「ひろみ」様より 以下のご質問をお受けしましたので、当方なりも見解を記
します。
初めてコメントいたします。上絵つながりで、聞いてみたいことがあります。
(鉛については窯業試験場にだして検査したことがあるので大丈夫です)上絵
で作品を作っていますが、上絵焼成をすると、ほとんどの作品が素地(磁器)
が黒いカビのような細かい点々で汚れてしまいます。素地はゼラチンでふいて
ます。拭き取った場所と違いはあるようなないような…というのも筋状に黒い
汚れがついたこともあります。窯は本焼き後なので、そんなに湿気てはないと
思いますが…。ゼラチンか?湿気か?素地が悪いのか?(素地は日本陶料の上
石です)苦労して絵付けしても、最後の窯でほとんど泣くことになってしまい
ます。理由をご存知でないでしょうか?よろしくお願いします。
明窓窯より
回答が当方の事情で遅く成った事をお詫び致します。
問題はまだ未解決でしょうか? 未解決を前提として当方の見解を述べます。
当方が遭遇し事のないものでので、的を射る回答ではないかも知れません
が・・・
上絵ですので、当然素焼き施釉、本焼きが終わっている状態のはずです。
ここまでには、何ら問題が発生していない物と推察されます。
1)焼成する窯について記載がなされていませんが、個人専用の窯か、共同窯
のどちらでしょうか?
共同窯であれば、他の人の作品の影響も考えなければなりません。
2)上絵付けは一般に電気窯が使用されます。
燃料を使う窯では、燃料成分が何らかの悪い影響を与える事も有ります。
当然酸化焼成で行います。還元焼成が一部でも起これば、黒いしみが出来
易いです。
3)窯の構造と容積とによりますが、本焼き後に絵付けの焼成を行うとの事で
すが、季節に拠っては、本焼き直後に実施しないと湿度が残る場合もありま
す。上絵付けは湿度を嫌います。
4)上絵付はほぼ素焼き程度の温度(750~850℃)で焼成するのが一般的です
仮に磁土に問題が有れば、本焼き前の素焼きの際に問題が発生いていても
おかしく在りません。よって磁土が原因とは考え難いです。
5)気に成るのは、黒いカビのような細かい点々の汚れが、釉と固着している
状態です。磁土の釉は1300℃近くまで温度上昇させます。
この様な釉が800℃程度で軟化するとは考え難いです。
よって、何かの作用で釉が軟化したと考えられます。
釉を軟化させる物質をフラックスと呼びます。
その様な物質に灰等が有ります。塗布する際の環境に問題は在りません
か?
6)一番考えられる原因は、ゼラチン自体が汚染されている場合や、筆や布で
塗布する際の、筆や布が汚染されている場合です。
使い古した筆や布を使うと場合、汚れが表面に付く可能性も有ます。
筆や布を真新しい物にするとか、ゼラチンの入る容器を綺麗にした
りして試すのも一方法かも知れません。
以上 参考にして頂ければ幸いです。
家で一人で作っています。これまでは市販の釉薬を使ってきましたが、
少し勉強しましたが、難しくてよく理解できません。
作りたいのは、焦げ茶で少し紫がかったマット釉です。
釉薬の調合は一筋縄ではいかないことは理解していますが、もし、比較
紫がかっていなくても、焦げ茶のマット釉でもかまいません。
無理なお願いで恐縮ですが、よろしくお願いします。
◎ 明窓窯より
御自分で調合して、独自の釉を作り出すには意外と簡単では有りません。
しかし、ご質問の解決方法として、今手持ちの釉に好みの色を付ける方法も有りますので、
その方法を試すのが、最も簡単だと思います。
例えば市販のマット系の釉(白、透明、青銅マットなど)に下絵付け用の呉須(ゴス=コバルトを含む鉱物)を
添加すると、添加量によって淡い紫色~濃い紫色(紺色)掛かった釉を作る事が出来ます。
又下絵付け用の鬼板(オニイタ=酸化鉄を含む鉱物)や黄土、各種の酸化鉄(弁柄や鉄さび)等を
添加すれば、添加量により、淡い茶色~濃い茶色(又は焦げ茶)の釉を作る事も可能です。
尚、呉須と鬼板を同時に添加しても、ほとんど問題は無いと思われます。
又、釉に各種の金属(銅、亜鉛、マンガン、チタン、スズその他)を添加すると
緑色や黄色、グレーなど思わぬ釉が出来る可能性が有ります。(場合に拠っては結晶釉になる)
これらの金属類は陶芸材料店や通販などで入手可能です。
但し、当初は割高であっても、最小量を購入すべきです。(1回に使用する量はわずかです)
好みの色が出るまでは、数回~数十回の試行錯誤が必要に成るでしょう。
◎ 仮に、ご自分独自の釉をご希望ならば、まずマット等の基礎釉の調合をしてから色釉に
挑戦して下さい。
以上、参考にして頂ければ有難いです。