。いろんなことに挑戦する中で、思ってもみなかったような新しい発見に出会すかも知れないからである。

 平治師匠の「味噌蔵」、楽しかった。

それ以上言っちゃあいけない(落語2-35)

2011-02-23 22:19:10 | 日記
▼まさかの大阪への出前
 私たちの落語集団「文七迷人会」に出前寄席の注文が来た。「大阪で一席やって欲しい」。確かに、「どこでも出演料無料で出前寄席を配達します」と言った。が、まさか大阪への出前までは予想していなかった。

 依頼の主は東京・渋谷に本部を置く「長沼静きもの学院」。受講修了に伴うイベントとしてのリクエストだ。しかし、東京-大阪は新幹線代だけでも片道で14050円。自宅からのバスや地下鉄代を含めると往復3万円を超える。勤め人を卒業した者には荷が重い。

▼新幹線代だけは出す
 3万円払ってタダで落語をやるほど人間がこなれて?いない。断ると「新幹線代だけは出すから」と言うので受けた。去年まではプロのタレントが登場したが、昨今の経済情勢も手伝った上に、「文七迷人会」が出演料無料ということで、白羽の矢が立ったようだ。

 出番は午後1時40分、と聞いていたが、後になって「午前11時からリハーサルがあるので出てもらいたい」と長沼の担当者。リハーサルといっても、修了式典で司会者がどこでしゃべるか、乾杯はいつ程度のことだ。落語を話す私が行くことはないのではと説明したが、担当者はどうしても出てくれ、と言ってきかない。

▼ホテル代自前で大阪入り
 そうなると、自宅から東京駅までかなりの時間を要するので、前日から大阪入りするほかない。ホテルについて質すと「新幹線代のみ」。仕方がないので自分でホテル代を払い、当日は午前10時30分過ぎに会場の太閤園入りした。

 午前11時に長沼側の大阪の担当者と対面のハズだが、待てど暮らせど現われない。30分以上経過して太閤園の方に捜してもらい、やっと姿を見せたかと思うと、「リハーサルは12時と東京から変更の連絡があった」と平然と話した。

▼お祝いの言葉で注文付ける
 この瞬間まで全く知らされていなかった。その上、あいさつのひと言もない。失敬な話だ。出演料を払って“買った”タレントならいざ知らず、無料で出てもらう者には「よろしくお願いします」ぐらいの言葉があっても、罰は当たらないのではないか。着付けだ、なんだ、といいながら、礼儀をわきまえない態度には驚いた。

 東京の長沼の本部ではこんなことがあった。落語を話す前に「ひと言、お祝いの言葉を述べてもらいたい」と注文。さらに「受講生はキチンとした方ばかりだから、失礼のないように」ときた。オイ、オイ、勘弁してくれよ。余りに無礼な言動に「それ以上言ったら、アナタの値打ちが下がるから言っちゃあだめだよ」とたしなめてやった。大変な目にあった。出前寄席はこちらが言い出した話なので今回は受けたが、この類は二度と御免である。

大盛況に、ご来場御礼(落語2-34)

2011-02-23 12:33:43 | 日記
▼3回続きの大盛況
 2月18日午後6時30分から東京・浅草の茶や・あさくさで開催の第3回文七迷人会。今回も大変な盛況で、遅れてやって来た客は席を確保するのにひと苦労。早々に「次回はいつ?」と聞かれ、出演者一同、感激に打ち震えた!?! まずは、ご来場御礼。

 今回は過去2回より30分遅い6時半の開演とした。「なるべく遅くしてほしい」、との客の要望を受けたものだが、6時過ぎには来場者が次々と訪れ、瞬く間に座席の半分が埋まった。狭い楽屋は着物に着替える出演者でごった返した。

▼麻の葉模様に矢絣
 開演前にぼて助さんが「お約束の品です」と言ってチラシをテーブルの上に出した。出演者の出番表である。見事なカラーのパンフに「これはすごい」と周りで声が上がった。淡い鶯色の麻の葉模様の背景。その左下の3割ほどは薄紫の矢絣(やがすり)があしらってある。

 B5サイズに縦書きで第3回文七迷人会と大書してあるそばに、濃い紅色をバックに真っ白な扇の写真が縦2㌢、横3㌢角で載っている。彼はお得意のパソコンで仕上げたという。左右の人差し指だけでキーボードを押している身には、ぼて助さんが天才に見えてしまう。

▼玄人はだしのゲスト
 この日は花伝亭一門6人のほか、初めて迎えたゲストを含め7人が出演。トリを取ったせん公さんは羽織も黒の正装でさっそうと登壇。むつかしい芝居落語の「権助芝居」を、息もつかせないほど見事にやってのけた。「上手い。素人離れしている」と客席の声。

 毎回、欠かさず聴きに来ていただいているお客さまは「今日が一番良かった。たっぷり楽しませてもらいました」とおほめの言葉をいただいた。玄人はだしのゲストが出演するというので、メンバーたちはいつも以上に張り切ったようだ。

 私たち文七迷人会は花伝亭にとらわれることなく、今後も実力派のゲストを迎えて、技量を磨きたいと考えている。