扇子と手拭い

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前例ない催しに関心

2014-07-31 11:31:26 | 日記
▼噺家の披露がヒント
 プロの噺家が真打に昇進すると、寄席で昇進披露が行われる。そこからヒントを得て、わが文七迷人会も新メンバー加入を祝って19日、東京・浅草の「茶や あさくさ文七」で、お披露目落語会を開く。社会人落語家としては前例のない催しに、早くも関心が集まっている。

 私たち社会人落語家集団「文七迷人会」は「茶や あさくさ文七」を定席にしており、今回で16回目を迎える。いつもと違ったことをやりたいと思っていたところ、噺家の襲名披露、昇進披露が頭に浮かんだ。

▼めったにない機会
 タイミングよく、Aさんがわれわれのメンバーに加わることになったので、お披露目をすることにした。当初、ご本人は「そんな大げさなことは勘弁して」と固辞したが、めったにない機会だからと説得、承諾を得た。

 Aさんの大のご贔屓は昭和の名人、8代目桂文楽。「黒門町の師匠」と呼ばれた文楽は、絶対に噺を崩さない。稽古に稽古を重ね、噺をきっちり腹に納めないと高座にかけない。とにかく几帳面な人だった。

▼もう一度、勉強し直して
 その文楽が、オハコの「大仏餅」を演じていて、どうしたことか途中で言葉に詰まった。「あたくしは、芝片門前に住まいおりました……」に続く、次の言葉が出ない。こんな時、ほかの噺家だったら、適当にごまかして先へ進む。

 ところが、絶句した文楽は「台詞を忘れてしまいました……もう一度、勉強をし直してまいります」と言って、高座を降りた。自分の不甲斐なさが、よっぽど悔しかったのだろう。以後、二度と高座に上がることはなかった。昭和46年(1971年)8月31日のことだった。

▼文楽のすべてが手本
 高座姿の上品なことと言ったらない。圓生も小さんも、この点では文楽にかなわない。こんなところも含め、文楽のすべてがAさんのお手本である。そういえば、雰囲気が何となく文楽に似ている、と落語仲間。

 その方が、私たちの文七迷人会に参加してくれるのだ。演目は、文楽が好んで高座にかけた「夢の酒」。粋な噺だ。楽しみである。


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