扇子と手拭い

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人に喜んでもらえることが自分の喜び!

2019-03-23 15:21:48 | 落語
 世界のスーパースターであるイチローがバットを置いた会見で、こう言ったのがとても印象に残った。

 「自分のためにプレーすることが、ニューヨークに行った後くらいにですね、人に喜んでもらえることが喜びに変わったんですね。ファンの方なくして、自分のエネルギーはないと言ってもいいと思うんですね」

 深く同感した。私がいろんな場所で出前寄席をやるのも、お客さんに笑いを届けたいためだ。落語を始めると会場に笑い声が響き、一席終えると大きな拍手が鳴る。

 帰り際に皆さんが「楽しかった」「今度はいつやるの」と声をかけてくださる。落語を習ってよかったと思う瞬間だ。

 人に喜んでもらうほど「うれしい」ことはほかにない。ゼニ、カネでは味わえない「充実感」がある。これはやった者しかわからない満足感だ。人を喜ばせる大事さを、私は落語で知った。

 野球に例えるなら私たちは高校野球だ。本職のプロにはかなわない。だが、高校野球が人気があるのは、プロに比べ技は拙くとも、打ったら一塁ベースに必死で走る。この一生懸命さが高校野球の人気の秘密だ。

 私たちもいったん、高座に上がったが最後、全力疾走を目指している。一生懸命やれば必ず客席に伝わると考えている。そのために稽古を重ね、仲間同士で厳しく批判し合う。

 先日もけいこ会で私が泥棒噺の「夏泥」を披露したところ、さっそく厳しい矢が飛んできた。ドロボーに入った家の住人が大工だった。「大工なら、もっと江戸っ子の職人らしくやらないと」と注意された。

 けいこの時は歯に衣を着せず、激しくやり合うが終われば和気あいあい。「反省会」と称して稽古場近くの店に立ち寄り、いつもの落語談義。ついつい話に夢中になって、店の者がヘンな顔をするときもある。

 イチローと私たちの共通点は、「人に喜んでもらえることが自分の喜び」ということである。

落語ブームに火が付きそうな気配!

2019-03-20 22:13:20 | 落語
 落語ブームに火が付きそうな気配だ。芸協、落語芸術協会の新会長に春風亭昇太が就任するという。

 芸協会長のポストは昨年7月に桂歌丸が死去して以来、空席となっていた。

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 人気落語家、春風亭昇太(59)が6月に公益社団法人「落語芸術協会」(略称・芸協)の会長に就任する。19日の理事会で内定した。

 日本テレビ系「笑点」(日曜後5・30)の司会に次いで歌丸さんが務めた大役に抜てきされた昇太は「お引き受けします」と承諾した。明るい人柄で落語の新時代を牽引する。

 偶然にも笑点司会と同じ六代目会長に就任へ-。明るく多才な独身の貴公子が、還暦を迎える節目の年に落語団体のトップに立つ。

 複数の関係者によると、落語芸術協会の理事会が19日、事務所が入る東京・西新宿の芸能花伝舎で開かれ、昇太ら14人の理事のうち過半数が出席。

 6月に行う役員人事が議題となり、歌丸さんが体調を崩した昨年6月から会長代行を務める副会長、三遊亭小遊三(72)が「6月で会長代行を辞任したい」と切り出した。

 会長は真打ち指名や東京・新宿末廣亭など定席寄席の興行を仕切るほか、ファンサービスやライバル団体、一般社団法人落語協会との交流など重責を担う。

 もともと1年のつもりで代行を務めてきた小遊三は、笑点の仲間でもある昇太の実力と人気を人一倍身近に感じており、「新会長には春風亭昇太さんにお願いしたい」と指名した。

 これに対し、「1期だけでも小遊三さんで」という声も出たが、小遊三は固辞。このため、新元号となる5月以降はむしろ新しい顔が必要という意見が続出し、独自の新作落語や若手育成にも定評がある昇太がふさわしい、と最終的には満場一致で新会長に内定した。

 昇太は「小遊三さんのご指名でもあり、お断りするわけには参りません。お引き受けします」と謙虚にあいさつし、全員の拍手に包まれた。6月に開かれる総会で新役員人事が決まった後、正式に六代目新会長として承認される運びとなる。

 芸協では11月に落語家、柳亭小痴楽(30)、来年2月に講談師、神田松之丞(35)という若手屈指の人気を誇る“2大真打ち”の昇進が控える。

 一方、さらなる若手育成や新機軸の打ち出しなど課題は多い。人望のある昇太の手腕に落語界やファンの期待が高まりそうだ。 (以上 サンスポ)

朗報!春風亭昇太が芸協の次期会長に内定!

2019-03-20 21:44:07 | 落語
 まことにめでたい話だ。落語界のプリンス、春風亭昇太が芸協の次期会長に内定した。春風亭昇々や柳亭小痴楽ら若手イケメンぞろいの二つ目が腕を競う芸協は勢いがある。

 NHKのドラマ「昭和元禄落語心中」で落語人気はうなぎのぼり。そこの頂点に春風亭昇太が立つというのはまことに結構なことだ。朗報である。

 落語協会の会長の柳亭市馬と違って、春風亭昇太には華がある。これからが楽しみだ。

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 テレビ番組「笑点」司会などで知られる春風亭昇太さん(59)が、「落語芸術協会」の次期会長に内定したことが20日、複数の関係者の話で分かった。6月の役員改選で正式に選ばれる見通し。

 会長を務めていた桂歌丸さんが昨年7月に死去。19日に開かれた理事会で、副会長兼会長代行の三遊亭小遊三さん(72)は年齢を理由に新会長就任を固辞。人気の高い昇太さんの名を挙げ、全体の総意で昇太さんの会長就任が内定したという。

 昇太さんは静岡市出身。寄席や各地での落語口演のほか、NHK大河ドラマを含めテレビドラマへの出演も数多い。  (以上 産経)

夏目漱石は三代目小さんが大好きだった!

2019-03-19 23:31:20 | 落語
 東京都の人材バンクに登録した。都のホームページに「学校だけで必要な人材を確保することは困難。質・量ともに外部人材の活用が必要」として無償ボランティアを募集した。

 「それならば」と応募したが、役所だけに手続きが七面倒くさい。住所、氏名、年齢はもとより学歴、職歴、さらには利用鉄道の路線から、「駅から自宅まで何分ぐらいか」ときた。

 ここまでやる必要があるのか? 交通費も出さないのに、上から目線は治らないようだ。こんな八厘を相手にしても仕方がないので、言われた通り書いた。

 何が出来るか書け、と言うので次のように書いた。

 驚いたことに日本の伝統芸能である「落語」が小学校4年の教科書に出ている。校長から「教科書だけでは分からないので実物を見せてほしい」と要請があり、出前寄席を届け、学校で落語を披露。子どもたちにもやらせたら大喜びだった。

 今や落語ブームとあって大変な人気。プロの噺家も全国の小、中、高校で学校寄席をやっている。ただしこちらは1回5万から30万円の有料だ。しかし、私の場合は無料のボランティア。

 桂歌丸さんが会長を務めた落語芸術協会で第一線の噺家から厳しい指導を受け修行を積んだ。東日本大震災の被災地や都内の図書館などで仲間と無料落語会を開催している。

 日本の伝統芸である落語は知っていて損はない。朝日や毎日、日経、東京など各紙のコラムにも落語が登場。「芝浜」や「三枚起請」がしばしば引用される。この噺を知らないと、新聞に何が書いてあるのか理解できない。

 ことほど左様に落語は教養の一部である。だから、子どものうちからぜひ落語に親しんでもらいたい。

 不思議なことに日本のノーベル賞の受賞者や文化人などインテリに落語好きが多い。夏目漱石は若いころから三代目小さんが大好きだった。彼の作品にはたびたび小さんのことが書かれている。



サンライズ九十九里と落語と人情と!

2019-03-01 01:46:33 | 落語
 久しぶりに房総に出前寄席を届けた。全国屈指の人気を誇る「サンライズ九十九里」(http://www.sunrise99.jp/)である。全長約60キロに及ぶ雄大な九十九里浜のほぼ中央に位置し弓型に張り出した全室オーシャンビューの素敵なホテル。

 サービスの良さと料理自慢が評判を呼び常に公共の宿泊施設ベスト5に入っている人気のホテル。だからリピーター客が多い。

 とにかく料理が抜群。特に魚は新鮮でうまい。天ぷらなどは見ている目の前で上げてくれる。名物、屋台のイワシの一夜干しは食べ放題。

 吹き抜けのロビーには何百体と言うお雛様が緋の毛氈に鎮座して迎えてくれた。これだけ並んでいると圧巻だ。

 私たちがなぜ「サンライズ九十九里」を大事にしているかと言うと2009年3月14日に初めて訪ねた際、支配人の吉野さんをはじめホテルのみなさんが大変よくしてくださったからである。

 会議室を無料で貸してくださったほかに、会場の設営からマイクの調整まですべてやっていただいた。古今亭志ん朝などと噺家の個人名を書く「めくり」まで用意してくれた。

 感激したのはロビーの応対。宿泊客に部屋のカギといっしょに私たちの落語会のチラシを渡し、ひとりひとりに「説明」していた。その様子を偶然見た私たちは、感激で胸が詰まった。

 無料の落語界にここまでするところはない。その時の感謝の気持ちから「サンライズ九十九里」をホームグランドのように考え、寄せていただいている。

 ある時、開演前の会場を見て驚いた。本職の噺家が使用する大型の座布団高座に敷いてあった。

 「やめてくださいよ吉野さん。私たちはこんな立派な座布団に座るほどの腕を持っていませんので」と恐縮する私。

 これに対し、「いえいえ、みなさん方は宿泊代を払った上に、無料で落語をやっていただいております。これは私たちからの感謝の気持ちです」と吉野さんが言った。

 これほどありがたいと思ったことはない。その時私は思った。「サンライズ九十九里」での「つくも寄席」は絶対に続けなくてはならない。

 ここ数年は相棒の落語仲間が体調を崩しご無沙汰していたが、以前のように年に数回は落語を披露したいと考えている。

 「サンライズ九十九里」と言う名前の通り、4階の展望風呂に首まで浸かって、真っ直ぐに延びた水平線から朝日が昇るのを眺めるのは最高の気分だ。まさに絶景である。

 東京駅前からは直通の乗り合いバスで90分。ホテルの前まで連れて行ってくれるから便利だ。

 今回は、午後4時からの「夕席」と同8時からの「夜席」の昼夜2公演。

 「夕席」は愉快な滑稽噺の「粗忽長屋」「カラオケ病院」「居酒屋」「寝床」。

 そして「夜席」は「転失気」「初天神」のほかに、チョイと色っぽい吉原の廓噺「明烏」「お見立て」を披露した。大変な大入りで嬉しい限り。