わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

抹茶々碗 (井戸茶碗3)

2010-04-30 22:07:48 | お茶と「茶の湯」と茶道具(茶陶)
前回に続き、井戸茶碗の話をします。

 2) 井戸茶碗を造る。

  ④ 歪み(ゆがみ)について

    井戸茶碗の口縁部は、僅かに歪んでいます。この歪みも、茶碗の魅力を、引き立てています。

    但し、この歪みは、故意では無く、自然に出来た物と思われます。

    歪みが発生する原因は、色々な段階であります。

   ) 轆轤作業中に起こる。

     井戸茶碗は、高台径が小さく、且つ削る量を、少なくする為、高台脇や腰の部分を、

     薄く造ります。更に、轆轤目を付ける為に、側面に不規則な、力を加えます。

     それ故、作品が振れ易いです。この振れが歪みの、原因に成ります。

   ) 切り離す際に歪む。

      轆轤挽き後、作品を糸(しっぴき)で、切り離す際、水平に成らないと、手板に移した際、

      作品の口縁が、歪みます。

   ) 取上げる際歪む。

      作品を、両手の人差し指と、中指を使い、轆轤上より、取上げる際、土が軟らかい為、

      作品の口が、歪む事が多いです。その際、口をいじらずに、腰の部分で直します。

   ) 乾燥中に歪む。

    ・ 削り前の乾燥で歪む。轆轤挽き直後から、土は縮み始めます。

      急激な乾燥や、不均一な乾燥では、作品が歪みます。

    ・ 素焼前までの乾燥も、上記と同様に、歪みが発生する場合が有ります。

   ) 焼成中の歪み

      窯の中で、作品に、焔が不均一に当り、熱の温度差が出る場合も、作品は歪みます。

      その他、「トチ」や「目」を立てて、棚板より、浮かせて焼きますので、「狂い」が

      発生する場合も、あります。更に、上記の複数の、要因により、歪みや狂いが発生します。

   好ましい歪みと、好ましく無い歪みが、有りますが、なるべく歪む原因は、取り除く事が、

   大切です。優雅に歪む方法は、作者が苦心する所です。

   尚、和物(我が国で作られた、陶磁器類)では、沓茶碗の様に、故意に歪ませたり、変形させた、

   茶碗が多いです。その歪ませ方に付いては、後日述べます。      

  ⑤ 高台際と高台脇を削る
  
   ) 畳付きは、一皮削るだけで済ましす。 

   ) 高台は、竹の節(ふし)高台で、高台中央が、外側に出っ張っている形ですが、

      意識しなくても、この様に、削れてしまうとの事です。
 
   ) 高台脇を鋭角に、一気に削ります。削った所が、梅花皮(かいらぎ)になります。

     高台脇は、「喜左衛門」と「筒井筒」では、違いが有り、それぞれの典型になっています。

    「喜左衛門」の高台脇は、他よりも広く、傾斜が緩やかで、軟らかさが、出ています。

    「筒井筒」の高台脇は激しく、深く、えぐられている様に感じで、厳しい雰囲気が、有ります。

   ) 腰から胴に掛けては、轆轤目が有りますので、削りは行わず、水挽きのままにして置きます。

   ) 高台内を削る

      高台内にカンナの角を当て、轆轤をゆっくり回転させて、中央が出ている、兜巾(ときん)高台に

      削ります。 回転方向は、水挽きとは逆方向で、作業する人もいます。

    尚、削り痕も、見所の一つですので、残しておきます。

 ⑥ 井戸茶碗の、釉と焼成に付いて

以下次回に続きます。

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抹茶々碗 (井戸茶碗2)

2010-04-29 22:22:11 | お茶と「茶の湯」と茶道具(茶陶)
前回に続き、井戸茶碗の話をします。

2) 井戸茶碗を造る。

   井戸茶碗は、「轆轤目」や「ぬた目」を、付ける為、轆轤で造ります。

   蹴轆轤(けろくろ)で、作る人もいますが、電動轆轤でも、なんら問題ありません。

 ① 土の選定

  ) 鉄分がやや多く、砂が入った、やや荒目の「さくい」土(さくさくした、ぱさついた感じ)で、

    場合に拠っては、粒子の細かい石が、入っている物を、使います。

    「さくい」理由は、茶碗を軽く作る為と、削り作業で、「縮緬(ちりめん)皺」を造り出す為です。

    萩焼の土や、唐津焼の土を、調合(ブレンド)した物が、向いているとの事です。

  ) 梅花皮(かいらぎ)の出来る土は、ざらついた、珪砂混じりの土です。

     鉄分は、半赤(赤土と白土を、同量混ぜ合わした土)が、基準になります。

     赤の割合で、焼き色が変わります。又、化粧掛けで、色を出す場合も有ります。
 
 ② 轆轤作業の注意点。

  ) これらの土は、轆轤挽きするのに、やや難しいと、言われています。

    即ち、時間を掛けた、轆轤作業では、土が「へたり」易く、短時間で、仕上げる必要が、有ります。

  ) 「さくい」為に、形作りで、径を大きくする際、土が締りづらく、「ひび」が入り易いとも、

    言われています。又、水の使用は、少なくし、泥(ぬた)を使い、手を滑り易くします。

  ) 土は作業前に、轆轤を挽き易い硬さに、調節しておき、轆轤の作業時間を、少なくします。

 ③ 井戸茶碗を造る

   大井戸茶碗の、焼き上がり寸法は、口径が15cm程度で、高さが、8~9cm位が一般的です。

  ) 轆轤に据え、両手で側面を叩き、しっかり土を、締めます。

  ) 土殺しをします。回数は2~3回程度にし、水を使う量は、なるべく少なくします。

  ) 土取りをして、轆轤作業に入ります。

   ・ 土の中央に指を入れ、穴を掘ります。大井戸茶碗は、高台がやや高めですので、

     底の土の厚みは、1.5cm程度にします。

   ・ 底の外径は、高台径が5.5~6cm位ですので、焼き縮みと、削りしろを入れて、7cm程度に

     成る様に、土を締めます。

   ・ やや朝顔形にしながら、荒伸ばしを、行います。

     轆轤で成形するとき、上部と下部では、若干作業を、変えます。下部には轆轤目が有り、

     上部は下部に比べて、やや厚肉で、口造りもやや厚く、なっています。

   ・ 高台から高台脇、腰に掛けて、限界近くまで、土を伸ばします。

     これは、削り作業で、出来るだけ、削り量を少なくし、轆轤目を残す為と、手に取った重さを、

     軽くする為です。

     下部(腰)が薄く軽い分、上部を肉厚にします。これにより、張りある造形美が、

     可能に成ると、言われています。

     そして「牛ベラ」や、「丸こて」を内側に当て、「茶溜り」と「見込み」を造りながら、

     やや膨らませ、井戸茶碗特有の、形を造ります。

     但し、「牛ベラ」や「丸こて」の作業は、短時間で、終わらせます。

   ・ 轆轤目、ぬた目を付ける。轆轤作業中にも、自然と轆轤目が、付いてきますが、轆轤目の段数と、

     形を整えます。器の表面に、載っている「ぬた」は、拭き取らず、そのままに、して置きます。

   ・ 口造り。 井戸茶碗は、高台と腰が、立ち上がり、口がやや開いた、形をしています。

    土が、「ぱさつく」為、中々思う様に、行きませんが、慎重に対応します。

  ④ 歪みについて

以下次回に続きます。

井戸茶碗を造る

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抹茶々碗 (井戸茶碗1)

2010-04-28 22:44:13 | お茶と「茶の湯」と茶道具(茶陶)
朝鮮系の高麗(こうらい)茶碗、特に井戸茶碗について、お話します。

高麗茶碗には、「井戸」、「御本(ごほん)」、「御所丸」、「粉引(こひき)」、「三島」、

「伊羅保(いらぼ)」、「蕎麦(そば)」、「呉器」、「柿の蔕(へた)」、「絵高麗」などがあります。

中でも、井戸茶碗は、高麗茶碗の、代表的な茶碗とも、いえます。

 ・ 井戸茶碗は、朝鮮李朝時代の、前期末頃の陶器で、元は飯茶碗として、使用される、雑器でした。

   桃山時代に、我が国にもたらされ、茶人が茶器として、使用しました。

   特に大井戸は、佗(わび)茶の最高のものとされ、朝顔形で、轆轤目が強く、高台が竹の節状で、

   梅花皮(かいらぎ)が、有る事が条件とされています。

 ・ 井戸の名の起こりは、諸説(人名説、地名説、井戸の様な形説)有りますが、詳しくは、述べません。

 ・ 「一井戸、二楽、三唐津」とも言われ、特に大井戸茶碗が、茶道で珍重されています。

   井戸茶碗には、大井戸茶碗、青井戸茶碗、小井戸茶碗などの、種類が有りますが、青井戸茶碗は、

   鉄分の多い土や、還元焼成で、肌が青黒い所から、付けられた名前です。

   小井戸は、大井戸より、小振りな形状の為に、付けられました。

 ・ 著名な大井戸茶碗に、国宝の「喜左衛門」や、重文の「筒井筒」が有り、これらが、井戸茶碗の、

   代表的な形と成ります。(尚、この作品の、製作場所と時代は、明確では有りません。)

 ・ 現在でも、我が国の唐津や萩などで、蹴轆轤(けろくろ)で、造られています。

   (勿論、蹴轆轤である必要は、有りませんが・・・)

1) 井戸茶碗の特徴

  ① 基本的な形は、逆三角形の、朝顔形をしています。

   ) 高台は、竹の節の輪高台で、やや高めに出来ています。

   ) 高台から、腰にかけて、井戸特有の、立ち上がで、胴が豊かに張り、見込みも深いです。

     口は、やや開いている形を、しています。

   ) 胴には、轆轤目が有る物と、無い物が有ります。

     轆轤目は、一段、三段、四段、五段と有り、「井戸四段」と言う言葉もあります。

     (五段ですと、口の近くまで、轆轤目が付く事に成り、強い轆轤目が、付き難く成ります。)

     又、「ヌタ目」が残って居る場合も、多いです。「ヌタ」とは、轆轤作業で出てくる、

     泥やドベの事で、この泥を、拭い去らずに、茶碗の表面に残した物を、「ヌタ目」と呼びます。

   ) 高台内と、高台際は、削り作業により、土が細かくささくれた、「縮緬(ちりめん)高台」に

     なっています。ここに釉が掛かり、釉が縮れて、「梅花皮(かいらぎ)」と呼ぶ、見所が出ます。

   ) 釉は、全体にかけられた、総釉で、土見も、ありません。

     色は、枇杷(びわ)色と言い、朽葉色をしています。

  ② 大井戸茶碗の大きさ

    口径: 15cm程度、 高さ: 8~9cm、 高台外径: 5.5cm位

    重さは、300~350g程度が、多いです。

以下次回に続きます。

井戸茶碗

    
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轆轤で造る、抹茶々碗 (天目茶碗3)

2010-04-27 22:34:00 | お茶と「茶の湯」と茶道具(茶陶)
前回に続き、天目茶碗の話を、述べます。

2) 轆轤造り

  ② 天目茶碗を造る

    天目茶碗は、形も重要ですが、天目釉と呼ばれる、各種の釉薬に、特徴が有ります。

    又、釉の掛け方にも、気を使う必要が有ります。

   ) 天目釉について、

     個々の釉に付いては、述べませんが、大まかな話をします。

    a) 天目釉は一般的に、流れ易い釉に成っています。又、濃度の濃い釉を、厚く施釉する為と、

      高温焼成する事により、流れるとも、言えます。

      名品と呼ばれる作品は、高台脇まで、釉が流れ落ち、滴と成っている物が、多く

      見受けられます。

      流れ易い釉の為に、高台脇より、下の部分に、施釉しないのかも、知れません。

    b) 更に、流れ易い釉の為、口縁部分の釉が薄く、釉禿げに成ります。

      それを嫌い、覆輪といって、金や銀の金属の輪を、はめる物が多いです。

      但し、単に、装飾の為に、取り付ける事も有ります。

   ) 天目釉の再現

     近年、著名な天目茶碗に、使われている釉が、かなりの完成度で、再現されつつ有ります。

     長年の、研究努力の結果ですので、当然、技術や釉の調合などについては、未公開の物が、

     ほとんどです。過去にも、幾つかの調合例が、公開されてはいますが、その様に調合しても、

     上手く行かない事が、多いです。

    ・ 木の葉天目の技術公開

     埼玉県在住の、岡本詔一郎氏が、木の葉天目の技術を、公開していますので、その要点を、

     お話したいと、思います。(参考資料:陶遊 30 2002 June 新企画出版局)

     a) 使う葉は、椋(むく)の葉が、最適です。

       椋は、珪酸分が多く、灰になっても、葉の文様が、残り易い為です。

     b) 葉の採取時期は、落葉期の物がよく、水分も少なく、珪酸分が、より多く含まれる為です。

     c) 葉は、押し花と同じ様に、本の間に入れて、平らに保持して置きます。

     d) 上手に木の葉を、焼き付けるには、葉が器の面から、浮き上がらず、灰になっても、

       しっかり密着出来るかに、成否が掛かっています。

     e) 素焼後、天目釉を施釉した上に、椋の葉を、所定の位置に、載せます。

     f) 葉が浮き上がらない様に、上から錘(おもり)を載せます。

       この錘を「治具(じぐ)」と呼びます。冶具は、重すぎても、軽すぎても、良い結果は、

       出ないとの事で、葉が灰に成った段階で、原型を留めて、いなくては成りません。

      g) 冶具を取り除く: 500℃程度に温度を上げると、葉は完全に、灰に成ります。

        次に窯を冷やし、冶具を取り除きます。その際、葉の灰を、壊さない事です。

      h) 冶具を取り除いたら、いつもの様に、窯を焚きます。

     尚、この作業の、要点は、いかに作品に合った、冶具を造れるか、密着した葉の灰を造れるか、

     と言う事です。

     更に、電気の窯を使うと、この作業が、容易との事です。

以上にて、天目茶碗の話を、終わります。次回より、他の茶碗について、述べます。


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轆轤で造る、抹茶々碗 (天目茶碗2)

2010-04-26 06:53:14 | お茶と「茶の湯」と茶道具(茶陶)
前回に続き、天目茶碗の話を、述べます。

2) 轆轤造り

 ② 天目茶碗を造る

  ) 轆轤を挽くのに、適した形です。

   a) 前回、お話した様に、天目茶碗は、他の茶碗と異なり、歪み(ゆがみ)や、口縁の凹凸などが

     無い、綺麗でシンプルな形を、しています。(但し口造りは、スッポン口に成ってはいますが。)

     この歪みの無い形は、轆轤で造るのに、大変適しています。

     即ち、轆轤挽きでは、さほど難しくない、基本形をしています。

   b) 土も細かい粒子の物を、使いますので、目の粗い土を使う時に、気を付ける、手水の量、

     手早く造る、径を急激に拡げない等の、注意事項を、それほど、心配する事なく、

     轆轤作業を、行う事が出来ます。

     又、高台も、径が小さいですが、基本通りの削りで、対応できます。

  ) 轆轤を挽く

     土の選定、土練(菊練)、轆轤に据える、土殺し、土取り、中央に穴を開ける、底造り、土延ばし、

     形造りと、順次作業を進めますが、この中の幾つかの点に付いて、取上げます。

   a) 轆轤の回転速度

     回転速度が、ある程度速い方が、歪まず綺麗な形と成ります。

     作品を歪ませる方法に、回転を遅くする方法が有ります、遅くすると、振ら付きが出易い為で

     後日、作品を歪ませる方法の項で、述べる予定です。

   b) 形造りの際、高台が小さいからと言い、最初から、底(裏側)を狭くしない事です。

     狭過ぎると、作品が、振れます。但し、内側の底は、狭くしなければ、なりません。

     即ち、高台脇は、肉厚に成りますが、削り作業によって、肉を薄くします。

     内側に「牛ベラ」や「丸コテ」を当てて、形を整えます。特に茶溜りから、茶筅摺り周辺は、

     丸っこくします。

   c) 口造り、この部分は、天目茶碗の見せ場ですので、綺麗なスッポン口を、作る必要が有ります。

     内側に凹ます位置と、凹み量、凹み巾によって、作品の趣(感じ)が変わります。

     一般には、位置は口縁に近くで、凹みの中心が、最上部(口)より、8mm~1.5cm位で、

     巾は、指(人差し指)の巾、程度にします。凹み量は、外側から見て、はっきり溝が、

     見えなければ、なりません。但し、内側に出っ張る量は、外側と同じとは限りません。

   ・ 口のそり返しは、極端ではなく、僅かに反る程度で、溝を挟んだ下のラインと、

     なだらかに、繋がるようにします。

   ・ 口縁は、やや厚めにし、皮で締めながら、拭きます。

以下次回に続きます。
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轆轤で造る、抹茶々碗 (天目茶碗1)

2010-04-25 17:01:44 | お茶と「茶の湯」と茶道具(茶陶)
「抹茶々碗を造る」の話を続けます。

2) 轆轤造り

 回転させて造る、轆轤(電動、蹴り、手回し)造りでは、形は、綺麗な形に成り、個性が

 出にくい面が、有りますが、変形や歪み、削りなどで、個性的作品に、仕上げる事が出来ます。

 又、化粧掛けを、施したりし、釉で個性を出す事が、多いです。

 ① 土を選ぶ

   造りたい形や、使う釉などによって、土を選びます。一般に、赤土や少量の砂が入った土を、

   使う事が多いです。又釉との相性が、有りますので、それなりの、土を使う必要が、有ります。

 ② 天目茶碗を造る

   唐物(中国系)の代表的な茶碗が、天目茶碗です。

   国宝の耀変天目を筆頭に、油滴天目、禾目(のぎめ)天目、たい皮天目、木の葉天目など、

   著名な天目茶碗が有ります。(中国の宋の時代の作に、名品が多くあります。)

   釉は鉄釉が多いですが、釉の種類に拠って、その呼び名が、付いています。

  ) 天目茶碗の特徴

   a) 作行きは、全体に歪みの無い、左右均等の形をし、口縁も凹凸が無く、水平に成っています。

     土も主に、鉄分の多い、赤土を使い、ピンホールを嫌いますので、荒い土は使えません。

     土も強固に、焼け締まっています。(井戸茶碗の様に、ザックリした感じは、ありません。)

   b) 天目茶碗は、概ね、逆三角錐の形(朝顔形)を、しています。

     即ち、高台が極端に小さいく、口縁に向かう程、直線的に、広がりを持ちます。

     高台が小さい為、専用の台(天目台、貴人台と呼ばれる)に載せて使います。

   c) 口縁に特徴があり、一般に「すっぽん口」と言う形をしています。

     「すっぽん口」とは、飲み口を、一度内側に絞り込み、その上部を、外に反り返す形です。

     この形は、強く撹拌しても 、お茶がこぼれ難くする事と、お茶が冷め難くする為と、

     熱いお茶を、少しずつ、口に入れるのに、適した形に、成っているそうです 。

   d) 天目茶碗には、2種類の形が有ります。

    ・ 一つは、平茶碗(夏茶碗)の様に、高さ(深さ)が低く、口径の大きい形です。

      これは、風炉の季節(5~10月)に使う茶碗で、擂鉢(すりばち)状の形をしています。

      高さは、4~6cm、口径が、15cm程度の物が多いです。

    ・ 他の形は、小振りで、お碗形をしています。高さが、6~7cm、口径が12cm程度です。

      これは、主に、炉の季節(11~4月)に、使われます。「スッポン口」はこの形の物に

      施されます。

    ・ 高台は、輪高台で、精密に、削り出されています。高台の高さは、さほど高くは、有りません。

      高台径も、口径の大きい物でも、4~5cm程度で、口径の小さい物で、3.5cm前後です。

以下次回に続きます。

天目茶碗
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茶道具を造る 3 (抹茶々碗2)

2010-04-24 21:59:10 | お茶と「茶の湯」と茶道具(茶陶)
前回に続き、「抹茶茶碗を造る」の話を、進めます。

 ① 手捻りで造る

  ) 板(たたら)造り

   a) 玉にした土を、両手で強く叩き、円形に延ばします。

   b) 厚みが5~8mm程度に成ったら、周囲を立ち上げます。

    最初に、親指の付け根を使い、中央を凹ませ、徐々に凹みを、大きく深く、して行きます。

    次に親指を器の内側に入れ、 底が斜めに成る様に、片手で支え、全体を、回転させながら、

    (他の指を、向かい合わせて使い、)高さを増します。全体の肉厚も調整し、土を締めます。

   ・ 口径や深さなどの、予定の寸法まで、土を延ばします。途中土が不足しても、補充しない方が、

     良いです。繋ぎ目の処理が、難しい為で、土の量を、増やして、最初からやり直す方が、

     早く、上手く、綺麗に出来ます。

   ・ 和物では、自然な歪み(ゆがみ)は、重要な要素に成ります。

     口や胴などを、変形して、歪みを付けますが、さりげない、歪みに成る様にします。

  c) 形造り

    大まかな形が出来たら、乾燥後、削りに掛かります。削りによって、更に形を整えます。

   イ) 手回し轆轤の上に、逆さに伏せ、畳付の高さを、一定にし、高台径に合わせて、当り(円)を、

     付けます。畳付が口と、平行でないと、高台の高さに、差が出ますので、注意します。

   ロ) 高台脇を、徐々に削り出し、形を整えます。作品に応じて、削る範囲も異なります。

     「楽焼き」では、外側全体を削り、更に、口縁、内側も削ります。更に、カンナも、

     金属製の物も使い、内側を削る際には、茶碗に合った、形状の物を、使います。

     手捻りの痕跡を、多少残し、削った面が、綺麗に見える様に、カンナを斜めに動かし、

     削り跡を残すと、良い様です。  

   ハ) 高台、高台内を削る

      高台の内側も、茶碗の見所ですので、気を抜かずに、しっかり削ります。

    ・ 高台の形には、輪高台、竹節高台、撥(ばち)高台、三日月高台、切高台、四方(よも)高台、

      桜高台などが有りますが、碁笥底や、べた高台はあまり、造られません。

    ・ 高台の高さや、形によっては、削りでは無く、形を造った後、付ける場合も多いです。

      尚、楽焼などは、高台は低めで、内側を渦巻き状に、削り出す方法も有ります。   
 
 ) 紐造り

   a) 長い紐を造り、積んで行く方法です。

     一段毎に、輪にして、底に成る土の、周囲に積むのが、丁寧な方法です。

   b) 紐は太さを、一定にし、断面も円に成る様にします。慣れないと、紐も上手に出来ません。

   c) 数段積むと、横方向に積んだ跡が、付きますから、上下の土を延ばして、境目を消します。

     手で行うのが、基本ですが、ヘラなどの、道具を使う事も有ります。

     土が乾燥すると、境目が消し難く成りますので、スポンジなどで、土に水を含ませます。

   d) 親指と、他の指を向かい合わせ、土を摘んで薄く延ばします。

     最下段から一段づつ土を、薄くします。高さが増して行くはずです。

   e) ある程度、土が薄くなったら、形造りに、入ります。徐々に好みの形に、変形させます。

   f) 削り作業は、「板造り」で、述べた作業と、同じですので、参考にして下さい。

次回から轆轤を使った、茶碗の造り方を、述べます。
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茶道具を造る 2 (抹茶々碗1)

2010-04-23 22:40:57 | お茶と「茶の湯」と茶道具(茶陶)
抹茶茶碗を造る

 ① 手捻りで造る

   手捻りで造る茶碗は、個性豊かな作品に成ります。轆轤で造る作品より、「ぬくもり」が有り

   時間を掛けて、じっくり造る事が、出来ますので、初心者にとっては、造り易い方法です。

   造り方は、玉造り、板(たたら)造り、紐造りなどが有ります。

  ) 玉造りは、初心者が最初にやる、造り方で、手回し轆轤が有れば、便利ですが、無くても

     大丈夫です。片手で支えながらや、新聞紙などを、下に敷き、その上で造る事も、可能です。

     (紙が有ると、作品は自由に、回転、移動が出来ます。)

   a) 適量の土を、団子状に丸め、両手の親指を、中央に差込み、深く掘り込みます。

     底の厚さは、付け高台で5mm程度で、削りの場合は、約1cm程度にします。

   b) 次に内側の底を造ります。

     底の形状によって、全体の形が決まりますので、必要な広さまで、拡げます。

     朝顔形は、底が狭く、馬盥形では、広く取ります。内側から外側へ、土を押し拡げます。

   c) 土を上に延ばします。

     高台脇や、胴などを、しっかり削る(削ぐ)場合は、肉厚は、全体に残す必要が有りますが、

     削る作業を少なくし、作品を軽く造りたい時は、土を両手で摘み、薄く延ばします。

     土を摘むと、直径は広がり易く成りますので、径が大きくならない様に、土を締めながら、

     延ばします。

   d) 形を造る

     基本は、口径を丸く造りますが、口縁を含めて、器全体を、変形する事も、多いです。

     勿論、削り作業で、形は変化しますが、土が変形できる、軟らかい間に、好きな形に造ります。

     器の基本形は、前回述べ様な形が有りますが、必ずしも拘る(こだわる)必要は有りません。 

   e) 形を整える

     削り作業は、赤松を割ったり、削って作った、木のヘラを使います。ヘラも、何種類か用意し、

     使い分けます。大胆に削ぎ落す場合も有ります。

     又、この削り作業で、作品により強い個性を、与える為、ヘラ目を入れる場合もあります。

    ・ 削りでは、器の外側を削り、内側を削る事は、少ないです。但し、楽茶碗の場合は、内側も

      削る事が多いです。

      特に高台脇、高台、高台内を、削りますが、付け高台の場合には、土を付けてから、

      形を整え、削ります。

    ・ 高台内には、兜巾(ときん)と言って、中央がやや盛り上が様に、削ります。

    ・ 底には、茶溜りを造ります。造るタイミングは、人によって違いますが、底を押し広げる時、

      削りに入る前、一番最後の段階などで、造り方も、単に指で凹ましたり、乳棒を使ったりします。

    ・ 口縁は、唇が触れる所ですので、特に丁寧に仕上げ、皮を使い、違和感の無い様にします。

 ) 板(たたら)造り

以下次回に続きます。

抹茶茶碗(手捻り)

 
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茶道具を造る 1 (造る前に)

2010-04-22 21:51:00 | お茶と「茶の湯」と茶道具(茶陶)
このシリーズの本題である、「陶器の茶道具を造る」に付いて、述べたいと思います。

抹茶には、濃茶と薄茶が有ります。

 ・ 濃茶は、茶をゆるく練った物で、一碗の茶を、三人から五人位で、飲み回しします。

   それ故、人数分の茶の量を、入れますので、茶碗も、やや大振りになり、重量感も有ります。

 ・ 薄茶は、一碗づつ各人に、提供されます。

   抹茶々碗と呼ばれるのは、もっぱら、薄茶用の茶碗の事が、多いです。

 ここでも、薄茶用の茶碗について、述べていきます。

1) 抹茶々碗: 茶道具の中で、一番感心がある、茶碗を最初に取上げます。

   作品を造るに当り、以下の様な事を、考慮して置く必要が有ります。

   ① 茶碗の種類 ② 土の種類 ③ 造り方、大きさ、轆轤目、歪み ④ 削り、細工、装飾の有無 

   ⑤ 釉の種類などです。

 ① 茶碗の種類について

   前にも、お話した様に、唐物、高麗物、和物に大別されます。

   又、その形から、各々呼び名が有ります。

   天目形、碗形、筒形、半筒形、井戸形(朝顔形)、平形、輪形(鉄鉢形)、沓形、馬盥(ばたらい)形、

   端反(はたぞり)形、呉器形、胴紐形、塩笥(しおげ)形などで、季節による使い分けや、

   その他、形にも約束事が、有りますので、一通り、頭に入れて置いた方が、良いと思います。

 ② 土の種類

  その作品(茶碗)にふさわしい、特有の土が、必要な場合も有ります。

  萩の土、唐津の土、楽焼の土などで、志野の「もぐさ土」の様に、入手困難な、土も有ります。

  肌理の細かい土は、作品が硬くなり、「ザックリ」した感じにする為には、やや粗い土が向いています。

  井戸茶碗の様に、高台に「梅花皮(かいらぎ)」を造る時は、小砂を少量入れて造り、削る事により、

  表面が荒れて、良い結果がでます。

 ③ 造り方も、手捻り、電動轆轤、蹴り轆轤など、どの道具を使うかによっても、作品の出来上がりに

   差が出る場合も、有ります。又、回転速度も重要で、概ね速度を、遅くして造ります。

   作品の種類によって、大きさも、ほぼ決まっています。天目は小振りで、井戸茶碗は、大振りです。

   又形にも、約束事があり、口縁(口造り)、胴、腰、高台脇、高台、兜巾(ときん)、畳付、

   茶巾摺、茶筅(ちゃせん)摺、茶溜りなど、作品に応じて、その形が決まる事も、多いです。

   又、轆轤目の有無や、作品の微妙な歪み、口縁の凹凸(五山、五峰、山の道と言う)も、

   作品を造る際には、十分考慮する必要が有ります。

 ④ 削り: 高台脇は、削り作業を行いますが、高台は、削りと、付ける方法が有ります。

   高台を高く取る、切高台、十字高台などや、楽焼などでは、付け高台が多いです。

   大胆に削り出す(土を削ぐ)事により、削り跡を目立たせたり、ヘラ目を入れたりする場合や、

   逆に、削り作業は、なるべく行わなず、「自然のまま」と言う、方法も有ります。

 ⑤ 釉についても、幾つかの約束事が有ります。(勿論、無釉の物も有ります。)

   天目茶碗には、天目釉が掛かり、井戸茶碗には、「枇杷(びわ)色」が良いと言われています。
  
尚、轆轤での、土を延ばす(荒延ばし)やり方、指の使い方などは、人により千差万別ですので、

ここでは、述べません。基本的事項に留めます。

以下次回に続きます。

   
   
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茶道と焼き物 5 (茶陶の種類2)

2010-04-21 22:47:35 | お茶と「茶の湯」と茶道具(茶陶)
茶道と焼き物の話を、続けます。

4) 茶陶の種類

 ② 用途

  ) 香炉: 床の間や、書院の飾りにも成りますが、お香をたく器です。

    中に灰を敷き詰め、香をたくときは、蓋を取って使います。    

  ) 水指(みずさし):点前中に、釜に水を補給したり、茶碗や茶筅(ちゃせん)を、すすぐ為の

     水を入れる器を、水指と言います。

    a) 材質は、金属、陶磁器、木地物(きじもの)、ガラスなどが有ります。

    b) 季節や趣向、道具の取り合わせで、用いる水指が、決められます。

    c) 水指の蓋は、水指本体と、同じ材料による、共蓋(ともぶた)と、違う材料の、

      塗蓋(ぬりぶた)が、有ります。塗蓋は替蓋とも言います。

  ) 建水(けんすい):「水こぼし」とも言われ、点前で茶碗をすすいだ湯水を、あける器を

     建水と言います。

     材質は、唐銅、砂張(さはり)などの金属、備前、丹波、瀬戸等の陶磁器や、木地物が有ります。

     注:砂張とは、銅に錫と鉛を加えた合金で、中国、朝鮮などからの、伝来した物です。

  ) 蓋置(ふたおき):釜の蓋を置く、台の事ですが、柄杓(ひしゃく)を引く台としても、

    使われます。竹製が多いですが、陶磁器製も、用いられています。

  ) 菓子器、菓子鉢:文字通り、菓子を入れ、客に提供する為の器で、主菓子器と、干菓子器

     が有ります。

     主菓子器には、銘々皿、菓子碗、菓子鉢、などで、干菓子器には、塗り物の、干菓子盆などが

     有ります。

  ) 茶壷: 葉茶壷の略で、茶葉を入れる壷です。野々村仁清の、茶壷は特に有名で、国宝にも

     指定され、豪華な錦手は、彼ならではの、作品に仕上げています。

  その他、: 炭道具と言われ、炭斗(すみとり)、羽箒(はぼうき)、火箸、釜敷き、灰器、灰匙など、

  種類は多いですが、陶磁器製は、灰器位で、他は竹や籐製が多いです。

 5) 懐石道具

  )向付(むこうつけ): 膳の向こう側(手前の反対)に置く料理で、その器を言います。

    刺身や酢の物などを、指す言葉として懐石(会席)料理などで、広く使われます。

    形(意匠)は変化に富み、茶道具と対照的に、染付け、赤絵、金襴手など、贅(ぜい)を

    尽くした物も有ります。

  )酒器: 徳利や盃(ぐい呑み)などで、唐物や和物など、色々あり、亭主の心入れが、表われます。

  )鉢:織部の手鉢や、黄瀬戸のどら鉢など、変化に富んだ形や、染付け、赤絵など、

    絵が付いた物も、使われます。

以上で茶道具と、懐石道具の概略を述べましたが、次回より、造り方などを、述べたいと思います。
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