わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

素朴な疑問 318 陶芸の手順とは35(本焼き後の手順2)

2017-12-29 16:06:01 | 素朴な疑問
陶芸に限らず、何事にも手順があります。手順を忘れたり、手順前後の誤りにより、思いも拠らない

結果を招く事は多いです。

8) 使用前に行う事。

 ① 割れやひびが無いかを確認する。

 ② 食器用の水漏れ防止剤を使う。

 ③ 底(畳付)に砥石を掛ける。(以上が前回迄の話です。)

 ④ 土鍋など直火に当てて使う作品(耐熱食器)。

  普通は窯から出した作品は上記処理を行った後や、市販されている作品は購入後、直ぐに使え

  ます。例外として、土鍋等を直ぐに使用する事は避けるのが一般的です。

  ⅰ) 新品の土鍋は水を通し易い。

   土鍋には土鍋専用(直火可能)の土を使います。特徴として耐熱を保つ為にペタライトを多く

   含み、最高温度も1200℃(SK-7)で焼成します。赤鍋土の場合には、1180℃程度です。

   注:ペタライト( リチウム長石、葉長石)とは;土鍋土には、40~50%入っています。

    この物質を入れる事で、熱膨張率を少なくし直火で焚いても割れない鍋になります。

   土鍋の内側と側面は施釉しますが、直火が当たる底は無釉に成っています。

   焼きの甘さによる焼き締まりがやや弱く、素地の粒子もやや粗い為、更に底が無釉であり、

   場合によっては内側の釉に貫入(ヒビ)が発生する為などで、新品の土鍋を何の処理もせず

   使うと、水漏れ(水が染み出す)恐れがあります。

  ⅱ) 「目止め」をしてから使用する。

   上記理由により粘土間の隙間を無くすのが、「目止め」と呼ばれる方法です。

   これは、土鍋を長持ちさせる方法て、「ヒビ」の発生も抑制してくれます。

   「目止め」用には、片栗粉や「お粥(おかゆ)」等の澱粉質を使い、細かい隙間を埋めます。

   a) 片栗粉を使う方法。

    市販されている安価な片栗粉は、ジャガイモの澱粉を使っています。

    水と片栗粉(水に対して約10%程度)を溶き、土鍋の八分目程入れ、弱火で沸騰させます。

    沸騰させたら火を止め自然冷却し、その後中身を捨て良く水洗いし、乾燥させれば完成です

   b) お粥(おかゆ)を炊く。

    残りご飯を使うと、速くお粥を作る事が出来ます。

    ご飯茶碗半分ほどのご飯と水を土鍋の八分目ほど入れ、弱火で炊き込みお粥を作ります。

    炊き上がったら自然冷却し、お粥を取り出し土鍋を水洗いします。完全に乾燥すれば完成

    です。尚、米のとぎ汁や小麦粉を使う事もありますが、澱粉の濃度が薄くなり勝ちで、

    目止めの効果が薄いと言う方もいます。

    長らく使用し続けると、目止めの効果が薄れ水漏れを起こす様でしたら、再度目止めを

    行います。

   c) 土鍋使用上の注意事項。

   ・ 土鍋は意外と脆いですので、急熱や急冷は避けて下さい。

    即ち、最初は弱火で、次第に土鍋が暖かく成ったら火力を上げます。

    又、底に水滴などが有る場合は、拭き取ってから火にかけます。熱い土鍋を急激に冷やす

    事も厳禁です。

   ・ 土鍋の臭い消し。

    土鍋を長く使っていたり、臭いの強い食材を使用すると、土鍋に臭いが着く事があります。

    その際には、茶葉(茶殻でも可)を入れ10分程煮立てると臭いを消す事が出来ます。

   ・ カビ(黴)が発生した土鍋には、「(お)酢」を約50cc程入れ、弱火で10分程煮沸する

    と良い。「酢」には殺菌効果と消臭効果があります。

    尚、カビ防止には湿気の多い場所や濡れたまま保管しない事です。

   ・ 焦げが出来た場合には、重曹を入れ焦げを浮き上がらせてから、ブラシや金属類で強制的

    に剥がします。但し、土鍋を傷付けてはいけません。

    尚、焦げの程度が軽微の場合には、一晩水に着けて置くと、焦げが浮き上がる場合もあり

    ます。

   ・ ヒビ割れ防止

    熱い状態の土鍋を冷水に漬けると、割れを起こす事もあります。

    常温でしっかり冷ました後、水洗いします。長時間洗剤液に着けておくと、洗剤が浸み込む

    事がありますので、注意が必要です。

以下次回に続きます。  
コメント
この記事をはてなブックマークに追加

素朴な疑問 317 陶芸の手順とは34(本焼き後の手順1)

2017-12-21 21:51:06 | 素朴な疑問
陶芸に限らず、何事にも手順があります。手順を忘れたり、手順前後の誤りにより、思いも拠らない

結果を招く事は多いです。

8) 使用前に行う事。

  窯から出した作品は、そのまま販売したり使用する事は出来ません。

  見た目では何の問題も無く、完璧な作品と見えても、実際には使用に耐えない作品である可能

  性があるからです。

 ① 割れやひびが無いかを確認する。

  大きく割れた作品であれば、容易に見出す事も可能ですが、良く観察しないと判らない場合も

  あります。但しここで述べる「ひび」は素地本体に発生した物で、釉に発生する「ひび」即ち貫入

  の事では有りません。

  ⅰ) 多くの場合、底割れとして表れます。

   即ち、底の中央に「I又はS字状」に割れる状態で、内側のみ又は裏面のみに現れる場合と

   裏表に貫通して現れる場合があります。一方のみの場合には水漏れを起こさない事が多いの

   ですが、貫通した場合には、必ず水漏れを起こします。際どい場合には、太陽や明るい方向に

   向けて覗き込みますと、点状の明かりが見える場合は貫通しています。水を入れなくても確認

   できますが、不安な場合には水を注ぎ込み確認した方が良いでしょう。勿論補修する方法は

   幾つかあります。

  ⅱ) 持ち手(取っ手)のある作品(例えばカップ類や土鍋)では、持ち手の根元(本体に接し

   ている場所)に「ひび」が入る場合があります。この部分の「ひび」は使用時には常に荷重が

   掛り、「ひび」は拡大する方向になります。この部分が取れる事は大変危険です。一般に作品

   に「ひび」が入っている場合、作品を指の爪等で弾いてみる事です。

   「ひび」が無い場合には、高く澄んだ綺麗な音がしますが、「ひび」の入った作品では、低く

   濁った音色になりますので、容易に確認する事ができます。勿論、取っ手がグラグラと動く

   様でしたら使い物に成りません。

 ② 食器用の水漏れ防止剤を使う。

  以前でしたら食器以外に使う水漏れ防止剤(有臭)が有りましたが、現在は有毒性が指摘され

  ほとんど使わなくなっています。本来しっかり焼き締まった作品では、水が漏る(しもると言い

  ます)事はないのですが、焼きが甘かったり、粗めの素地を使うと焼き締まりが弱く、ジワジワ

  と染み出てきます。特に花瓶類の様に長い間水を入れる器の場合に起こり勝ちです。

  防止剤を少量内側に流し込み、内側全体に掛かる様にし、外に流し出したら、出来れば一晩

  放置し乾燥させます。特に目の粗い素地では、流し込んだ状態で半日放置し、防止剤が素地に

  吸い込む様にしてから、防止剤を外に出し、一晩乾燥させるとより完璧です。

  又陶器類は水を吸い易く、乾燥に時間が掛ます。その為、梅雨時などでは器の高台内や高台脇

  に「カビ」が生える恐れが生じます。その為、特に高台内と、畳み付き部分に水漏れ防止剤を

  塗っておくと予防する事が出来ます。その他ベタ高台の様に無釉の場所も、筆等で塗るとより

  安心です。但し、食器類の内側には、なるべく使用しない方が良いでしょう。何故ならば陶器類

  は使用する直前に、水に浸すと若干釉が水を吸い込み、色が綺麗に出る事が多く成るからです。

  同様な事は花瓶類の外側にも言えますが、長く放置する物ですので、効果は限定的です。

  尚、食器用の水漏れ防止剤は、陶芸材料店で手に入ります。

 ③ 底(畳付)に砥石を掛ける。

  窯から出した作品は、底が荒れています。底にはアルミナを塗ってあり、白くなっている場合

  もあります。この部分に砥石を掛けるのは、食卓やテーブルを傷付けない為です。何らかの

  理由で食器を滑らせると、食卓などに「かすり傷」ができます。砥石が無い場合には、目の細

  かい紙ヤスリを使うと良いでしょう。昔の瀬戸物屋さんでは、高台同士を向かい合わせて、

  こすり合わせて滑らかにしましたが、現在では行っていません。陶器の場合、高台が破損する

  恐れが生じますので、行わない事です。

  更に、棚板の掃除が不十分で、釉の残骸が棚板に乗っている場合、本焼きした本体の底に、

  上記釉の残骸がこびり着く場合には、これは取り除く必要があります。多くの場合釉のみの事

  は少なく、棚板に塗られたアルミナコーチングも一緒にこびり着いています。これは砥石では

  中々削り取り難く、「ダイヤモンドやすり」を使って取り除きます。

以下次回に続きます。  
コメント
この記事をはてなブックマークに追加

素朴な疑問 316 陶芸の手順とは33(本焼きの手順13)

2017-12-05 17:15:11 | 素朴な疑問
陶芸に限らず、何事にも手順があります。手順を忘れたり、手順前後の誤りにより、思いも拠らない

結果を招く事は多いです。

7) 窯出しに付いて。

  窯出しは緊張と不安もありますが、どの様に焼き上がっているかの期待もある作業です。

  何度経験してもこの感覚は変わりません。

 ④ 窯出し後の処置。

  ⅰ) 数人の作り手の作品を焼く共同窯の場合、人毎に作品を集める必要があります。

   共同窯でない場合には、作品毎に集めます。その際作品の大きさ別に仕分ける方法と、釉の

   種類毎に仕分ける方法があります。出来れば釉の種類別に仕分ける事をお勧めします。

   勿論、どの釉を使って焼き上げた作品であるかが、判っていなければ成りません。

   前に述べましたが、同じ釉であってもその表情は大きな差が出る事が多いです。特に還元焼成

   の場合が多いです。 薪窯となると一層変化が大きくなります。 

 以上までが前回の話です。

 ⅱ) 良く焼けた作品は、特に良く観察する事。

   窯のどの位置に窯詰めしたか、作品の周囲にはどの様な作品が置かれていたかも確認します。

   焼成の最高温度は勿論、焼成過程や冷却時間、施釉の種類等を記載すると同時に、それらの

   どの要因によって良い作品に焼き上がったを検討する事も大切です。但し、これらの要因を

   分析しても、次回も同じ様に良い作品に焼き上がる事が保障されないのが、窯焚きの難しさで

   す。特に窯変と呼ばれる現象は稀に起こり、その要因が不明な事で更に珍重される事に成り

   ます。

  ⅲ) 棚板に流れ落ちた釉がある作品の処置。

   窯の最高温度や焼成時間が長過ぎた時、更に流れ易い結晶釉を使った場合に起こり易い現象で

   す。この場合作品が棚板に完全に熔着し、作品を綺麗な状態で棚板から剥がす事はかなり難し

   くなります。

  イ) 棚板の裏側から木槌などで強く叩き衝撃を与えて剥がします。

   棚板上には白色のアルミナコーチングが塗られています。裏側から衝撃を与える事で作品を

   コーチングと共に剥ぎ取る事が出来ます。勿論熔着した面積とも関係しますが、かなりの衝撃

   が必要になります。頑固に熔着している時には、数回叩く必要があります。

  ロ) 熔着面積が部分的で少しであっても、無理やり剥がさない事です。

    熔着が小さな程、無理やり剥がすと作品の熔着部分から作品が割れ易くなりす。

    作品を割らない為には、鏨(たがね)で熔着部分の周囲を丁寧に叩きコーチング部分ごと

    棚板から剥がします。

  ハ) 作品に付いたコーチングはダイヤモンドやすり等で丁寧に取り除きます。

    コーチング剤は硬くて強固ですので、容易に取り除く事が出来ませんが、気長な作業になり

    ます。グライイダーがあれば作業も捗り(はかどり)ます。

  ニ) 作品を取り除いた棚板の部分は新たに、コーチングを塗り補修します。

    何度も補修を繰り返すと、棚板の表面が凸凹になりますので、紙(布)ヤスリ等で平坦に

    します。尚、補修をしなかった棚板も数回の本焼き後に、棚板全体にコーチングを塗り棚板

    を保護します。

  ⅳ) 蓋物の作品の処置。

   一般に蓋物は蓋をした状態で本焼きします。これは作品が歪み蓋が出来なくなるのを防ぐ為で

   例え本体が歪んでも、少なくとも蓋をした状態で焼成した場所では、蓋と器が一体に納まる事

   が可能になる為です。蓋物で問題に成るのが、蓋が本体に焼き付き取れなくなる事です。

   原因は釉同士が熔着する為です。その他。赤土などの鉄分を多く含む素地を使う場合、高い

   温度で焼成すると、素地同士が熔着する場合もあります。その対策として、

  イ) 施釉後に蓋と蓋受け部の釉を落とすと共に、両方をスポンジや布を水で濡らし、拭き取り

   ますが、これだけでは不十分です。

  ロ) 一番有効な方法は、両方が接する部分に、水に溶かした水酸化アルミナ等を筆などで塗る

   事です。アルミナは高温でも熔けませんので、両方が熔着し難くなります。

  ハ) 流れ易い釉を使う場合には、施釉しない部分を通常より若干多くする事です。

   高温で釉が流れ出し、蓋と蓋受けとの間に流れ込まない様にします。

  ニ) 上記対策を施しても、熔着する事はしばしば起こります。その場合、蓋の摘みを持って

   揺するとカタカタと音がすれば、熔着部分は少ないですので、隙間があれば竹ヘラ等でこじ開

   ける事も可能ですが、強引に剥がすのは禁物です。数箇所が熔着している場合には、木槌など

   で外部より衝撃を与え、熔着部分を剥がす方法も有効です。

   全面に熔着した場合、剥がすのはほぼ不可能です。多くの場合本体共廃棄処分にするか、

   蓋のみを助けるかです。但し蓋だけを助けるとしても、本体には大きな傷が残ります。

   尚、アルミナコーチングや水酸化アルミナ等は陶芸材料店で入手できます。

8) 使用前に行う事。

以下次回に続きます。
   
コメント
この記事をはてなブックマークに追加

素朴な疑問 315 陶芸の手順とは32(本焼きの手順12)

2017-11-21 11:57:30 | 素朴な疑問
陶芸に限らず、何事にも手順があります。手順を忘れたり、手順前後の誤りにより、思いも拠らない

結果を招く事は多いです。

7) 窯出しに付いて。

  窯出しは緊張と不安もありますが、どの様に焼き上がっているかの期待もある作業です。

  何度経験してもこの感覚は変わりません。

 ①  窯出しの準備。

 ② 扉を開けて内部を観察します。

 ③ 窯出しの実施。

  ⅰ) 窯の上部から取り出すのが一般的です。

  ⅱ) 棚板一枚に載せてある作品を全て取り出したら、その棚板を取り除きます。

   (以上までが前回の話です。)

  ⅲ) 窯出しには時間を掛ける事。  

   急いでいるからと言って、窯の中の作品を次々と外に出すのは、勿体無い事です。

   なぜなら、窯焚きを終えた窯の中には、貴重な事柄が多く残っているからです。

   イ) 同じ釉を掛けた作品でも、同じ色艶に焼き上がっている事は稀です。

    量産的な工業作品ならば、同じ様に焼き上がらない事は大きな欠点に成りますが、少量の

    作品を焼く個人の窯では、焼き上がりが異なるのは極自然な事とも言えます。更に言えば

    焼成する度に異なる表情の作品に仕上がる事が、窯焚きの醍醐味とも言えます。

   ロ) いつもと同じ様に焼成しても、焼き上がりが異なる主な理由は、窯詰めの際の作品の

    位置が違う事です。

    当然ですが、窯内のその位置は作品一個が置けるだけです。その周囲も同じ様な環境です

    ので似通った色艶に成りますが、一番良い位置から「ずれる」事で差が出易いです。

   ハ) 釉の種類によって良い色艶に焼きあがる場所は自然に判ってきます。

    何度も本焼きを繰り返すと、この釉はこの位置又はこの周辺が良いと言う事が次第に判る

    様になります。但し絶対この場所が確実と言う場所はありません。そこが窯焚きの難しさ

    です。良く焼けた(良い色が出た)場所は、場所を記録しておく事が大切です。

   ニ) 場合によっては窯変と呼ばれる色艶にに焼き上がる事もあります。

    常に出る事は稀ですが、何らかの偶然によって思わぬ幸運に見舞われる事もあります。

    多くの場合、一窯の中でよく出来たと思われる作品は、数個と言われています。場合によって

    全てが不出来の場合もあります。良くできた場合と不出来の場合には何らかの差があるはず

    です。次回の窯で成功させる為にも、窯詰め位置や作品の向き(方向)、焼成記録や窯の

    操作記録、その他のデータを突合せ原因を突き止める事が大切になります。勿論窯出し時に

    はその様な余裕はありませんが、窯出し時には、作品の良し悪しや色艶の変化等の記録を残

    すべきです。後で思い出そうとしても、よほど印象に残った作品でないと思い出す事が難し

    くなります。一々ノートに書く事が出来なくても、メモ用紙などに記載し作品に貼り付けた

    り、作品を並べたそばに置いて置くことが後々役にたちます。勿論一人で窯出しを行う場合

    には十分対応可能ですが、数人で行う場合には、連携プレーが大切ですので、どの様に窯出

    しを行うかは、予め相談して置く事です。

   ホ) 割れやヒビの入った作品は別の場所に置き、後でその処理方法を検討する事に成ります。

    助かる作品と助からない作品があります。この件は後ほどお話します。

 ④ 窯出し後の処置。

  ⅰ) 数人の作り手の作品を焼く共同窯の場合、人毎に作品を集める必要があります。

   共同窯でない場合には、作品毎に集めます。その際作品の大きさ別に仕分ける方法と、釉の

   種類毎に仕分ける方法があります。出来れば釉の種類別に仕分ける事をお勧めします。

   勿論、どの釉を使って焼き上げた作品であるかが、判っていなければ成りません。

   前に述べましたが、同じ釉であってもその表情は大きな差が出る事が多いです。特に還元焼成

   の場合が多いです。 薪窯となると一層変化が大きくなります。 

 ⅱ) 良く焼けた作品は、特に良く観察する事。


以下次回に続きます。
   
コメント
この記事をはてなブックマークに追加

素朴な疑問 314 陶芸の手順とは31(本焼きの手順11)

2017-11-14 14:27:42 | 素朴な疑問
陶芸に限らず、何事にも手順があります。手順を忘れたり、手順前後の誤りにより、思いも拠らない

結果を招く事は多いです。

7) 窯出しに付いて。

  窯出しは緊張と不安もありますが、どの様に焼き上がっているかの期待もある作業です。

  何度経験してもこの感覚は変わりません。

 ①  窯出しの準備。

 ② 扉を開けて内部を観察します。

  ⅰ) 作品ほ周囲に飛び散った破片がないかを外から確認する。(以上が前回までの話です)

  ⅱ) 焼き上がりの状態を見る。

   a) 釉が過不足なく熔けているかを確認する。

    本焼きで最重要事項は、釉が十分熔けている事です。但し熔け不足も熔け過ぎも問題です。

    イ) 熔け不足は、光沢のあるべき釉の表面が光沢不足や、下絵がはっきり浮き出ていない

     又は釉肌が「ザラヅイタ」状態に成っていませんので、容易に見出せます。

     熔け不足は窯全体の事もありますが、窯の一部の場所のみで起こる事が多いです。

     特に窯の下部では、他の場所より温度が低くなり易く、熔け不足が多くなります。

     原因は最高温度が低い為や、「寝らし時間」が短過ぎる為、窯詰めの際他の箇所より、

     一箇所に多く詰め過ぎる等が考えられます。即ち作品同士の隙間が少な過ぎる等。

     尚、熔け不足の程度にもよりますが、使用に耐えられない程度でしたら、再焼成します。

     又、熔不足の釉肌では表面が「ザラツク」為、汚れ易くなります。

    ロ) 熔け過ぎの場合、作品の表面より釉が棚板まで流れ落ちています。棚板まで流れ落ち

     なくとも、高台近辺が雫状に盛り上がっていますので、熔け過ぎを見付ける事は比較的

     容易です。問題なのは、熔け落ちた釉が棚板まで流れた場合です。作品が棚板にくっ付き

     作品を棚板から取り上げられなくなります。最悪作品を壊す事にも成ります。

     取り除く方法や棚板等その他の処理は後日述べます。

   b) 釉の発色状態を観察する。

    釉の確認は窯出し中でも観察可能ですので、必ずしもこの段階で確認する必要はありません

    イ) 釉の発色は酸化又は、還元焼成によって大きく異なります。

     焼成の際、いずれの方法で焼成するかは、予め予定を立てていたはずです。予想通りに

     焼き上がっているこを確認します。

    ロ) 結晶釉を使用した場合、予定通りの結晶が出ているかを確認します。

     複数の結晶釉を同じ窯で焼成した場合、一部は良いが他は良くない場合があります。

   勿論、これらは窯の扉を開けた際に見える範囲内しか確認できません。本格的な確認は窯出し

   後になります。以上の事柄を外から観察したら、いよいよ窯出しに掛ます。

 ③ 窯出しの実施。

  窯出しは、作品の状態を見ながら行います。又同じ釉でも、棚板の位置によって作品の表情は

  変化しますので、どの位置に置いた作品かを記憶(又は記録)しておく必要がありおます。

  窯より取り出すスペースは狭いですので、窯出しは一人で行い、他の人は搬出や作品を並べる等

  の補佐的な役目になります。勿論小さな窯であれば一人で全てを行います。

  ⅰ) 窯の上部から取り出すのが一般的です。

   但し、窯の上部は一番温度が高い状態ですので、手袋をしても熱い場合があります。上扉式

   でなく、横扉であれば冷えた下部から取り出す事もあります。但し棚板が邪魔になりますが・・

   取り出す際には、なるべく両手で支えて、作品を真上に持ち上げる様にします。釉が棚板まで

   流れ落ちていなければ、簡単に取り出す事ができます。

  ⅱ) 棚板一枚に載せてある作品を全て取り出したら、その棚板を取り除きます。

   その際注意する事は、棚板を下から支える支柱(3~4本)が棚板に張り付いている場合があ

   り、棚板を移動する時一緒に移動し、途中で剥がれ下の作品の上に落ち、作品を破損する場合

   があります。 それ故、棚板はゆっくり少し持ち上げ、支柱が張り付いていない事を確認して

   から、取り除きます。支柱が張り付いている場合には、棚板を少し浮かせてから支柱に小さな

   衝撃を与えると剥がれます。くれぐれも、支柱を作品の上やバーナー口に落とさない事です。

   取り除いた棚板は、棚板置き場に立て掛けて重ねて置きします。

  ⅲ) 窯出しには時間を掛ける事。  
 

以下次回に続きます。
コメント
この記事をはてなブックマークに追加

素朴な疑問 313 陶芸の手順とは30(本焼きの手順10)

2017-11-08 14:04:33 | 素朴な疑問
陶芸に限らず、何事にも手順があります。手順を忘れたり、手順前後の誤りにより、思いも拠らない

結果を招く事は多いです。

7) 窯出しに付いて。

  窯出しは緊張と不安もありますが、どの様に焼き上がっているかの期待もある作業です。

  何度経験してもこの感覚は変わりません。

  窯が十分に冷えたら(出来れば約100℃以下)、最後の段階である窯出しに移ります。

  最後の数十度が中々温度が下がりませんんので、扉や色見穴を開けて窯の中に空気を入り込ませ

  空気を循環させて温度を下げる必要も生じます。勿論急がないならば、30℃程度まで自然に冷や

  してから窯出しをすればより安心です。窯出しで行う事は以下の事柄です。

 ①  窯出しの準備。

  ⅰ) 窯が屋外にある場合と屋内にある場合では、条件が若干異なります。即ち屋外の場合には

   雨天や強風のある時はなるべく日延べした方が安全です。勿論屋外であっても屋根付きの通路

   が有れば風雨を避ける事もできますので、少々の悪天候でも決行が可能です。

  ⅱ) 窯の容量にもよりますが、窯から出した作品を並べるスペースが必要になります。

   風雨がなければ出来るだけ窯の近辺の場所が都合が良いです。勿論小さな窯であれば直接作業

   場に持ち込み、並べる事も可能です。ある程度まとまった量の作品であれば、それなりの

   スペースが必要になります。尚、この場所は窯出しの完了と作品の大まかなチェックが終わる

   までの一時的なスペースです。平坦な場所が理想ですが、やや傾斜のある時には、作品が転倒

   しない様に何らかの方法を取る必要があります。

  ⅲ) 場所が決れば作品を置く敷物が必要です。

   例えば窯の温度が100℃であっても、作品を窯の外に持ち出せば温度は急激に低下します。

   勿論、外気温にも影響します。それ故、敷物も化学繊維の物(塩ビ等)でも良いのですが、

   出来れば、ダンボールや新聞紙を敷物の上に敷いた方がより安全です。ちなみに塩ビは最高

   使用温度は約80℃と言われていますので、それ以上の熱が加わると孔が開きます。

   注意する事は、窯出し直後の作品をコンクリートの上に直に置かない事です。熱がコンクリ-ト

   に吸収され、接した部分が急激に冷え、割れを起こす事があるからです。

   理想的には木の板の上に並べる事です。

  ⅳ) 作品を重ねる為にスペーサーの紙(新聞紙、広告のチラシ等)を用意します。

   窯出しした作品の量が多くなると、直ぐに置き場所が無くなります。皿類などは場所を取り

   ますので、重ねる事でスペースを獲得します。作品同士を重ねる場合、直に重ねても良いので

   すが、より安全の為にも、スペーサーを入れる方が良いでしょう。

  ⅴ) 窯出しに要する人手数。

   小さな窯であれば、一人で十分ですが、作品の量が多くなったり、作品を置く位置が遠い場合

   数人の人がいた方が効率良く作業ができます。窯から出す人が一人と、出した作品を運ぶ人、

   作品を種類別に並べる人、場合によっては良く焼けた作品と不出来な作品を選別する人など

   の役割分担です。

 ② 扉を開けて内部を観察します。

  例え温度計が100℃を示していても、まだ熱気がありますので、作品は基より窯道具である棚板

  や支柱なども火傷(やけど)する位の温度がありますので、それらを直に触ら無い事で、手袋は

  必需品になります。作品を窯出しする前に確認しておく事項は以下のものがあります。

  ⅰ) 作品ほ周囲に飛び散った破片がないかを外から確認する。

   本焼きではめったに起こらない事ですが(素焼きでは起こり易い)、焼成中に作品が爆発する

   事があります。

   窯の中で爆発事故が起これば、破片が飛び散っていますので、直ぐに気が付くはずです。

   飛び散った破片はその周囲に悪い影響を与えますので、どの範囲まで飛び散っているかを確認

   する必要があります。尚、奥行きのある窯では、頭を入れなければ見えないかも知れませんが

   十分冷えていない窯の中に頭を入れる事には注意が必要です。

   更に、窯詰めの際、不安定な作品がある場合、窯の中で転倒し、隣の作品に接触していない

   かを確認します。

  ⅱ) 焼き上がりの状態を見る。

 以下次回に続きます。
コメント
この記事をはてなブックマークに追加

素朴な疑問 312 陶芸の手順とは29(本焼きの手順9)

2017-11-04 13:30:57 | 素朴な疑問
陶芸に限らず、何事にも手順があります。手順を忘れたり、手順前後の誤りにより、思いも拠らない

結果を招く事は多いです。

6) 窯の温度を下げる(窯を冷やす)。

  窯の温度を下げる行為も、窯焚きと見なされます。即ち、どの様に温度を下げるかによって、

  釉の発色に大きな違いが出るからです。又、窯の冷え方は窯の大きさや壁の厚みにも関係します

  ので、単に消火や炙りだけの問題では無く、窯毎に違いがあります。

 ⅰ) 窯の冷やし方には、急冷と徐冷があります。(以上が前回までの話です。)

 ⅱ) 還元冷却(還元落し)に付いて。

   釉の表面や無釉の焼き締め陶の表面に炭素を混入させ、黒褐色の色に仕上げる方法です。

   炭化焼成とも呼ばれています。電気窯の場合には外部より還元用のガスを注入します。

   a) 炭素成分が素地や釉に入り込む温度は、1100~800℃の冷却時です。温度が高過ぎると

    炭素が燃えてしまい、低過ぎると釉が固まり炭素を吸収しなくなります。この間還元雰囲気

    をを保持していなければ成りません。窯の冷却が進むと、窯中の炎の対流が弱くなり、

    部分的に還元が強くなり、炭素と釉が過剰反応を起こし、釉の表面が「かさつく」場合や、

    「ブク」(表面が泡立こと)が発生する事もあります。緩やかな対流にするには、窯詰の際

    ある程度隙間を設けて置く事です。

   b) 還元用ガスバーナーを使用する場合、バーナー口や色見孔から出てくる炎の色で還元状態

    を判断する事になります。バーナー口より炎が僅かに吹き出る程度が良く、強く吹き出る

    場合には、強過ぎる事になり燃料の無駄になりますし、炎が吸い込まれ状態では、還元作用

    が弱い事になります。空気量を調節し適度の炎にします。

  ⅲ) 冷め割れに注意。

   窯を冷やす時間が急な場合、作品が割れる事があります。特に600~500℃の間に起こり易い

   です。原因は素地中の肉厚の石英が、この温度周辺で結晶構造が変わり、急激に縮むからと

   言われえいます。冷め割れた断面には、釉が掛かっていません。更に、割れた断面の角が鋭く

   尖っていますので、冷却中に割れた事が判ります。

   a) 窯出し出来るまでの冷却時間は、窯を焚いた時間と同等又はそれ以上が必要であると言う

    のが一般的です。但し窯の大きさや壁の厚み、作品の量、釉の種類、素地の種類などの要素が

    関係しますので、必ずしも全ての窯に当てはまる訳ではありません。

   b) 窯の扉を開けて良い温度に付いて。

    一般的には100℃以下に成れば窯の扉を開けても、冷め割れは発生せず安心です。

    耐急冷性の素地であれば、300℃でも安全であると言う人もいます。当然窯出しには、

    窯中を扇風機等で強制的に冷やす必要があります。但し50℃以上では、軍手などの手袋を

    使用しないと、火傷(やけど)をしてしまいますので、注意が必要です。

  ⅳ) 窯の冷えと貫入との関係。

   急冷すると、釉に貫入(小さなヒビ)が入り易くなります。貫入が欲しい場合には、速めに

   窯を開け、貫入を望まない場合には、じっくり冷えるのを待つ事です。貫入は窯出し直後が

   多く発生しますが、窯出し数日たってから発生する事もあります。

   原因は、釉と素地の収縮差によるものです。即ち釉の表面が急激に冷やされ、素地よりも大き

   く縮む為です。「チンチン」又は「ピンピン」と乾いた澄んだ音がします。

   勿論釉の種類によって貫入の大きさや、網目模様も千差万別です。

   尚、貫入は必ずしも欠点とは言えません。「ヒビ」の入った釉を好む人もいます。

7) 窯出しに付いて。

 
以下次回に続きます。

  
コメント
この記事をはてなブックマークに追加

素朴な疑問 311 陶芸の手順とは28(本焼きの手順8)

2017-10-29 13:55:39 | 素朴な疑問
陶芸に限らず、何事にも手順があります。手順を忘れたり、手順前後の誤りにより、思いも拠らない

結果を招く事は多いです。

5) 窯の温度を上げる。 

 ⑤ 燃料を使用する窯では、温度が上昇し易い窯の雰囲気は、中性炎又は弱酸化炎(又は弱還元

   炎)と言われています。(以上が前回までの話です。)

  ⅴ) 温度の上昇スピードは徐々に落ちていきます。

   最終目的温度近辺に成ると、温度上昇は極端に遅くなります。最後の10℃、5℃を上げるのに

   30~1時間程度要する事も稀ではありません。勿論最高温度近くで長い時間を要する事は釉を

   安定的に熔かす作用もありますので、必ずしも悪い事では有りませんが、燃料を多く消費しま

   すので経済的ではありません。

   尚、釉はガラス質ですので、決まった融点は存在しません。あくまでもこの近辺で溶けると言う

   事です。更に言えば目的の温度より数℃~十数℃以前に完全に熔けている場合が多いですので

   若干低めの温度であっても、寝らし時間(一定温度で数十分保持する事)を長く取ればより

   安全です。

  ⅵ) 焼き上がり直前では酸化炎にする。

   還元焼成の場合でも、酸化炎にする必要があります。還元炎は炭素分(一酸化炭素))を

   多く含みますので、そのまま続けると釉に炭素成分が残り、釉を汚す事になります。

   それ故、速めに炭素成分を無くす為に酸化炎にする必要があります。

   尚、還元焼成が有効なのは、釉の表面がガラス化する迄です。表面がガラス化すると釉の中に

   まで炎の影響が届かなくなりますので、還元焼成の効果はなくなります。

   又、煙突の挽きが強くなる酸化焼成をする事で、窯内の上下の温度差を無くす事にもなります。

 ⑥ 所定の温度まで上昇したら、「寝らし焼成」に移ります。

  温度変化がない様に、ドラフトやダンパーを微調整し、燃料の供給と空気量を整えます

  寝らし時間は10分程度から1時間程度まで窯によって違いがあります。一般的には数十分程度が

  多い様です。

6) 窯の温度を下げる(窯を冷やす)。

  窯の温度を下げる行為も、窯焚きと見なされます。即ち、どの様に温度を下げるかによって、

  釉の発色に大きな違いが出るからです。又、窯の冷え方は窯の大きさや壁の厚みにも関係します

  ので、単に消火や炙りだけの問題では無く、窯毎に違いがあります。

 ⅰ) 窯の冷やし方には、急冷と徐冷があります。

  黒系の釉は急冷が良く、結晶釉では徐冷が良いと言われています。

  a) 黒天目などの黒釉では、徐冷すつと赤味のある釉に成ってしまい、真っ黒には成りません。

   当然、燃料を停止し、即消火する事に成ります(自然冷却)。高温では急激に温度が下がりま

   すが、温度の低下具合は徐々に鈍くなります。

   尚、ガス窯や灯油窯の場合、消火するには、最初に燃料の元栓を閉め、配管内やバーナー内に

   残さない方法と、バーナー内に残す方法(最後に元栓を閉める方法)があります。前者は何ら

   かの理由で、バーナー栓が開いても燃料の漏れを防ぐ利点があります。欠点として、次に点火

   する際バーナーまで燃料が届くのが遅れ、中々点火出来ない事です。点火に失敗したと感じ

   易いですので注意が必要です。

  b) 結晶釉の場合、釉内の結晶を発達させ、大きな結晶を析出させる為にも、ゆっくり温度を下

   げるか、ある一定温度を数十分保持する事が有効です。一定温度に保つ為に数本のバーナー

   を点火状態にして置く事です。その他、燃料の供給量を減らす方法もあります。

   釉は1100℃程度より温度が低下すると、凝固が始まると言われています。温度を下げるに従い

   結晶が発達し析出します。結晶釉の種類によって、一番結晶が発達する温度は、微妙に異なり

   ますが、辰砂釉の場合900℃程度で一番結晶が発達するとも言われています。

   それ故1100℃~800℃程度の範囲で徐冷すのが理想的です。実際には経験から温度を割り出す

   事に成ります。温度と徐冷時間が関係します。

 ⅱ) 還元冷却(還元落し)に付いて。


 以下次回に続きます。

  
コメント
この記事をはてなブックマークに追加

素朴な疑問 310 陶芸の手順とは27(本焼きの手順7)

2017-10-17 17:28:15 | 素朴な疑問
陶芸に限らず、何事にも手順があります。手順を忘れたり、手順前後の誤りにより、思いも拠らない

結果を招く事は多いです。

5) 窯の温度を上げる。 

  電気窯の場合には、電力(電流量)をあげるに従い、温度は上昇しますが、ガスや灯油の場合には

  一概に燃料を増量すれば、温度が上がる訳ではありません。空気量との関係で、むしろ温度が

  低下する事も稀では有りません。

 ① 窯焚きでの一番の失敗は、所定温度まで上がらない事です。

 ② 窯焚きに掛かる時間は、窯の容量及び窯の壁の厚み、作品の量(窯詰量)と種類(大きさ)、

  釉の種類に左右されます。

 ③ 素焼きと本焼きでは、温度上昇スピードが異なります。

 ④ 点火直後は窯も冷えていますので、温度は急上昇します。(本焼きの場合です。)

  窯の容積(大きさ)にもよりますが、個人で使う窯程度では、最初の1時間で250~300℃程度

  まで上昇する事は稀ではありません。急上昇させてもさほど問題になる事はありません。

  ⅰ) 200℃を超える当たりから水蒸気が発生します。(以上が前回までの話です。)

  ⅱ) 蒸気の発生が無くなったら扉を閉じる。

   水蒸気は最初湯気が出る程度です。冬場であれば目に見えますが、夏場ではほとんど見えませ

   ん。次第に蒸気量も増えるに従い、目に見えて蒸気抜き穴や扉の隙間より、勢い良く噴出して

   きます。特に、施釉直後に窯焚きを行うと顕著ですが、数日後に行うと水蒸気の量は激減しま

   す。場合によっては、ほとんど蒸気を認められない事もあります。500℃程度に成れば蒸気は

   無くなりますので(実際にはその後も水蒸気は出続けます)、扉や蒸気抜き穴を閉じます。

   この間燃料を増やしたり、電流を増やして、温度を急激に上げてもほとんど問題ありません。

   尚、窯が室内にある場合は、水蒸気で視界が遮られますので、換気扇を回して外に逃がします。

  ⑤ 燃料を使用する窯では、温度が上昇し易い窯の雰囲気は、中性炎又は弱酸化炎(又は弱還元

   炎)と言われています。

   ⅰ) 還元焼成は950℃前後から操作します。(この温度は窯を焚く人によって異なります)

    ドラフトやダンパー、バーナーの空気取り入れ等を操作し、煙突の引きと供給燃料のバランス

    を取る事により、還元の強弱が決ります。

   ⅱ) 還元焼成か酸化焼成の判断は、炎の色と色見穴からの空気の流れから判ります。

    即ち、バーナーがら出た炎が綺麗な青色であれば酸化炎になります。赤味が指すに従い還元炎

    となります。又酸化焼成の場合には、色見穴へ空気が引き込まれ、還元焼成の場合には、

    炎が外に出てきます。出入りの量は還元又は酸化の度合いによって決まります。どちらでも

    ない状態では中性炎と見て良いでしょう。

   ⅲ) 強酸性や強還元炎の場合には、温度上昇が極端に悪くなります。

    温度を上げようとして、燃料を増やしても温度が上がらず、逆に下がる場合もあります。

    これは、空気の量が少な過ぎたり、燃料の供給が多過ぎる場合(強還元)に起こり易いです

    ので、温度の上昇具合を見ながら、燃料と空気量を調整する必要があります。

   ⅳ) 窯の状態を見る時間間隔に付いて。

    窯の前に常時くっ付いて、状態を観察するのがベストですが、窯の状態によってある程度

    の間隔で窯の様子を観察するだけで大丈夫の事もあります。一般には30分程度に一回見れ

    ば良く、温度上昇具合を観察しますが、山場に差し掛かった時には、刻々状態が変化します

    ので、張り付いていなければ成りません。具体的な山場とは、点火時から炎が安定するまで

    の間、蒸気の発生が無くなり扉などを閉める必要がある場合、温度上昇が鈍く成ってきた

    状態、還元焼成を掛ける際、燃料を更に供給する際、最高温度に近づいている状態の時など

    です。その他、窯の中ので異常音がした時もしばらく付きっ切りで、様子を見る必要があり

    ます。

   ⅴ) 温度の上昇スピードは徐々に落ちていきます。


 以下次回に続きます。

  
コメント
この記事をはてなブックマークに追加

素朴な疑問 309 陶芸の手順とは26(本焼きの手順6)

2017-10-09 16:44:50 | 素朴な疑問
陶芸に限らず、何事にも手順があります。手順を忘れたり、手順前後の誤りにより、思いも拠らない

結果を招く事は多いです。

5) 窯の温度を上げる。 

  電気窯の場合には、電力(電流量)をあげるに従い、温度は上昇しますが、ガスや灯油の場合には

  一概に燃料を増量すれば、温度が上がる訳ではありません。空気量との関係で、むしろ温度が

  低下する事も稀では有りません。

 ① 窯焚きでの一番の失敗は、所定温度まで上がらない事です。

  作品の良し悪しは、焼きによって決るとも言われています。但し、これは所定(目的)の温度まで

  温度が上昇し、施釉の場合には釉が熔けた状態であり、無釉の場合には土が焼き締り被った灰等

  が必要程度熔けている事が前提になります。釉も熔けず焼き締りも不十分の場合には、窯焚きは

  失敗と見なされます。現在では所定の温度まで上昇しない事は、少なく成ってきましたが、稀に

  発生します。特に1200℃以上に成ると、最後の20~50℃が中々温度上昇が鈍くなり、時間が掛

  ます。最悪温度が停滞し、それ以上温度が上がらなくなる事も起こります。この場合には、

  一度火を止めて原因を究明し、再度最初から窯を焚き直す事すら起こりえます。

 ② 窯焚きに掛かる時間は、窯の容量及び窯の壁の厚み、作品の量(窯詰量)と種類(大きさ)、

  釉の種類に左右されます。それ故、最低何時間掛ければ良いかは、個々の窯によって異なります。

  容量の小さな電気窯等では、5時間程度で済む場合もありますが、大きめの窯では15~20時間も

  掛ける事があります。一般には一時間100℃の温度上昇とし、1250℃では、12時間半となります

  これは、ジェーゲルコーン(SK-8)が倒れるまでの時間に成っています。

  大きな窯の場合、窯を暖めるだけでも大きな熱エネルギーが必要に成りますので、小型な窯より

  温度上昇も緩やかになり、焼成時間も長くなります。

  又、窯の壁の厚みも重要です。薄い壁の場合壁を通して熱が外に漏れ、窯の表面が熱くなります。

  即ち、熱効率が悪くなります。

  窯の容量に対し、作品の量が少な過ぎる場合や多過ぎる場合にも、温度上昇が鈍く成ったり、

  停止します。少な過ぎる場合には、熱が作品の隙間や天井部分を素通りし、煙突から逃げてしま

  います。即ち、熱を蓄積できない状態です。この場合には焼き直しの作品や、棚板の支柱などを

  立て、蓄熱材を増やします。多過ぎる場合には、温度上昇は緩やかですが、蓄熱材が多量な為、

  少しづつ温度上昇が見られます。

 ③ 素焼きと本焼きでは、温度上昇スピードが異なります。

  本焼きでは素焼きより速いスピードで温度を上昇させる事ができます。素焼きの場合土に水分が

  含まれる為、早く温度を上げると水蒸気爆発を起こします。一方、素焼き後の本焼きでは施釉

  による水分が含まれていても、水分が蒸気と成って、素地の間を抜けていきますので、爆発の

  危険は有りません。勿論蒸気抜きの為、窯の扉を若干開いて置く必要があります。扉を閉じた

  状態で窯焚きを続けると、次々と発生した蒸気が窯の天井で結露となり、作品の上に落ち釉に

  染みを作ります。 色見穴も開けて蒸気抜きとして利用します。

 ④ 点火直後は窯も冷えていますので、温度は急上昇します。(本焼きの場合です。)

  窯の容積(大きさ)にもよりますが、個人で使う窯程度では、最初の1時間で250~300℃程度

  まで上昇する事は稀ではありません。急上昇させてもさほど問題になる事はありません。

  ⅰ) 200℃を超える当たりから水蒸気が発生します。

   施釉した直後の作品から多く水蒸気がでますが、400~500℃程度で水蒸気の発生はなくなります

   一般には400℃を超える当たりで蒸気の発生は少なくなりますが、大きな窯では、上下の温度

   差が大きい為、温度計で500℃と表示しても、下部では400℃以下と言う事になり、長い時間

   水蒸気が発生し続けます。

  ⅱ) 蒸気の発生が無くなったら扉を閉じる。


 以下次回に続きます。

  
コメント
この記事をはてなブックマークに追加