扇子と手拭い

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ユーモア心得たお譲さん

2015-06-27 18:10:04 | 落語
「寄席の1日」を解説
 最後に落語を習って6年が経つ。教えてほしい師匠がいたが、桂小文治塾は30人を超える大所帯。稽古をつけてもらうには人数が多過ぎる。今日まで独学でやってきた。そんなところに十一代桂文治師匠が落語塾を開くと聞き、門をたたいた。

 文治塾の冒頭で、師匠が「寄席の1日」について解説。真打が高座に上がる前に前座が務めるのを「開口一番」と言うが、これは演芸評論家の造語で、先代の文治師匠は「前座と言っても落語を話すのだからちゃんと落語、と書いた方がいい」と苦言を呈したという。

▼「なん、ぬかしゃーがる」と
 十代目の文治師匠は、生まれも育ちもチャキチャキの江戸っ子で、生涯、着物で通した粋な噺家だ。筋の通らない、曲がったことが大嫌い。道もまっつぐ(まっすぐ、と言わない)歩き、角まで来てやっと方向を変える? そんな折り目筋目を大切にする方だった。

 特に江戸言葉にはうるさかったらしく、大工の棟梁が威勢よく啖呵を切る場面。「なにをぬかしゃーがるべらぼうめ」などは、「なん、ぬかしゃーがる」と「なに」をハッキリ発音しないで、「ぬ」が鼻に抜ける感じでしゃべれ、と言われたそうだ。本寸法だ。江戸の話は「東京弁」で話すなというわけだ。いいね、こいうなー。

▼間合いよく、表情が豊か
 楽しい話を聞いた後はいよいよみんなの出番だ。最初に高座に上がった女性は「転失気」を披露。これが絶品の出来。もともとこの噺は笑いが多い噺だが間合いがよく、表情が豊かなので聴いていて、見ていて楽しい。あたしは笑い転げてしまった。

 続いて登壇したのは20代の娘さん。演目は「寿限無」。可愛い噺に仕立てていて、会場全体がホンワカとした雰囲気に包まれた。いいね、実によかった。彼女は台湾出身で、浜松の大学に留学中に学内で開いた落語会で文治師匠を聴き、落語の虜になったそうだ。

▼気付かないうちに本題に
 とても頭がいい上に、ユーモアのセンスがあるお譲さんだ。高座に上がると「まだキチンと正座が出来ない」といいながら、「私の名前の漢字は日本語にない字です。聞かれるたびに説明するのが大変なので、改名しようと思ったが、お父さん、お母さんが子どものことを思って一生懸命考えて付けてくれた名前だから、そのままにしました」と言いながら、気が付けばいつの間にか本題に入っていた。

 ご存知の方もいるかと思うが、「寿限無」は「じゅげむ じゅげむ ごこうのすりきれ かいじゃりすいぎょの・・・」と続く名前の噺。生まれた子が「元気で長生きできるように」と縁起のいい名前を全部付けた滑稽噺だ。落語を習ってまだ2か月だそうだが抜群のセンスをしている。

 こんなに腕のいいのが次々出てくると、後のあたしがやりにくい。長くなったのであたしの話しは次回に回すことにした。以下次号に続く。
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編注
 よく間違える人がいるのでミニ解説。桂小文治師匠は、文治師匠の兄弟子で文治師匠が「小文治兄さん」と呼ぶ関係。「小」が付いているから格下というわけではない。桂小文治という亭号は、落語界では大看板で大御所と呼ばれた噺家が多い。

1 コメント

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Unknown (Unknown)
2015-06-29 11:50:46
「転失気」をやりました者です。
お言葉いただき恐縮です。緊張ぎみでしたが楽しんでいただけたのでしたらよかったです。
今後共よろしくお願いいたします。
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