わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

素朴な疑問 38 匣鉢焼成(古信楽風)?

2014-11-30 21:36:08 | 素朴な疑問
焼き締め陶器である古信楽焼きは、昔より大変人気のある焼き物です。大型の壷も有りますが、

特に小型の種壷である「蹲る」(うずくまる)は、匣鉢焼成に適した作品です。

一般に 古信楽焼きは、窖窯や登窯の様に薪を燃料にし、緋色や自然釉の流れ、灰被りなどの景色が

特に見所となっています。匣鉢を使う事によって、電気やガス窯でも古信楽風の作品を焼く事が

出来ます。作品は「はぜ石」と呼ばれる、長石の粒子の入った肌理の粗い白色の古信楽土を使うと、

より効果的です。

尚、作品の作り方は省略します。作品は必ずしも素焼きを行う必要はありませんが、素焼きした方が

強度が増しますので、破損する危険は少なくなります。

1) 匣鉢詰め前の作品処置。

 ① 作品に灰を掛ける。

   薪窯では燃料の灰が降り掛かりますが、匣鉢を使う場合には、意図的に灰を塗りつけたり

   灰を振り掛ける必要があります。

  ) 灰は天然の灰を使うのが理想的ですが、合成灰でも十分です。

    灰の種類は、松灰や土灰などを使います。いずれも陶芸材料店で手に入ります。

    尚、松灰は緑掛かり、土灰は黄色味掛かると言われています。灰の種類によって、発色に

    微妙な差が有りますので、色々な灰を使って見るのも価値があります。

  ) 灰は乳鉢を使い細かくすると、良く熔ける様になります。

    良く磨り潰した灰に水と「CMC」(化学のり)を加えて、ドロドロの状態にします。

    灰に「CMC」を添加することで、灰をより濃くする事が出来ます。

  ) 筆や刷毛を使い、作品の所定の場所に盛る様にして塗って行きます。

    作品の下部に塗ると、高温になり灰が流れ落ち底まで届いてしまい、下の台に溶着して

    しまいすので、作品の上部は厚く多めに、下部には量を減らすか、塗らない様にします。

  ) 灰の濃淡を考慮して塗ります。厚く塗る処、薄く塗る処、まったく塗らない処などを、

    熔け具合(流れ具合)を考慮して塗ります。

  ) 濃く塗る場合は上記の通りですが、灰を振掛けて塗る方法はやや灰が薄くなる方法です。

    「CMC」で作品の表面を霧吹きし、すばやく灰を掛けます。掛ける方法は茶漉しを使い

     振るか、手で摘んで置いていきます。但し振り掛ける方法では、匣鉢詰めまでに灰が

     剥がれ易いですから、多目に掛ける事と、灰の掛かった所は持たない事です。

2) 匣鉢に詰める。

 ① 珪砂と藁(わら)を敷く。

  ) 使用するのは、匣鉢の他、珪砂(3号など)、木炭、藁、道具土です。

  ) 匣鉢に珪砂を敷き詰めます。平らに均し作品が安定した状態で置ける様にします。

  ) 更に藁を敷きます。 藁は緋色を出す為に入れますが、緋色は灰の掛からない場所に

    出易いですので、灰の無い部分を中心に置きます。

  ) 作品を匣鉢に入れます。入れる際、匣鉢に当たると灰が剥がれる場合が多いですので、

    慎重に扱います。なるべく灰を塗った所は持たない事です。

 ② 木炭を入れる。

  ) 作品と、匣鉢の隙間に木炭を入れます。隙間が狭いですので、木炭は平たい形状にすると

    入り易いです。

  ) 灰を塗った部分は木炭を多目に入れます。これは灰を熔かす為には、高温が必要だから

    です。更に作品の底の部分にも多く入れ、焦げを出します。

  ) 作品の外側や首や肩に、藁を巻き緋色が出る様にします。

  ) 匣鉢に蓋をしますが、蓋との間に空気穴を設けます。 即ち、2~3cmの道具土を紐

    (又は団子)状にし、蓋と匣鉢の間に詰めて空気が通る道を設けます。紐などにアルミナを

    塗ると匣鉢との癒着を防ぎます。空気の通る場所を設ける事で、木炭が良く燃焼させ高温に

    する事ができます。

3) 窯出し。必ず軍手などの手袋を使います。

 ① 蓋と道具土を取り除きます。

 ② 作品の表面にある藁の燃えカスを取り除き、作品を匣鉢の外に出します。

 ③ 作品の表面や底には燃えカスの他、「バリ」など異物が付いている場合が多いですので、

  紙ヤスリ等で擦り仕上げます。

 ④ 温度が十分上昇していれば、灰は熔けて流れ落ちているはずです。

 ⑤ 作品の表情は、灰が熔け緑や黄色の部分、藁で巻かれた緋色の部分。更に空気が良く入った

   白い部分(素地の色)などに分かれ、独特の景色(表情)が現れているはずです。

 
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素朴な疑問 37 匣鉢(さや)による焼成とは 3(炭化)?

2014-11-29 22:05:35 | 素朴な疑問
2) 炭化焼成。前回の続きです。

 ③ 炭化焼きの窯出し。

  窯の温度が100℃以下になったら行います。出来るだけ低い温度の方が、火傷の恐れは低くなり

  ます。軍手などの手袋は必需品です。

  ) 大きさにもよりますが、匣鉢は重たいですので両手で支えながら、窯から引き出します。

    何処に置き作業するかは、最初から決めて置く事です。

   a) 匣鉢の蓋を取り除きます。匣鉢を逆さにして蓋にしている場合は、真上に持ち上げて、

    作品に当たらない様にします。棚板などを利用する場合には、両手を添えます。蓋は所定の

    場所に置きます。足元に置いておくと、不測の事態を招く恐れがあります。

   b) 背の高い作品の場合、底の無い匣鉢を重ねて使う場合があります。その際にも作品に

    当たらない様に取り除きます。

  ) 作品を取り出す。

   匣鉢に入れた籾殻やはほとんど燃え尽きているか、燃えカスとして残っています。

   a) 作品の底には、籾殻の残りカスが付いているはずです。これは後で紙ヤスリ等で取り

    除きますが、その前に器の内側の燃えカスを取り除きます。内側に道具土を煎餅状にした

    ものを入れた場合、取り除きます。

   c) 作品の表面や底に付いた不要なものを、紙ヤスリで取りさります。

    強く擦ると、黒さが減少する場合もありますので、最低限で止めておきます。

    但し、素手で表面を撫ぜた際、引っ掛かりや「ばり」が無ければ、紙ヤスリの必要はあり

    ません。しかし底は引っ掛かりがなくても、紙ヤスリや砥石を掛けて置いた方が、テーブル

    を傷付けずにすみます。

   d) 匣鉢の掃除を行う。次回も気持ち良く使うためには、掃除が必要です。

    木炭や籾殻の燃えカスは勿論、珪砂などは綺麗に取り除きます。木炭や籾殻は容易に取れ

    ますが、珪砂に木炭の灰が熔けたガラス質が、こびり付いている場合には、「タガネ」

    等で強制的に取り除く必要があります。前回述べた様に珪砂は消耗品ですので、再利用は

    出来ません。

  ) 作品の出来具合を観察する。

   a) 木炭が作品に触れた所と、触れない部分とは違いが出るはずです。即ち接した部分は、

    焦げが出来ている可能性があります。

    又、赤土のみの場合は全体に黒く炭化しますが、白土などを練りこんだ部分は、褐色に

    なっています。出来上がり具合を見て、次回の参考にします。

   b) 施釉していませんので、ガラス質で覆われていません。それ故、水を入れると水を透す

    恐れがあります。特に花瓶などは要注意です。その為にも水を透さない処理をする必要が

    あります。水漏れ防止剤などを利用する事です。

 ④ 籾殻を利用しない炭化焼成。

   籾殻を使用すると、真っ黒く炭化しますが、木炭のみの炭化焼成では、それほど黒くならない

   炭化を得る事が出来ます。

  ) 作品は棚板やサイコロ支柱(窯道具)の上に載せる。

   上記では、珪砂の上に籾殻を入れ、その上に作品を置きましたが、籾殻を使わない場合は、

   棚板やサイコロの上に作品を置きます。珪砂の上に直接作品を置く事は、珪砂と癒着する

   恐れがありますので、必ず浮かせる必要があります。

  ) 棚板の場合、棚板に接触している部分と、高台内は炭化できません。サイコロの場合も

    接している部分は炭化現象は起こりません。丸い匣鉢を使う場合、丸い棚板が必要に成り

    ますので、サイコロを使う方が、融通がききます。使う数は1~3個です。匣鉢の大きさに

    よって決まります。

  ) 匣鉢詰めの方法。

   a) 匣鉢の底の全てに珪砂を敷き詰め、平らに均し(ならし)ます。

   b) サイコロを珪砂の上に1~3個並べます。並べ方は作品が安定して置ける様にします。

   c) 作品をサイコロの上に置きます。

   d) 作品の周囲と匣鉢の間に木炭を並べます。この時、木炭が作品に触れない様にします。

     木炭が作品に近付け過ぎると。焼き焦げや窯変を起こし易くなります。

     木炭の量で炭化の度合いを調節します。

   e) 匣鉢に蓋をして完了です。
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素朴な疑問 36 匣鉢(さや)による焼成とは 2(炭化)?

2014-11-28 21:37:09 | 素朴な疑問
2) 炭化焼成。

 ① 炭化焼成とは、作品の表面に炭素を付着させて、黒色に焼き上げる方法です。

   作品は基本的には、施釉しませんので、素焼きをする必要はありませんが、狭い匣鉢に納める

   時に作品が壊れ易いですので、強度を持たせる為に、素焼きを行う場合もあります。

  ) 匣鉢の底に籾殻(もみがら)を敷き詰め、更に作品の周囲や差気品の内側に木炭を入れ、

    作品全体を濃い黒や褐色の色にします。木炭の配置の仕方によって、焼き上がり時の景色が

    変わります。

  ) 一般に使用する土は、赤土を用いますが全面同じ様な黒さに成る為です。但し、部分的に

   白い土を用いる事で、その部分が明るくなり、緋色になる場合も有ります。

 ② 炭化焼成の匣鉢詰め。

  ) 珪砂(3号程度)を匣鉢の底が見えなくなる程度敷き詰めます。

    目的は木炭の灰が高温で熔けて流れ、匣鉢の底に付着するのを防ぐ為です。

  ) 珪砂の上に籾殻を入れる。

    籾殻が蒸し焼き状態になり、作品の炭化を促進させます。

    籾殻の量は1cm程度の厚みにし、表面を平らに均します。

  ) 籾殻の上に更に少量(数本)の藁(わら)を敷きます。これは単に炭化するだけで無く、

    緋色が出る可能性を持たせる為です。

  ) 作品を匣鉢の中に入れる。作品は両手で持ち、ゆっくり納めます。

   a) 花瓶や壷など上部が細くなっている形状の場合は、この部分を持ち、容易に納める事が

    できます。

   b) 作品と匣鉢の隙間が、両手の指1本程度入れば問題なく納められます。

   c) 大皿の様に縁以外に持つ事が出来ない場合には、昔より糸1本を使って入れる方法が

    行われています。但し、匣鉢はできるだけ高さの低いものを使う事です。

    方法は、糸を「Uの字」に折り「U」の中央に皿の高台を置きます。高台が糸を押さえない

    事です。糸の「U」の両端を持ち、真上に持ち上げると皿は糸のブランコの上に載ります。

    この状態で、匣鉢の真上から真下に下ろし、匣鉢の縁に当たらない様に納めます。

    納め終わったら、糸の一端を持ち引っ張れば、糸は簡単取り除く事が出来ます。

    この方法ならば、指の入らない狭い場所でも安全に納める事ができます。

  ) 作品の周囲に木炭を積み上げる。

    木炭は籾殻との相乗効果で、一段と炭化を促進させます。

    木炭を入り易い大きさに割り、作品の周囲の必要な場所に積みます。隙間が無い場合には

    予め木炭を周囲に置いておきその上に作品を載せる事です。更にその上から好みの位置に

    木炭を置きます。但し、皿などの作品の表面に直に木炭を置くと、炭化に斑(むら)が出来

    易いですので、道具土を煎餅状にした物を皿の中央に置き、その上に少量の木炭を置きます

    (木炭が直に作品に触れない様にします。)

  ) より強く炭化させる場合には、木炭の隙間に籾殻を注ぎ込み、作品を籾殻の中に埋も

    れさせます。

  ) 最後に、匣鉢に蓋をして完了です。但し蓋と匣鉢との間に隙間があると強い炭化に成り

    ません。

  ) 焼成は酸化でも還元でもOKです。出来上がりに差はありません。

    但し、匣鉢内では、強還元焼成になっています。

 ③ 炭化焼きの窯出し。

 以下次回に続きます。

   
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素朴な疑問 35 匣鉢(さや)による焼成とは 1?

2014-11-27 21:41:46 | 素朴な疑問
匣鉢(さや)を使って、ガス窯や電気窯で備前焼きや古信楽焼き風の焼き締め陶器を作る方法が

持てはやされています。 すでに経験された方も多いと思われます。

匣鉢を使って焼成するには、どの様に行えば良いか、疑問を持っている方の為に、その方法に付いて

お話します。

1) 匣鉢(さや)とは?

  電気やガス灯油などの無かった時代には、薪を燃料としていました。当然薪の灰が窯中に降注ぐ

  事になります。磁器の様に灰が被ると商品価値は無くなる場合、灰を被らない様に、蓋のある

  耐熱性の器に納めて焼成していました。現在では、逆に灰や藁を使う為、窯の中の他の作品に

  灰が掛からない様にする為に使用しています。

  匣鉢を使って焼成できる作品は、緋色、火襷(たすき)、牡丹餅(ぼたもち)、胡麻(ごま)、

  ビードロ、炭化、強還元焼成、焦げ(こげ)、窯変などで、一般の窯で焼成できない多種多様な

  作品を焼く事が出来ます。又、酸化でも還元でも、匣鉢と他の作品を同時に焼く事も可能です。

 ① 匣鉢の種類。

  ) 匣鉢には、丸匣鉢、底抜き丸匣鉢、角匣鉢、底抜き角匣鉢など幾つかの種類があります。

    作品の形に合わせて、使い分けます。更に、口縁に空気穴が有るものと、無いものがあり

    ます。穴のあるものは、弱還元焼成の場合に使います。

    尚、穴の無い匣鉢であっても、蓋を幾分ずらしたり、蓋の間にスペーサーを入れ蓋を幾分

    持ち上げる事で、空気穴を設ける事が出来ます。

  ) 底抜きは、背の高い作品用で、継ぎ足して必要な高さまで、積み上げる事が出来ます。

  ) 市販されている、一般的な匣鉢の寸法。

   a) 丸匣鉢の高さは100、110、120、145、150mm等が多く、口径は150、180、220、245、

    280、320、350、395mm等のものが多いです。

   b) 角匣鉢の高さは、100、110、120、145、150mm等で、口は正方形で175、245、280、

    320、350mm程度が多いです。

    匣鉢には蓋が必要です。但し専用の蓋でなくても、棚板を利用したり、匣鉢を逆さにして

    蓋として使う事が出来ます。

    尚、購入するに当たり、各社のカタログを見て下さい。

 ② 匣鉢焼成で使用する消耗品。

  ) 珪砂: 一般に窖窯(あながま)の底面に撒いて、熔けて流れた灰が窯にこびり付くのを

    防ぐ為に使います。これを、匣鉢の内側の底に敷いて、匣鉢を保護します。

    但し、再利用が出来ませんので、一度使用した物は廃棄処分します。

    尚、珪砂粒子の粗さより5(粗い)~1(細かい)号までの種類があります。

  ) 木炭: 還元焼成や、炭化焼成する際、匣鉢の中に入れて焼成します。

    バーベーキュー用の安価な炭でも十分です。燃え残りの消炭は火力が弱いので、再度利用

    しない方が良いでしょう。

  ) 籾殻(もみがら): 稲(水稲)の籾殻を使います。

    炭化作用を促進し、作品を黒く仕上げる為に、匣鉢の中に入れます。籾殻は非常に燃え難く

    作品を匣鉢にくっ付くのを防ぐ役目もあります。

  ) 藁(わら): 水稲の藁を使いますが、陸稲の藁でも使用可能です。

    一般に乾燥した状態で使いますが、火襷などに使う場合には、水に漬けた後木槌などで叩き

    柔らかくしてから使います。

  尚、珪砂は陶芸材料店で、木炭、籾殻、藁はホームセンターなどで購入する事が出来ます。

以下次回に続きます。

 
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素朴な疑問 34 焼成前の準備とは 6?

2014-11-26 21:52:02 | 素朴な疑問
3) 電気窯の熱の伝わり方。

 ① 電気窯と燃料を使う窯では、熱の伝わり方が異なります。燃料を使う窯では、炎や熱せられた

  空気の対流によって作品に熱が伝わります。その為、熱せられた空気や炎は細い隙間に入り込み

  ます。更に、作品の裏側にも到達し、作品全体を熱する事が出来ます。即ち、窯全体を熱する

  事になります。

 ② 電気窯の電熱線で発生する熱は、放射熱(又は輻射熱)と呼ばれる熱です。

  輻射熱は、太陽光(熱)と同じ熱線です。この熱は真空中でも伝わる性質を持っています。

  ) 輻射熱は直進する。

    熱源より直進する為、影が出来易いです。炎や対流の熱が細い隙間に入り込むのに対し、

    丁度太陽光が直進し、影が出来るのと同じ様な働きです。その為細い隙間や作品の裏側には

    届きません。但し、電気窯では後述する様に、出来るだけ影が発生しない様な構造と、

    窯詰めを行う必要があります。

  ) 太陽は1点から熱が放出される為、影が出易いですが、電気窯では、面全体で発熱させる

    為に、壁一面に電熱線を張り巡らせ、影が出来に難い構造になっています。即ち左右前後の

    四面の全面と、場合によっては上部(天井)面にも発熱体が取り付けられています。

    一部断線すると、その部分から先は発熱せず、輻射熱が届かない場所が出来る可能性が

    あります。その為、ガスバーナー等の一部故障よりも、温度上昇に大きな影響を与えます。

    太陽の光が届かない影の部分では、暖かくないのと同じ原理で、周囲の熱が補ってくれる

    訳ではありません。

  ) 輻射熱と対流熱との大きな違いは、後者が熱せられた空気や炎によって、窯内部を駆け

    巡り、熱するのに対し、前者は熱線が何かの物に突き当たる事で、初めてその物が発熱する

    事です。勿論窯の壁に当たれば、壁も熱を持ちます。但し空気中を通過しても、ほとんど

    空気を暖める事は出来ません。

  ) 発熱体の直前に広い面積の作品や、背の高い作品を置かない事です。

    即ち、発熱体(電熱線)は壁や扉に取り付けられていますので、窯詰めの際、壁に近い棚板

    には、熱線を遮断する大きな作品は置かず、小物を置き、窯の中央に面積の大きい作品を

    置く事により、作品全体に輻射熱が当たり、加熱する事になります。

  ) 素焼きなどで、作品を重ねた場合、重なった部分は輻射熱の影に成りますので、加熱出来

    ない事に成りますが、実際には、輻射熱の当った部分は熱を持ち、その作品に接している

    部分から、熱が伝わります(熱伝道現象)ので、重なった作品も加熱される事に成ります。

    窯の中の空気も、電熱線ではなく、窯の壁や作品の熱によって暖められますが、空気の

    対流は他の窯よりは少なくなります。その為、必ずしも窯の中の温度が、均一に成るとは

    限りません。他の窯では最上部が一番高温になり、下に行くほど温度は下がる傾向が顕著

    ですが、電気窯でも若干その傾向がありますが、他の窯ほど顕著ではありません。

   ) 当然ですが、素焼きの際、作品を重ね焼きしても、重ねた部分が黒くなる事はありま

    せんので、下絵を施す際に色がしっかり載る利点があります。

 
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素朴な疑問 33 焼成前の準備とは 5?

2014-11-25 18:04:41 | 素朴な疑問
素焼きや施釉しない陶器の場合は、施陶器の窯詰めとは、多少異なります。

施釉した場合、釉が高温で熔けガラス化し、冷却時に硬化する為、作品同士は接触させる事は出来ま

せんが、施釉していない作品では、接触させても問題が無い場合が多いです。

(但し、高温の場合、土が一部ガラス化する事で接着してしまう事がありますので、蓋物などでは、

水酸化アルミナを塗って接着を防ぎます。)

特に素焼きでは、重ね合わせや「入れ子」の様に、作品の中に他の作品を入れて焼成する事が出来

ます。それ故、素焼きでは本焼きの窯の二倍程の作品の量を焼成する事が出来ると言われています。

1) 素焼きの窯詰め。

  素焼きを行う為には、完全に乾燥している必要があります。さもないと、水蒸気爆発を起こし、

  作品がバラバラになるからです。被害はその作品のみに留まらず、周囲の作品も破損する事が

  多いです。又、上記の如く作品を重ねる事が出来るからと言って、上の重みで作品が割れてし

  まっては、意味が有りません。特に素焼き前の土は、乾燥していても、十分な強度が無く、

  「もろい」物です。

 ① 作品は主に口縁部から「割れやひび」が入り易いです。

  それ故、口縁部に力が掛かる重ね方は避けなければ成りません。更に底で重量を支えるとしても

  何重にも重ね合わせると、重量で「割れやひび」が入り易いです。

 ② 平たい皿や板作りで平たい作品は、横に寝かせずに、立てて焼きます。但し、自立では立ちま

  せんから、他の作品に寄り掛かる様にします。更に丸い皿では、回転し易いので、回転止めを

  設ける必要があります。長方形の板皿では、長辺が縦に成る様にします。この方が「割れやひび」

  に対して、安全です。尚、立てて焼いても作品が変形する事は、ほとんどありません。

 ③ 燃料を使う窯では、密着した部分が黒く成る事が多いです。これは空気が不足し、燃料が

  十分に燃焼せず、炭化物(煤)が溜まった結果です。この黒い煤は本焼きで綺麗に燃えてしまい

  ますので、問題ないのですが、下絵付けを施す際、素地が黒いと絵の具の色が良く見えません。

  それ故、下絵を描きたい場合は、重ね焼きをしないか、重ねても一番上に置く事です。

 ④ 素焼きは急激な温度上昇は禁物です。それ故、火盾(ひだて)を設け作品に直火が当たらない

   様にする必要がある場合があります。バーナーの火口の近くなどに設ける事が多いです

   火盾には、耐火度の高い土で作った特別の物や、棚板の支柱などを利用する事も出来ます。

2) 焼締め陶器の窯詰め。

  焼き締め陶器は、本焼きと同程度の温度で焼成します。一般に焼き締め陶器を焼くには、薪窯で

  焼成します。その為、中々焼き締め陶器を焼く事が出来ませんが、「匣鉢(さや)」を使って

  ガスや電気窯でも、焼成する事ができます。この件に関しては、後日お話します。

  無釉の焼き締め陶器では、土が良く焼き締まり強度を増す事で、水を透すのを少なくする事と、

  自然釉になる燃料の灰が熔けて、景色を作り出すのに必要な温度を得る為には、高温が必要です

  尚、薪であれば、自然の灰が掛かりますが、ガス窯などでは、灰が発生しない為、窯詰めの際に

  灰を作品に振り掛る事もあります。

 ① 自然釉を期待するのであれば、当然、重なった下の作品には、灰が掛かりません。その為

   意図的に重ねる事で、好みの位置に自然釉を掛ける事も可能です。

 ② 自然の灰は特定の方向に多く飛び、積もります。又炎の高温と酸素の量によってその灰の

   表情も大きく変化します。当然窯詰めの際には、ある程度情報を持っているはずですので、

   おおよその計算が可能ですが、薪窯の面白さは、偶然性にありますので、窯任せの事も多い

   です。

3) 電気窯の熱の伝わり方。

 以下次回に続きます。

 
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素朴な疑問 32 焼成前の準備とは 4?

2014-11-21 22:41:34 | 素朴な疑問
焼成では、釉を掛けた施釉陶磁器と、釉を掛けない陶磁器があり、その窯詰め方法が異なります。

後者は、素焼きの時と焼き締め陶器の場合です。

施釉陶磁器は、釉が熔着しない様に、作品同士が接触させないで並べますが、施釉していない場合は

作品同士が接触しても大きな問題には成りません。但し、焼き締め陶器の本焼きでは、接触を嫌う

場合と、備前焼の様に、逆に積極的に接触させて、景色を出す焼成方法(牡丹餅など)も多いです。

素焼きや焼き締め陶器に付いては、後日お話します。

6) 炎の通り道を想定して作品を並べる事に成ります。

 ③  釉の種類分けが済んだら、作品の背の高さに応じて、更にグループ分けを行います。

   一つの棚板には、なるべく高さが揃った作品を並べる事で、効率良く窯のスペースを使う事が

   出来ます。

 ④ 横方向から作品を出し入れする場合には、下段奥の方から作品を並べます。

  ) 最初に奥の隅二箇所に支柱を立てます。支柱の高さは、窯詰めしようとする作品より

   数ミリ以上高くします。本焼きすると、作品の高さも6~8%程度低くなりますので、最高

   温度で天井との隙間は1cm以上になります。

  )最下段には背の高い作品を並べる方法と、背の低い皿などを並べる方法があります。

   陶芸雑誌や、陶芸窯の窯詰めを行っている写真や、ビデオを見ると、背の低い作品が多く

   並んでいる様に見えます。即ち、上段には空間を多くとり、下段に行くに従い隙間が小さく

   なる並べ方をしています。これは、上部の熱を下に伝え易くし、下段を密にする事で熱が

   外部に逃げない様にする為と思われます。

  ) 逆に、下に空間を多く(疎)し、上段を空間を狭め(密)にす方法を取る人もいます。

   上段を密にするのは、高温部である上部の熱を、なるべく閉じ込める役目をさせる方法です。

   当然、下段には高温の炎が通り難いですが、下段には熔け易い釉を使う事で対処します。

  ) 即ち、)の方法が窯の中の温度を均一にするのに対し、)の方法は、窯の温度の

   均一性を有る程度犠牲にして、必要な釉に熱を集中させる方法とも言えます。

  ) 作品の間は、指一本程度の隙間を空けて並べます。

   ある程度の隙間がないと、熱が作品全体に行き渡りません。

  ) 作品の中には不安定な物もあります。安定して下に置けずに、「ぐらぐら」している

   場合には、底と棚板の間に、素焼きしたスペーサーを入れて安定させます。

   手捻りで作った脚の付いた平皿や、角皿などは脚の着け方で、脚間で下に落ち込む場合が

   あります。これは素地が高温で若干弱くなる為で、平らに支えきれない時に起きます。その為

   前もって危険性があると判断した場合、脚と脚の間に粘土を詰めた貝殻等で下から支えます。

  ) 窯詰めで注意する事は、銅を使った釉(織部、辰砂、青銅釉など)の場合です。金属の銅

   は、高温で蒸発しますので、隣の作品に銅の蒸気が掛り、作品に汚れた色を移してしまう事

   です。その為、特に白っぽい釉が掛かった作品は織部釉等の近くに置かないことです。

  ) 作品は出来るだけ、棚板の外に出ない様にします。外に出るとその部分に他の物が「ぶつ

   かる」危険性があるからです。

  ) 最後に手前側の辺の中央部に、同じ高さの支柱を一個立てます。

   その上に、棚板を慎重に載せます。棚板は真上から置くようにします。良くある失敗に棚板を

   上に載せる際、支柱を倒してしまい勝ちです。特に狭いスペースの場所では、倒れた支柱が

   他の作品に当たり、作品を破損させる事も多いです。上手に棚板を載せることが出来れば、

   支柱も安定します。尚、三本の支柱で支える理由は、三本では棚板から離れる支柱はなく

   棚板が安定する事と、棚板を広く使える為です。

  ) 複数敷きの場合には、隣同士の棚板間も指一本程度の隙間を設けます。

   更に、隣同士の高さに差を設ける場合と、差を設けない方法があります。当然差を設けた方が

   炎の流れは良くなります。

  ) 天井に丸みのある窯では、その丸みを上手く利用します。即ち中央部に背の高い作品を

   置き、左右に行くに従い、背の低い作品を並べます。

 ◎ 最後に、窯の上部はある程度広い隙間を設ける事です。目いっぱ詰めると炎の流れを阻害し、

  温度が上昇してくれません。天井まで上った炎が下に落ちる為には、結構広い空間が必要な

  事の様に思われます。(これは私の経験です)

以下次回に続きます。
 
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素朴な疑問 31 焼成前の準備とは 3?

2014-11-20 22:02:10 | 素朴な疑問
5) 窯詰めの手順。

 ① 容積の大きい窯では、異なる形や異なる釉を掛けた作品を、同時に焼成する事が多いはずです

  一般に同じ種類の作品を大量に量産して、焼成する事は稀ですし、毎回異なる形の作品を焼く

  事の方が多いと思われます。

 ② 窯の特徴を把握して、窯詰めを行う。

  ) 窯にはその窯特有の癖(特徴)があります。特に燃料を使う窯には、顕著に現れます。

    壁の厚みと焼成の仕方によっても癖の種類が決り易いです。その癖に合わせて、窯詰めを

    行う必要があります。

  ) 基本的には窯の温度や雰囲気は、一定になる様に焚きますが、実際には、酸化し易い

    場所や、還元が掛かり易い場所、更には温度が特に高い場所、温度が中々上昇しない場所

    などが存在するのは、容積の大きい窯に見られる傾向です。火を止めると窯の温度が急激に

    下がる場所、中々温度が下がらない場所等があります。

   ) 窯の特定の場所でのみ良い色に発色するが、他の場所では冴えない色となる場所などで

    窯焚きの回数を重ね、経験するに従い判明する事も多いです。前もってこの特徴を把握して

    おく事で、その位置に並べる事で、所定の色や焼きを得る事が出来ます。

   ) 窯焚きは窯出しまで、その焼き上がり具合を確認する事は出来ません。勿論所定の温度

     まで、昇温しますが焼き上がりの色までは、解かりません。

 ③ 釉毎に作品をグループ分けして置くと、窯詰めが容易になります。

  どの釉でも熔ける温度や発色の仕方が皆同じとは限りません。

  どの窯の場所でも、所定の色で発色する事が理想ですが、釉の種類によっては、特定の指定場所

  以外では不適当な事が多いです。

  ) 黒系の釉では急冷すると良いとされています。窯は底の部分から冷却が進みますので、

    なるべく、窯の下部に並べると良いでしょう。

  ) 結晶釉では、徐冷が良い結果をもたらしますので、成るべき窯が冷え難い窯の上部に

    並べた方が良いようです。勿論、一窯全体が結晶釉の場合は、火を止めずに冷える温度を

    徐々に下げる方法をとります。

  ) 流れ易い釉は、高温に長時間晒されると、棚板まで釉が流れ落ちる場合がありますので

    この様な場所は避けたい所です。   

6) 炎の通り道を想定して作品を並べる事に成ります。

 ①  炎の通り道は、必ずしも幅が広い方が良い訳では有りません。

   窯焚きでは、「火が伸びる」と言い、細く長く伸びるのが良いと思われています。

   「火が伸びる」為には、隙間が適度に狭い方が良い様です。一般に手の指一本位の隙間を

   開けます。

 ②  複数舞の棚板を使う場合の、棚板の組み方。

   棚板の形状は四角(正方形、長方形)な物が一般的ですが。円形のものもあります。

   小さいな窯であれば、一枚敷きの棚板ですが、窯が広く大きくなるに従い、底面に敷く棚板の

   枚数が増えます。2枚、4枚、6枚、8枚敷き、その他となるのが一般的です。

   棚板は重量がある(重い)為と保管し易い為、更に棚板を積み上げる際、小回りが利く様に

   複数枚に分けた方が、使用勝手が良い様です。

  ) 棚板と棚板の間にも隙間を設け、炎の通り道を作ります。

  ) 棚板は3本のサイコロ支柱で支えます。(4本の場合もあります)

  ) 支柱の位置は、上から下まで積み上げる棚板の同じ位置になる様に置きます。

    即ち、あたかも一本の支柱で支えている様にする事で、作品の重量を安定して支えます。

 ③  釉の種類分けが済んだら、作品の背の高さに応じて、更にグループ分けを行います。

以下次回に続きます。
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素朴な疑問 30 焼成前の準備とは 2?

2014-11-18 22:33:08 | 素朴な疑問
これから述べる事は主に窯と窯詰めのことですが、すでに何回かに分けて、これらについて述べて

いますので、重複する事があると思われますが、ご了承下さい。

焼成方法には、炎を発生する方法と、電気窯の様に炎が出ない焼成の方法がありますが、窯詰め

には若干の違いがあります。

1) 窖窯(あながま)の様に傾斜地に窯を築く事もありますが、一般には平坦な土地に、窯が

  設置又は築かれています。登窯も傾斜地に築かれ、階段状になていますが、各袋(室をこう

  呼びます)は平坦地に、耐火煉瓦を使って築かれています。

2) 窯に作品を入れる場所として、横扉式、シャトル式、上扉式、横穴式などがあります。

  窖窯の様に中に入り、狭い空間で窯詰め作業するのは、大変疲れる事にんまります。

 ① 一番楽な窯は、シャトル式の窯で、窯の前にレールが敷かれ、窯の外で窯詰めを行い、終了後

  に窯の中に押し込む方法です。四方から作品の設置状態が確認される為、作業が楽に成ります。

 ② 窯の手前側に作品を出し入れする扉がある横扉式は、一番一般的な窯です。

  但し、大きな窯では、頭を窯の中に入れて作業する事に成りますので、やや窮屈な作業と成り

  ます。

 ③ 上扉式は小中型の窯の物が多く、電気窯に多いタイプです。

   真上から作品を出し入れしますので、背の高い窯では、踏み台が必要になります。

   下から順番に窯詰めしますので、一度窯詰めしてしまうと、変更は容易では有りません。

 ④ 横穴式は登窯や窖窯の様に奥が長い場合で、窯の横方向に作品の出し入れ口を設けています

   登窯では袋毎に、設けられています。 

3) 現在主に使われている燃料を使用する窯の構造は、倒炎式と言われるもので、窯の壁に沿って

 上昇した炎は、天井まで登りその後、天井より窯の底に向かい、棚板の高さより低い煙道を通り

 煙突に抜ける構造となっています。この構造が窯の中の温度を一番均一にする事が出来ると言わ

 れています。

4) 窯詰めをする際、棚板を使うのが一般的です(裸火で焼成)。

  薪(まき)窯では、灰が掛からない様にする為、匣鉢(さや)を使います。但し、灰の効果を

  期待する場合(備前焼など)は、棚板で行います。

 ① 棚板の一段目を設置する。

  ) 最下段の棚板は、窯の底から数センチ浮かせてます。その際、サイコロと呼ばれる支柱を

   使います。(例 30x40x50mm。)サイコロを使う理由は、棚板の下からも熱や炎が

   入り込ませる為ですし、煙道がある窯では、変動を塞がない為れす。

  ) 一枚の棚板に3個のサイコロで支えます。即ち、奥の両角と手前側の辺の中央部の3箇所

   です。最下段の棚板は、全て同じ高さにするのが基本です。

   このサイコロの位置が棚板を上に積み上げる際の、支柱(L字.I字型)の位置となります。

   サイコロが煙道の真上に来る場合には、煙道に耐火煉瓦でブリッジを架け、サイコロを置く

   スペースを作ります。

  ) 棚板同士には指1本程度の隙間を設け、炎や熱の通り道を作ります。

    窯の壁との間にも隙間が必要です。ガス窯の様に両脇にバーナーがある場合、奥の壁と

    手前の壁(又は扉)の間に指1本程度の隙間が必要です。尚電気窯の場合は後日お話します

  ) 棚板を設置する場合、棚板の汚れに注意が必要です。即ち下の棚板上の作品の天井になる

    からです。素焼きではほとんど問題に成りませんが、本焼きでは、その汚れが下の作品に

    降り掛かる場合があるからです。

5) 窯詰めの手順。

以下次回に続きます。

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素朴な疑問 29 焼成前の準備とは 1?

2014-11-17 22:07:45 | 素朴な疑問
焼成即ち窯焚きは、窯が一杯になる程度の作品が出来ている場合に行います。

作品が多過ぎた場合、温度上昇が鈍くなり易く、少な過ぎると所定の温度まで、上昇しない場合も

あります。即ち、どんどん外に熱が排出され、蓄熱が出来ずに温度が上がりません。

窯焚きでは、予想もしないハプニングが起こるかも知れません。

焼成前の準備が万全であても、常に窯焚きに成功するとは限りません。「トラブッタ」際、どう

対処したら良いかは、経験が物を言いますが、数百回の窯焚き経験でも、今までに無い経験をする

事も稀ではありません。

前回窯出しを終えてから、日時が経っている場合が多く、その間窯に対して特別の事を行っていない

事が多いです。当然、窯焚きともなると、色々の事を事前に確認する必要があります。

1) 窯焚き前の確認事項。

 ① 燃料の量の確認。

  ) 電気窯や都市ガスを利用している場合には、燃料は常に供給されていますので、確認の

    必要はありません。但し、電気窯で還元焼成を施す場合、プロパンガスを窯に入れたり、

    木炭を窯の中に置きますので、その準備が必要です。

    プロパンガスや、灯油、重油、薪(まき)を利用する場合には、次の窯が十分焚けるだけの

    燃料の量がある事を確認します。「ギリギリ間に合いそう」と言うのが 一番危ないです。

    但し、素焼きと本焼きでは、使う燃料に大きな差が有ります。

    窯は焚いてみないと温度上昇の具合や、焼成時間も解かりません。それ故、温度が中々

    上がらず、燃料がどんどん減る場合もありますので、余裕を持って量を確保します。

 ② 電気窯の場合は、電熱線の断線がない事を確認します。

  プロパンや灯油等の燃料を使う場合には、バーナーの調子も確認します。

 ③ 温度計の動作確認。

  窯の温度測定は大切な事項です。所定の最高温度まで上昇している事が、窯焚きで一番重要な

  事ですので、温度確認が必要です。経験豊富な方なら、火の色を見て判断しますが一般には、

  ゼーゲルコーンや熱電対温度計を使います。特に熱電対の断線やデジタル表示計の故障などが

  あると、温度表示が出来ません。一度通電し動作を確認しておきます。特に、保護管の破損、

  熱電対とリード線との接続部(コネクター部)の接続不良が無い事を確認します。

2) 窯と棚板の掃除。

 ① 窯の中には、陶器片などが落ちている場合があります。多くは素焼きの際の作品の爆発が

  原因で、陶器片が飛び散っています。これらがバーナー口を塞いでいない事を確認します。

  陶器片は、箒などで掃き出します。

 ② 本焼き後の棚板に、釉が流れ落ちた跡や、釉が飛び散った跡が残っている場合も多いです。

  これらの釉の残骸は、棚板にこびり付いていますので、「鏨(たがね)」で剥ぎ取ります。

  棚板上のアルミナコーチングも剥がれますので、棚板が平面になる様に、補修が必要です。

 ③ 棚板の割れの確認。棚板も焼き物ですので、外からの衝撃で「割れやひび」が入ります。

  「ひび」が棚板の半分程入っている物は、使わない事です。重い作品を載せると、窯詰め中や

  本焼き中に完全に「割れる」場合があります。1/3程度が安全な所です。但し、棚板の支柱の

   セットの仕方によって変化します。詳細は、次回の窯詰めの項でお話します。

 ④ 棚板にアルミナコーチングを塗る。棚板を熱から保護する為に、コーチングを刷毛塗りします

  コーチングの塗装頻度は、数回の本焼き後に行います。市販されている材料を水で溶かし、

  棚板全体に塗ります。

3) 煙突の破損が無い事、ガス漏れの無い事の確認。

 ① 燃料を使う窯では、煙突が付いているのが一般的です。台風などの突風で窯の煙突が破損する

  事もあります。更に、長く使っていない窯では、煙突の中に鳥が巣を作る事も有りますので、

  その確認もする必要があります。

 ② ガス漏れを起こすと甚大な被害が出る恐れがありますので、確認する必要があります。

  特に、プロパンガスは、空気より重たい為、低い場所(窪地)などに溜まり易いです。但し

  ガスには匂いが付いていますので、特別鼻の効かない人以外の一般人には、容易に確認できます

以下次回に続きます。
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