扇子と手拭い

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リオの小池百合子 伝統の着物が泣いていた

2016-08-24 19:51:31 | 落語
何だいありゃー、と思った。何がって、小池百合子の着物姿だよ。野暮ったいと言ったらありゃしない。小池は東京五輪の顔としてリオに登場するには着物が一番と考えたのかも知れないが、着るならもう少しちゃんと着てもらいたいなー。

ひと目見て、「この女、着物を着たことがない」とすぐわかる。着物てーものは普段から着慣れてないと、いくら着付けがついたからと言っても収まりよく着られるものではない。

あっしたちは落語をやっている。桂歌丸師匠が会長を務める落語芸術協会でみっちり稽古をつけてもらった。そん時に、真打のある師匠から言われた言葉を思い出した。

「お前さん方、落語てーのは噺だけではない。高座の姿も落語の一部なんすよ。着物は粋に着こなさなくちゃあいけませんよ」。

江戸言葉に「様子がいい」というのがある。今風に言えば、「いいねえ、決まってるよ」てなところか。着物を上手に着こなしている。これが「様子がいい」、である。

口で言えば簡単だが、これがなかなか、うまく着ることが出来ないのである。あたしも最初は、見た目にもゾロッとした感じで、締まりがない。そりゃそうだ。いつもはTシャツやジャケットだ。自宅でユカタなんぞ、何十年も着たことがない。

落語塾では扇子と手拭いの使い方と一緒に着物の着方、たたみ方を教わった。何とか格好がついたと思ったら、次の難問が帯。これはもっと難しい。噺家の場合は、「貝の口」と言う結び方をする。

帯のはじっこを二つに折り曲げて、結び目を締め「〆」の形にする。そん時に二つ折りにした細い方がピンと立ってないと粋ではない。後姿が「様子が良くない」のである。

粋に結ぶには安物の綿製はダメ。「帯だけはカネを惜しむな」と師匠が言った。そうは言っても、正絹の博多帯。3万円前後はするので、おいそれとは買えない。

それでも落語の必需品だからと一本奮発した。プロの場合はご贔屓さまが買ってくれるが、あたしたちは自前だ。でも、この博多を締めると気持ちは本職の噺家だ。

着物の立ち姿が「様子がいいよ」と、世辞を言われるまでに3年かかった。おかしなものでいったん、着物を着ると気持ちがしゃきっとするから不思議だ。

小池のおばちゃんも、着物が身につくまでにはチョイト、時間がかかりそうだ。

日刊ゲンダイの「小池知事“リオ五輪着物”大失敗の理由」の記事はここをクリック
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