扇子と手拭い

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何より"華"がある

2013-11-19 23:59:10 | 日記
▼高座度胸も堂々と
 片道1時間半かけて宮治の独演会を聴きに行った。相変わらず客席をつかむのがうまい。本番前にドッと笑いを取って会場を和ませる。高座度胸も堂々としたもので、この先、楽しみな噺家である。

 人形町の日本橋社会教育会館8階ホール。全席指定ということで、予約したわれわれの席は端っこに近い席だった。ところが真ん中の一番いい席に空席が目立った。宮治の話だと、この日になって「来れなくなった」と30人ほどから連絡があったそうだ。

▼来年からは国立へ
 それでも会場は8割がた埋まった。この広いホールでこれだけ集客出来たら立派なものだ。一之輔や権太楼など人気落語家と比べてもそん色ない客数だ。去年3月、二つ目に昇進したばかりの宮治だが、来年からは国立演芸場で独演会を開くことになった。

 お江戸日本橋亭からスタートした彼の独演会は、収容人員が大きい現在のホールへと場所を移した。そして次は国立だ。ここは今よりもっと広い。儲かると値踏みした“呼び屋”がパイを大きくした。木戸銭もハコが大きくなるたびに、値が上がった。独演会は既に2015年まで日程が決まっている。

▼歌舞伎座通いが必要
 この日、宮治は愉快な泥棒噺の「だくだく」に続いて、「看板のピン」を高座にかけた。中入り後にもう一席、「七段目」を披露した。前の二席は達者なところをみせたが、芝居噺の「七段目」は本人が言うように「稽古の最中」と言った感じだった。

 忠臣蔵の「祇園一力の場」に見立てた店の二階で、歌舞伎マニアの若旦那が小僧、定吉のお軽を相手に繰り広げる滑稽噺。ただ、随所に歌舞伎の見えを切る場面があり、これがうまくやれないと面白くなくなる。宮治には当分、歌舞伎座通いが必要な気がした。

 それにしても宮治は、メキメキ力を付けてきた。何より彼には"華"がある。あとは人気に溺れることなく、精進してほしい。