▼出前寄席は真剣勝負
あたしの旅の目的は温泉だ。あと一つは宿での出前寄席。2泊3日の道後温泉の旅では初日、2日目と通して落語会を開いた。出前寄席は、あたしにとっての“武者修行”。見ず知らずの方に、あたしの落語が通用するかどうか。毎回が真剣勝負である。
ホテル椿館で旅の荷支度を解き、ひとっ風呂浴びた後、出前寄席について宿の責任者に説明。最初はどこでも警戒する。後でカネでも請求されるのでは、と用心する。が、「タダ」と分かると途端に、先方の表情が緩む。みんな「タダ」が大好きだ。
▼即座にポスター作成
今回、椿館の担当者Nさんには大変世話になった。開演時間の館内放送を依頼したところ、出来ないといわれた。以前、放送をして泊り客から「ウルサイ」とクレームが出たそうだ。それ以来、地震など緊急時以外はやらないという。
代わりに「お知らせ」を掲示してくれた。Nさんは仕事が早い。趣旨を説明したらパソコンで即座にポスターを作成。30分後には館内のエレベーターと大浴場の入り口に貼ってくれた。
▼めくりがないとクレーム
1階ロビーの座席も並べ替え、高座にふかふかの座布団も用意。CDの出囃子担当も彼にお願いした。1日目は「時そば」と「明烏」を披露。2日目は「粗忽長屋」と「宮戸川」「蛙茶番」を高座にかけた。初日の客は43人、2日目は29人が聴きに来た。
夕食の際、初日に来た客が「めくりがなかった」と言った。そばにいた仲居さんが、慌ててメモ用紙とボールペンを持ってきて、「お名前を書いてください」とあたしに言った。
Nさんが急きょ、めくりを作ってくれ、そのあとの落語会に間に合わせた。ところが、夕食の席で「めくりがない」と言った婆さんの姿はなかった。注文付けたことを、すっかり忘れたようだ。
あたしの旅の目的は温泉だ。あと一つは宿での出前寄席。2泊3日の道後温泉の旅では初日、2日目と通して落語会を開いた。出前寄席は、あたしにとっての“武者修行”。見ず知らずの方に、あたしの落語が通用するかどうか。毎回が真剣勝負である。
ホテル椿館で旅の荷支度を解き、ひとっ風呂浴びた後、出前寄席について宿の責任者に説明。最初はどこでも警戒する。後でカネでも請求されるのでは、と用心する。が、「タダ」と分かると途端に、先方の表情が緩む。みんな「タダ」が大好きだ。
▼即座にポスター作成
今回、椿館の担当者Nさんには大変世話になった。開演時間の館内放送を依頼したところ、出来ないといわれた。以前、放送をして泊り客から「ウルサイ」とクレームが出たそうだ。それ以来、地震など緊急時以外はやらないという。
代わりに「お知らせ」を掲示してくれた。Nさんは仕事が早い。趣旨を説明したらパソコンで即座にポスターを作成。30分後には館内のエレベーターと大浴場の入り口に貼ってくれた。
▼めくりがないとクレーム
1階ロビーの座席も並べ替え、高座にふかふかの座布団も用意。CDの出囃子担当も彼にお願いした。1日目は「時そば」と「明烏」を披露。2日目は「粗忽長屋」と「宮戸川」「蛙茶番」を高座にかけた。初日の客は43人、2日目は29人が聴きに来た。
夕食の際、初日に来た客が「めくりがなかった」と言った。そばにいた仲居さんが、慌ててメモ用紙とボールペンを持ってきて、「お名前を書いてください」とあたしに言った。
Nさんが急きょ、めくりを作ってくれ、そのあとの落語会に間に合わせた。ところが、夕食の席で「めくりがない」と言った婆さんの姿はなかった。注文付けたことを、すっかり忘れたようだ。