わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

粘土4 (収縮1)

2010-01-31 20:00:03 | 陶芸四方山話 (民藝、盆栽鉢、その他)
焼き物は、作品が出来上がるまでに、各段階で、収縮していきます。

即ち、出来上がり寸法より、大きく作る必要が、有ります。

・ その収縮率は、一般に、市販されている粘土は、12~13%程度です。

  即ち、縦、横、高さの3方向で、各々12~13%です、体積では、3乗になりますので、

  6割程度に、なってしまいます。(体積=0.88 * 0.88 * 0.88 =約 0.62 )

・ 当然ですが、率は、一定でも、大きさにより、縮む量は、違います。

  大きな物や、長い物は、大きく縮みますので、陶芸の初心者は、こんなに小さく、成るのかと、

  ビックリします。又、作る時は、大き過ぎると、思い勝ちです。

・ 土によっては、備前の土や、磁器土の様に、20%程度も縮む物も、有ります。

  更に、焼成温度、焼成時間によっても、左右されます。

・ 素焼までの、収縮は、水が大きな要因ですが、本焼きでの、収縮は、素地の要因が、主に成ります。

  素地の要因については、後で述べます。

では、前回の続きの、話をします。

2) 粘土の収縮と、水の量

 ① 縮が起きる時

 ) 作品を、作り終えた段階から、収縮が、始まりますが、終了直後が、一番縮みます。

    作り終えた作品を、放置して置くと、水分が土の、表面より蒸発して、乾燥が始まり、

    収縮が起こり、徐々に小さく成りますが、乾燥が進む程、縮むスピードは、少なくなります。

 ) この時期は、乾燥の仕方によって、変形が起こり易いですので、特に注意が、必要です。

    全方向を、均一に乾燥させる事が、大切で、一方向のみの乾燥は、厳禁です。

 ) 削り作業時までの収縮

    水分量が14~15%程度で、カンナが、掛け易くなりますが、ここまでに、寸法で、5~7%程度

    収縮します。削り作業が終わったら、3~7日程度(肉厚による)陰干しします。

 ) 素焼直前に、天日干しをして、完全に、乾かします。

    ここまでに、作った時の寸法より、7~9%程度、収縮します。

 ) 素焼後と素焼前では、寸法的に、ほとんど変化が、見られません。

    結晶水が、無くなっても、寸法的には、影響が無いようです。

    (結晶水が、無くなる事による、変化についても、後で述べます。)

 ) 本焼きでの収縮

    本焼きでは、更に、5~6%程度の縮みが、起こります。(全体で12~13%程度と、成ります)

    勿論、前に述べた様に、焼成温度、焼成時間によって、この率は、変化します。

3) 陶尺の作り方

    陶尺(とうじゃく)は、作品を作る際、どの位、大きくしたら良いかを、測る物差しです。

以下次回に続きます。
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粘土3 (含水量)

2010-01-30 17:26:20 | 陶芸四方山話 (民藝、盆栽鉢、その他)
陶芸では、水が大切な働きをし、粘土とは、切っても切れない、関係にあります。

粘土に含まれる、水の分量により、粘土の性質も、大きく変化します。

1) 作陶し易い、水の分量

 ) 一般に、硬目の粘土を、好む人と、柔らか目の粘土を、好むなど、人により、まちまちです。

   又、作る作品によっても、硬さを、変える必要が、有ります。

   即ち、大物を作る場合や、轆轤挽きをする際には、硬目を使い、手捻りでは、柔らか目の土を、

   使う事が、多い様です。

 ) 作陶に適した、水の量

  a) 土の種類などにも撚りますが、粘土に25%程度の、水分が含まれると、作陶し易いと、

    言われています。(以下、数値が出てきますが、参考値ですので、各自、ご判断下さい)

    余談ですが、カラカラに乾燥し、細かく砕いた土1Kgに、水を少しづつ加え、練りながら

    硬さを調整し、一番練り良い時点まで、水を加え、その加えた水の量を、測る事で、含水量を

    決めます。即ち、(水の量)/(1Kg+水の量)*100=含水量(%)と、成ります。

    但し、ここでは、粘土の結晶水は、計算に入れていません。

    (計算では、1Kgの土に、水350CC前後に、相当します。)

  b) 作陶中にも、水の量は、変化します。

   ・ 轆轤挽きは、別名「水挽き」と言われ、大量に水を使って、作品を作ります。

     その為、土は、どんどん水を吸い込み、含水量が増え、土の腰が、無くなります。

   ・ 手捻りの場合、手の熱や、部屋の乾燥具合によって、水分が無くり、硬さが増します。

     それ故、使用しない土は、乾き過ぎない様に、濡れた布を、掛けて置きます。

   c) 「ドベ」(ノタ)の場合、

     水分を増やして行くと、粘土の塊は、泥状になります。これは生乾きの、土どうしの、

     接着剤として、使用します。     

 ) 削り易い、粘土の水の量

    生乾きに成ると、カンナ等で、底削りや、作品を削って、形を整えます。

    この時の、含水量は、約15%程度で、型崩れもせず、カンナ屑も、刃に付かず、スムーズに、

    削れます。

 ) 天日干後の、水の量

   素焼前の、天日干した作品に、含まれる、水の量は、数%(1~2%)で、完全に零にする事は、

    出来ません。素焼をすると、200℃~300℃の温度で、盛んに水蒸気が、発生します。

    これが、残っていた、水分です。

 ) 結晶水の放出

    素焼で、560℃近辺で、粘土の結晶水が、抜け出ます。この状態で、水分は、零に成ります。

    但し、釉を掛ける際、再度水を、吸収する事には、成りますが・・

 ・ 実際に必要な事は、作陶し削り終えた作品が、本焼終了までに、どの位い軽くなっているかです。

   (作品の中には、ご飯茶碗の様に、軽い物が、喜ばれる物も有り、出来上がりの重さを、

    知りたい場合も多いです。)

   当然、釉を掛ける際に、薄掛け、厚掛けの差が、有りますので、素焼終了時の重さが解かれば、

   本焼き後の重さも、予想が立ちます。 

 ・ それ故、各段階で、重さを測る事を、勧めます。

   又、轆轤挽きの場合は、削り作業が有り、土の無駄が必要です。

   無駄な土=「使った土の重さー出来上がった土の重さ」と成ります。

   この差は、轆轤の習熟度に、関係します。差が少なくなる様に、練習する事です。

2) 粘土の収縮と、水の量

 以下次回に続きます。  


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粘土2(土を探す、採取場所)

2010-01-29 17:17:09 | 陶芸四方山話 (民藝、盆栽鉢、その他)
地元(郷土)に有る土を使い、作品を作ってみたい方も、多いと思います。

例え、その土が、陶芸に不向きであっても、木節粘土や、他の土と、ブレンドして、使える様にする事も、

可能かも知れません。

粘土はどの様に、探したら良いかを、参考までに、述べたいと思います。

1) 粘土の採取は、土の取れる場所を、知ることから、始めます。

   それには、以下の方法が、考えられます。

 ① その土地で、過去に、屋根瓦や、レンガが作られていたか。又炭焼きが、行われていたかを、

   調べます。瓦やレンガは勿論、粘土が原料であり、炭焼きの窯も、粘土で造りますので、

   近くに粘土は、ある(あった)はずです。

  ・ 郷土の歴史書、博物館(郷土館)の展示、図書館や、土地の人の、言い伝え、噂などで、

   情報を得ます。

 ② 縄文土器や、弥生時代の集落があった地域なら、その近辺の、博物館や学校、社会教育施設

   等に、何らかの、手が掛かりが、見つかるかも知れません。

   又、遺跡の発掘調査も、しているはずです。その調査結果の報告書が、あると思われる、

   教育委員会などに、問い合わせてみるのも、一つの方法です。

 ③ 足で歩いて、粘土層が露出している場所を、探します。

   関東の場合は、関東ローム層が、広がっていて、「板橋粘土層」、「川口粘土層」、「常総粘土層」

   などの粘土層が、あちこちにあり、実際に昔は、土器作りに、使われていました。

   具体的な方法としては、

  ) 川沿いを探す

    流れる川は、土地を削る作用(浸食作用)が有りますので、川沿い(上流近く)には、

    地層の観察できる露頭が、多くみられます。

    護岸工事が、行われている場所などで、観察したり、下流の水の淀んでいる、川底などで、

    見つかる可能性も、あります。

  ) 崖や切通しを探す

    崖になっている場所も、土が露出していますし、山間部や丘陵部には、道を切り開く時に

    切通しができ、地層が露出しているのが、観察できます。   

  ) 採石場や工事現場を探す

    工事現場や採石(粘土)場などでも、地層は観察できます。

    見学する際には、見学できるか、事前に連絡をいれ、承諾を受けましょう。

    又、大規模なトンネル工事などで、粘土が大量に、産出される場合も、有ります。

  ) ハイキングや、森林浴などで、野山を歩き回る時に、偶然見つける場合も、有ります。

     あたりを、見回して、注意しながら、歩きます。

 ④ その他

  ) 良い粘土がある土地は、そこに生える木を、見るだけで、わかるそうです。

    即ち、草は、生い茂っているが、大きい木が育たない所、木が真っ直ぐに、生えず、斜めに

    傾いた所には、粘土質の土が有る、とのことです。

    粘土質の為、水を透さ無ず、根を十分に広げられずに、大きく育ず、傾いたりするとの事です。

  ) 更に、カタツムリが多く、生息する場所にも、粘土質の土が、有るとの、説もあります。

    その根拠は、カタツムリは、陸に上がった、巻貝の仲間ですので、貝殻の原料の、カルシウムが

    必要です。粘土には、多少なりとも、石灰(炭酸カルシウム)を含みます。

    それ故、カタツムリが生息する場所には、粘土が存在するとの説です。

2) 採取した土は、そのまま使える事は、ほとんどありません。

   不純物を取り除いたり、可塑性を持たせたり、耐火温度を調る、焼成テストなど、やるべき事は

   多いですが、ここでは述べません。

   その気に成れば、幾らでも資料(情報)は、集められます。
   
尚、公共の土地や、私有地の土を、無断で掘り出す事は、禁じられています。

  大量に、掘る時は、必ず、許可を得るようにした方が、良いでしょう。

以下次回に続きます。

 粘土を探す
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粘土1(粘土とは?)

2010-01-27 22:24:56 | 陶芸四方山話 (民藝、盆栽鉢、その他)
粘土は、陶器の原料ですから、一番大切な物ですが、一般の方は、意外と無関心な場合が多い、

傾向に有ります。(プロの陶芸家は、土に強い「こだわり」が有るのは、当然ですが)

粘土は、陶芸材料店に行けば、直ぐ作陶できる状態で、販売されています。

一般の方は、どの土を選ぶかは、

 ① 土の産地 ② 土の色(焼成後の色) ③ 肌理の粗さ等を、基準にして、選んでいると、思います。

 実際作陶に入ると、④ 土の硬さ、⑤ 収縮率、⑥ 作陶のし易さ、⑦ 釉薬との相性、⑧ 焼成温度、

 ⑨ 使う土の特徴、長所、短所など、知っていなければ、成らない事が、多く有ります。

 人によっては、土を「ブレンド」したり、自分で土を、見つけ出す(採取)場合も有ります。
 
 今回から、粘土について、幾つか、述べたいと思います。

1) 粘土とは何なのか 

   (趣味で陶芸をする人は、「粘土が何であるか」は、たいした、意味を持たないかも、知れません。

   それ故、興味が無ければ、読み飛ばして下さい。)

 ① 粘土とは、文字通り、「ねばる(粘)土」で、英語の[clay]も、「粘りつく土」が語源です。

   主に、「焼き物に成る土」として、使用されます。

 ② 元々は、火成岩と言う岩石で、これが、水や温泉などの水蒸気、風、地震、火山活動などの、

   地殻変動による力で、割れ、砕かれ、更に雨で流され、色々な物質と混ざり合い、化学作用を受け、

   更に、砂よりも細かく成り、粘土が出来上がります。

 ③ それ故、天然の粘土は、砂、長石、雲母、鉄分などの金属類や、不純物を含みます。

   又、土の産出場所や、周囲の環境の、違いにより、土の成分は、千差万別です。

 註: 火成岩とは、地中にある、マグマが、固まった物です。

   黒い玄武岩で、代表される、火山岩は、マグマが、急激に冷えて固まった物(火山の噴火など)で、

   白い花崗岩で、代表される、深成岩は、地中の深い所で、ゆっくり冷えて固まった物です。

 ④ 磁器や陶器の原料は、主に花崗岩が、主になっています。

  ) カオリン: 純粋に近い花崗岩は、カオリンと呼ばれ、磁器の原料(陶石)や、白絵土と成ります。

     特徴は、色が白く、比較的粒子が粗く、粘りの少ない事です。

  ) 粘土: カオリンが、砕け、流され、不純物が混ざり、見かけ上、黄色や、茶色、黒などの

     色が付いて見えます。粒子が細かく、粘り(可塑性)も有ります。

 ⑤ 主な粘土に、木節粘土、蛙目粘土が有ります。

  ) 木節粘土: 花崗岩が、風化し、腐った木や、腐植物などと共に、水底に沈殿し堆積した物で、

     褐色や、黄色、黒色などの、色をしていますが、焼成すると、不純物が、燃えて消失し、

     白い色に成ります。

  ) 蛙目粘土: 生成は、木節粘土と、同じですが、粘土中に、大きな石英が、混ざり、

     蛙の目の様に、見える事から、この名前が付いています。

     可塑性は、カオリンと木節との、中間です。

以下次回に続きます。
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陶磁器の絵付け(まとめ)

2010-01-25 22:21:35 | 作品の装飾と陶磁器の絵付け
上絵付けや、金彩、銀彩の有る、陶磁器の、取り扱いについて、述べます。

1) 絵付け陶磁器の、扱い方

 ① 陶器を、電子レンジで使用しても、割れたり、ヒビが入ことは、ほとんどありません。

   但し長い時間、連続して使用しない方が、安全です。(温める程度の時間)

 ② 湿っている器を使うと、食器が加熱されます、特に油物は、高温に成り易いので、避けて下さい。

 ③ 食器洗い機については、上絵がある物は、傷つく恐れが、有りますので、止めた方が、

   良いでしょう。

   上絵付食器に、食器用の耐酸、耐アルカリの絵の具を、使用してる物は、食器洗い機利用に、

   問題ないとの事です。

   ただし、食器同士の、ぶつかり合いや、衝撃には、弱いので、注意して下さい。

   上絵付けの無い、陶磁器は、使用しても、トラブルは無いと、思います。

 ④ 食器洗い機の問題点は、吸水性があ為(特に陶器)、洗剤や汚れを、吸い込んでしまう可能性が、

   あります。 使用前に、水で目立つ汚れを流してから、利用すると、良いでしょう。


2) 金の付いた食器の選び方、扱い方。

  ① 鈍く深味のある物は、“金”の純度が高く、“金”をたくさん使用しています。

    ピカピカと、あまりにも明るく、輝いている物は、反対に純度が低く、“金”の使用量は、

    少ない傾向にあります。

  ② “金”の付いた食器を、電子レンジに入れたり、金属たわし、クレンザーなどで、強くこするのは

    厳禁です。 “金”がスパークしたり、傷ついたり、剥がれたりします。

    最近は、電子レンジが使える、特殊な、金絵付けの物もあり、こちらは、大丈夫です。

    それ以外は避け下さい。使用中に、火花が散り、危険です。


3) 国家資格、陶磁器、絵付け技能士について

  国家検定、 陶磁器製造(絵付け)技能士

  国が職業能力を、評価する目的で、実地しているものです。

  現在137職種について、検定が行われ、合格すると、「技能士」と言う称号を、与えられる。

  同じ技能検定には、漆器製造やフラワー装飾、貴金属装身具製作(ジュエリー)などの、

  工業的技術を、公証するも、のがあり、合格者には、厚生労働大臣名、又は県知事名の合格証書が

  交付されます。


・ 絵付けについて、述べて来ましたが、今回で終わりにいたします。

 次回より、別なテーマで、お話したいと思います。
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絵の具の話(和絵の具、洋絵の具)

2010-01-24 23:07:20 | 作品の装飾と陶磁器の絵付け
絵付けの、絵の具について、お話します。

1) 和絵の具と、洋絵の具

  絵の具には、下絵付け用と、上絵付け用と、分ける方法と、和、洋で区別する方法が有ります。

  ここでは、後者について述べたいと、思います。

  和絵の具(硬彩)と、洋絵の具(軟彩)の違いは、描かれる柄にも、それぞれの特徴が出ます。

 ・ 多くの絵の具メーカーが、有りますが、品質に大差は無いと、思われます。

   尚、和絵の具より、洋絵の具の方が、色の種類は多い様です。

   (洋上絵の具 :赤、 黒 、グリーン 、青、 黄、 白 、小豆茶 、透明、紺青 、深緑 、ヒワ 、

   ピンク 、オレンジ、ブラウン、グレー、ライラック、マロンなど)

   (和上絵の具: 紺青、赤、黄、黒、緑、小豆茶、白 など)

 ① 和絵の具について

   和絵の具というのは、色のついたガラスだた、思って下さい。(即ち、透明感が有ります)

   唐の土(鉛。発色を良くする)、珪石(絵具を溶解する)、白玉(ガラス。透明度を出す)を

   ベースに、色によって異なる、着色物質(顔料)を、加えます。

  ) 和絵の具は、赤絵などの例外以外は、一般に焼成後は透明です。

     上絵の赤と黄色は、透明な絵の具が、出来ないので、不透明なものと、なります。

     透明になるのは、ベースに対して、金属が少ない為で、焼成後は透明の、ガラス質になります。

  ) 絵の具を「ふのり」や、「膠(にかわ)」液など、水溶性の液で、練りや、濃淡の調整、希釈を

     行います。 油と違って、臭いもなく、後か片付けも、簡便に済みます。

  ) 透明な絵の具なので、濃い色を、出そうとすると、厚く盛り上げる、必要があります。

     和絵具は別名、「盛り絵具」と呼ばれ、水で溶いた絵具を、筆で置く様にして、盛り上げて

     着彩します。 こうする事で、半透明の、美しい色ガラスが、発色をします。

     (なお、柿右衛門赤の絵具だけは、洋絵具と同じ様に、使用します。)

  ) 「九谷和絵の具」の特徴は、透明感、表面の艶、層の厚さが醸す、深みのある発色と言えます。

     化学的に精製された、洋絵の具と違い、和絵の具は、ガラス質を形成する、調合材料や色素に、

     古九谷時代から、継承されてきた、生の珪石や、金属酸化物を使用します。

  ) 和絵の具は、赤以外、焼く前と、焼いた後で、かなり色が変わります。

     ピンク色は赤茶に、グレーは鮮やかな緑に、薄いグレーは紫、等に成ります。

 ② 洋絵の具について、

  ) 洋絵の具は不透明で、塗料(ペンキ)と同じように、油の様な溶剤に、顔料の粉が、混ざった

    状態のものです。 顔料は、化学薬品の様に、純度の高い物が、使われます。

    金属が多い為に、エナメル質の、不透明なガラスになります。

  ) 透明感がない分、塗りムラが気にならず、使い易いですし、粉末以外に、チューブ入りもあって

    扱いやすいです。
    
  ) 絵具は水で溶いたり、チャイナペインティングと呼ばれる方法では、乾性油で絵具を溶いて、

     濃淡や、グラデーションの表現が、できます。

  ) 洋絵の具は、着色剤に融剤を、混ぜたもので、和絵の具のように、厚く盛らなくても発色します。

     厚く盛り上げると、釉切れを起こしたり、釉が剥離してしまいます、出来るだけ薄く着彩し、

     エナメル質を際立たせます。

  ) 洋絵の具が、多くの場合、バルサム、テレピンなど、油性の材料と、練り合わせて、使いますが、

     水溶性「メジュウム」などを、利用する場合もあります。

     特に、最近は、安全、衛生面から、ヨーロッパでも、水溶性の絵の具を、使う機会が増えており、

      日本でも、鉛対策とともに、様々な方法が、取られています。

  ) 混合割合は、バルサムと絵の具を、ほぼ同量、これを、テレピン油で1、0%程度希釈します、

     混合する比率を、変えることによって、乾燥時間を、調整することも可能です。

     水溶性メジュウムの場合も、メジュウムと絵の具を、ほぼ同量を練って、使います。
 
  和絵の具 洋絵の具
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金彩備前

2010-01-23 22:03:18 | 作品の装飾と陶磁器の絵付け
絵付け以外でも、焼き方によって、金彩、銀彩、ラスター調に仕上げる事が出来ます。

 例えば、備前焼や、信楽焼きの様な、無釉焼き締めでも、金色や、銀色、ラスター色が、

 出る事が有ります。

 原理的には、強還元焼成によって、作品表面に、薄い炭素の層を、作る事により、光の乱反射で、

 発色する物と、思われます。

 ① 備前焼で「金彩、銀彩」と言われる模様は、金色や銀色が、縞模様になって、現れる窯変です。
  
   「備前金彩」(又は金彩備前)とも言われ、大変珍重され、高価な物です。

 ② 主に、桟切(サンギリ)と呼ばれる、窯変で起こる現象です。

   窯の隅や、器物の陰など、直接炎や、灰が当たらず、煙に包み込まれる様な所で、出来ます。

 ③ 酸素が少ない場所で、強い還元焼成を伴った場合に、偶然、作品の一部に、金、銀、ラスター調の

   模様が、又は、筋状に金色の光で、炎が走った模様が、現れる事も有ります。

   更に、作品全体が、金彩に被われる場合があり、これは、作品を密に詰め、炎の通りを、

   極力抑える事によって、偶然生まれるものです。

 ④ 現在では、ある程度、人工的に、作り出す事が、出来ます。

   即ち、焼成終了間際に、作品の上や側に、木炭を落とし入れ(炭入れ)、それを燃焼させる事に

   よって、強還元状況を、作り出して、金彩や銀彩などの、色を出します。
   
 ⑤ 炭素が、付着し易くする為に、窯詰めの際に、サヤに入れたり、作品の位置を工夫したりします。

   最後に、炭入れ前後の状況を、一定温度に、保ちます。

   しかし、希望する場所に、色を出すのは、かなり困難で、偶然が、大きく作用します。

 ⑥ 備前焼や信楽焼きは、燃料で薪(赤松など)を使います。

   ガス窯や電気窯等で、この様な、金彩や銀彩を、出したい場合には、サヤを使います。

   即ち、作品を藁(わら)で包み、炭(木炭)と一緒に、サヤに収め、蓋をして、焼成します。

   強還元で焼成しますので、運がよければ、発色も可能です。

   尚、当然、粘土は、備前の土や、信楽の土を使います。

   (但し、現在では、本物の備前の土は、一般の人は、手に入らないでしょう。備前の土と称して、

    市販されている土は、ほとんど合成備前だと、思って下さい。)

以下次回に続きます。

 備前金彩(金彩備前) 
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陶磁器の絵付け(ラスター彩) 2

2010-01-22 22:38:05 | 作品の装飾と陶磁器の絵付け
ラスター現象を、作り出す方法について、述べます。
 
ラスターの効果を出すには、表面に金属又は、金属酸化物粒子の、非常に薄い層を、作れば良い事に

成ります。

1) その技術的方法は、

 ① 貴金属の樹脂酸塩を、釉の上に掛ける。

   金属の、有機化合物の薄い油溶液や、エーテルの溶液を、本焼き焼成した、釉の上に掛け、

   600~700℃で、焼成する方法です。この方法が、最も一般的に行われています。

 ② 着色酸化物を含む、鉛釉を、本焼き後の作品に掛け、還元焼成する。

 ③ 窯から出したばかりの、まだ熱い内に、金属塩溶液を、スプレーで、吹き付ける。

 ④ 錫釉に、黄土と金属溶液を掛け、焼成する。

 ⑤ アイリス・ラスターは、施釉したものに、チタニウム塩と、油性溶液の混合物を塗り、

   低温で、焼成して造ります。

2) 金属ラスターの調合

 ① 元釉に成る、白ラスター(ビスマス、ラスター)を作る。

   これを、釉面上に掛けて、焼成すると、真珠に似た光彩が、現れます。

 ② 白ラスターに、色々な金属酸化物を加え、各種の色ラスターを造ります。
  
  ) 白ラスターを造る

   a) 材料は、松脂:26.1%、 硝酸ビスマス結晶:8.7%、 ラベンダー油:65.2%

   b) 松脂を、サンド・バス(砂浴)の上で、溶かします。

   c) 硝酸ビスマスを、少しずつ加え、撹拌します。更に、ラベンダー油、34.8%を、徐々に加えます。

   d) 混合物は、褐色になりますが、自然冷却後に、ラベンダー油の、残り30.4%を加えます。

   e) 不溶性物質が、完全に沈殿したら、これを、空気中にさらし、濃縮させます。

  以上で白ラスターは、完成です。

  ) 塩化鉄、硫酸銅、硫酸クロム、硫酸コバルト、硫酸マンガン、硝酸ウランなどの、塩類で、

     金属ラスターを造ります。

   a) 上記塩類の、水溶液に、沈殿物が出来るまで、樹脂石鹸を加えます。

   b) この沈殿物を、濾過し、乾燥後に、ラベンダー油と混合し、粉砕します。

  ) 青色ラスター: 水金に、重量比4倍の、白ラスターを加える。

     褐色ラスター: ニッケル・ラスターや、コバルト・ラスターを使います。

     緑色ラスター: 水金、カドムウム・ラスター、白ラスターを、適当な割合で混ぜます。

     橙色ラスター: 鉛ラスターと、クロム・ラスターの混合。

     紫色ラスター: 水金に、5倍の白ラスターを加えます。

 * 参照資料:素木洋一著 「図解 工芸用陶磁器」 (技報堂出版株式会社)より、転載しました。


尚、ラスター彩の復元、研究した人に、加藤卓男氏がいます。

  加藤 卓男(1917~2005年)、 陶芸家、 国指定、重要無形文化財、保持者 (人間国宝)

  古代ペルシア陶器の、斬新な色彩や、独創的な造形や、釉に魅力を感じ、西アジアでの、

  長年の発掘研究を経て、滅び去った幻の名陶、ラスター彩の復元を始め、青釉、三彩、

  ペルシア色絵など、高い芸術性を持つ、異民族の文化と、日本文化との融合に、成功しました。

  その他の功績により、人間国宝に推挙されました。

 ラスター釉
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陶磁器の絵付け(ラスター彩) 1

2010-01-21 17:33:00 | 作品の装飾と陶磁器の絵付け
上絵付けで、色を付ける方法に、ラスター彩(さい)が有ります。

① ラスター彩とは、錫を含む鉛釉で、焼成した白い釉の上に、銅や銀などの、酸化物で文様を描いて、

  低温度還元焔で、焼成された、ものです。

② 還元状態の中で、金属の酸化物が、薄い金属の膜を作り、光の当たり方によって、金属光沢の、

  虹彩(ラスター)を、生じさせる技法です。

  ラスター(luster)とは、英語で「輝き・煌き(きらめき)」、落ち着いた輝き、という意味です。

③ 虹色の模様は、自然界の生物にも、多く見られます。

  玉虫や、コガネ虫、ある種の蝶などの、昆虫でみられ、反射する基材の上に、薄い膜があると、

  膜の表面で、反射した光と、膜を通過し基材で、反射した光とで、干渉が起きます。

  その結果、見る方向によって、特定の色の光が、強まったり、弱まったりして、虹色にもなります。

④ 中国建窯の、曜変、油滴、禾目などの天目茶碗は、この影響を受けて作られ、ラスター現象が

  見られます。

・ ラスターは、ペルシャ陶器が、起源とも言われています。
 
⑤ 9世紀のペルシャ陶器に、この技法が見られ、その後エジプトで、生産された後、12~13世紀に

  再びペルシアにおいて、全盛期を向かえたと、言われています。

  陶器の表面に、金属的な輝きを、与える事により、金属の器の如く、見せかけました。

  しかし、これが、イスラム陶器の代表的な、ものと成っています。

⑥ 錫白釉をかけた上に、またコバルトを含んだ、藍釉を地に、銀、銅などの特殊な金属を含む

  泥状の顔料で、器面に文様を描き、低火度で、焼き上げます。

  古代ペルシャの陶器の中で、最も気品に満ち、最も高度な、技術を有するのが、ラスター彩陶器です。


尚、現在では、普通の釉と同じ、本焼きの際に、掛けるだけで、各種金属を使った、様々な色の

ラスター彩があります。 (ラスター結晶釉、真珠ラスター釉などで、市販されています。)


ラスター釉の、調合方法については、次回に述べたいと思います。
 
ラスター彩
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陶磁器の絵付け(チャイナペイント) 2

2010-01-19 22:04:46 | 作品の装飾と陶磁器の絵付け
前回に引き続き、チャイナペイントの、話を致します。

・ チャイナペイントの制作方法

  ① 陶磁器用の絵具は、“顔料”と呼ばれる、鉱物の粉末から出来ています。

    色々な鉱物を、混ぜ合わせて、様々な色を、作り出す事が出来ます。

  ② 絵付け方法は、粉末状の絵の具を、専用オイルで、良く練り、平筆か丸筆で、描きます。

    乾燥後に、重ね塗りも、可能です。

    オイルの種類は、大分すると、速乾性のオイルと、遅乾性のオイルに、分けられます。

  ③ 手法は、溶剤で溶いた、専用の絵の具を、丸筆、平筆、細い筆などを、使って、花やフルーツなど

    様々な絵を描きます。絵付けの段階では、何度でも、描き直す事が出来ます。

  ④ 焼成窯は、メーカーによって、何種類かあります。

    陶芸用電気炉の場合、焼成温度は800℃程度で、焼成時間は3時間半~4時間位かかります。

  ⑤ アメリカンスタイルでは、更に描き加えて、再度焼成します。

    この焼成を、数回繰り返しながら、画面に深みと、色彩の広がりを、表現していきます。

  ⑥ 豪華な、作品にしたい場合は、金彩を施すと効果的です。

    但し、金は焼成温度が低い(780℃位)ので、最後に焼成します。
 
  ⑦ 一つの作品が、出来上がる迄には、大変な手間と時間が、掛かる場合もあります。

    一般に、市販されている磁器は、転写紙によるものが、ほとんどです。

    それに比べ、手描きには、色の美しさや、微妙なグラデーション、細い線描など、転写紙では

    出せない、魅力が多くあります。

  ⑧ 焼成された器は、装飾品や食器として、使用できます。

    但し、絵の具は、食品安全合格品(食器専用)を使います。 

 ・ 前回お話した、「イングレーズ」の方法を、使う方法も有ります。

   即ち、下絵付けの様に、染付けをしたい場合、釉の上に、専用の絵の具で、絵を描いて、

   高温(1250℃位)で焼成し、釉の中に、滲み込ませる、方法をとります。


日本は、質の良い白磁や、絵の具が、簡単に手に入り、色々な、道具類を、売っている店も多く、

もっと、もっと愛好者が、増えていくと、思われます。


・ 絵の具の有毒性

 ① 陶磁器の絵具の中には、一般に、水彩や油絵で使われている、カドミニウムを含んだ、赤、黄色の、

   絵具もあります。

 ② チャイナペインティングと呼ばれる、技法の絵具のほとんどには、鉛が含まれていて、

   食器には向いていません。装飾として使用する場合には、さほど問題に成りません。

   又、食器専用の絵の具を使えば、問題ありません

   装飾用の絵具も、そうとは知らずに、食器をつくる際に、使っている人が、いるも知れません。

   たとえ、微量でも、人体に直接悪影響を、与える可能性が、有ります。

 ③ 有害な物質は、赤やオレンジや黄色など、派手な絵具が多いが、そうとはかぎらず、

   逆に派手な色でも、鉛やカドミニウムの、入っていないものが、開発されています。

・ 尚、市販されている、飲食用食器には、以下の規制があり、一般には、出回っていません。

・ 飲食用食器の、装飾面からのPb(鉛),Cd(カドミウム)の溶出規制

  飲食用食器の、装飾面(上絵付け装飾品が主)からの鉛、カドミウムの溶出は、食品衛生試験法で、

  規制されています。

  上絵具は、食器の釉面上に、顔料を焼付で、固着するために、融剤(フラックス=鉛ガラス)を

  混合して、作られていて、鉛及びカドミウムの溶出規定に、合格しないと、製造販売は許可されません。

・ 現在、国産の飲食器は勿論、メーカー自身、業界の検定機関でテストし、また輸入食器は、通関の際、

  厚生省関連の試験機関で、検査していて、市場には、不合格の食器は、販売されていません。

以下次回に続きます。
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