扇子と手拭い

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学生落語家の人材発掘が狙い

2016-10-31 19:56:44 | 落語
 この季節は学園祭のシーズンだ。今回は明治大学を訪ねた。目的は落語の人材スカウトである。あたしの主催する落語会は社会人が主体。いつも同じパターンだと飽きられると思って学生噺家に来てもらった。

 立教大学4年の女の子。これが大受けに受けまくった。感心するくらい腕がいい。随所で笑いを取った。これにすっかり味を占め?スカウト行脚となった次第。

 新宿から京王線で5分の明大前で下車。明大はお茶の水が本校だが、こちらは1、2年が学ぶ和泉校舎。駅前は「明大祭」に行く人で混み合い、大変な騒ぎ。

 正門前でもらった分厚い会場の案内誌を頼りに、どうにか落語会場の「第一校舎314教室」にたどり着いた。学生ら若者に交じって社会人もかなりいた。午前中の開演だがあたしは午後に伺った。

 4月に落研入部の1年生が「花色木綿」を披露。仕草や間はこれからだが、楽しい落語だった。それにしても派手な着物でオレンジ色だ。

 唯一、はかま姿で現れた2年生が演じた「ちりとてちん」はなかなかのものだった。この落語は数年前にNHKがドラマ化し話題となった。

 これがきっかけで本職の噺家になった人間が何人もいる。そんな「ちりとてちん」を2年生のはかまは独自の工夫を凝らし演じた。見事だった。

 トリを取ったのは落研部長の2年生。かけた演目はなんと、あたしがこれから稽古しようと思っている「火焔太鼓」である。古今亭のオハコ。古典落語の名作だ。

 つい聴き入った。うまい!途中から持参したICレコーダーで録音。元のネタは志ん朝だと思うが、随所に独自色をほどこしている。これがまた、ズバリはまっているからニクイ。

 あたしなんぞは、志ん朝師匠の噺を覚えるのに精いっぱいで、とてもオリジナルまではいかない。学生落語は文句なしに楽しめる。下手なプロよりよっぽど愉快だ。

 彼らの「ちりとてちん」と「火焔太鼓」が登場したら、とてもあたしはかなわない。

「目線が合う」と言うこと

2016-10-30 23:39:37 | 落語
▼「目線が合う」と言うこと
 先日の落語会の打ち上げは痛快だった。大盛会だったこともあるが、「目線が合う」仲間との語らいは、何ともいえない満足感がある。落語談義は一方通行だとつまらない。一方が話し、片方が聞くだけだと、そのうちに会話が途切れる。「目線が合う」ということは、実に愉快で楽しい。

 Aさんとは以前、都内で別の落語の稽古会に参加していた。事情があってAさんが抜け、次いであたくしも退会した。その後、Aさんは千葉で師匠について落語を習う一方、三味線の稽古に励む。久しぶりに「木遣りくずし」を聞いたが、粋な音色だった。

▼志ん朝名入りの手拭い
 隣席のBさん。この人もAさんに劣らないほど落語に詳しい。あたくしは落語のカミシモを、Bさんに直してもらっている。あたくしが古今亭志ん朝の“信者”だと知るAさんが、志ん朝名入りの手拭いをくれた。有難いやら、嬉しいやらで、感謝感激、雨あられ。

 いきなり志ん朝落語で場が盛り上がった。「志ん朝は早口だが、言葉の切れがいいのでよく聞き取れる。だが、他の人がマネしてもとても無理。聞き取れない」とAさん。全くだ。本寸法の江戸弁を話す志ん朝が30分でやる噺をわれわれがやれば、40分以上はかかる。流れ、テンポがついていけない。

▼みんな落語が好き
 落語論議がだんだんと佳境に入ると、3人ともビールを飲む手が止まり、話に熱中。時間が経つのも忘れるほど、議論に集中した。みんな落語が好きなのである。心の底から落語を愛している連中ばかりだ。

 Aさんは以前、こんなことを言った。「私は、自分が客になったつもりで楽しめる人でないと(稽古会を)いっしょにやる覚悟はない」。そして、具体的な条件として次のことを挙げた。

▼「落語」らしくなって
◎寄席、独演会などたくさんの落語を聴いている人。
◎落語を愛し、意見を持っている人。
◎落語と真剣に向き合い、稽古に努力を重ねる人。
◎高座に一生懸命さが感じられる人。そして、
◎最小限、話が「落語」らしくなっていること。

 全く同感である。100%異議なしだ。あたくしは落語と出会って、本当に人生が変わった。落語を習い始めて今年5月で、ちょうど5年目を迎えた。まだ、ほんの駆けだし。登山に例えると2合目、いや、1合目に差し掛かったところか。

▼落語論議に充実感
 年々、暗記力は衰えるが落語の楽しさを知れば、覚えるのが苦痛だと思ったことは一度もない。3、4カ月かかってハナから終いまで話せた時は、「やった!」という感じで、自分なりに達成感がある。一度、通しでやれたら、「何とか行けそうだ」と自信がつく。

 落語は高座に上がって、客に落語を披露することが一番だが、終わった後、落語仲間と一杯やりながら、「ああでもない。こうでもない」と落語論議を交わすのが楽しみだ。仕事をしていたころには味わえない、独特の充実感がある。そこには損得や、利害がないからかもしれない。

 Aさんも加わり目線が合う者同士で、中身の濃い稽古会を開きたいものだ。

いぶし銀の噺家 「桂小文治」

2016-10-30 07:56:01 | 落語
▼誘った2人も大喜び
 「小文治 十八番 創りの会」を聴いた。実によかった。小文治師匠は上手い。実に巧みだ。まじめな性格が落語に表れている。話が丁寧なうえに、今でも日本舞踊を習っているので女性の表現が細やかだ。いぶし銀の噺家「桂小文治」。会場のホールはほぼ満席だったが、もっと、もっと売れていい噺家だ。

 今回はいつも私たちの無料落語会で世話になっている2人を誘った。1人は落語が好きなカフェラウンジの責任者。後の1人は落語を知ったのは私たちの落語だと言う若者で、ポスター作りを手伝ってもらっている。

 節目の50回記念の独演会はゲストにナイツのほか、午後6時30分の開演と同時に前座、昇市が「桃太郎」を、二つ目の昇々が泥棒噺の「鈴ヶ森」を高座にかけた。

 そのあと師匠が「かつぎや」を一席披露した。かつぎやと言っても荷物を担ぐのではない。縁起担ぎのめでたい噺である。ここで一息入れ、「中入り」。

 後半は漫才人気ナンバーワンのナイツが登場。時事ネタを巧みに盛り込んで笑いを取った。そして最後は師匠の「御神酒徳利」で締めた。この噺は、かつて三遊亭圓生が昭和天皇の前で披露したという落語だそうだ。

 小文治師匠は初春らしい噺をと、めでたい「御神酒徳利」を高座にかけた。この噺、寄席では前半だけの10分―15分程度で終いだが、この夜は最後までたどり着いた。1時間近くの長講だ。

 2人に感想を聞いた。「面白くてクセになりそう。これからは落語を聴きに行きます」と若者。ラウンジの責任者は「鈴ヶ森」について「最初のマクラでドカーンと観客の心をつかんだ。途中、携帯が鳴ったが、それを噺に巧みに織り込んで、笑いを取っていたところがすごいと思った」。

 「御神酒徳利」は「素晴らしいの一語に尽きる。一人一人の登場人物の雰囲気を作りながら物語を進めた。噺に引き込まれた」と満足気だった。

 桂小文治の「御神酒徳利」。これぞ落語、と言うものを聴かせてもらった感じがした。

吉原の花魁、高尾に一目惚れ

2016-10-30 00:51:08 | 落語
 立教大学の大学祭「セントポール・フェスティバル」に行った。若い落語仲間が4年生で、落語会に出演するので応援に駆け付けたという次第。

 天候にも恵まれ、構内は人、人、人で大変な賑わい。落語を聞く前にまず腹ごしらえをと、学生食堂を目指した。注文の仕方が分からないので近くの女子学生に聞いた。

 好きなメニューを選んで自販機でチケットを買うのだとわかった。「かた焼きそばのあんかけ」が何と380円だった。カレーやラーメンがほとんど200-300円台で食べられる。

 とても天井が高く、映画ハリーポッターの一シーンを思い出すような立派な建物だ。こんな場所で毎日、安い値段で食べられる若者は幸せだ。私ももう一度学生に戻りたい。

 さて肝心の落語会。朝の10時半から午後4時30分まで延々とやっている。落語研究会(落研)のメンバーが交代で高座に上がる。私は午後2時前から聴いた。

 学生落語は独特の面白さがあって楽しい。中でも注目したのが「紺屋高尾」と「時そば」。「紺屋高尾」は古典落語の名作で、紺屋の真面目な若い職人が、吉原の花魁、高尾に一目惚れする噺だ。

 3年の間、身を粉にして貯めた十両のカネを懐に、夢にまで見た高尾に会いに行く・・・。女の子がこんな郭噺をやれるのかと心配しながら聴き入った。が、そんな不安は無駄骨だった。

 高尾太夫の落ち着いた、ゆったりとした語り口調が実にいい。聴いているだけで気持ちが和んだ。こんな心安らぐ「紺屋高尾」を聴いたのは初めてだ。素晴らしい出来だった。

 「時そば」こちらは落語の定番だ。だから、演じるのは難しい。私もこの噺は高座にかけたことがあるが、負けた。負けました。一瞬驚く仕草。目の動き。それに何より間がいい。ゆとりを持って落語を話している。さすが落研の会長さんだ。

 いい勉強になった。落研のみなさん、ありがとう!

振り分けの行燈と対面2

2016-10-29 11:35:50 | 落語
▼中年夫妻と足湯で対話
 歩きづめで、くたびれたと思っていたら、足湯にぶつかった。温泉の温度は少し熱めだが、これが返って疲れた足に心地よい。すっかりくつろいでいると中年の夫婦が車から降りてやって来た。

 「どちらからですか」のひと言から、会話が弾んだ。天童市は温泉と将棋以外にこれといった観光がないのによく、これだけたくさんホテルがあるな、と感心していたら、2人がわけ(理由)を教えてくれた。

 サッカーのモンテディオ山形が試合をする際、各地から対戦チームと一緒にサポーターがドッとやって来るのだそうだ。それで、ホテルラッシュとなった。サッカーの経済効果は大したものだ。

 そんな会話をしているうちに、「それではお先に」と夫妻が足湯から抜けた。車から戻ってきたカミさんが「どうぞ」と言って、饅頭をくれた。多分、みやげに買った温泉饅頭のようだが、“おすそ分け”の「気持ち」がうれしい。感謝しながらいただいた。

▼上手いそば屋はどこだ
 山といっても標高242㍍の舞鶴山にある建勲神社のつつじ祭りを見に行く。辺り一面にオレンジ色のつつじが咲いていた。八重桜も負けずに、今を盛りに見事な開花。

 急に腹が減って来た。今朝がた、ホテルの女の子に教えてもらった上手いそば屋に行くことにした。すぐそばのはずがずいぶん遠い。改めて地図を開く。山の反対側に下りたため、道を間違えた。それでも何とか、目的のそば屋「大久保」にたどり着いた。空腹だったので「板そば」の大盛りを頼んだ。

 
 目の前のそばに驚いた。量が半端ではない。濃いめのタレにチョイト付けて食った、食った。しかし、まだ半分も食べていない。友人を見ると黙々と食べている。それならオイラも、と食を再開。

▼山形のそばが食べたい
 私は10年ばかり前、蔵王を旅した時、食べたそばの味が忘れられず、もう一度、あの、「おいしい山形のそばが食べたい」と思い、「地元の人が行く上手いそば屋」を紹介して欲しいとホテルで頼んだ。「お女将さん推薦の店です」と女の子が教えてくれた店が「大久保」だ。

 なるほど、確かに上手い。麺の腰がしっかりしていて、タレも私の好みだ。年代を感じさせる入母屋造りの店の雰囲気もいい。広い店内はほぼ、客で埋まっている。だいぶ食ったがまだ、四分の一ほど残っている。凄いね、まだある。

▼そばの量にビックリ仰天
 ここまで来たら完食にチャレンジだ。友人がやっと食べ終わった。私も2着でゴール。「大変な量だったな。こんなにあると思わなかったよ」と2人で笑った。
 2、3口たぐるとなくなる名ばかりのそば屋は別にして、通常のざるそばの4、5人前はあったような気がする。それでいてお代は700円だというから、嬉しくて泣けてくる。ただし、次回は「並み」を注文する。

 悪友との2泊3日の弥次喜多道中は、あっという間に時が過ぎた。





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