扇子と手拭い

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せっかくの依頼断る

2013-12-10 16:03:14 | 日記
▼10万人の初もうで客
 師走の街にクリスマスソングが流れ始めると、心なしか気ぜわしく感じる。今年も残すところ20日余り。そんな中、「正月に落語をお願いしたい」とリクエストが届いた。正月三が日だけで10万人の初もうで客が訪れるという神社からである。

 この神社の創立は正応年間というから鎌倉時代。歴史のある神社だ。そこから「江戸落語をご披露頂ければと」と出演依頼が来た。場所は神社の舞殿で、日時は1月3日〜6日の、いずれか都合のつく日でかまわないという。

▼野外での落語は無理
 舞殿といってもよく分からないので問い合わせたところ、神楽殿のことだった。本殿とは別棟で、高さ2メートルぐらいの所に神楽を舞う舞台がしつらえてある。そこで落語をやって欲しいと言うのだ。客は外から見上げる形で聴くことになる。野外での落語は無理だ。

 神楽殿なら経験がある。今夏、別の神社で奉納落語をやったが、散々な目に遭った。木々に囲まれた神社の境内は救急車の音や、周囲の騒音で落語どころではなかった。噺に集中できず、落語会は中途半端なまま終わった。後味の悪い会だったことを覚えている。

▼噺の情景を描いてもらう
 そうした事情を神社に説明して「舞殿での落語は無理」と納得してもらった。いつも言ってるが、落語は想像芸だから話し手も、聴き手も噺に集中しないと落語が成り立たない。こちらが放つ言葉で、聴き手に頭の中に噺の情景を描いてもらうのである。

 せっかくお招きをいただいたので、あたくしも初春にふさわしい噺を一席、披露するつもりだった。使える部屋はないかと尋ねたが、神社の部屋は正月の間、「すべてふさがっている」とのことだった。残念だが、今回は見送るしかない。