・ 轟沈のあとはことなき月夜かな 真鍋呉夫
最近の紙上でこの句を知り、胸をえぐられる想いでした。
轟沈とは攻撃を受けた戦艦が1分以内に沈没すること。
痛手を負った乗組員は運よく海に逃れたとしても、阿鼻叫喚の地獄図。
やがて長い時が経てば、静寂にもどるのです。
わたしが轟沈という表現を知ったのは、太平洋戦争末期、レイテ沖海戦で、空母プリンストンが沈んだ時。
日本軍は特別攻撃隊を投入していました。
徹底した軍国教育を受けた愛国少女は、大々的な戦勝報道に感激していたものです。
玉砕、特攻、若鷲、神州、皇民、忠勇・・・得手勝手な山ほどの造語。今や死語になって幸いです。