100㌔持ち上げる男
医者に勧められて週1、2回通っているスポーツジムにすごい親父がいる。100㌔を超すバーベルをベンチプレスで易々と持ち上げる。しかも1セット20回を5、6セットたやすくこなす。こちとらは、50㌔持ち上げるのも「やっとこせ」だ。
背筋もピンとして、腕回りは私の2倍強。筋肉隆々だ。これで、おん歳78と聞いた時、ひっくり返りそうになった。とてもその歳には見えない。だってふだんはタータンチェックのスポーツシャツや、ロゴ入りのTシャツにブルージーンズ姿でやって来る。せいぜい60半ばがいいところ。とにかく歳に似合わずシャレ者だ。だから気分が「若い」のだと思う。
▼「自慢じゃないが」と自慢
とっつあんに「鉄人78号だ」と言ってやったら、たいそう喜んで次の週、写真を持参してみんなに見せてくれた。「オレが28ん時の写真だ」。ボデービルダーの大会にでも出るような写真である。彼はこの写真が自慢らしく、「いつも財布に入れて持ち歩いている」と言った。
そのころは大型バイクのハーレーダビットソンを乗り回していた。「自慢じゃないが、一度もひっくり返ったことがない」、としっかり自慢していた。とにかく元気だ。「医者に掛ったことがない」というのが、もう一つの自慢。
▼とっさのダジャレに大笑い
いつもは額に粋なバンダナを巻いてトレーニングジムに登場する。が、今日は深紅の野球帽をかぶってやって来た。「おや、お似合いですね」と冷やかすと、「ボランティアでもらった」と応えた。
「あたしもそれ、やってます」と言うと、「何やってんの」と聞いてきた。「チョイト、落語をやっています」に、「聴かせてくれ」と言う。「あたし先月、店の旦那から帽子もらったんですが、きのう、どっかに忘れてきた。旦那、帽子(申し)わけありません」―。こんなとっさのダジャレに、とっつあんは大笑い。
▼落ちる前に連れて来い
予想外に受けたので、稽古中の落語「藪医者」の冒頭部分を披露した。
「「先生、チョイト診てやってくんねえ」
「どうした? 慌てて」
「熊の野郎が屋根から落っこちて、目―まわして」
「そりゃいかんな。・・・おおー、これは残念だが、もう手遅れだ」
「だって、今落ちて、すぐ連れて来たんすよ」
「落ちる前に連れて来なくちゃあ」
▼やっと「落ち」着いたコーチ
笑ってくれるのはいいが、とっつあん、つい手をたたいちまった。この騒ぎにコーチが「何事か」と、慌てて飛んできた。わけを話すとコーチはやっと「落ち」着いた。 ばー!
医者に勧められて週1、2回通っているスポーツジムにすごい親父がいる。100㌔を超すバーベルをベンチプレスで易々と持ち上げる。しかも1セット20回を5、6セットたやすくこなす。こちとらは、50㌔持ち上げるのも「やっとこせ」だ。
背筋もピンとして、腕回りは私の2倍強。筋肉隆々だ。これで、おん歳78と聞いた時、ひっくり返りそうになった。とてもその歳には見えない。だってふだんはタータンチェックのスポーツシャツや、ロゴ入りのTシャツにブルージーンズ姿でやって来る。せいぜい60半ばがいいところ。とにかく歳に似合わずシャレ者だ。だから気分が「若い」のだと思う。
▼「自慢じゃないが」と自慢
とっつあんに「鉄人78号だ」と言ってやったら、たいそう喜んで次の週、写真を持参してみんなに見せてくれた。「オレが28ん時の写真だ」。ボデービルダーの大会にでも出るような写真である。彼はこの写真が自慢らしく、「いつも財布に入れて持ち歩いている」と言った。
そのころは大型バイクのハーレーダビットソンを乗り回していた。「自慢じゃないが、一度もひっくり返ったことがない」、としっかり自慢していた。とにかく元気だ。「医者に掛ったことがない」というのが、もう一つの自慢。
▼とっさのダジャレに大笑い
いつもは額に粋なバンダナを巻いてトレーニングジムに登場する。が、今日は深紅の野球帽をかぶってやって来た。「おや、お似合いですね」と冷やかすと、「ボランティアでもらった」と応えた。
「あたしもそれ、やってます」と言うと、「何やってんの」と聞いてきた。「チョイト、落語をやっています」に、「聴かせてくれ」と言う。「あたし先月、店の旦那から帽子もらったんですが、きのう、どっかに忘れてきた。旦那、帽子(申し)わけありません」―。こんなとっさのダジャレに、とっつあんは大笑い。
▼落ちる前に連れて来い
予想外に受けたので、稽古中の落語「藪医者」の冒頭部分を披露した。
「「先生、チョイト診てやってくんねえ」
「どうした? 慌てて」
「熊の野郎が屋根から落っこちて、目―まわして」
「そりゃいかんな。・・・おおー、これは残念だが、もう手遅れだ」
「だって、今落ちて、すぐ連れて来たんすよ」
「落ちる前に連れて来なくちゃあ」
▼やっと「落ち」着いたコーチ
笑ってくれるのはいいが、とっつあん、つい手をたたいちまった。この騒ぎにコーチが「何事か」と、慌てて飛んできた。わけを話すとコーチはやっと「落ち」着いた。 ばー!