わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

素朴な疑問 243 サイン(銘)は何処にどの様に入れれば良いか2?

2016-06-27 21:34:18 | 素朴な疑問
前回からの続きです。

3) サインは釉の種類や釉の色や、釉を厚く掛ける事で、消えてしまう場合もあります。

  サインの上に釉が厚く掛かった場合、字が「ぼやけた」り、釉に埋もれてしまう場合があります

  その為、サイン周辺の釉を薄くしたり、サイン上の釉を軽く拭き取る事です。釉を部分的に薄く

  するには、予め水を含んだ筆などでサイン周辺を濡らす事で達成できます。但し流れ易い釉

  (結晶釉などに多い)を使うと、流れ落ちた釉がサインに掛かる場合もありますので、釉を掛け

  る際、塗る範囲に注意が必要です。

4) サインの天地を逆にしない事、及び左右のバランスも考慮する事。

 ① サインを手書きする場合にはほとんど問題に成りませんが、方向性のある作品に、印などを

  捺す場合、天地を逆さに捺す事も決して稀ではありません。印面は反転していますので、特に

  間違い易い印鑑もあります。

 ② 一般的には、上部(天方向)のスペースを多く取り、下部(地)のスペースを少なくします。

  なるべく左右の隙間を同じにしたいです。

 ③ 釘彫り等のサインでは、縦書きと横書きがあります。更に縦書きでも垂直でなく若干斜め方向

  に書く(傾斜を付ける)事もあります。手書きし彫り込む際に、サインの周囲が毛羽立つ事が

  あります(バリとも言います)。このバリは、手書き直後ではなく、ある程度土が乾燥した時

  に削り取るか、素焼き後に紙やすり等で削り取ります。そのまま放置しておくと、バリの先端が

  尖り(とがり)手や指を傷付ける事にもなります。

 ④ 一般的な作品では、サインまで見る人は少ないです。

  但し、芸術(美術)的にまで高められた作品では、サインが重要な働きをします。勿論贋作の

  疑いを晴らす役目もしますが、著名な作家であれば、サイン一つでその価値も飛躍的に高める

  効果があるからです。

5) 取っ手や耳、注ぎ口などを有する作品の場合、作品に方向性が出ますので、サインを入れる際

  入れる方法に注意が必要に成ります。

  ① 取っ手(持ち手)のある作品の高台内にサインを入れる場合、特に片手で持つコーヒーカップ

   の様な器では、持った状態で口縁を向こう側に倒してサインを入れます。

   高台脇に入れる場合には、取っ手の根元近辺に入れます。但し取っ手の手前側に入れる方法と

   向こう側に入れる方法があります。

  ② 徳利や片口など注ぎ口を有する器では、底にサインを入れる際には、注ぎ口が真下に向けて

   反転した位置でサインを入れます。又、高台脇に入れる場合には、注ぎ口と反対側、又は真横

   に入れると、良いでしょう。

6) 蓋物の作品では、本体側にサインを入れ、蓋側には入れないのが一般的です。

  焼成する際、蓋をした状態で行いますので、蓋が行方不明に成る事は少ない様です。

7) サインを強調する場合には、掘り込まれた部分に、呉須などの下絵絵の具で絵付けを施す場合

  もあります。一般にはサインは目立たない状態で施しますが、あえて目立たせる為に行う事も

  あります。サインが模様の一部と成っている場合などです。

8) サインは一個とは限りません。(基本的には一個ですが・・)

 ① 作品に応じてサイン自体を変えたり、書体を変えたりする場合もあります。又、作者の年代と

  共にサインを変える事もあり、心境の変化で変える事もます。特に手書きのサインであれば容易

  です。ご自分で作った印であれば、容易に作り変える事も可能です。印面が摩滅した場合や、

  欠損した場合には作り換えた方が無難です。

 ② 大小の印を使い分ける。作品の大きさに対し、サンイが大き過ぎる場合には、小さな印を使い

  大きな作品には、大きめの印を捺すなどの方法です。

9) サインはフルネイム(姓名)で入れる事は少ない様です。

  伝統ある窯元では、代々名前を引き継いでいる所も多く、同じ名前のサインもあります。

  しかし、一般的には名前の一文字や、屋号などのマークを使う事が多いです。

  近年では、アルファベットのサインさえ見受けられます。

最後に、ご自分だけの窯であれば、サインを入れるかどうかは自由ですが、共同で使う場合には必要

になります。又サインに対する決まりもありません。民藝と呼ばれる作品群には無銘の作品が多いの

ですが、近年ではほとんどの作品に銘(サイン)が入っている物が多い様です。

以上にて銘(サイン)の話を終わります。
 
コメント
この記事をはてなブックマークに追加

窯を築く 6 窯の設計 5

2016-06-23 11:30:33 | 陶芸の窯を築く
前置きが長くなりましたが、いよいよ窯の設計に掛かりたいと思います。  

3) 窯の設計。

  必要な用具は、A4又はA3の方眼紙(1mmが良い)、鉛筆、定規、コンパス等です。

 ① 窯の種類と構造と形を決める。

  ここでは主に本焼用(素焼も可)の窯について述べます。楽焼用の窯に付いては、後日述べる

  予定です。

  ⅰ) 窯の種類とは、電気、ガス、灯油、薪などの燃料(熱源)の違いです。

  ⅱ) 燃料の差によって、窯の構造と形が変わります。

    窯の形は矩形(四角)の物が多いですが、小型の電気窯では丸い形の物もあります。

    電気窯を除く窯では、倒炎式が一般的ですが、小さな楽焼窯では、直炎式が多いです。

    倒炎式の窯では、天井部分がアーチ状に成っています。又、扉の取り付ける位置と、扉を

    開く方向も考慮しておく必要があります。例えば、前扉型の場合、右開きと左開きがあります

    当然、窯詰めや窯出しがし易い方向が良いのですが、敷地の関係で決ってしまう事もあります

  ② 窯の内寸を決める。(窯の容量、容積を決める)

    一度にどの様な大きさの作品を、何個焼成したいかによって決まります。

    勿論、容積の大きな窯であれば、余裕なのですが、窯が大きくなり、場所と費用、時間が掛り

    更に作品の量も当然増え、中々窯が一杯に成らず、定期的に作品を焼き上げる事も難しくな

    りますので、適量の容積に決めます。

   ⅰ) 棚板の大きさを決め、一段に何枚使うか(何枚敷)を決めます。

    棚板は同じ大きさの物を揃える事です。棚板は使っているうちに、ひびが入ったり、割れたり

    する物ですので、ある程度消耗品であるとも言えます。その為同じ大きさであれば何時でも

    手持ちの棚板で、取り替える事が可能になります。後で述べますが、棚板の使用する数は

    常に一定と言う訳では有りませんので、数に余裕を持たせて下さい。

   ⅱ) 棚板の数は1、2、4、6、8枚それ以上の中から選ぶ事に成ります。

    一般は1~4枚程度が多い様です。

   ⅲ) 窯の底の大きさ(内寸)を決る。

    a) 棚板と棚板の間は指一本程度の隙間を開けて、敷き詰めます。

    b) 棚板と窯の内側の壁との隙間を決める。

      バーナーの焚口の無い壁との隙間は指1~2本の隙間が必要です。

      焚口のある側では、バーナーヘッドよりやや大きい穴が必要ですので、この穴の大きさ

      プラス2cm以上の隙間が必要です。焚口が左右両方にある場合は、隙間は二倍になり

      ます。

    c) 前扉の場合には、扉との隙間も2cm以上が必要です。

     敷き詰めた棚板の周囲にこれらの空間(隙間)を設ける事で窯の底の内寸が決ります。

   ⅳ) 窯の底の外寸を決める。

    軽量断熱耐火煉瓦をどの様に積み上げるかによって、外寸が決まります。即ち壁の厚さを

    決める事に成ります。煉瓦の大きさは、230x115x65 mm です。

    a) 一番薄い壁にする場合には、65mmと成りますが、これでは、余りにも薄すぎ熱が

     閉じ込め難く、温度上昇も思う様にいかず、窯の冷えも速過ぎると思われます。

     そこで、更に外側に安価な煉瓦(B-1等)を重ね合わせ130mmの壁にします。又は

     安価な煉瓦の変わりに耐熱製のシリカボードを使います。これだと厚みも25mm程度です

     ので壁の厚みを65+25=90mmと薄くする事が出来ます。

    b) 更に窯の壁を厚くするには、厚さが115mmの方向に積み上げます。

     外側に安価な煉瓦を重ねるとすれば、115+65=180mm。又は115+115

     =230mmとなります。尚、耐火煉瓦の230mm方向で積み上げれば、壁の厚みは

     230mmとなりますので、外に安価な煉瓦を積む必要は無くなりますが、高価な耐火

     煉瓦の数が増え、費用が嵩む事になります。

    c) 窯の内寸に壁の厚みを加えた物が、窯底の外寸に成ります。

     但し、燃料を使う窯では、煙突が必要になります。煙突を何処に設置するかによって、

     窯底の外寸も変わります。即ち窯と一体化するか、別体にするかです。一体化する場合には

     外寸も増える事になります。

   ⅴ) 煙道、煙突の設計。

以下次回に続きます。
    
     
コメント
この記事をはてなブックマークに追加

素朴な疑問 242 サイン(銘)は何処にどの様に入れれば良いか1?

2016-06-19 20:23:04 | 素朴な疑問
作品に自分の名前やマーク、窯元の名前などを入れる事は、現在では当然の行為と思われています。

サイン(銘)には作者の印、染付けや上絵付けで記した書銘、釘や籤(ひご)などで掘り込む刻銘、

その他に印章を捺した物があります。又その書体も千差万別です。

江戸時代の野々村仁清が自分の作品に、最初に銘(サイン)を入れたと言われています。真偽の程は

不明です。それ以前では、「窯印」があっても個人を指すサインは無く、今は著名な作品であっても

無名の人の作った作品となっています。但し、作られた時代や作られた土地などはある程度確定で

きます。

現在は多くの人が共同で使う窯や陶芸教室などでは、サインが無ければその人の作品として特定

できませんからサインを入れる事は、必須条件です。

勿論サインでなく、マークであっても作り手が特定できれば、どの様な印でも問題は無いのですが、

完成した作品とし、場合によっては、後世に残る作品であれば有るほど、「キッチリ」したサインが

必要になります。勿論作品のどの位置に入れるかは、作者の自由ですが、出来れば読み易いサインで

読み易い位置に入れる事です。更に、真似され易いサインではなく、特徴のあるサインの方が当然

良い訳です。但し、だからと言って、目立つ処に入れるのも善し悪しですし、出来れば避けたい場所

もあります。尚、当然ですが、外から容易に見る事の出来ない器の内側などは、サインの役目があり

ません。

1) 出来るなら避けたい場所。

 ① 作品には正面とみなす部分が有るのが一般的です。正面にサインを入れるのは、なるべく避け

  る事です。目立ち過ぎるサインは、出しゃばり感があります。但し、サインは作品が生乾きの

  時に行う事が多く、施釉し焼成するまで正面が決定できない場合が、生じる可能性もありま

  すが、なるべく生の状態の時に正面を決める事も大切です。

 ② サインは表立って表す事は少ないです。

  表立った場所とは、皿類や丼状の器の内側などで、無意識でも自然に目に入る場所です。

  但し飾り皿として使う場合には、内(表)側に入れる事もあります。又、大きな目のサインや

  強調された目立つ形のサインも出来るだけ避けたい事項です。当然ですが、サインは作者を特定

  する物ですので、他人と似通った物も敬遠したいです。

 ③ 陶や石、木製の印鑑を使う場合には、印を押す際に力が入り、その結果作品が変形する場所は

  避けたいです。具体的には、壷や花瓶類の袋物と呼ばれる器の底や高台内です。

  捺印は、素地が完全に固まる前に行う必要があります。その為、この様な位置に捺印すると、

  底が変形したりします。但し、針や竹ひご等を用いて掘り込みサインを入れる分には問題あり

  ません。底や高台内にサインを入れたい場合、施釉時に呉須等の下絵付けの要領で、筆書き

  する事もあります。書銘といいます。

2) 一般的にサインを入れる場所。

  正面を避ける為、作品の横方向(正面に対し略直角)に入れると無難です。特に耳の付いた器や

  花器の場合、耳の下側に入れる事が多いです。

 ① 高台脇に入れる。抹茶々碗や袋物と呼ばれる作品などに多い例です。

  印を押してサインを入れる場合、高台脇は比較的肉厚に成っており、近くに底がありますので、

  作品が変形する事は少ないです。又作品を引っ繰り返す事なく、サインが確認できます。

 ② 裏底に入れる。平皿の様な場合には、裏底の中央又は右下に入れる事が多いです。

   角皿は、タタラ状の粘土板の周囲を持ち上げて、縁を作る方法が一般的です。サインは縁作り

   の前に入れる事です。平皿に脚(高台)が付いている場合には、高台内に入れます。

 ③ 高台内に入れる。作品を伏せた状態で初めて、サインが確認できます。書銘が適します。

   作品によっては、高台内が狭い為、多くの字数が入りません。

以下次回に続きます。
コメント
この記事をはてなブックマークに追加

窯を築く 5 窯の設計 4

2016-06-15 14:59:30 | 陶芸の窯を築く
窯を作るに当たって、必要な事柄は図面化する必要があります。

2) 設計時に用意する物。

 ① 各種の参考資料。    

  ⅰ) 手に入る窯の材料をリストアップしておく。

   a) 窯作りの資材

    耐火煉瓦(軽量)、耐火モルタル、シリカボード、耐火ウール(ファイバーブランケット)、

    煙突(ステンレス製)、耐火アルミナセメント、扉用鉄板、耐熱塗料、蝶番(扉用)、

    火格子(薪窯の場合)、ガス又は灯油バーナー(バーナヘッド付き)、ブロアー(灯油用

    送風機)、電熱線、各種配線用素材、ブレーカー、スイッチ類、ベニア板(発砲スチロール)

    その他。鏝(左官用こて)、水準器、水糸、巻尺、曲尺(かねじゃく=直角度を見る)、

    金鋸、溶接一式又はネジとナット等があります。

今日からの話はここからです。

  チ) ガス又は灯油バーナー(バーナーヘッド付き)、ブロアー(送風機)に付いて。

   ・ ガスバーナーには、都市ガス用とプロパンガス用があり、各々自然燃焼方式と強制燃焼

    方式があります。都市ガスの場合は強制燃焼式が多い様です。都市ガスの利点は燃料の補給

    を必要としない事です。当然ですが、都市ガスが来ている地域に限定されます。

    強制燃焼方式は燃料(ガス)圧を上げ、ブロアーで空気を強制的に供給し、短時間で炊き

    上げますので、経済的とも言われています。ただし、自然燃焼式よりも、騒音は大きく成る

    のが欠点です。尚、ブロアーには100V電源が必要になります。

   ・ 自然燃焼方式は、空気取り入れ口より必要な空気の量を吸い込みますので、燃焼時間が長

    くなりますが、焔が軟らかい感じになりますので、釉も趣の有る色艶になると言われています

   ・ バーナー一基には、火口が一個の物と二個の物があります。容積の大きな窯では二個の

     バーナーを複数個設置する場合もあります。

   ・ ガスバーナーは、ベンチュリー式と呼ばれる鋳物製の物が多く使われています。で

    形状は真直ぐの物とバーナーヘッド部分(耐熱セラミック製)が直角に曲がった物(L字形)

    があります。当然取り付ける方法が異なります。即ち、真直ぐな物は、窯の横方向から、

    直角な物は下から差込む事に成ります。

     注: ベンチュリー式は、火口が一個で構造が簡単で安価なガスバーナーです。ノズルから

      ガス噴射により、大気中の空気が自然吸引され、燃焼用一時空気を取り込みます。

      空気の取り込み量を無段階に調整する回転盤が手元にあり、酸化や還元焼成する事が

      出来ます。

   ・ バーナーの点火方法も、自動と手動着火方式がありますが、ご自分で窯を築くのであれば

    手動の方が構造が簡単になります。尚、後で述べますが、ガスの配管は専門業者に任す事に

    なります。尚、灯油用のバーナーの場合には自動スパーク点火が無難です。

  ・ 窯の容量により、バーナーの数も変化します。バーナーは窯のメーカーから購入できますが

   バーナーのみを販売しない所もあります。 又、バーナーの種類は色々あります。以下の様に

   ネット上で、メーカーとバーナーを見付ける事も可能です。

  ・ 灯油用ロータリーバーナー: 回転させることで油と燃焼用空気が同期し、同時に燃焼気化

   室に送られる構造になっています。

   低圧空気噴霧式オイルバーナ: 全自動、半自動の物があります。

   ガンタイプオイルバーナー。

 尚、灯油バーナーはガスバーナーより選定が難しい様ですので、採用すつに当たっては、メーカー

 等と良くご相談の上決めてください。

以下次回に続きます。
      
コメント
この記事をはてなブックマークに追加

窯を築く 4 窯の設計 3

2016-06-11 15:18:21 | 陶芸の窯を築く
窯を作るに当たって、必要な事柄は図面化する必要があります。

2) 設計時に用意する物。

 ① 各種の参考資料。    

  ⅰ) 手に入る窯の材料をリストアップしておく。

   a) 窯作りの資材

    耐火煉瓦(軽量)、耐火モルタル、シリカボード、耐火ウール(ファイバーブランケット)、

    煙突(ステンレス製)、耐火アルミナセメント、扉用鉄板、耐熱塗料、蝶番(扉用)、

    鉄枠用鉄骨、火格子(薪窯の場合)、ガス又は灯油バーナー(バーナヘッド付き)、ブロアー

   (灯油用送風機)、電熱線、各種配線用素材、ブレーカー、スイッチ類、ベニア板(発砲

    スチロール)、その他。鏝(左官用こて)、水準器、水糸、巻尺、曲尺(かねじゃく=直角度

    を見る)、金鋸、木槌、溶接一式又はネジとナット等があります。

    イ) 耐火煉瓦と軽量断熱煉瓦

    ロ) 耐火モルタルは、耐火煉瓦SK-32、34用の専用接着モルタルです。

    ハ) シリカボードと安価な断熱レンガ。

  以上までが前回のお話です。

    ニ) 耐火ウール(ファイバーブランケット)、ファイバーロープ、ファイバーキャスト

    ・ ウールは窯の扉周りなど、可動部分が重なり、隙間が生じ易い処に貼り付けて、熱の

     放出を防ぐ目的で使用する、綿状の耐熱材です。はさみ等で容易に切断できます。

     耐火温度は1300℃です。大きさは600X1200mmで厚みも6と12mmの物があります。

    ・ ファイバーブランケット接着材。煉瓦に接着させる接着剤で焼成する事でより強く接着

     します。

    ・ ファイバーロープは窯の扉用に開発された物で、窯の扉のパッキンとなる物です。

     長さが1m程度で、直径が25と50mmの物が有ります。

    ・ ファイバーキャストは、ファイバーをペースト状にした物で、窯の隙間や煉瓦の欠損

     部分に充填して使用します。

   ホ) ベニア板(発砲スチロール)、角材。

    窯の天井を耐火煉瓦をアーチ状に組上げる際、下から支える部材として使います。

    アーチ組上げ完了後、焼却できるのが理想ですが、街中では環境上不可能ですので、取り

    壊す事に成ります。

   へ) 鉄骨(鉄枠)、鉄板などの金属部材。

    窯は耐火煉瓦のみで築く事も可能ですが、現在では鉄骨や鉄板などを使い、窯を地面から

    浮かせ、下からバーナを差し入れる構造にしたり、窯全体を鉄枠で周囲を固め、窯を地震や

    爆発などの事故から守る方法がとられるのが一般的です。又扉も鉄板の上に耐火煉瓦を取り

    付けた方が強度的に強く、開閉の為の蝶盤などを強く取り付ける事ができます。更に、

    ガスや灯油バーナを取り付ける際にも、金属部分があった方が安定感もあり、強度的にも

    強くなります。その他にも、窯を築く土台の部分は、鉄筋を入れたコンクリートがより安全

    です。

   ト) 電気窯では、発熱体の電熱線が必要になります。

    窯製造メーカーのカタログを見ても、交換用の電熱線は販売している様ですが、電熱線単体

    を販売している処は見当たりません。

   ・ ネット上で電熱線を検索すると、幾つかにメーカーが表示されます。

     例えば 坂口電熱(株)や(株)石川製作所等です。

     必要な電熱線の特性として、最高使用温度 1300℃以上が必要で、高温での使用を目的

     とし、且つ折り曲げなどの加工がし易い物です。又電熱線は100~200回程度の焼成寿命で

     場合によっては、電熱線の交換が必要に成りますので、出来るだけご自分で修理できれば

     理想的です。

   ・ 坂口電熱(株)製品として、カンタル発熱体(鉄・クロム・アルミ)

     カンタル A-1: 最高使用温度 1400℃

      熱処理、セラミックス、ガラス、鋼、電子産業での高温工業炉

     カンタル AF: 最高使用温度 1400℃

      高温工業炉および石英管封入赤外線ヒーター、高温家庭電熱機器

     カンタル D: 最高使用温度 1300℃

      炉温 1000℃~1100℃までの工業炉、家庭電熱機器

     尚、 坂口電熱(株)には、熱電対やデジタル温度計も市販されています。

      窯メーカーでも市販されていますが、価格は倍増します。

      (余談ですが、小生も秋葉原にある坂口電熱(株)で熱電対関係の部品を購入しました)

   ・(株)石川製作所の製品として

     NO.30 (FCHW-1): 鉄クロム 第1種 1300℃ 特に高温での使用を目的としています。

     高温強度はニッケルクロムより劣りますが長寿命です。

   ・ 電熱線はバーナーで熱してから、ペンチを使って折り曲げる必要があります。

     常温で曲げると、折れてしまうとの事です。又、電熱線は硬いので、切断する際には、

     番線カッターが必要です。

   ・ 電熱線購入に当たっては、メーカーと良く相談して決めて下さい。

以下次回に続きます。      
コメント
この記事をはてなブックマークに追加

窯を築く 3 窯の設計 2

2016-06-09 16:22:20 | 陶芸の窯を築く
窯を作るに当たって、必要な事柄は図面化する必要があります。

2) 設計時に用意する物。

 ① 各種の参考資料。    

  ) 手に入る窯の材料をリストアップしておく。主にメーカーのカタログが参考になります。

   a) 窯作りに必要な資材。

    耐火煉瓦(軽量断熱)、耐火アルミナセメント、耐火モルタル、シリカボード、耐火ウール

    (ファイバーブランケット)、煙突(ステンレス製)、扉用鉄板、耐熱塗料、蝶番(扉用)、

    火格子(薪窯の場合)、ガス又は灯油バーナ(バーナヘッド付き)、ブロアー(灯油用

    送風機)、電熱線、各種配線用素材、ブレーカー、スイッチ類、その他。 

    鏝(左官用こて)、水準器、水糸、巻尺、曲尺(かねじゃく=直角度を見る)、金鋸、

    溶接一式又はネジとナット等があります。

    イ) 耐火煉瓦と軽量断熱煉瓦

    ・ 耐火煉瓦は耐火度に応じてSK-34等と番号が付いています。

      窯や炉に使われる耐火煉瓦は、32又は34番です。当然34番の方が耐火度が高く

      なりますので、34番を使う事をお勧めします。

      32番は園芸材料店でも、新品、中古の物が市販されています。中古品は窯を壊した

      後に出た産業廃棄物の一部ですが、表面がやや凸凹している為、風合いがあり、園芸用

      に使用されています。尚、耐火度は1200℃と表示されていますが、楽焼や陶器を焼く窯

      であれば十分です。

    ・ 耐火煉瓦は安価ですが、窯全体に使うとすれうと、大変な重量になります。

      重たい耐火煉瓦は耐火性のある粘土を焼き固めた物で、加工は困難です。

      小さな窯の場合を除いて、窯の一部として使う事が多いです。(詳細は後で述べます)

    ・ 煉瓦の大きさは、230x115x65 mm です。1丁からバラ売りされています。

    ・ 軽量断熱煉瓦は、多孔質で、その容積の80%は気孔である事から、軽量で作業性が

      良く、優れた断熱保温能力を発揮し、窯の内側に張る煉瓦として向いています。金鋸で

      容易に切断加工する事が可能です。耐火度によって、色々なランクの物がありますが、

    ・ ガス、灯油窯には、1200℃用の RA-12、1300℃用の RA-13、1400℃

      用のRA-14、1500℃用の RA-15 が一般的です。煉瓦の大きさ230x115x65mmです。

      耐火煉瓦より高値になります。大きな陶芸材料のメーカーから販売されています。

    ・  電気窯用の内側は耐火断熱煉瓦、JIS規格のB-5を使います。レンガの大きさは

      他の煉瓦と同じです。

    ・ 耐火アルミナセメントは、不定形な耐火煉瓦を作る事ができます。

      1kgに対し、水170~200ccを加え良く練り込み、型枠に流し込み乾燥させて作ります。

    ロ) 耐火モルタルは、耐火煉瓦SK-32、34用の専用接着モルタルです。

      耐火度は1770℃程度です。

      断熱耐火モルタルは、RA-12、13、14の断熱耐火煉瓦用のモルタル接着剤です。

      耐火度は1400℃程度です。

      尚、モルタルの使用方法に付いては後日お話します。

    ハ) シリカボードと安価な断熱レンガ。

     窯の外側に張る断熱材です。窯に温度を蓄える為には、窯からの放熱を少なくする必要が

     有ります。又、結晶釉で結晶を成長させる為には、窯の冷えを遅くする必要もあります。

     その為には窯の壁を厚くしたり、シリカボードを張って熱の発散を抑えます。

     安価な断熱煉瓦JIS規格のB-1と2が一般的です。尚この煉瓦は水に弱く雨に当たる

     と溶け出しますので、注意が必要です。大きさは他の煉瓦と同じです。

    ・ シリカボードは、珪酸カルシウムを主体 とする特殊な製造方法により生産したボードで

     耐火度は650℃と1000℃の二種類があります。一般には650℃で十分です。

     表面は軟らかいですので、加工は簡単で、カッター等で切断できます。撥水性(水を弾く

     事)の有る物と、無い物があります。大きさは、303x610x25(又は65)mmです。

     陶芸材料メーカー等で市販されています。

以下次回に続きます。
      
コメント
この記事をはてなブックマークに追加

質問24 1100度で溶けるマット釉の調合

2016-06-05 16:17:45 | 質問、問い合わせ、相談事
上杉様より以下のご質問をお受けしました。

マット釉についての質問です。

1100度で溶けるマット釉薬はどのように調合したらいいのでしょうか? 教えてください。

 ◎ 明窓窯より

基本的には1100℃で熔ける基礎釉(透明釉)を作り、マット化させる為に別の材料を添加します。

もしも、上杉様が1100℃で熔ける基礎釉を、すでにお持ちの場合には、上記と同じになります。

基礎釉は、ご自分で調合する方法と、市販又はお持ちの1100℃で熔ける釉を、使う方法があります。

当然後者の方が、容易で簡単に調合できます。

1) 市販の釉を使う場合。(又は1100℃で熔ける基礎釉をお持ちの場合)

 陶器用の一般の釉は、1180~1250℃程度で使用する事が多いのですが、メーカーによっては

 1000~1150℃で使用できる石灰系透明釉が市販されています。これを使うと便利です。

 ① マット釉には、添加材によって以下の釉などがあります。(概ね、白い釉になります。)

  ) カオリンマット釉

   基礎釉:カオリン = 100:15 (単位はgです。以下同じ。外割り)

    カオリンが増えると、よりマット性が増しますが、粘土質に近づきますので、固い感じの

    釉となります。カオリンの種類によって風合いも変化します。

    カオリンを熔かす為に、合成土灰を入れる場合もあります。

  ) 白マット釉

   基礎釉:マグネサイト = 100:15

    マグネサイトを増やし過ぎると熔け切らずに、結晶を起こし白い斑点と成って現れます。

    マット性を増す為に、天草陶石を添加する場合もあります。

  )チタンマット釉

   基礎釉:酸化チタン = 100:10

    酸化チタンは強力な結晶剤です。白濁してパール状に輝く独特の結晶ですが、表面は艶消し

   (マット)状になります。

   以下の釉を作るには、基礎釉に対しどの程度添加するかは、ご自分で試して下さい。

  ) ジルコンマット釉 

    珪酸ジルコンは強力な乳濁材です。僅かな量で十分です。光沢を無くす為、他の材料を添加

    する必要がある場合が多いです。

  ) スズ(錫)マット釉

  ) タルクマット釉

  ) その他。鳳凰マット釉など   

 ② 白以外のマット釉を作りたい場合には、更に鉄や銅、コバルトなどの金属を数%添加します。

  ) 黒マット釉

   基礎釉:マグネサイト:ベンガラ = 100:20:10 

  ) 緑マット釉

   基礎釉:マグネサイト:酸化銅  = 100:20:7

  ) 青系マット釉には、1%以下の酸化コバルトを添加します。

2) ご自分で基礎釉を作る場合。

 ゼーゲル式から導き出します。かなり難しい計算になりますので、十分覚悟して取り組んで下さい。

 ① 1100℃はゼーゲルコーン(錐)番号で1aに相当します。

   (注:ゼーゲルコーンは、窯中の温度を測定する用具です。一度しか使えません。)

  これは、コーンが軟化した状態を表しますので、釉として使用する為には、更に100℃程度下の

  番号で調合する必要があります。即ち1000℃と成りますで、錐番号では05aに相当する釉と

  しなければ成りません。

 ② 05aの化学組成は以下の様に成ります。

    MgO:CaO:Na2O:K2O:B2O:Al2O3:SiO2

  = 0.257 :0.428 : 0.229 : 0.086 : 0.457 : 0.571 : 3.467(モル=分子量)

   重量換算すると次の様になります。

  = 10.36 : 24.00 : 14.19 : 8.10 : 70.05 : 58.22 : 208.33 (g)

   注: MgO(マグネシウム): 1モルは40.31 (g)

      CaO(カルシウム) : 1モルは56.08 (g)

      Na2O(ナトリウム) :  1モルは61.98 (g)

      K2O(カリウム)   : 1モルは94.20 (g)

      B2O(バリウム=ホウ酸): 1モルは153.3 (g)

      Al2O3(アルミナ)   : 1モルは101.96 (g)

      SiO2(シリカ、珪酸) : 1モルは60.09 (g)

  ③ 釉を作る主な材料。

   ) 福島長石:基礎釉の中心的な素材です。「シリカ成分」を多く含み、主にガラス質を

    形成します。「シリカ成分」を多く含む素材には、天草陶石や、合成藁灰などがあります。

   ) カオリン及びその仲間達(蛙目粘土など):「アルミナ成分」を多く含み、釉に粘りを

    与え、素地との相性を良くします。

   ) 各種灰類及び炭酸バリウム、マグネサイト等: 釉を熔かす「アルカリ成分」を多く

    含む素材です。尚、酸化亜鉛(華)も同じ働きをします。

   以上の素材を使い1100℃の基礎釉を作ります。

尚、福島長石やカオリン、各種灰の成分は単体で構成されている訳では無く混合物ですので、構成

 成分が判っていなければ、計算できません。その為の資料が必要になります。

 この件をここで述べると長くて、膨大に成りますので、上杉様でお探し下さい。必ず見つかるはず

 です。

最後に、以上述べてきた事柄を元に釉を作る場合、実験(試し焼き)を繰り返す必要があります。

以上、、マット釉を完成させて下さい。
コメント
この記事をはてなブックマークに追加

窯を築く 2 窯の設計 1

2016-05-30 14:02:06 | 陶芸の窯を築く
窯を作るに当たって、必要な事柄は図面化する必要があります。

最初にやる事は、全体のレイアウト図です。即ち、窯の位置だけでなく、窯詰めの際の人の動き

(動線)や窯出しの際の作品を並べる場所等、プロパンガスの場合はボンベの置く位置も決めておく

必要があります。勿論、ボンベの交換もありますので、人が出入りし交換し易い位置である事です。

何処の様に配置するかと言う事がレイアウト図になります。

自作の窯の場合、移動用のキャスターは付いていないのが普通です。それ故、一度築いてしまった

窯は容易に移動させる事は難しくなりますので、予め十分検討して置く事が大切です。

特に敷地が狭い場合には、念入りに配置を考えておく事です。

但し、本格的に設計図(機械設計、構造図)を描く事の出来る方は、極少数の方のみと思われます。

それ故、全体が見渡せる概観図、鳥瞰図又は大まかな図面でも十分です。細かい部分も必要に成る

かも知れませんが、その都度図面化する事です。例えば、耐火煉瓦の積み方も、壁の厚みをどの位に

するかによって色々な方法がありますので、どの方法を採るかによっても、窯全体の大きさに関わり

ます。尚、窯の壁の厚みは窯の冷え方にも関係します。(結晶化を促すには壁を厚くする事です)

図面から設置に必要な土地の面積や区割り、鋼材(窯の外枠用)、耐火煉瓦(レンガ)の量、

耐火モルタル等の必要量が割り出されます。勿論、数分の一の縮尺で十分です。

1) 窯の種類を選定する。電気、ガス、灯油、薪の中から選ぶ。

 ① 窯の種類に拠って構造に違いがあります。薪窯(特に窖窯)の場合は、直接地面の上に築くか

  半地下式事が多いのです。他の種類の窯の場合は、地面より浮かせた構造になる事が多いです。

 ② 電気の場合は焚口は設けませんが、他の窯には単数又は複数個の焚口が必要です。

  どの様な燃料を使う窯によっても、焚口の構造に違いがあります。

 ③ 窯の扉の位置や開く方向も大切です。窯詰めや窯出しのし易い構造出なければ成りません。

  扉の開閉もスムーズに行える事も大切です。又、熱伝対温度計は是非とも欲しい物です。

  取り付け位置も考慮する必要があります。

2) 設計時に用意する物。

 ① 各種の参考資料。なるべく多くの資料を揃える事です。

  現在の燃料を使う窯のほとんどは、倒炎式の構造に成っています。即ち、側面又は裏面下部から

  上昇した炎は丸みのある天井まで昇り、下部に向かい底面(又は更に下)に設けられた煙道から

  煙突に抜け外部に放出される構造に成っています。これは、窯内の温度差を少なくする為の構造

  です。その為、窯の扉も前面又は横面に設ける事になります。現在では、窯詰めが便利の様に

  シャトル式の物もありますが、自分で築く窯の場合は、窯やシャトル台などの構造が複雑に

  成りますので、この際考慮しない事にします。

  一方電気窯の場合は、天井に丸み(アーチ)を付ける必要がありませんので、扉も天板に設ける

  事が出来ます。この場合窯詰めは上部からになります。

  陶芸の窯を作っているメーカーのカタログからも、窯の構造を読み取る事が出来ます。

  ) 燃料の種類によって区別されているはずですので、ご自分が作ろうとしている窯はどれに

   相当するか見比べる必要があります。

  ) 窯の内寸を決める。(本焼き時の作品詰め込む量が決ります。)

   a) 一度に本焼きする作品の量で決まります。小型の窯で回数で稼ぐ方法と、一度に大量の

    作品を焼く方法があります。前者の場合小回りが利きますので、急ぎの仕事がある場合、

    巧く対応が可能です。但し焼く回数が増えますので作業的には「きつく」なります。

   b) 縦に長い窯、横幅のある窯、奥行きの深い窯、奥行きが浅い窯。

    使い易さと燃料の効率に関係してきます。但し窖窯の場合は別の話になります。

    各々長所と欠点があります。例えば奥行きの深い窯では、作品を多く詰める事が出来、

    熱を保持するのに適しますが、窯詰めの際大変です。横幅のある窯は、窯詰めや窯出しが

    容易ですが、扉も大型に成り易く、窯内部の温度差が出易い構造とも言えます。

   c) 燃料の違いによってバーナの種類も異なり、取り付ける数や取り付ける位置も違います。

    どの様に取り付けているかも参考になります。自然燃焼方法のガス窯の場合は、窯の左右に

    複数の焚き口を設ける事に成ります。その為横方向に長く成ります。

    灯油窯や強制燃焼方式のガス窯は、焚き口が一つの場合が多いです。(大型な窯では複数に

    なります。)この場合も側面又は裏面に設けますので内寸も大きくなります。

   d) 棚板から窯の内寸が決る場合があります。

    例 あるメーカーの市販されている棚板(メーカーによって厚みの寸法が異なる場合有り)

    ・ 正方形(縦x横x厚み):カーボランダム製

     250x250x10mm。300x300x10mm。320x320x10mm。

     330x330x10mm。350x350x10mm。450x450x10mm。

    ・ 長方形

     350x300x10mm。350x400x10mm。350x450x10mm。

     400x450x13mm。400x500x13mm。

    既存の棚板を使う場合、一段に何枚使う(敷く)かによって自然と窯の容量(作品量)が

    決まります。更に、焚き口(バーナー)の取り付け寸法を加味して内寸が決ります。

    尚、バーナー類の寸法も、メーカーのカタログから知る事ができます。

以下次回に続きます。
コメント
この記事をはてなブックマークに追加

窯を築く 1 準備

2016-05-26 14:35:01 | 陶芸の窯を築く
陶芸の窯を築くに当たって、予め計画を立て確認をしておく必要があります。主な事項は以下の事柄

です。

1) 窯を築く場所の確保。屋内か屋外か?

 広い敷地であれば、専用の小屋を建てる事も可能ですし、屋外であっても工房や母屋から離れた

 場所に築く事が可能です。しかし都会の様な狭い場所では、設置場所を探すのも大変です。

 窯の種類によっては、屋内に置いた方が良い物と、屋外に設置する方が良い場合があります。

 尚、屋外に設置する場合でも、雨を凌げる屋根は必需品です。即ち窯は雨に対してすこぶる弱く、

 窯の寿命を短くしてしまいますので、出来るだけ雨に当たらない様に工夫します。

 ① 屋内でよい窯は電気窯です。

  燃料を使いませんので、空気を供給する必要が無い為です。但し電気の場合にも還元で焼成する

  場合、燃料を供給しますので、空気が必要になります。一酸化中毒に成らない為にも、換気扇が

  必要です。

 ② 屋外に設置したい窯は、ガスや灯油、薪などの燃料を使う窯です。

  多量の空気(酸素)を必要とするこれらの窯は、十分に燃焼させる為に、開放的な屋外に設置

  する方がベターです。屋外に設置する上で重要なのは、しっかりした地盤の上に築く事です。

  窯本体はかなりの重量(数十kg~数トン)となりますので、それに耐える水平で強固な地盤が

  必要です。

2) 窯の大きさ(容量)を決める。決めるに当たり以下の事柄を検討します。

 すでに窯をお持ちで、新たに別の窯を持ちたいと思っている方もいると思います。これらの方にも

 新たな窯をどの様に使いたいかを、検討する必要があります。

 ① 個人専用の窯か。共同で使う窯か?

  ) 販売する作品を作るとしても、個人専用でれば、比較的小型の物で十分です。

   当然作品の大きさと量によって違いますが、窯が大きいと、窯を一杯にするのに数ヶ月掛かる

   事も稀ではありません。なるべく小回りの利く窯の方が使い勝手が良い様です。

  ) 近頃は共同で使う窯は少なくなっています。お互いの都合を付け合って窯焚きするのが

   面倒に成っている事と、制作期間を短くし早く完成せるで為です。又、安価で容易に窯を

   個人で持つ事が可能になった為と言われています。

 ② どの様な大きさの作品を焼成するのか?

  窯の大きさは、その内側の寸法(縦x横x高さ)で「立法メーター」で表示します。

  本焼きの際、窯に作品が何個入る必要があるかが基本になります。小さな作品ならば数多く

  入りますが、大きい場合数は限定されます。  

 ③ 焼成する頻度は?

  燃料を必要とする窯では、窯を焚く度に燃料費がかかりますが、使用していない場合には

  燃料費が掛からないのが一般的です。(尚、都市ガスの様に月契約の検針がある場合は基本料

  が掛かる場合もあります。)電気窯の場合、特に200Vの場合は、使用しなくても基本料が

  掛かります。 

3) 燃料の種類を選ぶ。電気、ガス(プロパン、都市)、灯油、薪、電気(100V、200V)等

 燃料が異なれば、窯の構造も違ってきます。又、窯以外にバーナや送風機などの他、燃料タンクや

 ガスボンベ、薪の置き場所などと、燃料を使う窯では煙突が必要になります。

 (尚、都市ガスなどは、ある地域のみしか使う事が出来ないかも知れません。)

4) 資材置き場と作業場所を確保する。

 窯の制作に取り掛かると、セメントや耐火煉瓦、モルタル等かさ張る物が手近にないと作業が

 はかどりません。それなりのスペースを確保する必要があります。

5) 作業日程。何時までに完成させる必要があるか?大雑把でも一つの目安が欲しいです。当然

  雨天の際に屋外の作業は制限されます。又、自由に作業できる時間が確保できるかも、日程に

  影響します。

 とりあえず以上の事柄が決れば、次に窯の設計に取り掛かります。  
コメント
この記事をはてなブックマークに追加

素朴な疑問 241 窯を自分で築く事は可能か?

2016-05-25 13:50:14 | 素朴な疑問
結論から先に言うと、窯を自作する事は可能です。勿論窯を築くには、それなりの準備(場所等)と

費用や時間が必要です。窯の規模(大きさ)にもよりますが、数ヶ月の歳月と数十万円~数百万円の

費用が掛かる事もあります。また、ガスや電気を使用する場合には、資格のある専門家の助けが必要

な事柄も発生しますので、最後まで完全に自分一人で築く事が出来ない場合が多いです。

尚、街中で薪(まき)で火を焚く事は消防法で禁じられている処もありますし、煙などの環境悪化で

不都合な事が起こる恐れがある場合には、そのような場所では、必然的に薪窯(登窯や窖窯等)を

築く事はできません。尚、灯油窯の様に若干黒煙が発生する程度ならOKの事が多いです。


陶芸(焼き物)をやる以上、作品を焼く行為は必須条件です。勿論焼かないで作品を作る事が出来

ますが、実用的な作品にするには是非とも焼く事です。焼成する事でより強固で耐久性のある作品に

仕上げる事ができます。但し、単に焼くだけでなく高温(少なくとも1000℃以上)でなけれならず、

それなりの設備の整った窯でなければ成りません。

一般に陶芸の窯は、メーカー各社から大小様々の物で、焼成方法の異なる窯が市販されており、

それらの中から選び購入し、設置するだけで直ぐに使用するのが普通です。その為わざわざ自分で

窯を築く事は少ないのが現状です。更に、山の中など既存の窯を設置するのに不都合な場所では、

専門家が窯を築いてくれるサービスもあります。

その他、何らかの理由で、どうしても御自分で窯を築きたいと思っている方もいます。

1) 自分で築く事の利点。

 ① 自分で作った窯であれば、如何様にも作り変えて改良する事が可能です。

  窯を焚いていると、どうしても不満な事が起こり勝ちです。例えば、酸化や還元の程度を変え

  たい、部分的な酸化又は還元を窯の一部又は全体で行いたい。又温度を早く上昇させたい、

  窯の中の温度差を少なくしたい。釉の熔け不足を解消する為に、最高温度をもっと上げたい、

  特定の釉の発色を良くしたい等の欲が出てきます。この望みを適えるには、必ずしも窯を改造

  する事なく対処する事も可能ですが、それでも自分の考え通り窯の改造をしたい場合には、

  既存の窯では難しくなります。勿論この様な事柄が起こるのは、何度も窯焚きを続けた結果です

  ので、窯を改造するのは、それなりのベテランの人とも言えます。

 ② 窯の壁を厚くし、良い結晶を作り出したい。 窯の容積を大きくしたい等にも対処出来るのは

   自分が設計した自作の窯である必要があります。

 ③ 初めて窯を持つ人でも、窯を自作したいと思っている方もいます。

  特に楽焼専用の窯であれば、温度が比較的低く、容積も小さくてすむ為自作可能と思われるから

  です。但し、コストを抑える為に自作する事を考えているのであれば、余り期待できません。

  耐火煉瓦を積み上げたり、バーナー類を揃えたり、電熱線を張り巡らせたりする行為には結構

  費用が掛かる物です。最終的には、購入する価格と同じ程度になる事も稀ではありません。

 ④ 本焼きが可能な本格的窯の場合、ある程度の専門的な知識が必要になります。

  一般に市販されている窯には、カタログ上で窯の構造が描かれている事が多いです。

  これを見ておおよその構造を把握する事が出来ます。又各種の調整装置を設ける必要も発生し

  ますので、どの様な調整が必要か、予め考えておく必要があります。

  更に、窯をガッチリ組み立てる為には、鉄製のフレームを溶接する知識があればもっと良くなり

  ます。但し、フレームはネジ止めでも処理が可能です。又、耐火煉瓦や耐火モルタル、断熱材

  (グラスウール等)などは、陶芸材料店で入手可能ですが、詳しい事は、近くのメーカーに出向

  き教えを請う事も可能です。


当方も20数年前に耐火煉瓦を積み上げ、プロパンガスの本焼用の窯を自作し、現在も使用してい

ます。その経験を基に、次回より窯の築く手順や方法などをお話したいと思います。
コメント
この記事をはてなブックマークに追加