▼“真夏”になった東京
新幹線のドアが開いた途端、生温ったかな空気が全身を包んだ。3、4日、留守にしているうちに東京は“真夏”になっていた。31日午後1時56分着の電車で信州から帰京した。3泊4日の短い旅だったが、収穫の多い旅だった。
3泊とも戸倉上山田温泉に宿をとった。東京から長野新幹線で1時間半足らずで上田に着いた。六文銭の旗印で知られる真田の里だ。そこからは迎えのバスで約50分。都内で昼飯を食べて、電車に飛び乗っても、午後3時前後には宿に着く。
▼“お隣さん”に話しかけ
近ごろは、あっちこっち引き回されるのが嫌で、同じ宿に連泊する旅が多くなった。泉質がお気に入りの硫黄泉なので、湯船から上がり、身体休めを繰り返しながら、いつものように“お隣さん”に話しかけた。
「縁は異なもの味なもの 袖すり合うも多少の縁 躓く石も縁のはじまり」というわけで、必ずこっちから話しかける。すると先方も、「待ってました」と応じ、どこそこの温泉は良かった、などと話し出す。
▼素人の暇つぶし?
そうこうするうちに、話題が落語に移った。落語をやっていると言うと、聴きたいと言う。ここまではいつものパターンだ。やってくれと言っても、宿が何というか分からない。
支配人に経過を説明すると「では、夕食が終わった後、この食事処で」。とは言うものの、あまり気乗りしない様子。「どうせ素人の暇つぶし」とでも言いたげな様子だった。
▼「ざまー、みゃーがれ」
いつもの反応なので、別に気にしない。午後8時開演。「牛ほめ」と「粗忽長屋」の2席を披露した。宿の従業員も、出たり、入ったりしながら噺を聴いていた。噺が終わると大きな拍手が沸いた。みんな笑顔で部屋に戻った。
カラス「カー」で一夜が開けた。朝風呂から出たところで支配人は「おはようございます」と挨拶したかと思ったら、いきなり「師匠、昨晩はご苦労様でした。お客さまは今夜も、との希望ですが、大きな団体客が入りますので、あす、お願いできませんか?」ときた。
手のひらを返したようなこの態度。フロントまで客の笑い声が届いたそうだ。「ざまー、みゃーがれ、てんだ」と思いながら、「分かりました。結構ですよ」と返事した。
新幹線のドアが開いた途端、生温ったかな空気が全身を包んだ。3、4日、留守にしているうちに東京は“真夏”になっていた。31日午後1時56分着の電車で信州から帰京した。3泊4日の短い旅だったが、収穫の多い旅だった。
3泊とも戸倉上山田温泉に宿をとった。東京から長野新幹線で1時間半足らずで上田に着いた。六文銭の旗印で知られる真田の里だ。そこからは迎えのバスで約50分。都内で昼飯を食べて、電車に飛び乗っても、午後3時前後には宿に着く。
▼“お隣さん”に話しかけ
近ごろは、あっちこっち引き回されるのが嫌で、同じ宿に連泊する旅が多くなった。泉質がお気に入りの硫黄泉なので、湯船から上がり、身体休めを繰り返しながら、いつものように“お隣さん”に話しかけた。
「縁は異なもの味なもの 袖すり合うも多少の縁 躓く石も縁のはじまり」というわけで、必ずこっちから話しかける。すると先方も、「待ってました」と応じ、どこそこの温泉は良かった、などと話し出す。
▼素人の暇つぶし?
そうこうするうちに、話題が落語に移った。落語をやっていると言うと、聴きたいと言う。ここまではいつものパターンだ。やってくれと言っても、宿が何というか分からない。
支配人に経過を説明すると「では、夕食が終わった後、この食事処で」。とは言うものの、あまり気乗りしない様子。「どうせ素人の暇つぶし」とでも言いたげな様子だった。
▼「ざまー、みゃーがれ」
いつもの反応なので、別に気にしない。午後8時開演。「牛ほめ」と「粗忽長屋」の2席を披露した。宿の従業員も、出たり、入ったりしながら噺を聴いていた。噺が終わると大きな拍手が沸いた。みんな笑顔で部屋に戻った。
カラス「カー」で一夜が開けた。朝風呂から出たところで支配人は「おはようございます」と挨拶したかと思ったら、いきなり「師匠、昨晩はご苦労様でした。お客さまは今夜も、との希望ですが、大きな団体客が入りますので、あす、お願いできませんか?」ときた。
手のひらを返したようなこの態度。フロントまで客の笑い声が届いたそうだ。「ざまー、みゃーがれ、てんだ」と思いながら、「分かりました。結構ですよ」と返事した。