扇子と手拭い

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前代未聞の企画

2014-07-31 11:33:05 | 日記
▼初のお披露目落語会
 止んだかと思うとまた、いきなり、滝のように降ってきた。激しい雨だった。そんな中をたくさんの客が来てくれた。お披露目落語会と銘打った第16回文七迷人会は19日夜、東京・浅草に迷人会の一門が参集して開催した。社会人落語家としては、前代未聞の企画だけに祈る思いだったが、大盛況のうちに幕を閉じた。

 午後7時、出囃子が鳴り、開演というところで、再び激しい雨となった。そこへゆかたを着た若いカップルが駆け込んで来た。2時間ばかり前に、近くを歩いていたので声を掛けた。「行きます」と言ったが多分、リップサービスだろうと思っていたら、来てくれた。

▼なぞかけに戸惑い
 よく顔を見せてくれた。落語を聴くのは初体験だが熱心に聴いてくれた。「うなぎ屋」「棒だら」の後、あたくしが「代書屋」を一席伺ったところで、この日のメインイベントである披露口上となった。

 主役のAが高座に上がり、残る出演者4人が高座の前に並んだ。新加入を祝ってみんなでなぞかけをやった。初めてだけに一同、面食らった表情だったが、そこは日ごろ鍛錬している社会人落語家。戸惑いながらも、なんとか乗り越えた。

▼あれが文楽のオンだ
 黒の着物に黒紋付き姿のAが披露口上を終えると拍手が沸いた。続いて、孫が壇上のおじいちゃんに花束を贈呈。再び大きな拍手が鳴った。最高潮に盛り上がったところで、江戸落語の伝統に従って「それではお手を拝借」と、全員で威勢よく手締めをした。

 5分の中入りの後、「豆や」に続いてトリを務めたAが八代目桂文楽のオハコ「夢の酒」を披露した。会場全体で聴き入っている。落語通が言った。「噺の端々にチラッと文楽が顔を覗かせる。あれが文楽のオン(音)なんです。口調なんです」と感心していた。

▼棟梁のヒバのチップ
 あっという間に2時間が過ぎた。84歳になる元大工の棟梁も顔を見せてくれた。あたくしを見つけると、背中にしょったパンパンに詰まったリユックを降ろし、チップを取り出した。青森ヒバの木片で、怪我をしないように、ひとつひとつ丁寧に縁を丸めてある。

 ヒバは木の香りがいい上に健康にもいいそうで、わざわざ持って来てくれたのだ。ほかに手作りの長い箸もたくさんいただいた。そばを茹でたり、天ぷらを揚げる時に使える便利な箸だ。出演者のほか、席亭にも配った。

▼難点は高価なところ
 青森ヒバの主な産地、白神山地は1993年12月11日、日本初の世界自然遺産として登録された。以後、動植物の生態系を崩すとして伐採禁止となった。ヒバは天然の抗菌成分により耐久性は抜群。

 ヒバを素材として建立した代表的な建造物が中尊寺金色堂である。シロアリが寄り付かないので住宅建材として重宝されているが、難点は高価なところだ。

▼玄関や寝室の隅に
 棟梁のヒバは、世界遺産の登録以前に伐採した樹齢300年以上経過した樹木。この香りには「心をリラックスさせる癒し効果がある。チップを箱か何かに入れて、玄関や寝室の隅に置いておくといい」。木の香りはいつまでも持続する。貴重なお土産をいただいた。

 また、披露口上の記念品として、Aから出演者に「本染めの手ぬぐい」が贈られた。ともに、大事に使いたい。



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