わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

造る70(壷5、手捻りで大壷を作る1)

2013-04-30 22:56:38 | 陶芸入門(初級、中級編)

手捻りで大壷を作る一般的な方法は、紐状の土を積み上げて形作るやりかたです。

但し、この方法ですと肉厚が厚く成り易く、重たい作品になってしまいます。

そこで、今回は叩きの技法を取り入れて、肉厚をやや薄くし強度を持たせる方法を述べます。

 ① 丸い球形の壷が一番難しい。

   大壷に限らず、手捻りでも、轆轤であっても、壷の形で難しのは球形です。

   左右上下が対称の完全な球形が出来れば、陶芸では一人前とさえ言われている程です。

   左右は轆轤挽きすれば、対称に成り易いですが、上下関係では、大抵は下膨れない成ったり、

   腰や下部の丸みが少ない等、上下が非対称に成り易いです。

   それ故、最初から難しい形に挑戦するのではなく、簡単な形から作る事を勧めます。

   ・ 注: 人間の目の錯覚で、スケールで計った完全な球でも、やや縦長に見えます。

        即ち、横よりも縦の方が強調されるものです。その為若干縦寸法を短くする事です。

 ② 今回取り上げる大壷の形と寸法。

   下部は丸味の少ない「逆ハの字」形で、肩径が最大径とし肩の張った形にします。

   ・ 下部が極端に張っている形では、上に載せる紐の重量を支えきれずに、形が崩れ易いです。

   大壷の焼成後の想定高さは、約25cm、肩径が約20cm、口径が約9cmとします。

   当然、土の種類によりますが、生の状態では、高さが約29cm、肩径が約23cm、口径が

   10.5cm程度にする必要があります。

 ③ 作り方は、おおよそ次ぎの手順で行います。

   底作り、下部に紐を数段巻きつけて形作り、乾燥後に上部を紐作り、仕上げとなります。

   その他の方法として、上下を別々に作り、適度に乾燥させてから、上下を接着する方法もあり

   ますので、後日お話します。

 ④ 準備する物

   土約3Kg、手轆轤、剣先(針)、切糸と弓、「木コテ」と「叩き板」、なめし革、カンナなどです。

 ⑤ 大壷を作る。

  ) 底を作る。適量の土(約700g)を手轆轤の中心置き、掌(てのひら)で叩いたりして平らにし

     土を締めながら、約1.5cmの厚みに伸ばします。

      ・ 注: 土の厚みは物差しでは計れません。簡単な方法は、適当な棒切れの先に針を

        埋め込み、所定の長さ(この場合は1.5mm)だけ外に出る道具を作る事です。

        この針で底の中央と十字の4ヶ箇所を刺して、棒の痕が突けばほぼその厚みになります

     手轆轤を回転させながら、約15cmの綺麗な円板になる様に、針で切り出します。

  ) 残りの粘土で紐を作る。

     土を採り団子状にした後、テーブル板の上で転がしながら紐を作ります。

     土の軟らかさ(乾燥具合)によって、作り易くなったり、「ヒビ」が入ったりしますので、適度の

     硬さの土を使うと上手くいきます。

     太さは約2cm程度とします。なるべく太さを一定にします。長さは不揃いでも良いのですが、

     紐を積む際一本の紐とし、途中で継ぎ足さない様にしたいです。

     それ故最大で65~70cmの紐が数本必要に成ります。

     大きな作品ですので、必要な紐の数は20本程度です。尚、紐が乾燥しない様に、濡れた布を

      掛けておきます。

  ) 紐を一段積み密着させる。

     底の縁の上面に紐を一本巻き付け、両端が若干重なるます様に切ます。

     ・ 注: 切り方は三通り有ります。a) 紐を直角に切る。b)紐を楔(くさび)形に切る。

       この場合、上下方向で斜めに切る方法と、内外方向に斜めに切る方法があります。

      その際、底の縁よりやや内側に載せ、底の縁が5mm程度真上より見える様にします。

     a) 紐は底に押し当て、空気が入らない様にし、紐の内側の土を崩しながら、底に指を使って

       なすり付けます。 更に、「コテ」で紐と底の境を撫ぜてなだらかにします。

     b) 紐からはみ出ている底の縁の土を、竹へら等で上になすり上げて、密着させます。

   ) 更に二段紐を重ねます。今回は輪積みの方法で行います。

      紐の合わせ目位置が一箇所にならない様に、適度に移動させます。

      積む時は真っ直ぐ上に載せる様にします。(口が開かない様にします。)

     a) 内側の繋ぎ目を指を斜め下、斜め上と交互に動かせて繋ぎ目を消します。

     b) 同様にして、外側の繋ぎ目を消します。

   ) 肉厚を一定にする。

      両手の親指と他の指を向かい合わせて土を摘み、全周の肉厚を均等に1cm程度の

      厚みにします。 薄くする事により、口縁は上開きの形になります。

      この際、親指が内側に来るか、外側に来るかは自由です。

   ) 更に二段積み上げる。

      口がやや広がった上に紐を載せる場合には、縁よりやや内側に積みます。

      上記と同様に紐同士を密着させ、繋ぎ目を消し、更に、土を指で摘んで肉を薄くします。

      水で濡らした「木コテ」を使い、滑らかに整えます。

    ) 更に数段積み上げてから、若干丸味を持たせます。

      a) 叩き板で叩き、土を締めながら肉厚を薄くします。

       ・ 注: 叩き板には、模様が線刻されています。締めが強く成ると同時に、叩いた時の

          文様が壷の表面に残ります。但し、壷の表面に文様を残したくない場合には、文様の

          無い、平らな板を使います。

      b) 叩く際には、内側から木製の受け板を当てます。

         受け板は片手で持ち易い形状で、作品の内側にぴったり合う様にします。

         特に腰周りに余分な土が残り易いですので、やや強く叩きます。

     ) 目標の最大径まで積み上げたら、下部分は完成となります。

         乾燥させてから更に上に積み上げますが、口縁に塗れた布や新聞紙を被せ乾燥を

         防ぎます。

以下次回に続きます。

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造る69(壷4、蹲(うずくまる)4)

2013-04-29 19:44:30 | 陶芸入門(初級、中級編)

7) 轆轤で蹲るを作る。

  前回、蹲るは手捻りで作った方が趣があり、室町以降の古くからある蹲るは、ほとんどが手捻りで

  作られています。しかし、当然ながら(電動)轆轤でも作る事が出来ます。

  今回は粘土1Kgを使って、小振りの蹲るを轆轤挽きで作る方法をご紹介します。

  ① 作品の大きさは、生の状態でおよそ、高さ約14cm、胴径14cm 程度となります。

  ② 轆轤で作る。

   ) 菊練した土(信楽、伊賀などやや粗め)を轆轤の中心に置き、底の外形を両手の小指の

      根元で轆轤面に押し付け水が入らない様にします。更に両手で強く叩き、轆轤面に密着

      させます。底の大きさは作品の底の径より若干広く取ります。

      (最後に面取りする為やや大きく取ります。)  

   ) 土殺しを行います。

      両手と土の表面を水で濡らし、泥(どべ)を出してから、土殺しをし土を上げ下げします。

      「ハゼ石」の入った粗い土を使うと、手が切れる場合があります。そんな時は掌に布を巻き

      付けたり、軍手を使ったりして、手を保護します。

   ) 中心が出たら中央に穴を掘り、底の肉厚が1cmに成る様にします。

      次に、手の指を使い底の内側を所定の寸法まで広げます。更に「コテ」を当てて、底と底の角

      及び腰を締めます。

   ) 土を真直ぐ上に挽きあげます。

      両手の指で土の内外から締め付けて、薄く伸ばし筒状にします。

      轆轤の回転スピードはやや速めにします。

      又、口縁が広がらない様に、時々筒の側面を両手で抱えながら、振れを防ぎます。

   ) 形を作る。

     a) 底より上部をやや広げ、肩が張った形状にします。

     b) 轆轤の回転を落としながら、肩より上の口をすぼめます。

       両手の親指と人差し指の間を、徐々に狭くして行きます。その際、両手の隙間(親指同士と

       人差し指同士)を同じにすると、狭くなり易いです。即ち、土の逃げ場をなるたけ少なく

       する事により、スムーズに狭める事が出来ます。

     c) 更に土を上に伸ばす。

       土を狭めると肉が厚くなりますので、更に上に伸ばしながら薄くします。

       肉厚のまま先に進むと、「撚れ(よれ)」や「皺(しわ)」が発生します。

     d) 口を外に開き首を作る。

       口に「なめし革」を当て、土を締めながら外側に開きます。

       口は上部より指で押さえて、やや肉厚に仕上げます。

       又、あえて首を傾け、形に動きを持たせて、変化を与えた物も多いです。

     e) 内部の水を、柄の付いたスポンジで吸い取ります。

       最後に「竹へら」で底の周囲を面取りしてから、切糸で轆轤上より切離します。

       更に、乾燥後に、底を親指の付け根で押し上げ、碁笥底にする事も出来ます。

   ) 好みの文様を入れる。

      竹串を使って、好みの文様を入れる事もできます。

      轆轤挽きの場合、どうしても表面が綺麗過ぎる傾向になりますので、轆轤目などを付けたり

      「ドベ」を表面に塗りたぐったりして、変化をもたすのが良いと思われます。

以上にて蹲るの話を終わります。

次回は大壷に付いてお話します。       

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造る68(壷3、蹲(うずくまる)3)

2013-04-26 22:22:38 | 陶芸入門(初級、中級編)

6) 蹲るを「伊賀」風、「信楽」風に焼く。

 本来の蹲るは、登窯や、窖窯(あながま)で、薪を燃料にして焼成した焼き物です。

 しかし、今日では、この様な窯を使い簡単に焼成する事は困難に成ってきています。

 そこで現在使用している「ガス窯」や「灯油窯」、「電気窯」を使い簡易的に「伊賀」や「信楽」風に焼き

 上げる方法を紹介します。但し、「電気窯」の場合は、電熱線を痛める恐れがりますので、あまり

 推奨は出来ません。

 ① 準備する物。

  匣鉢(さや)、道具土、珪砂、籾殻(もみがら)、藁(わら)、木炭、各種灰と、篩(ふるい)、CMC

  (化学のり)等です。 ほとんどの物は市販されています。

  ) 匣鉢(さや)は2個必要です。
 
    市販されている匣鉢は、円柱形と四角形の物があります。更に底の無い匣鉢は他の匣鉢と
 
    組み合わせて、背の高い作品を詰める事が可能です。 
 
   a) 大きさも円柱形で、径が170~320mm、四角形では、一辺が330~380mm程度で
 
     高さが両方共100~120mm程度の物が一般的です。
 
    ・ 作品(蹲る)は真直ぐ立てて焼成するのが基本ですが、倒して焼く場合には、四角形の匣鉢を

      使った方が収まりが良い様です。

    ・ 当然、道具土で匣鉢を自作する事も可能です。

   b) 匣鉢には作品以外に、炭や籾殻を入れますので、大きめの匣鉢を2個用意します。 

     1個は蓋として使います。
 
   c) 匣鉢は完全に乾燥させて使います。
 
  ) 道具土は団子状にして、作品の底に数個くっつけ、匣鉢の底から浮き上がる様にします。
 
     又、匣鉢を密閉したくない場合には、蓋との間に団子を入れ隙間を作ります。
 
     尚、強還元焼成する場合には密閉します。
 
  ) 珪砂は熔けた灰などが流れ落ちて、匣鉢の底にくっつくのを防ぎます。
 
     珪砂は、粒の大きさにより1号~5号の種類があります。
 
  ) 籾殻、藁、木炭は、火襷(ひだすき)や焦げ、ビードロ色に発色させる材料です。
 
  ) 各種灰:土灰、松灰、藁灰、その他の木灰、草木灰などです。   
 
     天然物と合成物があります。変化を求めるのであれば、天然物を使います。
 
  ) 篩とCMC: 篩(ふるい)は灰類を作品に降り注ぐ様に掛ける場合に使います。
 
     CMCは灰が作品からすべり落ちない様に、接着するのに使います。
 
     粉状の物をお湯や水に溶かし、刷毛やスプレーを使って器に塗りつけてから、灰を掛けます。
 
 ② 匣鉢詰め作業。
 
  ) 匣鉢の内側全体に、刷毛で水に溶かしたアルミナを塗ります。重ね合わせる口縁にも忘れ
 
     ずに塗ります。 匣鉢を保護する役目と、釉(熔けた灰)が付くのを防ぎます。
 
  ) 珪砂を匣鉢の底に敷き詰めます。代わりに籾殻を使う事もあります。
 
  ) 作品(蹲る)は素焼きをせずに、完全に乾燥させた後、灰を掛けたい場所にCMCを塗ります。
 
     灰は効果的に使う為、全面ではなく、予めどの位置に載せるかを考えてから行動する事です。
 
  ) 匣鉢に作品を入れ、周りに木炭を入れる。
 
     更に、火襷を出す為に藁を巻き付け、木炭を追加する。 蓋となる匣鉢にも藁を入れます。
 
  ) 明るく発色させる為には、強還元焼成に成らない様に、匣鉢の口縁に道具土で作った団子を
 
     載せ、蓋との間に隙間を作ります。

  ) 強い還元焼成では、籾殻は焦げを起こし、木灰は鮮やかなビードロ色に、藁は緋色が出ます

     特に大き目の木炭を置いた場所は強還元が起こり、一層鮮やかなビードロ色に発色します。

     強い還元を掛けるためには、蓋となる匣鉢と下部の匣鉢との間に隙間が無い様にします。

     又、強還元にする為、珪砂の代わりに、籾殻を敷き詰め、作品の底に道具土で団子を付け

     ます。焼成後この団子は取り除きますが、その跡が景色に成りますので、取り付け位置も

     考慮する必要が有ります。

  ) 焼成温度は1250℃程度で必要な時間焼成します。

     窯の種類や窯の大きさによって、焼成時間は各々異なります。

 以下次回に続きます。

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造る67(壷2、蹲(うずくまる)2)

2013-04-25 22:47:15 | 陶芸入門(初級、中級編)
5) 蹲る(うずくまる)を作る。
 
  蹲るは小型の壷で、中型や大型の壷に比べて、底が極端に広くなっています。
 
  その為、胴体の膨らみが少なく、底から急に立上がった様な形になります。
 
 ① 土の種類は、やや粗めの長石粒(石ハゼ)が入っている、信楽や伊賀の土を使うと、趣きある
 
    作品に成ります。
 
 ② 作り方は手捻りによる紐作りです。
 
    手回し轆轤があれば大変作り易いですが、必ずしも必要としません。
 
    電動轆轤を使うと、手作りらしい表面の凹凸が出ずに、単調な作品になってしまいますので、
 
    手捻りで作る事を薦めます。
 
  ) 底面に下駄印を付ける場合には、予め2~3本の凸状又は凹状の凹凸のある亀板を
 
     使います。
 
  ) 底面に素朴な味わいを出す場合には、直接土を亀板に載せるのではなく、乾燥させ粗く
 
    潰した石混じりの乾いた土を、亀板の上に撒きます。これは後で作品を取り上げる際にも役に
 
    立ちます。その上に、作品の底に成る土を掌で強く叩き、平たくしてから、針を使い綺麗な円に
 
    切り取ります。
 
  ) 紐を二段積み上げ、底に密着させ、段差を無くしてから、土を上に薄く伸ばす。
 
    a) 紐は最初に必要量を作っておく方法と、紐を作りながら積み上げる方法があります。
 
      予め作って紐は乾燥させない様に、濡れた布を被せておきます。
 
    b) 紐の作り方も、両手の掌(てのひら)に挟み下に垂らし、土を揉みながら細く伸ばす方法や
 
      土の塊を板の上で転がして、細く長くする方法があります。
 
      いずれの場合にも、紐の太さを均一にする事が大切です。
 
   c) 積み方も、ぐるぐると巻いて積み上げる方法と、土を輪にして積み上げる輪積みの方法が
 
       有ります。後者の方が丁寧な作り方です。
 
   ) 更に紐を数段積んで首を狭めて、おおよその形にします。
 
      紐の太さに応じて積み上げる段数が異なります。
 
      首の長さは、棕櫚縄(しゅろなわ)や蔦が外れない様に短くします。
 
   ) 内側から「柄コテ」を当て、外側から指で撫ぜて表面を仕上げます。
 
      指痕を残し過ぎると作為的に見え、綺麗にし過ぎると趣きが無くなります。
 
      それ故、水を少なめに濡らした指を使い、指痕が有るか無いか程度に残します。
 
      特に首の部分は滑らかにして、縄や紐(蔦)が切れるのを予防します。
 
   ) 口縁を針等で切って高さを揃え、革などで拭いて綺麗にします。
 
      首から口縁に掛けては、急に外側に広がった形で、鼠返しの様に反り返ります。
 
      口縁は内外と二重にし、内側はやや高く、外側は低くして高低差を付けます。
 
      若し、桧垣文を線刻する場合には、この段階で行います。
 
      a) 蹲るの口縁の一部が潰れた様に、傾いている場合があります。
 
         窯の中で、自然に歪んだ物か、故意に潰して形作った物なのかは判別できませんが、
 
        意図的に傾がせて、変化を持たす場合も有ります。
 
      b) 蹲るを「掛け花生」として使う場合には、胴の上部又は首の真下に、専用の留め金を
 
        付ける穴を開ける必要が有ります。尚、この留め金は市販されています。
 
   ) 轆轤より作品を剥がし取ります。
 
      最初に乾いた粗い粘土の粉を轆轤上に敷きましたので、作品は糸を入れなくても、剥がし
 
      取る事が可能です。又粗い粘土の粉は、剥がれ落ちる物と底に張り付く物がありますが、
 
      あえて綺麗に取り除く必要もありません。
 
   ) 壷の全体の形を整えてから、底を親指の付け根で押して碁笥底高台風に仕上げます。
 
      ベタ高台の場合はそのままにしておきます。
 
6) 蹲るを「伊賀」風、「信楽」風に焼く。
 
 以下次回に続きます。
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造る66(壷1、蹲(うずくまる)1)

2013-04-24 21:44:06 | 陶芸入門(初級、中級編)

鎌倉時代以降昭和の初め頃までは、壷類は容器として多用されてきました。

油壷、茶壷、種壷、豆入れ壷などは、特に農家で日常的に使われていた物です。

現在では、焼き物以外のガラスやプラスチックなどの容器が多く出回り、壷の出番も少なくなって

います。

陶芸に於いても実用的な壷と言うより、置物(飾り物)用や、展示会等の出品(壷は目立ちます)

として作る事が多いと思われます。皆様方も一度は壷を作った事はあると思います。

1) 壷に付いて。

  ① 壷とは: 胴が丸く膨らみ、口と底が狭くなった形の容器です。

    主に、水や酒などの液体や、穀物などの食料を貯蔵したり、運搬用容器としても使われて

    います。 壷類は、古くより世界各地に存在し、使われ方も我が国と同様でした。

    陶磁器製の他、青銅製(主に中国)の物もあります。

  ② 壷の特性として、水漏れや防湿効果が高く、腐敗し易い食料などを貯蔵するのに向いています

    又、材質が土や金属である為、鼠や害虫などから、中身を守る事が出来、更に衝撃等の

    外圧に強く出来ています。但し重み(重量)が有るのが欠点ですが、大きな物は据え置いて

    使う事が多いですので、余り問題に成りません。

2) 壷と甕(かめ)の違いに付いて。

   東大理学部人類学教室の長谷部言人(ことんど)氏による定義が有名です。

   即ち、「頸部の径が口径あるいは腹径の2/3以上のものを甕(かめ)と呼び、2/3未満のものを

   壺とする」とされています。即ち、首部の径が大きい物が「甕」です。

   「壷」や「甕」の文字は、弥生時代以降作られた物に用いられることが多く、縄文土器の場合は

   「甕」の名称を用いず「深鉢(ふかばち)」を使います。

   ・ 鉢は、口径が最大胴径の三分の二以上で蓋がない物を指します。 

3) 壷の作り方は、

  ① 紐を積み上げる紐作りがあります。唐津の叩き壷は有名ですが、これも紐作りで行います。

    紐作りは万能の作り方で、どの様な形ににも対応できる技法です。

    但し、形がやや歪み易いですが、温か味のある作品に成ります。

  ② 紐を積み上げた後、轆轤挽きする方法。大きな作品の場合や、土の種類(伸び難い土等)に

     よってこの方法が採られます。大きな作品の場合、下部を乾燥させて強度を持たせてから

     更に上部に紐土を載せて、背を高くします。

  ③ 轆轤のみで成形する方法。 一気に轆轤挽き出来る高さには限度があります。

    その為、背の高い作品を作る場合には、途中で土を継ぎ足しながら上に伸ばします。

    そのやり方にも幾つかの方法がありますので、順次お話します。

4) 蹲る(うずくまる): 人が体を丸くして、しゃがみ込む様な形をしているので、この名前が付いた

   そうです。底が広く安定感に富んだ、ずんぐりした小形の壷です。

  ① 伊賀、信楽、備前、常滑などで鎌倉、室町時代以降の古窯で焼かれた、無釉の焼き締め
 
    陶器が特徴です。 農家などで種子を貯蔵する種壷と考えら、桃山時代の「侘び茶」に合う物
 
    として、茶の湯の世界に導入したものです。床に置く「花入れ」や、茶室の柱などに掛ける
 
    「掛け花入れ」として転用し珍重されています。
 
  ② 蹲るの特徴。
 
   ) 大きさ: 高さ20cm以下、胴径18cm前後。 無釉の焼き締め陶器
 
   ) 底は下駄印: 底は「碁笥底」又は「ベタ高台」で、下駄の歯の様な長方形の凸、又は凹状の
 
      痕が平行に2~3本付いています。凸状の物を出下駄、凹状の物を入下駄と言います。
 
      この痕は制作時に、土が轆轤から離れない(移動しない)様に止めた桟(さん)の痕です。
 
   ) 首は細く、口は広く丈夫にしてあります。
 
     a) 首に蔦(つた)や棕櫚(しゅろ)縄を巻き付け、天井の梁(はり)からぶら下て使います。
 
       これは、種籾(もみ)などを鼠などの食害から守る為と、十分に乾燥させる方法です。
 
     b) 口が大きく反り返っていのも、鼠が中に入らない様に、鼠返しの役目となります。
 
     c) 口縁は二重にして、強度を持たせています。
 
   ) 桧垣文は魔除け(厄除け)の意味があるそうです。
 
      蹲るの肩には、斜めに交差した線彫り模様(桧垣文)があるのが多いです。
 
      これも、害虫や鼠から守る魔除けと考えられています。
 
5) 蹲るを作る。
 
以下次回に続きます。
      
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造る65(蓋物22、水指3)

2013-04-22 22:48:50 | 陶芸入門(初級、中級編)

7) 水指を作る。

  尚、水指に付いては、当ブログで既に取り上げていますので、2012-05-17(茶道具、水指を

   造る)を参考にして下さい。   

   方形(四角)などでは、手捻りの場合も有りますが、轆轤挽きの円形の水指が多いです。   

  ① 一重口水指 : 小振りな水指が多い。(外形14.5~16cm 、高さ14~20cm程度)

   茶の湯の初期の頃より使われえている、桶型や鬼桶水指に多い形です。

    注: 桶型も鬼桶も無釉の焼き締め陶器(信楽など)です。

       本来は窯道具の匣鉢(さや)を水指に転用した物と言われています。

   ) 特徴は以下の様になります。

    a) 全体の形は、寸胴形又は、やや上開きの形で、胴には膨らみがありません。

     b) 口縁はやや肉厚で、玉縁に成った物もあります。口縁は一重で段差が無いのが普通です

    c) 底は「ベタ」で、切り糸の渦状の痕が残っている物もあります。

      一部には「碁笥底高台」の物もあります。

    d) 肩には耳が付いてい無い物が多い。

    e) 蓋は塗蓋がほとんどです。

      作品に合わせて塗蓋を特注で注文するのが理想ですが、かなり高価にに成りますので、

      市販の塗蓋を使いたいので、蓋に合わせて水指を造る事に成ります。

      注: 市販の塗蓋は3寸(9.09cm)~8寸5分(約25.7cm)程度の大きさで、1分

         (3.03mm)刻みで購入する事が出来ます。

         尚、水指の口縁の外形と、蓋の外形は同じ寸法にします。

   ) 一重口水指を作る。

     小型の水指で、形状的にも、ストレート系ですので、特別難しい処はありません。

     この程度の大きさなら、適量の土を轆轤上に据えて、一気に轆轤挽きする事は容易な

     はずです。

     尚、市販の塗蓋は綺麗な円形の製品ですので、作った水指の口縁が歪んでいると、

     「ぴったり」合わない恐れがあります。

   ) 著名な作品に重要文化財の一重口水指(寸胴形)があります。

      信楽焼き 高14.7 口径17.3 底径15.5 安土桃山時代 東京国立博物館

       「柴庵(花押)」の漆銘がある。

  ② 矢筈口(やはずぐち)水指。

    矢を弦につがえる為に、凹になった矢の部分を「矢筈」といい、その様な凹状の口をした

    水指を言います。   

    一重口の桶型や鬼桶水指に代わり、利休晩年の天正年間(1573~1592)後期頃に

    流行したと言われています。

    ) 轆轤成形により筒状の胴部をつくり、口縁部を内側に折り返し更に、内部下方へ傾

       きながら狭まった形にします。口の内側には置蓋の受けがあり、共蓋を載せる様に

       なっています。 両肩に耳を付けた大振りの水指です。

     ) 胴体の作り方は以下の様になります。

      a) 3~4kgの土を用意し、轆轤の中心に据え、強く叩いて轆轤にくっつけます。

        土の外側を押さえて中心に移動させます。

        尚、亀板を使えば、轆轤挽き後の持ち運びに便利です。

      b) 土の中心を拳固や木槌で叩き、底を締めながら底を広げます。

         広がった周囲の土は狭めて丸い円にします。

      c) 全体を水で濡らします。その際布切れ(カコと言う)を使うと、水切れもせずに、泥

        (ドベ)を出しながら、濡らす事が出来ます。

      d) 布切れを使って、底の内側を平らにします。

      e) 周囲の土を上げ下げして、土殺しを行う。

        内外から土を押して上に伸ばし、外側、内側、口縁を押さえ込んで土を下げます。

        この行為を数度行い、土が綺麗な円に成る様にします。

        尚、土を上に伸ばす場合、口が狭く成る様にします。

      f) 荒伸ばしを行う。

        轆轤目が付く程度に、土の内外に力を入れて荒伸ばしをし、おおよその形にします。

        口縁はやや肉厚にし、布でしっかり締めます。

      g) 蓋受けを作る。

        口縁を内側に約90度(直角)倒します。口縁に十分肉が無いと、この段階で歪みが

        発生し易いです。

      h) 直角に倒した部分の内径に狂いが有れば、針などでを綺麗に切り取りします。

      i) 口縁をやや下向きに落とし込み、更に、蓋受け部分を水平にします。

        蓋受け部の外径を測っておきます。

      j) 綺麗な円形の水指もありますが、変化を持たせる為に、底部や胴体に変形を加える

        事もあります。 

      k) 全体の形を見ながら正面を決めます。

    ) 蓋を作る。

      a) 轆轤(又は亀板)上に据えた土を土殺し後に、円盤状に伸ばします。

      b) 円盤の中央部を押さえて水平な面を作り、縁との段差を設けます。

      c) 摘み部は、上記円盤上の中心に土を加えて、轆轤挽きで作ります。

        その際、両方の付ける部分は濡れていない事です。濡れていると接着できません。

      e) 蓋の大きさを測り、所定の寸法である事を確認します。

    ) 削りと耳付け。

      a) 底は切り糸による切りっぱなしの場合と、その後に削る場合があります。

         底の側面を大胆に削り取り、変化をもたらす場合もあります。

      b) 蓋を載せて蓋受けとの相性(座り)を見る。

        座り具合が良くない場合には、蓋又は蓋受けを変形させます。

        その場「ぴったり」する場所が一箇所のみに成りますので、蓋と本体(胴)との

        位置関係の印を付けておきます。

      c) 耳を付ける。

        紐状にした土を胴体に貼り付けます。二箇所付けますが、一般には蓋を挟んで反対方向

        同じ大きさ、同じ取り付け高さにします。取り付け終わってから、耳の形を作ります。

 以上にて「蓋物」の話を終わります。次回より「壷」に付いてお話します。     

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造る64(蓋物21、水指2)

2013-04-20 17:07:11 | 陶芸入門(初級、中級編)

7) 水指の「真(しん)」「行(ぎょう)」「草(そう)」について。

 ① 茶の湯では、「真・行・草」という言葉が使われます。元々は「楷書(真に相当)・行書・草書」という
 
   三種の筆法から来た言い方です。本来の形(真)から、それを少し崩した行書、そして最も崩した
 
  草書という三段階の筆法を、茶の湯の世界に当てはめて分類したのが「真・行・草」です。
 
 ② 中国で書の基礎を築いた王義之(おうぎし)が、三筆法を確立たと言われ、格式の整った「真」、
 
   その対極にある崩し文字の「草」、そしてその中間にあるのが「行」と定義します。 
 
   「真」が最も格式のある正統な書で、高い評価を得ており、「行」「草」はそれに次とされています
 
 ③ 我が国に於いては、必ずしも上記な様な評価を受けず、むしろ不完全な美を意識する「侘び、
 
   さび」の世界では、堅苦しい「真」よりも、「行」「草」の評価の方が尊ばれています。    
 
 ④ 茶道具に付いていえば、「真」の道具類は中国伝来の品々です。
 
   京都の東山文化に見られる書院茶で、足利将軍や公家達などの高貴な方が台子や棚に載せて
 
   使用した道具類となります。その後、村田珠光や紹鷗達の使用した国焼の陶磁器類が「行」で
 
   あり、千利休が目指した水指には陶器の外に、竹や木の素材を生かした素朴な物が「草」の 
 
   道具類と言えます。但し、道具類に留まらず、茶室などの建物にもこの変化が現れていきます。
 
  ⑤ 水指を例に、具体的に示せば、おおよそ以下の様になります。
  
      (流派によって違いがあります。)

   ) 「真」扱いの「水指」は台子、長板、棚物から降らさずに使用し、小間や運び(水指)

     には向かない物です。唐物並びに唐物を原点とする「水指」は「真」として扱います。

     「青磁の水指」や「染付、祥瑞、赤絵」などの水指も、小棚などに取合わされて使用されて

     いますが、「真」として扱います。

   ) 「行」扱いの「水指」。

     「行」扱いの「水指」は台子、長板、棚物にも載せられる可能性もあり、一方で「小間」や

     「運び」にも使える物となります。「台子」などに載せない場合には、直接畳の上に置きます。

     国焼の施釉水指は「行」の格付として扱います。

     中でも最も格の高い物は「瀬戸一重口水指」です。次に「朝鮮唐津一重口水指」「高取一重口

     水指」などがあります。更に、「高取」「唐津」「遠州七窯(朝日、上野、志戸呂、赤膚、膳所)」

     「薩摩」などの施釉の国焼陶器が続きます。

     但し、「萩焼」なども含まれますが、萩の水指の伝世品は少ない様です。

     又、朝鮮由来の「高麗物」「三島」「粉引」等の高麗系粉青砂器や、「御本手」などの水指も

     この範疇に入れられます。

  ) 「草」の水指と格付けされた水指は、棚などではなく、直接畳のに置きます。 

     「備前」「信楽」「丹波」「伊賀」に代表される焼締陶器施釉陶器、これに準ずる「美濃伊賀」、

     輸入品の「「ハンネラ」「南蛮」などの水指は、小間空間に相応しい道具です。

8) 水指を作る。

以下次回に続きます。

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造る63(蓋物20、水指1)

2013-04-18 23:03:38 | 陶芸入門(初級、中級編)

水指(みずさし) は、茶道で用いる道具の一つです。

その役目は、茶碗をすすぐ(簡単に洗う)水や、釜に補充する為の水を入れる容器です。

 尚、汚れた水は建水(けんすい)と呼ばれる器に捨てられます。

 種類は、陶磁器製以外に銅製、塗物、木地などがあります。

古くは、唐物の鉄鉢などの金属製や南蛮の抱桶、或は真の手桶を水指として使っていましたが、

村田珠光が初めて和物(国焼き)の備前や信楽の水指を用い、武野紹鴎が釣瓶の水指、千利休が

曲物の水指を用いたとされています。

1) 濃茶用と薄茶用の水指。茶の湯では、濃茶に向いた水指と、薄茶に向いた水指があります。

  ① 濃茶用の水指とは、備前、伊賀、信楽、唐津、志野などの焼物です。

  ② 伊万里、九谷、中国などの染付や色絵の焼物は薄茶用の水指に向いています。

2) 置き水指と運び水指

  ① 置き(水指): お点前の始まる前に、予め茶席の点前座に置く水指です。

     置き水指にした時は、点前が終わった後、水次(みずつぎ)で水を注ぎ足します。

      注: 水次とは、土瓶の様な形の水差しです。

  ② 運び(水指): お点前の始めに運び入れ、終われば運び出す水指です。

     大きさは持ち運び易い様に、小型の物が多いです。

3) 季節と水指

   夏は涼しさを感じさせる平水指や釣瓶(つるべ)等を用い、名残りの季節(9月下旬から11月

   下旬)には、細水指等が使われたそうです。

   季節や棚やその他取り合わせる茶道具などによって水指は変化します。

4) 水指の種類。水指はその形によって抱桶水指、末広水指、頭切水指等があります。

  又、作られた場所(国)による分類もあります。

  ① 唐物(からもの)水指。: 中国で作られ我が国に伝わった物。

   ) 太鼓胴体水指。手桶形水指: 我が国でもこの写しが多く作られています。

   ) 古染付水指(形物水指) : 口縁に虫喰いと呼ばれる「釉むけ」があるのが特徴です。

      厚手の作品が多く、多くの種類があります。

     ・ 桜川(さくらがわ): 内側の見込みに陰陽の桜花を散し、外側には波が描かれています。

     ・ 竹の絵。 ・桶側: 竪筋(たてすじ)がある。 ・ 葡萄絵。 ・ 葡萄棚。 ・ 山水芋頭

       (いもかしら)。 ・ 手桶。 ・ 山水六角水指。 などがあります。

   ) 祥瑞(しょんずい)水指: ・ 砂金袋水指。 ・ 蜜柑(みかん)水指 等

  ② 南蛮水指: 東南アジア地方の「ベトナムやタイ」で作られた、褐色の素焼きの水指です。

     焼き上がりの緋色や土味は備前焼に似ています。縄簾(なわすだれ)水指など。

  ③ 和物の水指: 桃山時代に作られた物に、優れた物が多い。

     志野、織部、古伊賀、信楽(鬼桶、一重口)、備前(火襷)、絵唐津算盤(そろばん)玉、

     唐津一重口、京都御窯仁清など。

5) 水指の蓋: 共蓋と塗り蓋

  ① 共蓋とは、水指本体と同じ材質も蓋の事です。

  ② 塗り蓋とは、元々蓋の無い器を転用して水指にした場合などには、黒漆塗りの蓋を使います。

6) 国の重要文化財に指定された水指も多いです。

 ① 青磁浮牡丹太鼓胴水指 (中国製) : 東京 静嘉堂所蔵

   南宋龍泉寺の砧青磁の水指。室町時代に大阪鴻池家伝来の物。

   共蓋で周囲に黒く銀覆輪があります。更に、胴と蓋に牡丹唐草が貼り付けられています。

    ・ 総高さ: 20.1 cm 口径: 22.3 cm  底径: 16.6 cm

 ② 万歴赤絵水指 (中国): 輪花の共蓋: 東京 出光美術館所蔵

   赤絵は江戸時代より茶人の間で持てはやされる様になります。本体の口辺には唐草を描き、

   十に区分けし、二様の仙人図を交互に描いています。赤、青、緑、黄、茶色の五彩色で彩られて

   います。    ・ 総高さ: 12.9 cm 

 ③ 備前火襷(ひだすき)水指 (日本): 東京 畠山美術館

    白地に鮮赤の緋色の火襷が、紅白対照を見せ、無類の美しさを出しています。

   ・ 高さ: 13.0 cm 口径: 12.5 cm  底径: 10.6 cm

 ④ 伊賀水指 銘「破袋(やぶれぶくれ)」 (日本): 東京 五島美術館

    大変有名な水指です。窯の烈火で焼き割れた袋胴の大割れが、特徴に成っています。

    特に、正面のビードロが美しく。背面には火色があります。

    本来なら、失敗作として、割られて仕舞いますが、この釉の美しさと割れた袋の形状を、趣ある

    水指と認めた茶人がいた事も驚きです。

   ・ 高さ: 21.4 cm 口径: 15.2 cm  底径: 18.2 cm

 ⑤ 志野芦絵(あしのえ)水指 銘「古岸(こがん)」 (日本、桃山時代): 東京 畠山美術館

    志野水指の代表的な作品です。矢筈口(やはずぐち)の水指で、寂々した水辺に三本の芦が

    墨絵の様に描かれています。美濃の大萱窯で焼かれたと言われています。

   ・ 高さ: 17.8 cm 口径: 18.5 cm  底径: 17.5 cm

 ⑥ 色絵梅の絵平水指 : 仁清作: 石川県美術館

    単純な切立の桶形で、周囲に梅の絵が色絵金銀彩で、力強い筆で描かれています。

   ・ 高さ: 14.5 cm 

 以下次回に続きます。

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造る62(蓋物19、陶筥と重箱4)

2013-04-13 21:39:15 | 陶芸入門(初級、中級編)

 ③  陶筥(とうばこ)を作る。

  ) 長方形の陶筥を作るには、おおよその形を作ったら、土を良く締めて乾燥させます。

     但し、そのまま放置しておくと、表面のみが早く乾燥し、内部との乾燥具合に差が出て、後の

     作業に支障が出ますので、 発砲スチロールの箱などに入れて、じっくり乾燥させ、なるべく

     乾燥に差が出ない様にします。

  ) 蓋と本体(箱)を切り離します。

     蓋と本体との高さの割合を決めて、切糸で水平に切取ります。その後、更に乾燥させます。

   ) 本体(胴体)の内側を掘る。

   a) 剣先などで、掘り込む範囲を決めて、アタリ(当たり)を付けます。

     今回は、内側を掘り込んだ後に、表面を削る方法ですので、表面との間の肉厚は、厚目に

     取っておきます。

   b) 平行カギヘラで、内側を外形に沿って荒掘りします。底の肉厚を残し荒堀は終わります。

      但し、堀進む内に口縁から先に乾燥し、収縮しますので底の広さより、口縁が狭くなります

      ので、 底の内側の寸法よりやや広目にしておきます。

    c) 木製の幅広のヘラを使い、撫ぜながらカギヘラの痕を消し、更に、底の内側も平らに仕上

      げます。

  ) 蓋の内側を掘る。

     上記と同様に、当たりを付けてから、カギヘラで内側を掘ります。仕上げは木製のヘラで行い

     ます。その後、本体と蓋を乾燥させてから、表面を削る事に成ります。

     尚、蓋の開き閉めは、両手で蓋の側面を持って、垂直に上に持ち上げる事によって行い、

     摘みが無いのが一般的です。

  ) 外形を削る。

    a) 単に長方体にする場合も有りますが、文様や削り痕などを残し、趣ある作品に

      仕上げたい場合には、この段階で作業を行います。一体感を出す為、蓋と本体を合わせた

      状態での作業となります。肉厚は有る程度薄くする事により、軽い器を作る事ができます。

     b) 箱状の作品は乾燥時や、焼成時に必ず、内々に「反り」が発生しますので、その事を

      考慮する必要があります。

      即ち、底は中央が内側に盛り上がりますし、四辺の側面も内側に中央が弓なりに成ります。

      蓋も下に落ち込む状態に成ります。その為、側面はやや外側に弓なりにし、蓋も中央が

      盛り上がる様にします。底も足が付いていれば、下に押し付けたい処です。ただベタ高台の

      場合には、底の裏面を数本の凹凸状の筋を入る様にすると、傷や歪みが出難くなります。

      又、高温での本焼きで、土が若干軟らかくなり、下に落ちますので、中央の盛り上がりは、

      解消される事が多いですので、あえて手を加える必要は無いかも知れません。

  ) 蓋止めを作る。

    a) 蓋の内側に紐を巻き付け、アヤメ状の傷と「ドベ」で貼り付けます。

       貼り付ける位置は、本体の口縁の中に入る位置です。

    b) 胴体との合わせ目に木のヘラを当てて、蓋止めの形を整えます。

    c) 竹ヘラを用いて、蓋止めの内外の根元を蓋側に押し当て密着させます。

    d) 蓋止めの高さを揃え切ります。更に「なめし皮を」用いて表面の傷を消します。

    e) 最後に本体と蓋のかみ合わせ具合を確認し、不都合な点が有ったら、微調整します。

       特に、蓋止めの外側の根元には、余分な土が残り、蓋が浮き上がった状態に成り易い

       ですので、余分な土を剥ぎ取り、直角に成る様にします。

       更に、全体を「なめし皮」で拭き、鋭い角部が有れば、丸味を持たせます。

    f) 出来上がった 陶筥は、蓋をした状態で乾燥させます。但し、新聞紙などを間に挟んで

      おくと、取り扱いが便利です。

次回は、茶道で使用する水指に付いてお話します。

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造る61(蓋物18、陶筥と重箱3)

2013-04-12 21:18:39 | 陶芸入門(初級、中級編)

2) 陶筥(とうばこ)を作る。: 筥は塊をくりぬいて(刳り貫き)作るハコ(箱、函)の事だそうです。

   土(粘土)で作品を作る場合、土を順次付け足して作品にする場合、即ち加算方法と、一塊の土を

   削りながら形にする場合、即ち減算方法があります。

   前者が一般的な方法で、紐作りやタタラ作りなどが代表的な方法で、彫塑もこの例です。

   後者では木や石などの彫刻があります。陶筥を作る方法もこの部類に属します。

   即ち、一塊の土から他の土を加える事無く(但し、一部例外もあります。)作品を作り上げます。

   作品には、香合(こうごう)などの小物から、本格的な箱物まで多種多様に存在します。

  ① 刳り貫き(くりぬき)技法に付いて。

   ) いつ刳り貫くかによって二通りの方法があります。

     a) 全体の形を作ってから、本体(箱)と蓋を切り離し、中を刳り貫く方法。

       香合など小物の場合は、この方法です。

     b) 先に本体と蓋を切り分け、中を刳り貫いてから、外側を仕上げる方法です。

       陶筥など大きな作品ではこの様な方法をとる事も多いです。

   ) 刳り貫き技法の利点と欠点。

     a) 利点は、蓋と本体を一体として作れる事です。

       即ち、常に全体の形を見ながら、形を作る事が可能で、全体のイメージが掴み易いです。

       更に、外形が複雑な形をした作品でも、肉厚を確認しながら一定に削れる事です。

     b) 欠点として、大きな作品では乾燥に時間が掛かる事です。

        特に大きな塊の場合には、中心部と外側では乾燥度合いが異なり、寸法の狂いや歪み、

        更には、「割れやひび」が入る恐れがある事です。

        尚、土は叩いて締めますが、中心部は刳り貫いて仕舞う為、必ずしも中心まで土を締める

        必要はありません。又、削り過ぎた場合、乾燥具合の差によって、土を後から足す方法が

        取れない事です。

  ② 香合を作る。最初に小物から作ります。(香合も一種の蓋物です。)

    ・ 香合には、簡単な四角や丸い形の物もありますが、大抵は色々な装飾や文様が施されて

      いる物が多いです。即ち、主に蓋の部分に蝉などの昆虫類、鶴や白鳥などの鳥類、

      菊や梅などの花類、その他、家や人物などの彫刻がされたものもあります。

      但し、蓋には摘みが付いていないのが普通です。蓋の側面を4~5本の指で掴みます。

    ・  香合の大きさと形を考えてから、作業に取り掛かります。

       香合の形も、丸や四角形や多角形の他、蓋の彫刻と連動した箱の形の物もあります。

    a) 作品に必要な量の土を取り、手で叩いたり、机の上に落としたり、叩き棒で叩いたりして

       土を締めてから、大まかな形にします。 蓋の形や削る量なども考慮して決めます。

       表面を削りますので多目に土を用意する事です。但し、香合は手に持って蓋の開け

       閉めを行いますので極端に大きな物はありません。

    b) 全体の形がおおよそ出来たら、文様の彫刻に移ります。

       削り易い程度に乾燥させたら、彫刻刀などを使って、立体的な浮き彫りで文様を仕上げ

       ます。

    c) 蓋と本体(箱)を切分け、乾燥させます。

       タタラ板と切糸などを用いて、水平に切分けます。蓋と本体の高さ(深さ)の比は

       1:1.5~2.5程度が多い様です。

    d)  蓋と本体の内側の肉を「えぐり」、肉厚を薄くします。なるべく肉厚は一定にします。

       その際、本体側に、凸状の蓋受けを、蓋側には、凹状の蓋受けを設けます。

      イ) 即ち、本体の内側で、端より数mm離れた場所に、コンパス等を使い、同心円状に

         二重丸(香合が円形の場合)を描きます。 四角の場合には四角の二重線となり

         その他の形では、その形に合わせた二重線となります。

      ロ) 二重丸の内側を「平行カキベラ」等を使い、土を掘り出します。

         掘り出す場合、軟らか過ぎても、硬過ぎても上手く掘れません。

      ハ) 外寄りの円と外側との間を数mm(5mm程度)掘り込みます。即ち、二重丸の間は

          凸状に成ります。

      ニ) 蓋の内側に、本体と同様に二重丸を描きます。内側の線の中を削り込みます。

         その際、外側に文様がありますので、穴が開かない様に注意します。

         更に、外側の線の内側を掘り込みます。掘り込む量は、本体側の蓋受け部の凸状の

          高さよりやや深くします。即ち段差が出来ます。

     e) 蓋と本体を合わせ、更に調整して「ぴったり」させます。但し「ぴったり」し過ぎると

        蓋の開け閉めが困難に成りますので、ある程度の隙間が欲しいです。

        最後に、蓋をした状態で全体の形を確認します。

        尚、乾燥時には、蓋をした状態で行い、合わせ目には片栗粉を塗って、くっつくのを

        防ぎます。

     ・ 焼成は蓋をした状態で行います。蓋受け部にはアルミナを塗ります。

   ③ 陶筥を作る。

以下次回に続きます。           

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