わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

結晶釉 1 (亜鉛結晶釉1)

2009-01-23 18:18:34 | 各種の釉(鉄、銅、その他)
結晶釉は、釉の表面などに出来た結晶が、肉眼で確認できる釉の、総称です。

 結晶とは、焼成後、窯が冷え、液体から固体に変化する途中で、核(種=たね)を中心として、

 金属などが寄り集まり、段々大きく成長した物で、その周囲の釉とは、違う文様を呈する物です。

 それ故 以下の事が重要な、事柄に成ります。

  ・ 核に成る「種」の材料

  ・ 「種」を植えつける方法

  ・ 結晶釉に適する基礎釉

  ・ 窯を冷やす速度や、結晶の成長する温度範囲


   大きな結晶を作る核に成る、一般的な酸化物は、亜鉛、チタン、酸化マンガン、鉄です。

   その他、酸化タングステン、酸化ビスマス、酸化リチウムなどが有ります。

 1) 亜鉛結晶釉に付いて

  ① 亜鉛は亜鉛華(ZnO)を、添加すると、大きな扇状の珪酸亜鉛と言う、結晶が出来ます。
  
    調合例 (亜鉛結晶釉の基礎釉)

     a) 長石:50、  藁灰:20、 天草陶石:15、 いす灰:20、 亜鉛華:5

     b) 長石:30、  藁灰:40、 いす灰:30

    上の基礎釉に、亜鉛華:50を配合します。

  ② アルカリ成分に、亜鉛華にソーダ(KaO+Na2O)を加えると、より美しい結晶釉に成ります。

     調合例  0.3~0.6 ZnO、 0.7~0.4 KNaO

        (注: KNaO は K2O と Na2O の混合物です。)
    
   ③ 硼珪酸(硼酸+珪酸)に亜鉛華を加えても、結晶釉に成ります。

   ④ 釉は、生釉又は亜鉛華をフリットに入れる、方法が有ります。

     結晶の出方に、大きな違いは有りません。

    ・ 又、高温で焼いた亜鉛華を粉砕し、その小さな粒子を、施釉した表面に植え付ける

      事によって、結晶文様を大きく、成長させる方法も有ります。

   ⑤ 徐冷却で、結晶が発達する、温度範囲は、SK-8(1250℃)の釉で、

     1,050℃~750℃の範囲です。

     尚、焼成温度が高過ぎると、結晶の発達は少なくなります。

       又、低く過ぎると(Sk-6a以下)、結晶が群生し、滑らかな、艶消し釉に成ります。

 2) 釉の性質について

   ① 結晶が成長する為には、釉の粘度が小さい(流動性が大きい)方が良いです。

   ② 一般にアルミナ(Al2O3)成分と、シリカ(SiO2)成分が少なく、亜鉛が多い組成の所に

     結晶が生成されます。

    アルミナ成分 は、結晶化を妨害しますので、なるべく少量にします。 

     調合例

       {0.2 KnaO, 0.6 ZnO, 0.1MgO, 0.1 CaO}:0.25 Al2O3 :2.0 SiO2

   ③ 釉のアルカリ成分では、Na2O、K2O、MgO、MnO、FeO、ZnO が適し、BaO、PbO は

     適しません。

   ④ 釉の材料が変化すれば、当然結晶が発達する、温度範囲も変化します。

     冷却が速過ぎると、艶消し状になり、遅過ぎると、粗い結晶に成ります。
  
陶芸の釉薬について 
  
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 失透釉 2 (艶消し釉) | トップ | 結晶釉 2 (亜鉛結晶釉2) »

コメントを投稿

各種の釉(鉄、銅、その他)」カテゴリの最新記事