扇子と手拭い

写真付きで日記や趣味を書くならgooブログ

大きく育って欲しい落語会(落語2-29)

2011-01-08 20:38:05 | 日記
▼花伝亭初のホール落語
 花伝亭一門初のホール落語は成功裏に終わった。私たちを招いていただいた地元落語愛好家グループ「落語倶楽部」のみなさんの努力のおかげである。手づくりの落語会の温もりが随所で見て取れた。いい落語会だった。

 駅を降りた途端、目と鼻の先に会場のビルがあった。真新しい6階建ての公共施設である。1月7日午後5時45分きっかりに係員がやって来て3階ホールの扉の鍵を開けた。高座設置の準備もあり、もう少し前に開放してほしかったが、そこは厳格な役所のことで規則通りに従った。

▼時間に追われて設営
 それにしても素晴らしい会場である。中央のステージと前席までの空間が程よい。左右の距離も遠からず、近からず申し分ない。まさに落語を演じるにはピッタリの場である。九段会館公演の経験のある笑龍さんによると、広すぎると「左右が切れる恐れがあって、非常にやりづらい」とのことだった。客席は後列に行くに従って、観易いようにせり上がっている。

 午後6時30分開場のため倶楽部のみなさんは急いで作業に取り掛かった。受付に配布資料を並べる者、補助いすを重ねて台車で運ぶ者、音声や照明の調整で駆け出す者・・・。そんな中で早くも客が姿を見せ始めた。開場とともに客席があらかた埋まった。両脇の補助いすに腰を掛ける人もちらほら。

▼仲入りの時間がない
 われわれ出演者も手伝いをやめ控室にとって返し、慌てて着物に着替えた。主催者から温かい弁当やみかん、飲み物などが差し入れられた。パクつきながら、最終的な打ち合わせと時間調整をしたところ、仲入りを挟む余裕がない。「年配の方もいるのでトイレ休憩が欲しい」と進行係。

 困った。出演者はホール落語が初体験とあって、通常は15分の枠のところを20分前後希望する者が相次いだ。主催者は「ホールを借りているのは午後9時まで。後片付けがあるので、遅くても8時45分には終演しないと」と不安な様子。

▼10分早めてスタート
 「1月7日は松の内。みなさん、初春、正月らしいネタ振りをお願いしますよ」と数日前に頼んだ手前、言いづらかった。が、止むを得ない。「聞いての通りなので、極力短めに」と他の出演者に要請した。進行係と相談の結果、午後7時開演を10分ばかり早めてスタートさせた。

 開口一番は私が務めた。「短く短く」との意識から多少、しゃべりが普段より早かったのではと案じたが、高座を降りると落語仲間が「大丈夫だったよ」と言ってくれた。ぼて助さんも、折角用意してきたマクラをカットして15分で噺をまとめた。

▼どの顔も満足感でいっぱい
 「ここで10分の休憩に入ります」と仲入り宣言。その後、登壇した笑龍さん、万福さんのお2人もコンパクトに噺を進めた。仕事を終えて駆けつけたローリーさんは27分の噺を10分にして「初天神」を見事にこなした。この短い時間に随所で笑いを取り、おまけに手話落語を披露した。さすがである。

 駅前の居酒屋で開いた打ち上げ会は、落語会同様に盛り上がった。この夜初めて会った者同士が旧知の仲間のように親しく、打ち解け杯を重ねた。どの顔も無事やり遂げた満足感であふれていた。この手づくりの落語会、大きく育って欲しい。